たのしい生物学入門(3)-小さな巨人たち-楽しい生物学

 最近、公式サイトの記事がメルマガの章の様なグレードになってきました、私の感想というより両方読んでくれている方たちからの感想です。今回の記事も授業でたのしく利用できると思います、ご利用ください。
 さて地球上の動物の中で〈虫たち〉、中でも《昆虫》たちの種の数が爆発的に多いことを見てきました。
 どういう感想をもったでしょうか?

 他の動物たちのグループ(哺乳類・鳥類など)の種が5千~1万種類なのに対して、昆虫の種類だけで100万種くらい存在します。

「種の数が爆発的に多いといったって、小さな生物なんだから、あまり意味がないんじゃない?」と感じた人もいるでしょう。

 種の数が多いということは〈多様性〉が豊かだということです。

「だからなんなの?
 哺乳類は昆虫よりずっと強いよね」

 強い弱いをその個体の筋肉的な強さで比較することもできますね。たとえば恐竜は地上最強の生物だといわれていたほど強く、この地球を支配している様に思われていました。
 ところが何らかの環境変化でピタリと姿を消してしまいました。

 私たち哺乳類の祖先は10~15cmサイズのネズミの様な姿で、恐竜たちからだけでなくいろいろな生き物達から身を隠しひっそりと暮らしていました、アデロバシレウスと名付けられています。

アデロバシレウス wikipediaより

 個体としての強い弱いでいえばとても弱い生物でした。

 もしもアデロバシレウスが恐竜と一緒に滅びていたら、私たちは地球に存在していませんでした。
 ところが恐竜が滅びるほどの環境の変化に、私たちの祖先は耐えることができたのです。少ない食べ物の量でも生きていけたからでしょうか、紫外線などに強かったからでしょうか、大気の汚染に強かったからでしょうか・・・
 いずれにしてもその後、ネコや犬やゾウやキリン、そして私たちなどたくさんの哺乳類へと多様に進化していきました。

 今、大きな環境の変化が起こっても、哺乳類全体が絶滅してしまう可能性は少ないでしょう、いくつかの種は生き残ると思います。
 身体の小さな哺乳類種かもしれません、草食動物かもしれません、砂漠の様な水の少ない環境で生きている哺乳類なのかもしれません。

 つまり個体としていくら強くても、つまり恐竜の様に強い身体をもっていても、その祖先たちが生き残っていくわけではなく、いろいろな環境の変化に対応できる生物たちが生き残っていくのです。

 そうやって考えると、昆虫たちの種の爆発的な多さは、明らかにその生物全体の強さです。

 地球温暖化によって気温が上昇していってもたくさんの昆虫種が生き残るでしょう。

 地球上に放射線が降り注ぎ、哺乳類ほはじめほとんどの生物たちが死滅しても昆虫類は生き残る可能性があるでしょう。

 オゾンホールが破壊されて殺人的な紫外線が降り注いできても生き残る可能性が高いでしょう。

 空気がとても薄くなっても生き残る可能性が高いでしょう。

 もちろん食べ物が激減していって、たくさんの生物が死滅していっても昆虫のいろいろな種は生き残る可能性が高いでしょう。

 昆虫の多様性、種の多さは「だから何なの?」というのではなく「これはすごいことだ!」といってよいと思うのですけど、どうでしょうか。

 ※

 さて、昆虫の多様性をたたえる前に、もう少し地球上の生物について予想してみたいことがあります。

 この写真は街で手に入れた観光案内パンフにあったものです、よく見ると動物たちの姿はみえません。

 とはいえ生物が写っていないというわけではありません。

 植物たちがたくさん写っていますね。

 動物は小さいから映らないというより、個体数が少ないから写っていないのです。

 植物は個体数が圧倒的に多いので、上空からみるとたくさん写っています、緑の部分です。

 生物の多様性、種の多さを考える時、植物を無視することはできません、私たち人間と同じ様に〈生物〉の仲間です。

 植物の種の数は動物たちより多いのでしょうか、多いとしたらどの程度多いのでしょう。それとも逆に少ないのでしょうか。
 予想してみましょう。

どうしてそう予想しましたか?

