たのしい親子ワークショップの様子/次回は7月30日(土曜午前)です

 たのしい教育研究所の新しいスタイルのワークショップが始動しました。

 たのしい教育研究所が開発・発展させてきた教材プログラムはとてもたくさんあるので、その時に申し込んでくれた人たちの人数や学年などによって、メニューを決定します。

 みんなで仲良くなるゲームやたのしい読み語り他にも3つのプログラムをとりあげました。〈つかえる島くとぅば/方言〉のミニ講習も取り入れて、たのしく進みました。

 一つは〈棒たおさん〉、たの研得意の〈新聞紙〉を利用したゲームです。

 
 〈ぼうたおさん〉で楽しんだ新聞紙は〈たの研ゴルフ〉に続きます。

 前回の〈初夏の講座〉で大ヒットした〈ものづくり&ゲーム〉で、大人もこどもも集中度Maxです。

 途中「トイレタイムで休憩とりましょう」というと「休憩いらなぁ~い」という声が上がるほどでした。

 三本目は〈バブルスライム〉、みんなとってもいい顔をしています。

 次回は7月30日(土)です、近々、リーフをアップします。

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〈こどもの感性〉というより〈はじめの頃の感性〉/岸惠子自伝

 昭和を代表する俳優の一人に岸惠子(恵子)さんがいます。私は〈寅さん〉で知っているくらいなのですけどチャーミングな方です。

※1973年「わたしの寅さん」から

 女優として有名なのですけど、筆の腕は確かで、エッセイ「ベラルーシの林檎」、小説「わりなき恋」などの作品があります。
 

 去年、自伝が出ました。「卵を割らなければ、オムレツはたべられない」というサブタイトルが気に入って手に入れておきました。


 少しゆとりができたので手にしました。

 生まれたその日、庭に咲いた芙蓉(ふよう)の花をみて「この子の名前〈ふよこ〉にしましょう!」といった母親の提案を、父親が「芙蓉なんてはかい、名前はどこにでもある平凡が一番だ」と一蹴して〈けいこ〉となった話からはじまります。

 父の決定をうらめしく思う。

 パリでも日本でも、字は違っても、わたしの周りは〈けいこ〉だらけでしまつが悪い。

 という話から始まる文章の中から岸惠子さんの個性がはっきり見えてくるようです。

 少しページをすすめると、こういう文章が出てきます。

 もっと小さかった頃の私は、まぶしく光る海を見ながら、この海が終わる時、海水はどこに溢れるのだろうと思った。
 海水はどこにもこぼれず、海や陸地は繋がっていて、地球という丸い大きなものに乗っていると知って驚いた。
その地球はもっと大きい、果てしない宇宙というものの中に浮いていると聞かされて不思議な気持ちになった。
「じゃあ、まあるい地球の底にいる人は、逆さまに立っているの?
 そらの中に落っこちたりしないの?
 人間も海や空の様に果てしないの?」
 うっすらとしたこわさが湧いて、私は地球の底で地面にしがみついている女の子の絵を描いた。
果てしがないって、終わりがないっていうこと?
 父がどんな説明をしてくれたのかは覚えていない・・・
 幼い私の頭はこんぐらがった。
果てしがないというのは不気味なことだと思った。
果てしはあった方がいいんじゃないかと思った。

 きっと、この文章のどれかと似た感覚を、たくさんの人が感じてきたのでしょう。

  以前、磁石を使って、こどもたちにこういうモデルを作ってみせてあげたことがあります、頭でわかっているこどもたちも「ふしぎだよねぇ~」と感動してくれました。

 可能な方は、ぜひ、作って展示してあげてください。

 こういう心動かされた感覚が成長していくうちに、遠い昔のこととして忘れ去られていくのです。

 ああ、もったいない。

 私たち大人にもある〈はじめの頃の感覚・感性〉は、たのしい教育の原点とも重なります。一緒に広報していただけたら幸いです。

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たのしい国語のアイディア〈辞書を逆引きでたのしむ〉新明解国語辞典

 来週の〈たのしい教育メールマガジン〉の内容を考えるのは、私のたのしみの一つです。〈たの研〉に来てくれるメンバーに軽く話してみたら「おもしろいです!」と言ってくれたものがあるので、それをまとめ始めています、好評ならそれがメルマガの記事の一つになります。このサイトにアイディアを紹介してみます、気に入っていただけたら嬉しいです。

 三省堂に感謝を込めて、読書中の「新明解国語辞典」を利用します。

 語釈から、それがどの言葉なのか予想するゲームです。

 やってみましょう。
 語釈がいくつもあるので、順を崩して出してみます、一つでわからない場合は続く語釈から予想してみましょう。

第一問
①国家公務員試験1種に合格したものの通称

わかりますか?

