たのしい算数☆分数を図で解く(3)「賢さとはたのしさ」

 たのしい算数編〈分数を図で解く〉という記事が好評です、特に大人の皆さんの学び直しを含めて「おもしろいです!」というたよりがいくつも来ています、ありがとうございます。

 自分で描いた図を送ってくださる方もいるので、私が描いた図を送っています。もちろんこれ以外は間違いということではありません!

一回目の練習問題として出した

〈3×1/2〉はどうして〈3/2〉になるのか

図を描いて解きましょう

です。

一回目に大切なことを書きました。

☆〈かける3〉というのは3倍(3セット)すること
☆〈かける1/2〉は〈2つに分けた一つ分〉にすること  です。

図でみていきましょう。

まずこの正方形が〈1〉だとします。

〈かける3〉は3倍、3セットです。こうですね。

〈かける1/2〉というのは〈それを2つに分けた1つ分〉にすることです。
 この矢印が1/2つまり2つに分けた1つ分(半分)の線です。

色をつけて見てみましょう、左の緑の部分がはじめに示した〈1〉です。真ん中の部分は〈1〉を2つに分けた1つ分、つまり1/2です。

     

 左の1は1/2ずつに分けることができますね。

     

1/2が3枚なので

 

 

図に戻すと、これは1枚と1/2つまり
  と表すこともできます。

                以上。

いかがでしょう。
分母は分母同士、分子は分子同士かけあわせればすぐに計算の答は出せるのに、どうしてこういう面倒なことをしているのか?

〈知恵〉とか〈賢さ〉というのは、こういう本質的なものがわかるということだからです。
 計算の技法に長けて、スピードよくこなすことができることも意味がないことではありません。しかし〈本質はわからないけど解ける〉というのは「それが何を意味しているのかわからないけれど、計算ではこうなる」ということとです。極端にいうと「自分が何かを製造している過程で、身体に良いものを作っているのか、身体に悪いものを作ってるのかイミはわからないけれど、とりあえず製造物は出来上がった」ということにもにています。

 自分がやっているものごとのイミを理解できるかできないか、それは決定的に重要なことなのです。そういう本質の部分が理解できる、その上で簡単な計算方法に則って手早く数処理する、そういうこども達を育てるのが「たのしい教育」です。

 そう、どうしてこういう面倒なことをしているのか、のもう一つの答え、それは「これを読んでくれている皆さんがたのしんでくれているから」ということでもあります。本質的な内容、自分を高めてくれる、自分の可能性を開いてくれる何かを前にした時、人間はとてもたのしいのです。

 たのしい教育に興味関心を持ってくださる方たちが、このサイトを知人に広報してくださることを期待しています。

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クランボルツのキャリア教育理論〈偶発性学習理論〉2

 画期的な理論であるクランボルツのキャリア教育理論〈偶発性学習理論ーHappenstance Learning Theory〉のことを数回前に紹介したところ、いろいろな反響が届いています。日本では初期の名前である「計画的偶発性理論ーPlanned Happenstance theory」が有名なので、それを聞いたことのある人が多いかもしれませんけど、どちらの名称に関しても私の周りでは「はじめて聞きました」という人たちがほとんどです。

 加えてメルマガにさらに詳しく紹介したところ、さらに反響が広がっています。

 いろいろなメールやお話などを見て聞きながら、注意しなくてはいけないと感じているのは「夢や目標を持つことは意味がないとか悪いという話をしているのではない」ということです。
 クランボルツは「成功したビジネスマン数百人の調査によれば、その80%の人たちは想定外の偶然に成功に導かれたと語ってくれている。その偶発性を〈たまたま〉ということで終わらせず、積極的に自分のキャリアに活かせる人たちを育てよう」というのがクランボルツの主張です。※高橋俊介『キャリア論』東洋経済、2003年
「あまり目標に固執してばかりいると、その偶発性のチャンスを逃してしまう」ということも心しておかなくてはいけません。

 クランボルツは JOURNAL OF COUNSELING & DEVELOPMENT ï SPRING 1 9 9 9  VOLUME 7 7 117 の中でこう語っています。

小さな子どもは好奇心が旺盛です。
景色や音、手触りなどを通して好奇心は子どもに世界を広げます。
しかし子どもが物に手を伸ばすたびに、親が「あなたの目標は何?」と問い続けたらどうなるでしょう?