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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つづく

 

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たのしい生物学入門②-小さな巨人たち-

 前回の記事で〈予想〉を立てていただいたでしょうか、広々とした大海を泳ぎ回る魚たちの仲間(種の数)は、私たち哺乳類や鳥類、ハチュウ類、両生類などと比べて多いのでしょうか。逆に少ないのでしょうか、同じくらいでしょうか。

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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調べてみると・・・
魚類全体の種数は2万5,000 – 3万近くにものぼり、脊椎動物全体の半数以上を占めている。

 広い場所つまり生活する環境が陸上の二倍以上あるからか〈魚類〉の種の数は他の種より圧倒的に多いですね。

 さてこのプランの中盤に入ります。

 今まで見てきたのは、生物の中の〈背骨がある動物たち/脊椎動物:せきついどうぶつ〉の種の数です。

 私たちの周りを見渡すと、背骨のある動物以外の動物もいます。

 生物の分け方は複雑で、微妙なところもあるのですけど、おおよそこういう分け方をしています。

 貝やイカ・タコ、カタツムリなどの〈軟体動物〉

 クモやダニ、昆虫、エビ・カニなどの〈節足動物:せっそくどうぶつ〉

 ヒトデ、ウニ、なまこなどの〈棘皮動物:きょくひどうぶつ〉

 サンゴやクラゲなどの〈刺胞動物:しほうどうぶつ〉

 ほかにもあります。

 さて、野山を歩いていると、よく出会うのが虫たち、上の分類でいうと〈節足動物〉たちです。

 節足動物の中でも〈昆虫〉はたくさんいます。

 最近の沖縄の野山ではセミたちの声をよく聞くようになりました、チョウやトンボ、ハチなどたくさんの昆虫たちに出会うことができます。

 これは先日、ノボタンの葉でみつけた〈ルリチュウレンジ〉、ハバチの仲間です。

こんな昆虫もいます、名前は何というんだろう?

 では予想してみてください。

 前回の問題でお便りが届いたので少し詳しく説明しますね。

 たとえば〈鳥類〉の中の「カラス」は一種ではなく、いろいろな種にわかれています。カササギやカケスもカラスの仲間に入っています。
 いつもの様にwikipediaを参照してみましょう。

 同じ様に、たとえば昆虫の〈ハチ〉も一種ではなく「スズメバチ、ミツバチ、アシナガバチ」などいくつかの種に分かれます。

※種というのはその仲間どうしで子どもが生まれる仲間だと考えるとことができます。同じカラスの仲間でもカケスとカササギは子どもをつくることができないので〈違う種〉だと分類されています

 では、昆虫の種は何種類くらいにわかれるのでしょう。

 調べる前に予想することが大切です。

 

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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 いろいろな節足動物たちの中で最も多いのが昆虫で、種の数〈約100万種〉といわれています。
 グラフでみてみましょう。
 グラフのバーが長すぎて文字や数字がみえないかもしれませんけど、一番下が昆虫の種の数です。

 動物の種全体がいくらくらいなのか、なかなかハッキリした推計がみつかりません。とりあえず学研のサイトを参考にすると「”現在、動物の種類 は140万種もあると言われています」とあります。https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0129/

 他の推計もあるとおもうのですけど、いずれにしても、この地球は虫たちの世界、特に昆虫の仲間たちの世界だということができそうです。

 まだつづきます!

