野山は花屋さん(1)建築家 池田武邦の思想

 教育とは畑違いの場にいたので知らない人も多いと思うのですけど〈池田武邦/たけくに〉という建築家がいます。
 自分が命をかけてきた〈軍人〉としての生き方、江戸時代のシステムの素晴らしさを讃えるところなど、相容れない部分もあるのですけど、気骨と哲学ある人物で、学ぶところも大きく、私がとても注目している人物です。
四年ほど前にこのサイトでも取り上げたことがあります ➡︎ https://tanokyo.com/archives/23322

 1967年、地震大国日本では未知の世界であり、国内からも海外からも日本では無理だという見解や批判のあった〈超高層ビルの設計建築〉のリーダーとして腕を振るい、それを成功させた人物です。
 彼の手による超高層建築〈霞が関ビル〉〈京王プラザホテル〉〈新宿三井ビル〉などは、今でも揺るがず空に向かってそびえています。

 池田武邦の自然に対する見方・考え方には共感するものが多いので、今回はその話を書かせてください。

池田
 私は自分で設計した新宿三井ビルの50階に、自分のオフィスを置いて仕事をしていました。
 そのビルは74年に完成していましたが、75年の冬のある日のことです。

 その日の朝、出勤した時は曇っていました。

「今日は一日中曇りだ」と思いながら仕事を終わって、夕方下に降りると、下はもの凄い吹雪で周囲は真っ白でした。
 五十階にいると外界と遮断されているから判りません。五十階は地上200メートルになるから雲の中に入っているのと同じで、外を見ても何も見えません。だから今日は一日中曇りだと思っていたのですが、実は下界は雪の世界だったのです。
 仕方がないからその雪の中にウイシャツのまま飛び出して行ったのですが、そのとき何ともいえない安らいだ気持らになったのです。
 身体は冷たいのです。周りも冷たいのですが空を仰いで非常な開放感を味わったのです。「アレッ」と思いました。
 やはり人間は自然の中の一部だったのです。人工的な最も理想的な温度や湿度の中にいた時よりも自然の吹雪の中にいた方がずっと安らぐというのは何だろう。

 それから私の疑問が始まりました。
 http://www.naniwa-navy.com/senki-ikeda-76kouen1.html

 

 その後、池田武邦は超高層ビルの世界から身を引いて、長崎オランダ村やハウステンボスなど〈環境循環型・共生型〉のテーマパークの設計に携わります。
 それまで崩れてきた長崎の大村湾の環境も劇的に改善され、無償で地方の限界集落の再生や町づくりにも尽力してきました。

 池田武邦さんのことを知ったのは〈たの研〉がとても忙しい時期でした。
 仕事が落ち着いたら会いに行きたいと、長崎県の大村湾にある自宅への行き方も詳しく調べてあったのですけど、そろそろいけるぞ行こうと考えた頃には本人が体調を崩し、それが叶わないまま、今年2022年5月15日〈98年〉の人生を終えました。

 興味のある方はこの動画も合わせてご覧ください。

 自然に近いところで生きていく、それは何よりとてもたのしいことだということ、快感であるということ。そういう中で本質的な賢さ、学力も高まるということ、そういう思想はきっと池田さんの思想と親和性が高いことでしょう。

 アインシュタインの様な思考実験も素晴らしく、ガリレオの様な室内実験もすばらしい。そしてファーブルがやったように地面に這いつくばって時間を忘れて虫たちと戯れることも素晴らしいことです。

〈花弁〉〈雄しべ〉〈雌しべ〉〈柱頭〉〈胚〉がどれなのか、テスト等で間違いなく答えることは問題集をこなせば可能です。

 ところが花の美しさ精巧さ、たとえばこんな小さな一本で全体が釣り下がっている花のつくりに感動することは、実物を見るにこしたことはありません。できれば自然の中でどういう状況にあるのかも一緒に体感した方がよいでしょう。

ツリフネソウ(キツリフネ)/撮影いっきゅう 東京

 そういうことに感動した人たちの中からSDGsといわれる〈環境循環型社会〉の形成も広がっていくと思います。

 池田さんの話にかるく触れてから実践編を書こうと思っていたのですけど、やはり長くなりました、回を分けて綴りたいと思います。

                              つづく

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自然をたのしむ先生とこども達/インターネットや本からは学べない世界+予想を立ててものごとをみていく大切さ

 たのしい教育を学んでいる先生から、お便りが届きました。授業で校庭に出て、いろいろな虫たちを探している写真や動画もありました。
 みんなとてもいい顔をしています。

 この写真の左側の男の子の手には、生まれて少ししかたっていないカマキリの赤ちゃんがのっています。

 たくましい子です。  

 
 クモがアミにかかったバッタを糸でグルグル巻きにしているところをみて驚きの声をあげている子どもたちもいました、なかなか目にする機会のない貴重なシーンです。

 本やネットからもいろいろな情報が手に入ります、もちろんそれも貴重です。アメリカまで行かなくてもアメリカのことがわかるというのは素晴らしいことですよね。

 けれど図鑑で見ていたバッタが実際に目の前でジャンプする時の、あの素晴らしい跳躍感、ひと飛びする距離が自分の体長の何十倍も距離である驚き・・・

 それは目の前で見て感じることに勝るものはないでしょう。

 勉強していく時にも人生の課題を解決していく時にも、実際の経験が多い人はは、知識先行の人よりも、もっと生き生きしたアイディアが生まれていくと思います。

 生きた学力というのはそういうことだと思います。

 ただし単に体感することが素晴らしいといっているわけではありません。

 コペルニクスが提唱しガリレオが決定的証拠をみつけるまで、何度見ても〈太陽が動いている〉としか思えませんでした。
 〈予想を立てて確かめる〉思考の流れがないまま、単にいろいろ見るといいというわけではないからです。

