電気自動車とガソリン車の仕組みについて前回の続き「モーターは電気を流せばまわるけど、ガソリン車のエンジンはガソリンを流せば回るのか?」です。
子どもにわかりやすく、どう伝えたらよいでしょう。
私が中学一年の頃、感動したところが伝わる様に書きたいと思います、基本構造をシンプルに紹介します、難しくありませんから安心して読んでください。
エンジンを日本語にするとなんというか、ご存知でしょうか。
「内燃機関」といいます。 内部で燃やしているんです。
そうです、ガソリン車は〈ガソリン〉を燃やして走っている、ディーゼル機関車は〈軽油〉をもやして機関車を走らせている、飛行機は〈ジェット燃料〉を燃やして飛んでいるんです。
「燃やしている」という言葉には焚き火の様なゆっくりしたイメージがあるのですけど、内燃機関・エンジンは「爆発させている」というイメージです。
これが実際に車のエンジンの中でガソリンを爆発させている映像です。
ね、爆発しているでしょう。
エンジン内の爆発させる部屋をシリンダーと呼んでいます。※シリンダーは本来〈円筒形〉という意味
爆発すると爆風が広がりますね。
シリンダーには上下する〈ピストン〉がついて、シリンダー内の爆風が広がる力がピストンを強く押します。
上下する直線運動だけではここも実に巧みです、爆風が広がる力を直線運動ではなく、角度をもたせて回転を生んでいます。この構造を〈クランク〉といいます。
クランクは〈爆発力〉をシリンダー内で動力に変えるシステムに比べると地味な感じがするかもしれませんけど、〈直線の動力〉を〈回転の動力〉に変えてしまうシンプルな仕組みは秀逸です。私が中学の頃エンジニアリング系の学校に進もうと考えたのは、このクランクのシンプルな発明に魅了されたことが大きかったと思います。
※
以上、かなりシンプルにしてまとめたのですけど、エンジン・内燃機関の基本構造は
〈爆発:シリンダー〉⇨〈上下運動:ピストン〉⇨〈回転運動:クランク〉
の三つです。
※マツダ社が開発したロータリーエンジンというとても画期的な内燃機関があるのですけど、それはいずれまた
ここでwikipediaの動画をご覧ください、何がどうすごいのかを知らずに単に動画をみているだけでは、見えなかったものが見えてくると思います。みたらまた戻ってきてくださいね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/
この基本構造に加えて、効率的に爆発させるためにガソリンをうまく空気にまぜてシリンダー内に噴射するシステムも必要です。
何しろ爆発させているわけですからすごい熱量です、それで水を循環させて冷やさなくてはいけません。
一つの部屋で爆発させるよりいくつかの部屋(シリンダー:気筒)に分けた方がよいことがわかったので、今の車は4気筒とか6気筒という様になっています、それぞれのシリンダー・気筒の爆発と回転のタイミングをうまく調整していく必要もあります。
爆発させたあと残ったガスを外に出して、新しくガソリンを含んだガスを吸入しなくてはいけません。
爆発させたガスは高温で臭いもありますから、マフラーといってそれをうまく処理して排気するシステムも必要です。
そういういろいろなことを連続でどんどんすすめていくので、エンジン・内燃機関はとても複雑な構造をしています。
その結果、ガソリン車のエンジンルームはいろんなものがぎっしり詰まっています。下の方にも複雑な仕組みが連なっています。
それに比べて、EVのモーターは小さくシンプルです。上のガソリン車と同じ大きさの車ですけど、そのエンジンルームに比べて、モータールームはスカスカな感じがしますね、左側やや前方の四角いヘッドになっている部分がモーターです。
モーターははじめから回転運動になっているので、エンジンの様な複雑な構造を組み合わせていく必要がないからです。爆発させている訳ではないので排気ガスも出ませんし、熱も内燃機関の様な超高温になることはありませんから、付随するシステムもシンプルです。
もちろんその分、故障も少なくなります。
※
というようにここまで書いてきて電気自動車の構造のシンプルさと内燃機関の構造の複雑さの違いを感じていただけたと思います。
もちろん時代はシンプルな方、電気駆動の時代にすすんでいくでしょう。
電気自動車の課題は動きそのものではなくエネルギーを供給する〈バッテリー〉側です、これからさらに進化していく必要があるでしょう、それについても機会があればいずれ。
とはいえ工学系の私が、より心動かされるのはエンジン・内燃機関側です。
人間が生み出してきた複雑で美しい構造だと感じるからでしょう、その進化した構造が〈ロケットエンジン〉です、巨大なこのエンジンの前にたつといくらでも眺めていられます。
これは日本が開発したH2Aエンジンです。
工学系にすすむ人たちがどんどん減ってきているといいます。
ぞくぞくする様なエンジニアリングを伝える人がとても少ないからでしょう。
以前〈沖縄から宇宙飛行士をプロジェクト〉を推進していた時、たくさんの子どもたちが工学を目指しました。
たのしい教育研究所がとても忙しい頃、またあのクラスのイベントを実施したいという申し出がありました。残念ながらお受けすることはできなかったのですけど、またそろそろああいうビッグイベントもまたやってみたい気がしています、興味関心のある方達がいたらオファーしてください、真剣に検討します。
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