雪山賛歌 西堀栄三郎|読者の方からの嬉しい知らせ|アウトドアもたのしく

このサイトは教育関係者だけでなく、アウト・ドア系の人も時々見に来てくれています。
以前このオフィシャルサイトに書いた「西堀栄三郎」がきっかけで、嬉しい連絡が入りました。
今回はそのお話を書かせて頂きます。

西堀栄三郎は日本のアウトドアの歴史の中では、忘れてはならない人物です。
日本初の南極越冬隊の隊長も務めています。

indexhttps://tanokyo.com/archives/5305

 登山家でなくても、耳にした事がある人が多いと思うのですけど、「雪山讃歌」は、彼が雪に閉ざされた山小屋の中で作詞したものです。
歌はYoutubeにいろいろUPされています。
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=CEF6TfwkuLo
※時々、「作詞作曲した」と勘違いする人がいるのですけど、曲は「いとしのクレメイタイン」 〜「オーマイダーリン、オーマイダーリン、オーマイダーリン、クレメイタイン」♪ です

最初に書いた、読者の方からの嬉しい便りは、
「今、彼、西堀栄三郎が〈雪山賛歌〉を作詞したその山小屋に来ていますよ!」
ということでした。

うらやましい。
群馬県吾妻郡嬬恋村の鹿沢温泉がその場所です。
今度、写真を送ってくれるそうです。
届いたらUPしたいと思います。

いろいろなところに、たのしい教育研究所の活動が広がる、嬉しい日々です。

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偉大なる まど・みちお@たのしい国語

以前、このサイトに「まど・みちお」について書いた(⇨過去の文章)のですけど、それより前、まどさんが生きていた頃に書いた文章が出てきました。

教師をしていた頃、週報にかいていたコラムです。

いろいろな方に読んでもらいたいので、ここに再録したいと思います。

———

私にとって、まど・みちおは「偉大なる人間」です。

ダウンロード2「ぞうさん」

「やぎさんゆうびん」

「ともだち ひゃくにん できるかな」

など、子ども達に親しまれる歌を世に送り出した人物でもあるけれど、それ以上に、年を重ねてもなお創作意欲を失わずに歩き続ける姿に感動するのです。

そして、その作品を生み出す彼の心が、子どものように純真である事に感動するのです。

何より、自らの行動に対しても偽らず、まっすぐに前を向いて生きて行こうとする姿勢に感動するのです。

最近、まど・みちおの訃報が届くのではないかという気がしてなりません。
偉大なる人物と同じ時を生きているうちに、この文章を書いておきたいと思います。
私がまど・みちおを心底尊敬するようになったのは、
「あなたの全作品集を出版したいのです」
と申し出た出版社に対して,彼が語った言葉に触れてからです。

「私は生涯で、戦争に賛成する詩を二編書いてしまいました。
 私がそんな不完全な、弱い、ごまかしをする人間だという事を明らかにする意味
 で、必ずその作品を探り当てて掲載してほしいのです」

 

「まど・みちお全詩集 伊藤英治編 理論社」の「あとがきにかえて」にこうあります。696ページからです。

まど・みちお全詩集スクリーンショット 2015-06-15 14.34.57

 

 じつは私には戦争協力詩を書いたという記憶が全くなかったのですが、この二編のうちの一編「はるかなこだま」を、昨年三月初めて目にしました。

 梅花女子大の谷悦子さんが、原本とは別の印刷物に転載されているのをみつけて、そのコピーを送って下さったのです。
まぎれもない拙作で、大ショックでした。

 しかし考えてみますと、私はもともと無知でぐうたらで、時流に流されやすい弱い人間です。
こういうのを書いていても不思議ではないと思われてきました。

 

が、にもかかわらず私は戦前から、人間にかぎらず生き物のいのちは、何ものにも優先して守られなくてはならないと考えていました。
戦後も、戦争への反省どころかひどい迷惑をかけた近隣諸国にお詫びも償いもしない政府のやり方に腹を立て続けてきました。
また地元の「核兵器廃絶、軍縮をすすめる区民の会」だけでなく「アムネスティ・インターナショナル」や「キリスト教海外医療協力会」やその他この種のいくつもの会にも、誘われるままに参加しています。
詩作のうえでも身辺の動植物を多くとりあげ、かれらのいのちの美しさをほめ、かれらに対する人間の横暴残虐を憤ってきました。

 つまり、一方で戦争協力詩を書いていながら、臆面もなくその反対の精神活動をしているわけです。
これは私に戦争協力詩を書いたという意識がまるでなかったからですが、それは同時にすべてのことを本気でなく、上の空でやっている証拠になりますし、またそこには自分に大甘でひとさまにだけ厳しいという腐った心根も丸見えです。
そしてとにかく戦争協力詩を書いたという厳然たる事実だけは動かせません。

 動転した頭でどうすべきか考えましたが、昔のあのことの読者であった子供たちにお詫びを言おうにも、もう五十年経っています。
懺悔(ざんげ)も謝罪も何もかも、あまりに手遅れです。慙愧(ざんき)にたえません。
言葉もありません、と私は私の中のはるかなところから、母のように私に注がれている視線に掌を合わせ、心を落ちつけました。

 そして結局この「はるかなこだま」を公表して、私のインチキぶり世にさらすことで、私を恕(じょ)していただこうと考えました。
本当に慙愧(ざんき)しているのなら、詩作の筆も絶って、山にでもこもるところでしょうが、あとで記しますように、私の中にはかすかながら私を庇いたい思いもあって、このような虫のいい対応を考えついた次第です。