 たのしい教育は、体感すること+予想をもって確かめる思考の流れも、どちらも大切にしていく教育です。

 

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たのしいアウトドア入門ー危険な処に入るときのスタイルなど

「午前零時にこのサイトを読むのがたのしみです」という方が前回の記事を読み、さっそく「多彩な記事を綴っているので偏った読者層ではなくいろいろな人たちが読んでくれているからこその読者数の伸びだと思います、毎回退屈しません」という嬉しい便りがありました、ありがとうございます。

「たよりをくれるのは教育関係や子育て中の方たちが多いので、その意味では偏っているのでは」とも思ったのですけど〈読者層のほとんどの方たちがたよりをくれる〉ということではないので、その方のいうように、いろいろな興味関心を持ってくれている方たちが、このサイトを読んでくださっているのかもしれません。

「クツの話、興味があります。そのほかにどういう格好で危ないところにも入るのか教えてほしいです」という趣旨の便りがありました、教育関係の方の雰囲気は感じられませんでしたから〈読者の方たちの偏りはあまりないのでは〉と思わせる印かもしれません。

 さて、クツの話から。

 10年ほど前の東北大震災の時、倒壊した建物にも入っていくことを想定していたので慎重に靴を選びました、ボランティアに行って病院のお世話になったというのはでは〈迷惑をかけにいった〉ことと同じですから。
  高熱や打撃、釘踏み抜きにも耐える靴があります、確か二万円以上したと思います。


 今回の沖縄体感トレイルコースは倒壊した建物に入るわけではないので、そこまでの装備はいりません。

 小さな釘やガラス、危険生物に気をつければよいので、ワークマンで〈鉄芯入り〉の作業靴を買ってきました、靴さきに金属が入っているので強い圧力がかかっても足先を守ってくれます。ちょっとした釘くらいなら指に届くこともありませんから足で探る様に前にすすめば大丈夫です、税込で1980円だったと思います(2022.8現在)。

 見えないところを探ったり川の深さなどを探るための棒も必要です、私は虫取りアミをよく利用します。それからもちろん暑くても〈長袖・長ズボン〉です。

 もちろん帽子も必須です、つば広のハットをおすすめします。

 あとは〈水〉があれば足りるでしょう。

 野山などに入る時には参考にしてください。

 なにかたのしい情報があれば教えてくださいね。

 そうそう、前回のトレイルワークの時にサンダンカ(サンタンカ)をみつけました。おにぎりもアウトドアで食べると美味しさが増します、花たちも、こうやってフィールドで見かけるととても輝いてみえます。

「単に歩いているだけではないか」と思う人たちもいることでしょう、けれどこういう中でたのしい自由研究(本物の研究)が進み、学びをすすめる力(学力)も高まっていくのです。

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たのしい宇宙科学『ブラックホール』⇨〈ブラック(黒い)ホール(穴)〉は穴ではないという話

 今回は久しぶりに宇宙の話をしましょう。大分前に作った科学の授業のプログラムで、ブラックホールを扱ったものがあります。宇宙に強い人たちでも「え!」というので、なかなか広がっていかないのですけど、それが「ブラックホールは穴ではない」という話。最近も、ある先生が「え~、ブラックホールって別な宇宙に繋がる穴じゃないんですか」と驚いしていました。

 たくさんの人たちがブラックホールを〈穴〉だと考えるのは、その名前にも原因があるのですけど、そこで目にしている〈イメージ図〉にも問題があります。

 これは写真撮影に成功したというその画像です、まさに穴が空いてみえますね。ウィキペディア〈ブラックホール〉の記事筆頭にある写真です。

 

 ウィキペディアにはこういう図もあります、まさに宇宙に穴があいていますね。

こういう図もよくみかけます、落とし穴の様にトンネルが続いています。

 何もない空間からガスが噴射している図もよく見ます。

 こういう図ばかり見ていると、〈穴〉をイメージさせる名前でなくてもブラックホールは〈穴〉なんだろうと思ってしまう、つまり間違ったイメージを持ってしまうのも無理はありません。

 けれどブラックホールは穴ではありません、ブラックホールは〈天体〉です。

wikipedia
ブラックホール
(black hole)とは、宇宙空間に存在する天体のうち、極めて高密度で、強い重力のために物質だけでなくさえ脱出することができない天体である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB

 

では天体とは何か?

ウィキペディアで検索するとこう説明されています。

https://ja.wikipedia.org › wiki › 天体
天体 ( てんたい 、 ( 英語: object、astronomical object)とは、宇宙空間にある物体のことである。

ブラックホールは〈物体〉つまり『原子の集まり』です。

「ブラックホールは星の一つだ」といってもよいでしょう。

 私たちが普通に見る岩石や金属より、もっと原子が高密度で、原子の中の陽子や中性子などを作る〈クオーク〉がびっしり詰まっているのではないかとイメージしている科学者もいます。何しろ普通の天体よりずっと重く、重力もものすごく強いので光すらすいよせるのがブラックホールです。

 丁寧に調べていくと、誤解を生まない様に〈星〉として描いてくれているものもみつかりますよ。

https://gigazine.net/news/20220220-black-hole-in-the-universe/

 かつてブラックホールは「あるだろう」と予想されている星でした。調査研究がすすみ、その存在が科学的に確かめられました。現在では、この宇宙にとんでもない数のブラックホールが存在していると予想されています。

 夏の夜空、星を見ながらブラックホールのことをこども達に語って見ませんか。

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