「たのしい道徳」をテーマに コールバーグの「モラルジレンマ」の授業をします-今月のたのCafe

前回、教員採用試験の特訓コースで取り上げた「コールバーグ」について書きます。彼は理論家であり実践家です。

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「一問入魂」で触れた彼の「道徳性発達理論」も、とても興味深いものがあります。
webサイトから引用します。下線や強調は、きゆな です
http://www.eonet.ne.jp/~like-a-flowing-r/psychology1.htm

コールバーグの道徳性発達理論

 道徳的価値観というものはどのようにして獲得されるのでしょうか?
ローレンス・コールバーグは、人は道徳的価値観を思考や推論を通して学んでゆくものなのだと考えました。そして、道徳性の発達を研究するために、コールバーグは様々な年齢の子どもたちにいろいろなジレンマ状態を提示しました。次のお話は彼が子どもたちに用いた道徳的ジレンマの一つです。

 ある女性が癌のために死に瀕していました。もし彼女を助けられるとすれば、それはある薬を使った場合だけです。ある薬剤師がその薬を開発したのですが、彼はその薬に、薬の開発費用の十倍もの値段をつけました。この癌に苦しんでいる女性の夫は1,000ドルしかお金を準備できなかったのですが、薬剤師は2,000ドルを要求しました。夫は薬剤師にもっと薬を安く売ってほしい、あるいは後払いにしてほしいと頼んだのですが、薬剤師の答えはNoでした。失望した夫は、妻の命を助けるために、薬剤師の店に押し入って例の薬を盗んだのでした。

彼はどうすべきだったのでしょうか?彼の行動は正しかったのでしょうか?それとも間違っていたのでしょうか?そして、それはどのような理由からなのでしょうか?

 子どもたちは「この夫はどうすべきだったか?」と質問されます。コールバーグは子どもたちの答えとその理由を分類し、道徳性の発達には三つの段階があると考えるようになりました。それぞれの段階は、夫の行動についての正否ではなく、その理由に基づいています

前慣習的段階では、道徳観念は行動によってもたらされる結果(罰や報酬など)に基づいています。慣習的段階では、他人を喜ばせたいという思いや規則・法律に従うことが道徳観念の基準になります。そして脱慣習的段階では、個人的な道徳原理に基づいた道徳観念を持つようになります。コールバーグはこの三つの段階をさらに細分化し、全部で六つの道徳性発達段階を提唱しています。

------引用終わり

 彼は、その理論を実際に授業プランにして提案しています。
それが「モラル・ジレンマ教材」です。
日本でも一時かなりブームになった「マイケル・サンデルの白熱教室」がありましたが、それはコールバーグのモラルジレンマを講演風にアレンジしたものです。

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 わたしも「たのしい道徳」ということで何度か「モラルジレンマ教材」をとりあげたことがあります。
もりあがりますよ(^^

今度の「たのCafe」で、コールバーグの理論をもとにしたモラルジレンマ教材を取り上げて、実際に授業してみます。

時間の都合のつく方はぜひ参加するといいですよ。
申し込み、必需です。
tanokyou☆gmail.com  ☆を@に

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教員試験 講座「ドルトン・プラン/ドルトンプラン」と「ウィネトカ・プラン/ウィネトカプラン」たのしい教育研究所

たのしい教育に意義を感じて教師を目指す方達がいます。
ぜひその夢を実現させていただきたいと思っています。

教員試験の問題を「いわゆる知識」「テストに出るから覚えておきましょう」的なものではなく、たとえば教育史や心理学で出てくる人物について
「この人物のこういうところが魅力的だと思うんだよ」
というような学び方ができたらしめたものです。

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「ドルトン・プラン」と「ウィネトカ・プラン」について書かせてもらいます。
ドルトン・プランといえば「ヘレン・パーカスト」
ウィネトカ・プランといば?・・・


「カールトン・ウォッシュバーン」です。

ではこの二人の「性別」と「どちらのプランが早い年代に実施されたのか」予想してください。

 

内容を含めて書いてみます。
①<ウィネトカ・プラン>
1919年、ウィネトカの教育長ウォッシュバーン(男性)がジョン・デューイの著作から触発されて創案し、管下の小学校、ジュニアハイスクールで実施した個別教授法。
「共通基礎教科」と「創造的活動」の両方で構成させている。
「共通基礎教科」では能力に応じて学習速度を個別化し、「創造的活動」は集団活動を中心に進める。
「共通基礎教科」は、生徒たちに教科内容の学習と習得を求めたが、「創造的活動」では、生徒たちにそれぞれ異なった関心の度合いでの取り組みが許容され、厳密な達成目標も到達度目標も設定されなかった。
この教育プランは、アメリカ国内を問わず世界的に広まり、カリキュラム設定の焦点を再考する切っ掛けとなったことで知られている。

