楽しい理科・アスパラガスの花と実で理科をたのしく②

 前回の記事を読んだ方から「アスパラガスがあんなに小さな可愛い花をけるとは知りませんでした、驚きました」という感想が届いています。

 小さな花のかすみ草はプレゼントの花として人気があります。

 

 アスパラガスの花も花が多い品種を育てていくとプレゼント用になるのじゃないかと思うのですけど、どうでしょうか。

 さて、前回の問題「アスパラガスは何の部分か」という話!

 全体としてみると〈若い茎〉の部分だというのが正解です。

 でも、あのウロコ状についているポツポツが気になりませんか。

 これがとても面白いんですよ。

 このウロコ状のものは何だと思いますか。

「葉」のように見えますね、そこから枝が伸びてくるようにも見えます。

 アスパラガスの枝と葉は、この写真の花の周りの部分です。さっきのウロコ状の部分から枝や葉が伸びていくんではないんです。

 ウロコ状の部分は仮葉枝(かようし)と呼ばれています、変な名前ですね。
 仮の葉、仮の枝というネーミングです。

 少し専門的になるのですけど進化の多様さにもつながるおもしろい現象なので、東京大学の理学部の研究を紹介しましょう。https://www.u-tokyo.ac.jp

アスパラガス属の植物は、葉が鱗片状に小さく退化し、枝を生じるべき位置に仮葉枝と呼ばれる葉のような形の器官をつくります。

また、光合成も主にこの器官で行なわれています。

この仮葉枝は、形や機能の面からもまるで葉のようでありながら、その生じる場所は枝の位置であるために、葉とも、枝の変形とも解釈することができ、植物の地上部の形の多様化の一例として興味深い研究対象です。

 

東京大学大学院理学系研究科の塚谷裕一教授らの研究グループは、仮葉枝を用いた形態学的および発生学的解析から、仮葉枝は葉および枝、そのどちらとも異なる特殊な器官であることを見いだしました。加えて分子生物学的解析から、仮葉枝では枝が発達する時にはたらく遺伝子の他に、本来は葉ではたらく遺伝子群が発現していることも明らかにしました。さらに、形が異なる仮葉枝では、この葉ではたらく遺伝子の発現パターンが変化していることも明らかにしました。

 

これらの結果から、アスパラガス属植物の仮葉枝の起源は枝であり、本来、葉ではたらく遺伝子群が枝に流用されることで葉状の形となったこと、その遺伝子群の使われ方が変化することで、属内の仮葉枝の形が変化したということを示しました。

 つまり
「アスパラガスのウロコ状の部分は、もともと枝だったのだけど、葉の遺伝子たちが混ざり込んで、葉のような形になった」
 というわけです。

 自分の個体の中で遺伝子が混ざり合って今までにない器官になったというのは不思議な感じがするのですけど、本来「生物にはいろいろな変異が生じて、その形質がたまたま周りの環境に適していたら生き残り、環境に適さないと生き残れない」というのが進化です。

 アスパラガスもその不思議さをしっかり刻みつけているわけです。
 おそらくそのウロコ状の部分は弱々しい若茎の前の部分をガードするのに適していたのかもしれませんね。

 アスパラガスをきっかけに、もっと学びたいという人たちが増えていくと嬉しいです。

 そうそう、もう一つアスパラガスの「実」の話が残っています。
 どんな実なのか予想していてくださいね。

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楽しい理科・アスパラガスの花と実で理科をたのしく①

 今回は、たのしい理科(楽しい理科)をテーマに書いてみましょう。五年生の理科に「花から実へ」という単元があります。最近、野山さんぽの時、畑でアスパラガスを見ることができました。
 新しい発見があって、すぐにたのしい授業プログラムの構想ができあがりました。

 私が教師を続けていたら、すぐに子どもたちにこういう話をしたでしょう。

 アスパラガスというのは、スーパーなどで売られている、美味しく味わえる野菜です。

wikipediaに感謝して参照

 さて、私たちが食べるアスパラガスは花でしょうか、実でしょうか、葉でしょうか。
 それとも別な部分でしょうか、みなさんはどう思いますか?
 そうです、予想を立てる外れても当たっても賢くたのしくなります、まずみなさんの予想を聞かせてください。

 

予想:これはアスパラガスの〔      〕だろう!

 ア.花
 イ.実
 ウ.茎
 エ.葉

 オ.その他〔          〕

 

 どうしてそう思いましたか?

 これは花さんぽで私がみつけたアスパラガスです。
 私たちが食べるアスパラガスの姿とはずいぶんちがいますね。
 違う種類だというのではありまんせ、私たちが食べているのと同じアスパラガスです。

畑の持ち主がそのままにしてあったのでしょうか。
もしかすると「タネ」をとろうと考えているのかもしれません。

 花も見つけました、はじめてみたのですけど、とても小さな可愛い花です。
 おそらく皆さんの中にも「はじめた見た」という人が多いと思います。

 さて、問題の、わたしたちが食べている部分はアスパラの何なのでしょうか?