 子どもが野球部に入ったら〈甲子園〉までやめさせないくらいの勢いの保護者の方たちを何人も知っています。そういう熱意ある人たちが子育てをしていると「キミの目標は何なんだい?」と問うと「甲子園です」と子どもが答えるようにもなるでしょう。

 〈目標は大切〉そして〈偶然性も大切〉だというのは矛盾することではありません。そのことは大人が一度しっかり考えておかなくてはいけないことでしょう。たのしい教育全力疾走RIDE(たのしい教育研究所)、みなさんの応援が元気の源です。一緒にたのしく賢く明るい未来を育てましょう。このクリックで〈応援〉の一票が入ります!

 

たのしい学力向上 1/2×1/3が1/6になることをいろいろな方法で説明してください(たのしい算数で賢くなる)

 小学校の頃、たのしい教育研究所で連続授業を受けたこどもたちが全員現役でいろいろな大学に合格してあいさつに来てくれたことを数回前に書きました。「どういう授業をしていたのですか」という質問が届いているのですけど、〈原子論〉や〈たのしい漢字学習〉などの他に算数で「〈1/2×1/3=1/6〉をいろいろな方法で説明してください」という授業をしたことを覚えています。私が小学校でやっていた授業なので思い違いがあるかもしれませんけど、算数の力がグッと高まりますから、みなさんも一緒に考えてみませんか。
 計算の仕方ではありません、つまり〈分母は分母にかけて分子は分子にかけるからだよ〉というのは答えではありませんよ。

 この問題を出したきっかけは、東京の某有名大学の入試で「〈1/2×1/3=1/6を計算ではなく図で描いて説明しなさい〉という問題を出したところ、他の難しい計算処理はできている受験生の多くが答えることができなかった」という話を聞いてからです。
 日本のトップクラスの大学を目指す人たちも〈数処理〉の基本概念ではなく、受験テクニックや計策テクニックなど、記憶を主にして入試を突破していくのだということへの大いなる疑問を出発点にしています。

 こどもたちには「いろいろな方法で説明してください」と投げかけましたが、ここでは図によって説明していく方法を紹介したいと思います。

 まず、自分自身で考えてみてください。

 保護者の皆さんは子どもが「ねぇお母さん、どうして ½✕⅓は1/6になるの?」と質問してきたと想定して考えてみましょう。

 さぁ、どうしてでしょう?

 あなたの考え!

 

たのしい算数の計算(かけ算の本質)

 〈かけ算〉とは何でしょう?

 たとえば〈✕2〉というのは、あるものが2セットになることです。

〈✕3〉というのは、あるものが3セットになることです。
 

では〈✕ ½〉はどういうことでしょう?
 「2つに分けた1つ分」にすることです。

〈✕ ⅓〉はどういうことでしょう?
 「3つに分けた1つ分」にすることです。

 

では〈 ½✕⅓〉というのはどういうことなのか?

 自分で図を描いてみませんか!