②<ドルトン・プラン>
1920年にヘレン・パーカースト(女性)が試みた新しい教育方式。
一斉授業を廃して生徒各自に学習目標を定めさせて個別学習を進めてゆく教育方法です。生徒は、1ヵ月間にどの科目をどこまで学習を進めるかという計画を立てる。
国語、算数、理科、社会それぞれの教科ごとに箱に分けられ、学習問題に対する答えや教師への質問を記入するカードが用意されている。生徒は毎日、学習の進行に合わせて、自分で該当するカードを取り出して自習する。教師に提出して合格するとポイントがもらえる。ポイントはクレジット (Credit) と呼ばれ、教室の後ろの壁に貼ってある

 

学習進度表 (Room Graph) の自分の升目をポイントごとに指定された色で塗りつぶしていく。教師はそれを見て、だれが順調に学習を進めているかすぐに見て判断できる。学習は個別化され、それぞれの能力や資質に応じてデザインすることができる。現在では多くの国々の初等教育でアレンジされながら普及している。

どちらもほぼ同時期にスタートした教育的実験です。
よく読むとわかるのですけど、それらは失敗というわけではなく、今の教育に明らかに継承されています。

その人物の顔と一緒にイメージできることです。
単なる知識ではなく、血が通った社会実験として伝えることです。
エレン・ケイとウォシュバーンの顔を、私がまとめた資料の切り抜きからのせます。

誰が何をやったのか考えながらじ〜っと見つめてくださいね。
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ウィネトカ・プラン資料

ドルトン・プラン資料

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たのしい教育をすすめることのできる教師の育成に
全力投球の「たのしい教育研究所」です

「学力」という言葉と「たのしい教育」 教育法規から見る①

学校にいると、その言葉を聞いたり見たりしない日はないくらい重視されているのが「学力」という言葉です。
もちろん教員採用試験でも必ず狙われる重要キーワードです。

質問1
日本の最も基本となる法律が「日本国憲法」です。
ではその「日本国憲法」に「学力」という言葉は使われているでしょうか?

いいえ使われていません。

日本国憲法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html

質問2
教育に関わる最も基本となる法律はなんでしょう?

「教育基本法」です。
では、「教育基本法」に「学力」という言葉は使われているでしょうか。
予想 ア 使われている  イ 使われていない

使われているとしたら、どのような文脈で使われていると思いますか?
たとえば「教師は児童生徒の学力を高めなくてはならない」というような文脈として使われている、など

教育基本法に「学力」という言葉は全く出てきません
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO120.html

教育の目的は
「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」
と定めています。

教育の目標でも「学力を高めよう」という表現ではなく
「幅広い知識と教養を身につけ、真理を求める態度を養い・・・」とあります。
原文で確認してみてください。

原文
(教育の目的)
第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(教育の目標)
第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二  個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三  正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四  生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

 この赤にした部分はわたしの気に入りのことばです。

教育基本法に「学力」という言葉は出て来ない。
では「学力」という言葉はどこにでてくるのでしょうか?
続けましょう。

教育基本法の次に重要な法令が「学校教育法」です。

質問3
「学校基本法」に「学力」という言葉は使われているでしょうか。
予想 ア 使われている  イ 使われていない
使われているとしたら、どういう文脈で使われているのでしょう?
たとえば「教師は児童生徒の学力を高めなくてはならない」というような文脈として使われている、など

「学力」という言葉は「学校教育法」でやっと登場します。
「学校教育法」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO026.html

しかしその使われ方は、「学力を高める」というような文脈ではありません。
「高校には中学卒業に準ずる学力があると認められる者が入学できますよ」という文脈です。
原文はこうです。

第五十七条

「高等学校に入学することのできる者は、中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者若しくは中等教育学校の前期課程を修了した者又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする」

 

たとえば、義務教育では
第十六条保護者(子に対して親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。以下同じ。)は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
とあるのです。

では、学力を高めるというような表現に近い文章はみられないのでしょうか?
どう思いますか?