 ここまで読んで予想変更したくなった人はどうぞ。

 次回に続く

 

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楽しくシンプル〈堆肥づくり〉-菌類は高温だと活発に働く 楽しい環境教育・楽しい環境学習

 生ゴミを堆肥にするカンタン実験が進んでいます。〈たの研〉の他のメンバーも自宅で実験してくれているので、お互いの実験結果がたのしみです。

 一日一回、こうやってひっくり返して土の隅々に新鮮な空気を送り込みます。
 それによって、中の微生物・菌たちの活動が活発になります。

 

 そうそう、スタッフのAさんのアイディアで、ボトルの口は不織布を輪ゴムでとめたものに変えました。捨てるマスクの層を剥がしてガーゼ状の薄い一枚を利用します、100均で、ガーゼ状の不織布も売られています。
 ペットボトルの口に鼻を近づけて香りを吸い込む時に、そのままの状態で利用できて便利です。

 嫌な匂いがしてきたら、それは発酵・分解がゆるい状態です。酸素の嫌いな嫌気性の菌が主に働いていることになるので、使えないことはないとはいえ、工夫改良しようと思います。

 が、みんなホクホクとした土の良い香りです。
 その香りだけだと、そこに生ゴミがたくさん入っているとは予想できないでしょう。

 今日はとてもよい天気です。

 菌類は寒さが苦手で、温度が高いとよく働くと書かれていました。
 そこで駐車場に並べて太陽の光をたっぷりと浴びてもらうことにしました。

 といっても、菌類も生き物ですから、限界の温度があるはずですね。

 気になったのでChatGPTに調べてもらうと、こういう答えが返ってきました。
※この情報が間違っている場合には、すぐに訂正します。詳しい方は連絡ください

生ゴミから堆肥づくりの実験をしています。生ゴミを発酵・分解する微生物、菌類は高温に強いですか?
たとえば 60度くらいまで上がっても元気に生きていくのでしょうか。
 
ChatGPT

堆肥化過程において活躍する微生物、特に菌類の中には、高温に耐えうる種類も存在しますが、60度という温度は多くの微生物にとってはかなり厳しい環境です。微生物はその活動に適した温度範囲があり、一般的には次のように分類されます:

  • 低温菌(サイコフィル): 約0度~20度の環境で最もよく成長します。
  • 中温菌(メソフィル): 約20度~45度の環境で最もよく成長します。
  • 高温菌(サーモフィル): 約45度~70度の環境で最もよく成長します。
  • 極端高温菌(ハイパーサーモフィル): 80度以上の環境でも生きられる特殊な微生物です。

堆肥化の初期段階では、主に中温菌が活動し、次第に発酵の進行と共に温度が上昇します。温度が45度以上になると、高温菌の活動が活発になります。これら高温菌は、60度程度の高温環境でも生きていくことが可能な種類もいるため、堆肥化プロセスを効率よく進めることができます。

しかし、温度が60度を超えると、多くの微生物の活動は抑制されるか、死滅する可能性があります。特に、60度を長時間維持すると、微生物多様性に影響を与える可能性があります。ただし、このような高温は、堆肥化過程において雑草の種子や病原体を殺菌する利点もあります。適切な温度管理を行うことで、堆肥化プロセスを最適化し、有用な堆肥を得ることが可能です。

 なるほど、60度になると厳しいわけだ。

 さっそく土の中でも利用できる温度計をスタッフが手に入れてくれました。

 太陽が黒い土を照らしていくと、気温より温度が上昇します。

 さて、何度くらいになるのでしょう、60度くらいまで上がると思いますか?

 

つづく
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雪の中での暮らしを感じる=暑さ寒さも春分・秋分(彼岸)まで/仮説実験授業 〈授業書〉「月と地球と太陽」

 春分・秋分の日を中心にした前後数日をお彼岸とも呼んでいます。春分・秋分の日は大地を陽の光がさしている時間とさしてない時間、つまり昼と夜の時間がほぼ同じ時間になります。こういう図で説明したりするのですけど、どうして昼夜が同じ時間になるのかわかりにくいですね。

 仮説実験授業に「月と地球と太陽」という〈授業書〉があります、その授業をすると、天体の動きがわかりやすくイメージできます。
 授業を受けたい方はお問い合わせください。

 さて、春分のお彼岸がやってきて、明らかに季節は変わった感じがします。

 たしか開高健(かいこう たけし)の『白いページⅠ』だったと思うのだけど「一年の半分が雪で閉ざされ、年賀状が5月に届くのだ」という新潟の小さな村の話を書いていて、そこで呑んだ水がとっても美味しいという話がずっと心に残っている。

 その村はきっと春分の日も雪に埋れているのだろう・・・

 そのエッセイの影響で、会議や講座などで出かけていくとき、比較的近くに雪が降った場所があると聞いたら、やりくりして出かけ、写真をとるようにしています。

 これはその中の写真で、学校で子どもたちに見せながら授業をしたことを覚えています。子どもたちは沖縄に住む私たちが知らない雪国の暮らしの一片を感じてくれました。

 降った雪がとけずに小さな村を白くおおっています。

 

「先生、壁の上まで雪が来てるね・・・」


「先生、雪で壁が傾いてる・・・」
こどもたちはそう言って、とても驚いていました。

 雪に覆われた寒い暮らしの中でもツバキの花が咲いていました。

 暑さ寒さも彼岸まで…
 やっと〈太陽の季節〉へ変わっていきます。

 雪に閉ざされた村も、ゆっくりと大地が見えるようになっていくのでしょう。

 私も久しぶりにこの写真を見ながら、自然の厳しさも美しさ、そしてそこに住む人々の強さ、しなやかさを感じていました。

 時々、このサイトの話を使ってよいかという問い合わせが来ます。
 どんどん使ってください。
 印刷して利用したいという方もいます、「たのしい教育をしたいので」ということで学校で利用する分には、どんどんご利用ください。
 そのほかの利用については、個別にお問い合わせください。
 

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