先週の「こどもマルシェ」の時、マッキー先生が「とにかく面白い本があるんだ、今度持ってきてあげる」と熱くすすめていた作品がこれ、『僕には鳥の言葉がわかる』鈴木俊貴著。
どんな本かなと、kindleでサンプルを読んでみたら止まらず、一気に全部読んでしまいました。
本当に面白い。
はじめのあたりを少しだけ紹介します。
たくさんの人に読んで欲しくて、メルマガでも取り上げようと思っています。
大学の頃、ひとり研究で長野の山に入った鈴木さんが、鳥に言葉があるのだと気づくところです。
三十メートルほど前方から、「ディーディーディー……」と甘えたような声が聞こえてきた。 コガラである。激しく、繰り返し鳴いている。「なんだろう?」と疑問に思っていると、シジュウカラやヤマガラたちがコガラの方へと急いで飛んでいくのが目に入った。
僕も「ディーディー」の方へと急いだ。
驚いた。そこにはなんとヒマワリの種がまかれていたのだ。 おそら
くどこかのバードウォッチャーが鳥たちにやったのだろう。コガラは
それを見つけて鳴いていた。その声に誘われるように、数分のうちに、コガラ三~四羽、シジュ
ウカラ五~六羽、ヤマガラニ~三羽、ゴジュウカラ二羽が集まって、
みんなで一緒にヒマワリの種をついばみ始めた。
「混群の仲間を呼ぶために鳴いていたんだ!」と僕は思った。
しかし、よくよく考えると、これはたいへん奇妙な事態だ。餌の少
ないこの季節、ヒマワリの種なんて、鳥たちにとっては特別なご馳走
だろう。バードウォッチャーもそんなに頻繁には来ないだろうし、 次
いつヒマワリにありつけるかもわからない。それにもかかわらず、自
分の取り分を減らしてまで他の鳥に教えるなんてこと、本当にするだ
ろうか?
僕は不思議に思い、散らばったヒマワリの種を一粒残らず回収した。
別の場所にまき直して、今度は一部始終をしっかり観察しようと考え
たのだ。
数分歩くと、ちょうどいい切り株があった。そこにヒマワリの種を
まき、鳥たちが来るのをじっと待った。
歩いている時とは違って、足の裏から体温が奪われる。
足踏みしながら一時間くらい待っただろうか。
ようやく群れが近くまでやってきて、その中の一羽の鳥がヒマワリの種を発見した。
そして「ヂヂヂヂ……」と鳴き出した。
シジュウカラである。
すると、今度はコガラやヤマガラが集まってきて、ヒマワリを発見した。
他の鳥たちが餌場に来ると、シジュウカラは鳴くのをやめ、ヒマワリの種を一粒取って、枝の上でつつき始めた。
シジュウカラの「ヂヂヂヂ……….」も、仲間を呼ぶために鳴いているように見える。
夢中になって観察を続けていると、今度は「ヒヒヒヒ」と鋭い声が響いた!
その直後、なんと、ヒマワリの種を食べていた鳥たちが一斉に茂みの中へと飛び去ったのだ!
「?」と思ったその瞬間、今度は何かがすごいスピードで餌場をかすめていった。
ハイタカだ。
鋭い嘴と爪を持ち、小鳥たちを食べる猛禽である。
小鳥たちはすでに茂みに逃げていたので、命を落とすことはなかった。
「ヒヒヒ」と鳴いたのはシジュウカラ。
この声がきっかけとなって、コガラもヤマガラもハイタカの攻撃を避けることができたのだ!
「鳥たちは、餌の場所も天敵の来襲も、鳴き声で伝え合っているのかもしれない!」
僕はものすごい世界に気づいてしまったようである。
鈴木さんはまだ若いのですけど、「予想⇨実験」の繰り返しで、世界で認められる学者になりました。
とてもたのしそうなその研究がひしひしと伝わってくる名作です。
きっと子どもたちにも読めるんじゃないかな、イラストもシンプルでかわいいし。
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