押し付けは〈腑に落ちる〉様に説得できないから起こる/たのしい教育の発想法/仮説実験授業研究会代表(初代)板倉聖宣

 かつて仮説実験授業の夏の大会には旅行カバンに入らないほどの大量の資料が出されたものでした。その中から板倉先生が語ったことを選び出して持ち帰っても、かなりの量になります。それが毎年続くと、保存できな量となり、現在の〈デジタル保存方式〉に移行していきました。メルマガで週一回紹介しているのですけど、毎週取り上げても100年では終わらないでしょう。

 以前「押し付けはどうして起こるのか」ということに対する板倉先生の話がとても腑に落ちたので、そこだけカットして保存してあったデータがあります。紹介しましょう。大会で入手した資料ですけど、残念ながら表紙は消えていて、いつのものだかたどることができません。こういう話は板倉先生が何度も語ってくれていたので、古くからの仮説実験授業のメンバーなら、出典をたどることができるかもしれません。ご存知の方はおしらせください。

 板倉

 押しつけということはどうして起こるのか?
 相手を説得することができないからです。
 相手を十分納得がいくように説得できなければ、無理やり押しつけるほかない。

「成績が悪くなりたくなければこれを覚えなさい」
「意味がわからなくても覚えなさい」という形で押しつける。
「これができなければ入学試験が受からないぞ」といって押しつける。
 相手が納得していなくても、そういう形でいく、これが押しつけですね。

 そうやって押しつける必要のあるものは科学ではありません。
 まずそのことを信じなければいけない、そういうものは科学とは言わないのです。
 信じたくなくても、実際そうなってしまうから仕方がない、信用しないわけに行かない、それが科学です。

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予想を立てて考える/〈食べてすぐに寝たら牛になる〉考

  授業ブック「ガリレオが広いた世界」が高評で喜んでいます。電子出版の準備もすすめています。
 ガリレオの頃までは「こうとしか思えない」とか「こうに違いない」という説明がとてもたくさんありました、「生物は自然に発生するとしか思えない」とか「あの光輝く星たちは地球と違って宝石の様につるつるで完全な球体である」という様に。
 それは当てずっぽうに言ったのではなく観察を元にして〈そうとしか思えない〉という結論として主張しているのです。だってもともと食べ物に虫などはついていなかったのに、それをすててそのままにしていると、いつの間にか小さな生物や虫たちがうごめいているし、地球は山あり谷ありだけれど、月にしろ星にしろ光輝いていて、まるで宝石の玉の様にしか見えないからです。

 ガリレオは、こうとしか思えないという説明は〈予想〉の段階とみて、周りの人たちとそれぞれの考えを出し合い、〈実験〉によって、どちらが正しいのかを確かめる流れの中で真理を発見していきました。
 単に〈予想・実験〉ではなく〈考えを出し合う・対話する〉という過程も重視していることは、ガリレオの著作「新科学対話」「新天文対話」からも、そして「ガリレオ裁判」という本でも紹介されています。

 ガリレオ・ガリレイは、「対話の人」であった。
 彼は、生き生きと天空を見上げ、星たちと論じ合った。そしてまた、陽気に街へ飛び出して、人々と話し合った。
 友人たちと共に「真理の間をさすらい、論議を重ねながら歩むのは、この上もなく楽しいことだ」と語っている(ジョルジョ・ド・サンティリャーナ著、武谷三男監修、一瀬幸雄訳『ガリレオ裁判』岩波書店)

http://www.value-c.haru.gs/library/1st/archive/rekishinokyojinntokataru/4th_Galileo.html

 この本の監修をしている〈武谷三男〉は、仮説実験授業研究会初代代表〈板倉聖宣〉が師と仰いだ人物の一人です。

 それが本当に正しいのかどうか〈予想を立てて対話して実験によって確かめる〉について、身近なところで考えてみましょう。

 みなさんは「食べてすぐ寝たら牛になるよ」と言われたことはありませんか?
 言われたことはなくても、そういう言葉は知っているのではないでしょうか。
 そう言われた小学生のミキちゃんと、そう言ったお母さんとの会話です。

お母さん「ミキちゃん、食べてすぐ寝ると牛になるわよ」

ミキ「え? そんなことはないわよ」

お母さん「だって昔からみんなそう言っているでしょう」

ミキ「でもお母さん、もしそのことが正しいとするわよ。
  うちの猫のア~ルは、食べると大抵寝ているわよね」

お母さん「ええ、そうね」

 

※これは〈たの研〉のア~ルが食事後に寝ている姿です、
食後は大抵こうです

ミキ「もしも、お母さんの言うことが正しかったら、ア~ルはもうすでに牛になっているんじゃないの?」

お母さん「・・・」
 「あ、でも猫はきっと大丈夫なのよ、人間は牛になるのよ」

ミキ「じゃあ、実験してみるね、おやすみなさい」

 こんな感じでたのしく賢く対話できるこどもたちが増えていくのも、本当の学力が見についてきたことになるのじゃないかと思います、みなさんはどう思いますか?