 

1/2 ✕1/3は「〈2つに分けた1つ分〉を〈3つに分けた1つ分〉にすること」です、こうです。
 まず一つのかたまり(全体の正方形)をタテに1/2にします、左半分の緑のバー で表しています。

 その緑の部分今度はをヨコ(タテ割りが続くより見やすくなります)に3つに分けてみましょう、その一つ分が〈1/2 ✕1/3〉の答えです。
 ピースを数えてみてください、一つのかたまりを6つに分けた1つ分になっていますね。※正方形の左下、濃くなった部分です
 つまり〈1/2 ✕1/3〉は〈1/6〉ということです。

 学校でこういうレッスンはほとんどやっていないので、塾などでいい点数をとっているこどもたちも、なかなかできません。けれど、丁寧にそれを教えていくうちに「そうか、わかった」と喜んでくれます。

 練習してみましょう。

a.1/2✕1/4 を図で説明して答えを出してください(答は1/8)

b. 1/3×1/4 を図で説明して答えを出してください(答は1/12)

c. 〈3×1/2〉はどうして3/2になるのか、図で説明してください

〈数量のイメージ〉を〈図で描きながら理解〉できるようになると単に〈計算方法〉で進めていく人たちより遥かに算数・数学のちからが高まります、私がすでに何度も実験済みです。

 なれていくと、1/2➗1/3 も図で答えを導き出せるようになります。いつかこのサイトで説明してみましょうね。

 学校では計算が得意な子は「頭がいい」と言われがちです。しかし〈図で描けるこどもたち〉のほうがずっと賢いのです。これからの本質的な学力向上に向けた重要なベクトルです。

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たのしい教育を〈原理〉としてみる−クランボルツの〈偶発性学習理論-Happenstance Learning theory /旧:計画的偶発性理論-Planned Happenstance theory〉

 計画的偶発性理論(Planned Happenstance theory)という名前を聞いたことがあるでしょうか、心理学者クランボルツが提唱した理論です。のちに〈Happenstance Learning Theory〉と名称を変えています、和訳がまだ広まっていないので〈偶発性学習理論〉と名付けておきます。「クランボルツのキャリア理論」としておいてもよいでしょう。

 沖縄県からの依頼で県内の親子向けにキャリア教育の授業を引き受けたり、予算を組んでもらって県内の学校向けのキャリア教育副読本を作成している時入手した本や資料の中で「まさに〈たのしい教育〉だ」と感じていたのが計画的偶発性理論です。

 板倉聖宣が「たのしい授業」を提唱して後、松本キミ子(故人)さんのキミ子方式と出逢い『楽しい授業』として広く紹介した様に、計画的偶発性理論はキャリア教育に関わる重要な理論で〈たのしい教育〉の原理から派生する理論だとみることができます、クランボルツの方が有名ですけど。
 とはいえ、有名さの大小が理論的順位を決めるのではありません。より原理的なものがたのしい教育なのです。

0.現在の教育は、その子の目標や夢に向かって努力し、それを成し遂げることを想定している

1.しかし、成功した人々の人生をたどってみると、その多くは〈偶然性〉に左右されていた。すてきな英語の先生に出会ったから英語が好きになった人がいたり、私の様に中学で学ぶと同時に英語が大嫌いになったり、趣味で偶然出会った人のアドバイスでその職業についたり

2.そういう偶然性によるものを〈縁〉とか〈ラッキーなこと〉にするのではなく、自然に任せるのではなく積極的に活かせるような教育が大切である。たまたま出会ったチャンスを自分の人生にプラスに活かせるのはどういう人間か?

(1)「好奇心」 ――行動を狭く限定せずいろいろなものに興味関心をもつ力
(2)「持続性」 ―― すぐに投げ出さず一定期間は継続して結果をみることができる力
(3)「楽観性」 ―― どうせダメだと考えずポジティブに捉える力
(4)「柔軟性」 ―― ある考え方等に固執せず起こるできごとや状況に柔軟に対応する力
(5)「冒険心」 ―― ある程度のリスクがあっても挑戦できる力

こういう力をもったこどもたちをそだてようではないか。

 そういう理論です。

 まさに〈たのしい教育〉が提唱する「自分の興味関心を大切にして、いろいろな予想を立て挑戦するこどもたち先生たち大人たち」を育てる活動です。〈たのしい教育〉の「キャリア教育分野」だといってもよいでしょう。

 大きな報告ものが一区切りついたので、週一度のメールマガジンにさらに詳しくまとめはじめています。

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