面白いニンジンがありました。才人 士郎正宗(しろうまさむね)が攻殻機動隊(こうかくきどうたい)で描いたフチコマに似ています。士郎正宗を知らない人もいるかもしれませんが、近未来を描くことにかけては世界屈指のマンガ家で、彼の作品はいくつも映画化されています。
このニンジンを裏返してみるとまた面白い。
わたしにはオケラ(ケラ)に見えました。
土を掘る名人です。
子どもの頃、よく見かけたのですけど、そういえば最近は見ないなぁ・・・
人間のものの見方考え方というのはおもしろくて、二つのまるい形と、その下に少し大きめのもの、その下に横長のものがあると「人間の顔ではないか」と考えます。赤ん坊の頃、この生き物が自分と同じ仲間なのかそうでないのかを見分けることは命に関わるほど重要なことだったからです。
その昔、目と鼻と口の配列に近い甲羅のもようをもったカニがいました。そのカニの顔が武士の怒りの表情にも似ていたからでしょう、平家伝説(源氏に打たれて哀しい最後をとげた一族の話)と重り、「平家の亡霊がこのカニにのり移ったのだ」というつくり話が生まれました。
亡霊はないのですけど、その頃は信じている人も多かったのです。
亡霊を信じない人も〈人面に似たカニ〉は食べずに逃してあげることもあったのでしょう。人間の顔に似た甲羅のカニたちは生き残る確率が増えました。平家蟹(ヘイケガニ)と呼ばれています。
10年以上前のこと「人間の顔に似ている岩が火星で見つかった」というのがニュースになりました。NASAの火星観測で公表された画像の一部から見つかったというので、誰かが画像を編集したものではありません。そして「これは火星に宇宙人が来た証拠だ」ということで一部の人たちに大きく騒がれたのです。こちらの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-いいねクリック=人気ブログ!-
これがその写真です。
たしかにおもしろいほど人間やサルの顔に似ています。
わたしが教師をしていた時でしたから、先生や子どもたちからたくさん質問をうけました。
これは火星の写真を何千何万もの区画に分けて見ていった時のほんのわずかな部分にあったのです。そして太陽との位置関係で、たまたまその岩の凹凸にあわせて、そこに顔の様に見える影ができき、そのタイミングで撮影されたものでした。なので、少し時間がたつと顔には見えません。
このような岩は火星の表面にたくさんあります。これを見せて宇宙人が来ている証拠だといっても人々は信じなかったはずですが、さっきのようにたまたま影が落ちて、それが〈人間の顔の配列〉に近いと、人間の顔だと認識してしまうのですね。
火星の人面岩でマスコミが騒ぎ、怪しげな科学者も登場し、本も雑誌も売れて儲けた人たちもたくさんいたことでしょう。「火星パワー」を身につけるグッズだというので〈人面岩キーホルダー〉を高い値段で買って持っている人も見ました。それを簡単に笑うことはできません。今でもピラミッドパワーとか、お金のたまる財布だというように、それに類似するような商品はいっぱいあって一定数の人たちがそれを買っているからです。
たのしい教育研究所が掲げる〈たのしく賢くなる〉というテーマはは、〈火星に宇宙人が住んでいる〉という話に騙されないような子ども達が育つことでもあります。
たのしく元気なたのしい教育研究所です。