 そこで私は、かねて詩稿が揃いしだい詩集に具体化の約束を頂いている童話屋さんに頼んで、「はるかなこだま」を同詩集に収録させてもらう了解をえました。
…続く…

こういう人物が、同じ日本人である事をとても誇りに思います。

まど・みちおは、日本人の良心を代表する人物だと思います。

その意味で、わたしにとってのまど・みちおは「偉大なる人間」なのです。

最近は、よく、まどさんの「百歳日記」を開いています。
名作です。

まどさんの命が、まだまだ続きますように。

———

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科学者ファラデーも普通の人間

教育の世界で有名な板倉聖宣ですが、教育の世界で注目される前から「科学史」で独自の研究をしていました。
現在は「日本科学史学会」の会長もしています。
子ども達向けの本をかなり書いている板倉聖宣の話は、内容が魅力的であるだけでなく、とてもわかりやすいのですよ。

最近、ガリレオやファラデーの文献をあたっているときに、板倉聖宣が「ファラデー」について講演で語った文章を読みました。

ファラデーの収入や健康状態などを読むと、さらにファラデーのことが魅力的に思えてきました。
皆さんも読んでみませんか。
1991年夏「授業科学の方法論研究会(阿蘇)」で語られた内容です。
古いコピーがあったので、それを書き起こしました。読みやすくなる様に喜友名が少しだけ手をいれました。

*************

ぼくは、学生時代から〈アリストテレスはどうやって生活していたのか〉ということが気になっていました。
何故そんなことが気になったかというと、ぼく自身が、大学を卒業したらどうなってしまうのか心配だったからです。

ぼくは何かをして稼がないと科学者にはなれません。
アリストテレスみたいになるにはどうしたらいいか。
ガリレオみたいになるにはどうしたらいいか。

ガリレオは大学教授になりました。
大学教授になると食べていけると普通は思います。
しかし、大学教授になるのも簡単ではありません。
ファーブルは、師範学校を出て小学校の先生になりました。
しかし,小学校の先生より中学校の先生の方が収入が良いということで、検定試験で中学校の先生になって物理と化学を教えました。
ファーブルは、書いた啓蒙書が当たってたくさん売れました。
それで校長とけんかして、学校をやめて『昆虫記』を書いたのです。

ぼくはファーブルの収入調査もしました。
ヨーロッパでは収入によって人を差別する習慣があるので、日本よりヨーロッパの方が収入調査ができます。

江戸時代でも100万石しか1万石とか5万石とかの大名がいました。
◯◯石だとわかる、というのは収入調査の一種です。
明治時代には、渡辺敏が40円校長だと新聞に出たことがありました。
戦前は校長の月給が新聞に出ていたのです。
市町村の教育委員会が「今度はいい校長をいくらで連れてこよう」という事を決めていました。

ファラデーは面白い事があったから科学をしたのです。
そしてファラデーはお金を稼ぎすぎて体を壊します。
いくら稼いだかというと今のお金で年間に2000万円ぐらい稼いでいます。
2000万円も稼いでいるのですから、これは出世です。
でも体をこわしたので彼はお金を稼ぐことをやめました。
みんなは体をこわしたファラデーを心配して、アルバイトしなくてもお金が稼げるようにいろいろ援助してくれています。

そういう歴史を見ると、人間らしいファラデーが見えてきます。
天才ファラデーではなく「人間ファラデー」です。

ぼくたちも人間です。
ファラデーやえらい人は人間じゃないみたいに思うかもしれませんが、たのしい事が好きで、つまらないことが嫌いです。
みんな同じです。
私もファラデーだし、あなたもファラデー。
みんなファラデーです。

このように「ファラデーは私と同じ人間だ」という事になると研究の仕方がぜんぜん違ってきます。
「彼は天才だから不思議なことが考えられる」と思っていると、ファラデーの書いたものをみてもまともに読まないうちに「やっぱり天才だ」とすぐ言ってしまうでしょう。
「ファラデーは天才だ」と言ったら何考えなくてすみます。
でもファラデーは私と同じだ、としたら「ファラデーってこういう時にどんな事をかんがえるのだろう?」と考えるのです。

板倉聖宣はその後「わたしもファラデー」という本を書きました。
興味のある方は、ぜひどうぞ。
わたしも、その本をまた再度読みたいと思っています。

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本をたのしむ「西堀栄三郎」その②

三日前に書いた「本をたのしむ」を読んでくれた方から、メールが届きました。
うれしいことです。

その方も、西堀栄三郎 について熱く語ってくれていました。
そこで「その②」として少し続けさせていただきます。

この写真の左の人物が若き日の西堀栄三郎、日本初の南極越冬隊の隊長となる30年以上前の写真です。
彼が高校生の頃の一枚です。
スクリーンショット 2015-05-06 14.02.05

西堀栄三郎、なかなか凛々しい人物です。
さて、右にいる人物にも注目してください。
誰でしょう?

アルバート・アインシュタインです。

英語が堪能だった彼は、来日したアインシュタインが「京都を観て回りたい」と希望した時、学生の身で通訳を担当しているのです。

彼は本格的なアウト・ドア人間で、山を愛した人物です。
山好きでなくても耳にしたことがあると思うのですが、

雪よ岩よわれらが宿り
おれたちゃ街には住めないからに

という「雪山賛歌」の歌詞を詠んだ人物でもあります。
ちなみに、曲は、「クレメンタイン」
オーマイダーリン、オーマイダーリン、
オーマイダーリン、クレメンタイン  です。

スクリーンショット 2015-05-06 14.01.23

彼の書いた本をもう一冊持っています。
「出る杭を伸ばす」です。

魅力的な人物「西堀栄三郎」。
興味ある方は、図書館でぜひ手にしてみませんか。
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