②その方面で実際に場数を踏んできた経験年数

③狭義では〈競技歴・試合経験〉を指す

④病原菌やウィルスに感染しながら発病せず、しかも保菌し続ける人

 

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答え「キャリア」です。

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第二問、これは一本でいきましょう。
「個人の立場や利害にとらわれず、広く身の回りにあるものをすべての存在価値を認め、最大限に尊重していきたいと願う、人間本来の暖かな心情」

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答え「愛」です。

どうでしょう、かんたんでしたか。
 難しかったですか。

 こうやって語釈を独立させてしみじみ味わうことで、私自身の言葉のセンスも磨かれてきている感じがしています。

 学校でもできると思うので、興味のあるみなさんは試してみませんか。

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たのしい読書「新明解国語辞典」を一ページから読み進める

「新明解国語辞典」について書いた記事が好評です、ありがとうございます。「自分用が欲しくて買いました」という方もいました。

 辞書は改訂されていくので、私が尊敬する「山田忠雄」の責任編集版でなくなってから、しだいに柔らかくなっていきました。最新は〈第八版〉で、〈第四版〉あたりまでが、山田忠雄イズムが貫かれている様です。メルカリなどで古本を探すとよいと思います。

 さて、いろいろなお便りが届いたこともあって、私自身の興味関心もますます高まり、新明解国語辞典を1ページから全て読んでいくことにしました。

 やっと「あ」から「い」にはいったところです。
 おもしろいですよ。

 序章として山田忠雄が「辞書に求められるもの」と題した文章を載せています。

 これが骨ある文章で「背筋をまっすぐにして読まなくては」と思わせます。前回書いた〈暮らしの手帖〉も
 指摘した辞書界の孫引き体質を直球で指摘しています。少し書き抜いてみます。

 朝起きて朝食の膳に新聞を見る、夜の帳の下りる頃は夕刊を手にする。その度毎にわれわれは現代社会の進む方向と思潮を各自のアンテナで捉えようと試みる。媒体は言葉である。 本を読む、手紙を書く。事務を執る、連絡を受ける、命令を伝える。旧友と久し振りに会う、会話を楽しむ。テレビを見る。社会生活において欠くべからざるものは言葉である。
 生活は言語によって支えられ、われわれの思考と内省は言語によって深まる。

 〈言葉〉は私たちになくてはならないものであることを刻んであと、辞書の重要度にすすみ、その後、辞書界の現状を綴っています。

 しかしながら、辞書後進国の悲しさ、どの辞書を見ても満足を覚えることはめったに無い。そこに載せる用例は余りにも貧弱であり、当然の結果として語義の分析は十分でない。鋭さなど求むべくもない。語釈は十種一様であり、千篇一律である。付録の多さと本文の組み体裁に僅に自己主張をするのみ。既に団栗の背比べであって見れば、わが国においては、辞書の比較は無意義(ナンセンス)に近く、蒐集(しゅうしゅう)は多く好事(こうず)の域を出ない。

 それを打破するために山田忠雄が中心となって世に送り出したのが「新明解国語辞典」でした。

 もちろん辞書は山田忠雄一人で作ることができるわけではありません。けれど編集代表、主幹として彼がいなくてはこの辞書は完成しなかったことは間違いなく、その意味で〈山田忠雄がつくった〉といってよいと思います。

「あ」からはじまる言葉の一つを紹介しましょう。

〈あやまる/謝る〉自分が悪かったということを表明し、相手に許しをもとめる。

 なるほど、その通りだ。

 続いて用例が出てきます、みなさんならどういう例を挙げるでしょうか?

〈ちゃんと謝ってきなさい〉
〈心から謝ることが大切〉
という様な言葉をもってくる人もいるでしょう。

 ところが山田忠雄が刻んだ用例は違います。

「謝れば済む問題では無い」!

 笑いしました、他の辞書では真似できないでしょう。

 辞書を「読書する」というのは、活字中毒だった私もはじめてのことです。
 これからますますたのしみが広がります。

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