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板倉聖宣(仮説実験授業研究会初代代表)「創造より模倣の方が難しい」/たのしい教育の発想法

 久しぶりに〈たのしい教育メールマガジン〉から抜粋して紹介します、板倉聖宣(仮説実験授業研究会初代代表)が語った「模倣と創造」についての発想法を「創造より模倣が難しい」と題して保健授業作りセミナー1998.8で語ったものから再編集しました。メルマガで人気の発想法の

板倉聖宣

「日本人は創造性がない」などといわれます。
 それを聞くと普通の人は

「そうだよな、模倣性ばかりだよな」

と思ったりしますが、実は日本人は全体として模倣性がないのです。
 もちろん〈歴史的に模倣性があった人たちがいた〉というのは事実です。
 たとえば聖徳太子の時代「中国の文化を徹底的にマネよう」と思った人たちと、それに反対する人たちとの間でいろいろな争いがあったことは有名なことです。
 江戸時代末から明治時代にかけては「西洋の文化を全面的に学ぼう」という人たちがいて、それに強い抵抗があったのもよく知られた事実です。
 そうした抵抗に負けず全面的に模倣を進めたことは日本人が成し得たのは、最も創造的な仕事でもあります。
 しかしそれらは日本の歴史の中で特異なことだったのです。
 日本人は今でも創造性がないのは〈徹底した模倣性〉がないからだと私は思っています。

 私は四十年近く、板倉聖宣の発想法や仮説実験授業を真似尽くすほど真似るという勢いで学んで来ました。そういう中でオリジナルの教材もたくさん作ることができました。「真似尽くす」という勢いがあったからここまでこれたと思います。真似尽くすより、自分のオリジナルを出していくことの方が楽だということも、これだけ真似してきたからこそしみじみ感じることができます。

 仮説実験授業より長く学んできた琉球空手も〈先人の技を真似してきた伝統の塊〉だといえるでしょう、それもそろそろ看板を掲げなくてはいけない時期に来ています。真似し尽くして自分の形となりはじめる、今年はそれを意識した年になりそうです。

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かけ算の本質(2).1/2✕1/4 を〈図〉で説明して答えを出してください(答は1/8)

 相変わらず〆切ものに追われていて日付が変わってから帰宅する日が続いています。こういう日々を強制されたら訴えられるでしょう。けれど自ら価値を感じてそういう日々を送ることができるのは幸せの形の一つです。

 さて前前回の〈たのしい学力向上〉で書いた〈かけざんの本質〉の話の反響がいくつも届いています。〈クランボルツ理論〉も好評です。

 今回は「自分で描いてみました」という人たちへの答えとして書かせていただきます。

 学校で「頭がいい」と言われている子ども達には「計算スピードの速さ」によってその評価を得ている子もたくさんいます。
 しかしそういうことで評価され日本の一流大学を受験する人たちも例えば
「1/2✕1/4 を図で説明して答えを出してください」という問題を出すと解けなかったという話を書きました。出典を思い出そうとしているのですけど、安野光雅の〈算私語録〉だったのか、森毅のエッセイだったのかなかなかはっきりしません。見つけ次第紹介します。

 それにしても優等生として育った学校の先生たちの多くも、同じ問題を出したときに、子どもが納得していくれるような答えを示すことが難しいということからも、その話信憑性が高いでしょう。

 前々回の練習問題として出した

1/2×1/4を計算ではなく図で描いて解答してください

を解いてみましょう。

 かけ算の本質については、前の項にもどって読み直してください、それがもっとも基本になります。

 まず1/2とはなにか?

1つのセットを2つに分けたその一つ分です。

これを〈1〉とすると

この左の部分が1/2です。

 それに1/4をかけるというのはどういうことか?

 4つにわけた一つ分にするということです、この赤の部分が1/2を4つに分けた一つ分です。
 

 この赤の部分は全体としてみると、どうなっているのか?
 1を8つに分けた1つ分になっていることがわかりますね。

これが 1/2×1/4=1/8 の答えです。

 分子は分子にかけて、分母は分母同士かけるから1/8だと計算するのは早いのですけど、図で説明できる子は、さらに賢くなります。
 いろいろな問題を根本的に考えて答えを導き出そうという力が高まるからです。
 計算ではこうなるけど、本当にそうなのか?
  それを答えをみて確かめるのではなく、自分で図を描いて確かめることができる、それはかなり賢い作業です。

 今度は 2/3➗1/2 を図で解く方法を考えてみませんか。

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