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たのしい生物学入門①-生物の種の数ってさ

 生物の進化というテーマで似た様な内容を紹介したことがあるのですけど、夏や海の自由研究の講座向けにいろいろアイディアを出している中で浮かんだ一つの教育プログラムです、軽く紹介しましょう。

 みなさんも予想を立てながらたのしんでください。

質問1.
一般に、生物の種類を大きく分けると「動物と植物」に分けられます。
動物は背骨がある動物とない動物にわけられます。
背骨のある動物を「脊椎動物/せきついどうぶつ」といい、5つのグループに分けています、〈哺乳流〉〈鳥類〉〈ハチュウ類〉〈両生類〉です。
 骨のない動物にはたくさんのグループがあるのですけど、代表的なものが〈昆虫〉です。

 まず私たちの仲間である〈哺乳類〉について予想してみましょう。
 犬や猫、ウマやゾウなどは哺乳類の仲間です。
 哺乳類はこの地球上におよそ何種類くらいいると思いますか?
 ※何匹いるかではないですよ
 選択肢なしで、パッと頭に浮かんだ数を上げてください。

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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哺乳類の数はおよそ6000種だと言われています。
現生種は5,416種~6,495種(最近絶滅した96種を含む)wikipedia.

グラフで表してみましょう。

 ではその哺乳類の数を元に次の予想を立ててみてください。

質問2
 ハトやスズメ、カラスや白鳥などを〈鳥類〉といいます。
 鳥類は何種類くらいでしょう、私たち哺乳類と比べて多いのでしょうか少ないのでしょうか、それとも大体おなじくらいなのでしょうか。

 選択肢なしで、パッと頭に浮かんだ数を上げてください。

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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鳥類は約10000種類だと言われています。
9930種から1万530種 wikipedia
哺乳類よりずっと多いですね。

質問3
 トカゲやヘビ、カメ、ワニなどの仲間をハチュウ類といいます。
 地面をはって進むから〈ハチュウ類〉です。
 では、地球上にはどのくらいのハチュウ類が存在しているでしょう?

選択肢なしで、パッと頭に浮かんだ数を上げてください。

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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The Reptile Database によると爬虫類の数は10700種、約10000種です。
鳥類とほぼ同じですね。

 

質問4
 カエルやイモリなどの仲間を「両生類」といいます。
 水中でも陸上でも活動できる生き物たちです。
 両生類は何種類くらいでしょう、私たち哺乳類と比べて多いのでしょうか少ないのでしょうか、それとも大体おなじくらいなのでしょうか。

 選択肢なしで、パッと頭に浮かんだ数を上げてください。

 

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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 AmphibiaWeb によると〈両生類は約8000種〉です。


 これまでみてきた脊椎動物の種の数は6000~10000種くらいです。
 これらの生物はたいてい陸上で生活しています。

 地球の陸と海はどちらが広いでしょう?

 3:7で圧倒的に海が広くなっています。

 では、その広い海に住む〈魚類〉の種類はどのくらいでしょう?

 背骨がある動物の仲間ですから、イカやタコなどは含まれません。またエビやカニなども含まれません。マグロやカツオ、グルクンやタイなどの様に私たちが普通にイメージする魚たちの種類です。

 6000~10000種類の幅におさまるのでしょうか、それとも魚の仲間はもっとたくさんいるのでしょうか?

 みなさんはどう思いますか?

 長くなったので、次回の記事に続けることにしましょう。
 まず予想を立てていてください。
 予想を立てると当たっても外れても必ず賢くなります、そして何よりたのしく学ぶことができますよ。

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イチゴの謎:あのツブツブはタネじゃないの?②-楽しい科学・楽しい植物学

 みなさんの考えはどうだったでしょうか。「いちごのツブツブはタネではない」という議論についてです。※前回のページを未読の方はひとつ戻ってお読みください! 

 詳しく書くと

「イチゴの表面のツブツブは〈痩果:そうか〉といって、タネではない」というわけです。

 〈たの研〉の子ども心は、そういうケムにまくような議論が苦手です。

 タネっていうのは何か?

 おおざっぱにいうと「その粒をまいて水やりしていると芽がでてその植物になるもの」ですよね?