予想  ア.そういう文章はみられない  イ.近い文章がある

原文を書きぬきます。
下線斜体は私が記しました。

第二十一条  義務教育として行われる普通教育は、教育基本法 (平成十八年法律第百二十号)第五条第二項 に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
二  学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
三  我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
四  家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
五  読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
六  生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
七  生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
八  健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
九  生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
十  職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

国語算数理科社会体育音楽図工に関わる学力的な表現は全て「基礎的な力を育てる」となっています。

「学力を高める」という趣旨の表現ではなく「基礎的な能力・理解・技能を養う」ということです。

ではいったい「学力を高めよう」というのはどういう法律を元にしているのでしょう?

受験生の皆さんは、そういう意識で「教育法規」を学ぶということも大切です。
たのしみですね(^^
がんばっていきましょう。
            いっきゅう

NHKテレビドラマ 村岡花子さんの英語

 今回の内容は,一般教養「英語」の学習にもなります。
受験生の皆さんは英語の部分を特に丁寧に読んでみましょう。
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 テレビはほぼ観ないので,NHKの「花子とアン」の中身は知らないのですけど,研究所のメンバーから,とても面白いのだと何度も聞かされていました。
その話の御陰で,ほんの少しだけ内容を知っています。

 さて最近は都会(那覇市)に出る機会が多く,某月某日,話し合いの合間に1時間ほど空いたので,デパートの本屋さんに行きました。
すると催事場で「村岡花子と赤毛のアン展」を開催していました。

 時間はあまりなかったのですけど,もちろん行ってみました。

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本もいろいろあったので,モンゴメリーの原書と村岡花子の訳したものを読み比べておどろきました。

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まず赤毛のアンを書いたモンゴメリーさんの文体が異常に長いのです。

私の英語力のせいもあるだろうけど,子ども達に向けて分かりやすく書いているようにも思えないのです。

始まりからして,この長さですよ。

Chapter I
Mrs. Rachel Lynde is Surprised

Mrs. Rachel Lynde lived just where the Avonlea main road dipped down into a little hollow, fringed with alders and ladies’ eardrops and traversed by a brook that had its source away back in the woods of the old Cuthbert place;it was reputed to be an intricate, headlong brook in its earlier course through those woods, with dark secrets of pool and cascade; but by the time it reached Lynde’s Hollow it was a quiet, well-conducted little stream, for not even a brook could run past Mrs. Rachel Lynde’s door without due regard for decency and decorum; it probably was conscious that Mrs. Rachel was sitting at her window, keeping a sharp eye on everything that passed, from brooks and children up, and that if she noticed anything odd or out of place she would never rest until she had ferreted out the whys and wherefores thereof.

セミコロン( ; )は元々,それで一文というようにも考えられるので,そこまでをワンフレーズだと考えても,でも長いなぁ。

花子さんも,私と同じ事を感じたのだと思います…独自に短くして訳してくれています。
赤毛のアンのヒットには,花子さんの文体が大きく作用していると思います。

モンゴメリー原文
Chapter I 
Mrs. Rachel Lynde is Surprised

Mrs. Rachel Lynde lived just where the Avonlea main road dipped down into a little hollow, fringed with alders and ladies’ eardrops and traversed by a brook that had its source away back in the woods of the old Cuthbert place;

このモンゴメリーさんの文章を,強引に直訳すればこうなったところです。

第一章 レイチェル・リンド夫人の驚き
 レイチェル・リンド夫人は,ちょうどハンの木やレディーズ・イヤー・ドロップの木が茂り,奥の方にある古いカスパート家の森を源とする小川が横切るアヴォンリー街道を降りたところにある小さな窪地のところで暮らしていました。

花子さんはこの固まりを,三つの短い文章に分けてリズミカルに訳しています。

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花子訳
一 レイチェル・リンド夫人の驚き
アヴォンリー街道をだらだらと下っていくと小さなくぼ地に出る。レイチェル・リンド夫人はここに住んでいた。まわりには,はんの木がしげり,ずっと奥のほうのクスパート家の森からながれてくる小川がよこぎっていた。
花子さんのこのセンスは,とても好きです。
たとえば…
「レディーズ・イヤー・ドロップ」という植物がどういうものなのか私もしらないのですけど,花子さんも知らなかったのでしょう。あるいは知ってはいても,日本にはなじみのない植物だったのかもしれませんね,原文にある単語を飛ばしてやくしています。

文章も読みやすいと思いませんか。
あの時代に,みごとな才能だったと思います。