みなさんの考えはどうだったでしょうか。「いちごのツブツブはタネではない」という議論についてです。※前回のページを未読の方はひとつ戻ってお読みください!
詳しく書くと
「イチゴの表面のツブツブは〈痩果:そうか〉といって、タネではない」というわけです。
〈たの研〉の子ども心は、そういうケムにまくような議論が苦手です。
タネっていうのは何か?
おおざっぱにいうと「その粒をまいて水やりしていると芽がでてその植物になるもの」ですよね?
たとえばこれは公園でみつけたトックリキワタのタネです、綿(めん・わた)に包まれています。風で離れたところに飛んでいって、落ちてからも水滴をタネの周りに包んでいて発芽しやすい条件を整えてくれます。
もともとタネというのは一般的ないい方で、科学的には〈種子〉といいます。
「痩果」というのは何か?
ブリタニカ大百科事典にこうあります。
「小さな乾いた果実で,果皮は硬くて裂開せず,中に1種子をもっているもの。キク科,キンポウゲ科などに多くみられる」https://kotobank.jp/
〈乾いた果実である、中に一つの種子をもっている〉というのですね。
あの粒一つひとつが〈くだもの〉である、ということもまた、子ども感覚からはるか遠いものです。
だってイチゴそのものがくだもので、あの粒をくだものとは考えられません。
もしもスーパーで「くだもの-イチゴ」と書いた箱の中に、そのツブツブを入れて売り出したら、誰も買わないでしょう。間違って買ってしまった人がいたら、スーパーに苦情がいくことでしょう。
そこで科学者を連れてきて「みなさんは知らないかもしれませんけど、このツブツブは〈かわいた果物〉で、痩果と呼ばれています。ですから《くだもの-イチゴ》と表記するのは正しいのです」と説明させたら、みなさんは納得しますか?
「果物はあの三角の赤いものをいうのでしょう!」と反論するでしょう。
すると科学者は「いえいえ、皆さんが果物だと思っている部分は、茎の先端の花床(かしょう)が膨らんだ偽果(ぎか)というものなんです」とかぶせてくる。
学校で先生からそういう話をきいて「なるほどそうなのか、お母さんにも教えてあげよう」と素直に納得するのは、覚えることが好きな優等生の子ども達でしょう。
大抵の子ども達は、心の奥の方で「つきあってられないよ」と感じて理科が嫌いになっていく・・・
子ども達に何かを伝えようとする時、私たちが心しておかなくてはいけないことは「一般の人たちの感覚を大切にする」ということです。
その人が納得のいくような説明をすっとばして「これはこうなんです」では、大抵の子ども達はそれが嫌いになっていくでしょう。
「だって犬は犬で猫は猫と覚えているわけだから、それが教育でしょう」という人がいるかもしれません。
例えばこう教えるとどうでしょう。
「これを犬といいます」
「これをネコといいます」※たの研のメンバーネコ〈ア~ル〉が好物のヨーグルトを食べているところ
みんなが「は~い」と言ってくれたところで、こう語る。
だましてごめんなさい、実は最初の写真は犬ではないんです。
オーストラリア原産の動物で、通常の家庭犬とは異なる種なんですよ、〈ディンゴ〉といいます。
似てるよねぇ~
これから一緒に、どういうところが違うのか調べていきましょう。
その中で、同じ種なのか違う種なのかはどうやって決めているのかわかるようになると思います。
これならたのしく学べる気がしませんか。
とはいっても「イチゴのツブツブはタネではない」という説明が成り立つかははなはだ疑問です。だってタネというイメージは、その粒をまいて育てて発芽してその植物になるというイメージですからね。
痩果はタネではない、というなら、たんぽぽの綿毛で飛んでいくのもタネではなくて、ひまわりのツブツブもタネではなく、稲の米粒もタネではないということになります。
「タネに薄皮がついた状態」というなら、まぁ納得いくかもしれません。
そういう過程すっとばして「皆さんにはこれは犬に見えるけどディンゴといいます。よく覚えていて間違わないようにしてくださいね」ということでよいのでしょうか、教育といういとなみは、コンピュータに情報を打ち込む過程とは違うと思うのですけど、どうでしょうか?
たのしい教育はそういう流れと根本的に異なる教育方法です。
興味のある方は、ぜひたの研の講座を受講、スーパーバイズなどを受けることをおすすめします。
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