 たとえばこれは公園でみつけたトックリキワタのタネです、綿(めん・わた)に包まれています。風で離れたところに飛んでいって、落ちてからも水滴をタネの周りに包んでいて発芽しやすい条件を整えてくれます。

 もともとタネというのは一般的ないい方で、科学的には〈種子〉といいます。

 「痩果」というのは何か?

 ブリタニカ大百科事典にこうあります。
「小さな乾いた果実で,果皮は硬くて裂開せず,中に1種子をもっているもの。キク科キンポウゲ科などに多くみられる」https://kotobank.jp/

〈乾いた果実である、中に一つの種子をもっている〉というのですね。
 あの粒一つひとつが〈くだもの〉である、ということもまた、子ども感覚からはるか遠いものです。
 だってイチゴそのものがくだもので、あの粒をくだものとは考えられません。
もしもスーパーで「くだもの-イチゴ」と書いた箱の中に、そのツブツブを入れて売り出したら、誰も買わないでしょう。間違って買ってしまった人がいたら、スーパーに苦情がいくことでしょう。

 そこで科学者を連れてきて「みなさんは知らないかもしれませんけど、このツブツブは〈かわいた果物〉で、痩果と呼ばれています。ですから《くだもの-イチゴ》と表記するのは正しいのです」と説明させたら、みなさんは納得しますか?

「果物はあの三角の赤いものをいうのでしょう!」と反論するでしょう。

苺・いちご・イチゴ  wikipediaより

 すると科学者は「いえいえ、皆さんが果物だと思っている部分は、茎の先端の花床(かしょう)が膨らんだ偽果(ぎか)というものなんです」とかぶせてくる。

 学校で先生からそういう話をきいて「なるほどそうなのか、お母さんにも教えてあげよう」と素直に納得するのは、覚えることが好きな優等生の子ども達でしょう。
 大抵の子ども達は、心の奥の方で「つきあってられないよ」と感じて理科が嫌いになっていく・・・

 子ども達に何かを伝えようとする時、私たちが心しておかなくてはいけないことは「一般の人たちの感覚を大切にする」ということです。

 その人が納得のいくような説明をすっとばして「これはこうなんです」では、大抵の子ども達はそれが嫌いになっていくでしょう。

「だって犬は犬で猫は猫と覚えているわけだから、それが教育でしょう」という人がいるかもしれません。

 例えばこう教えるとどうでしょう。

「これを犬といいます」

「これをネコといいます」※たの研のメンバーネコ〈ア~ル〉が好物のヨーグルトを食べているところ

 みんなが「は~い」と言ってくれたところで、こう語る。

だましてごめんなさい、実は最初の写真は犬ではないんです。

オーストラリア原産の動物で、通常の家庭犬とは異なる種なんですよ、〈ディンゴ〉といいます。

似てるよねぇ~

これから一緒に、どういうところが違うのか調べていきましょう。

その中で、同じ種なのか違う種なのかはどうやって決めているのかわかるようになると思います。

 これならたのしく学べる気がしませんか。

 とはいっても「イチゴのツブツブはタネではない」という説明が成り立つかははなはだ疑問です。だってタネというイメージは、その粒をまいて育てて発芽してその植物になるというイメージですからね。
 痩果はタネではない、というなら、たんぽぽの綿毛で飛んでいくのもタネではなくて、ひまわりのツブツブもタネではなく、稲の米粒もタネではないということになります。

「タネに薄皮がついた状態」というなら、まぁ納得いくかもしれません。

 そういう過程すっとばして「皆さんにはこれは犬に見えるけどディンゴといいます。よく覚えていて間違わないようにしてくださいね」ということでよいのでしょうか、教育といういとなみは、コンピュータに情報を打ち込む過程とは違うと思うのですけど、どうでしょうか?

 たのしい教育はそういう流れと根本的に異なる教育方法です。

 興味のある方は、ぜひたの研の講座を受講、スーパーバイズなどを受けることをおすすめします。

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