たのしい言語学:〈エサ〉という言葉のイメージ/たのしい学力向上・楽しい教材

 メルマガにたの研メンバー〈猫のア~ル〉の食事の様子を紹介しました、たまたま猫好きが集まったらア~ルが察知して一緒に食事をとりにくる様子です。その反響が大きくて驚きました。


 ここではそのメルマガのことを紹介するのではなく、どうして〈たの研〉では猫のア~ルの食べ物を〈エサ〉と言わず〈食事〉というのか、というお話をさせてください。
 今まで個別で何度か答えてきた話で、言葉の感覚に深く関わる内容です。

 ごく普通に〈犬のエサ〉とか〈猫のエサ〉という様に使う人たちがたくさんいます。

 けれど〈たの研〉ではエサとはいわず「食べ物」とか「食事」といいます。

 どっちでもよいではないか、と思うかもしれません。

〈エサ〉という言葉は、人間以外の動物の食べ物という意味をもっているので、その使い方が間違っているわけではありません、これは「言葉の感覚」の問題です。

 最もシンプルな考え方はこうです。

 ア~ルは〈たの研〉の仲間の一人、家族の様な大切なメンバーです。家族が食べるものを〈エサ〉という人はいません。

「えさ」という言葉は〈人間以外の食べ物〉という意味以外に、〈飼料〉という意味もあります。

 私がよく引く語源辞典の一つ「日本語語源広辞典」にこうあります。

 〈飼料〉というのは養鶏や畜産など、つまり人間が食料にしたりする動物や魚たちに与えるエサという意味を持っています。

飼料(しりょう)とは、家畜家禽養魚などの飼育動物に与えられるをいう。

主に、養鶏畜産など事業として飼育される家畜に与える餌を指すことが多く、養魚用は「餌料(じりょう)」と呼び区別することがある。

wikipedia

〈おびき寄せるための手段にするもの〉という意味もありますね、これは新明解国語辞典にある説明です。

 そのイメージからも〈エサ〉という言葉を使う気がしてこないのです。

 すでに書いた様に〈エサ〉という使い方が間違いというのではありません、言葉に対する感覚の問題です、そういうことは気にせず使うという人はそれでよく、〈たの研〉の様に「ネコの食事」とか「食べ物」と使いたい人はそう使うとよいと思うのです。

 そして個人的には「ネコの食べ物」とか「食事」という言葉を使う人たちが増えていって、ネコさんや犬くんたちと家族の様に付き合う人たちが増えてきてほしいと思っています。

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楽しく島言葉〈今日明きてぃ、明日に学ばていすりば、明日からぬ明日や明後日なゆさ〉、今をたのしみましょう!

 読者の方から届いたたよりをきっかけに書かせていただきます。

 沖縄タイムス誌面にこういう島言葉〈黄金言葉〉があったそうです。

今日明きてぃ 明日に学ばていすりば

   明日からぬ明日や 明後日なゆさ

 ちなみに、私にはこの意味を理解する方言力はありません。
 その方もよくわからなかったそうで、解説を読んだそうです。

今日が明けてから明日学ぼうとすれば、

明日もまた明日になって、明後日になってしまいます。

物事は明日があると思って先延ばしにしてはいけません

 なるほどね。

「そうはいっても一気に全部を今日やるわけにはいかないよね」と思ってしまうのは私だけでしょうか?

 たのしい教育研究所は「明日でもいいんじゃない」と言われても待てないほど学びたくなる教材を提供する組織です。

明日学ぼうといわれても

どうしても今日学びたくなる

そんな勉強が一番いい!

 という島言葉を、どなたか作ってくれたらうれしいです。

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「それはバッタじゃなくてキリギリスです!」という言葉/楽しい教材と〈分類〉の見方・考え方/楽しい学習・楽しい学力向上

 子どもの頃から、心動かされるものごとについては本を読んだりすることはあっても、先生に言われたことを真面目に勉強するタイプではなく、植物の名前や昆虫など細かいものを一つ一つ覚えることはしてきませんでした。
 武道にのめり込む様になってさらにその傾向が強くなり、教員試験を受ける頃まで、教科書に出てくる植物は〈ひまわり〉と〈チューリップ〉くらいしか判別できませんでした。
 また都道府県の位置と名前があまり一致せず、大阪と名古屋のどちらが沖縄に近いところにあるのかもよくわかりません。
 どうして私が教員試験に合格できたかというと、あまりにも常識的な問題は出題されることがなかったからです。そして高校レベルの理数系文章読解などは得意だったからです。

 ところで〈ひまわり〉とはどういう植物で〈チューリップ〉とどう違うのか、〈大阪〉はどういうところで〈名古屋〉はどういうところで、それぞれどういう特徴があるのかという様なことは「分類」の問題でもあります。

〈分類〉というのは人間の知的な高まりとともにどんどん複雑になっていきます。

 話は変わるのですけど、全体として繋がりますから安心して読み進めてください、最近、山道に入ってしばらく歩き、車に乗り込むと、こういう生き物が一緒にいました。

 ちょうどバックミラーにくっついたので、背中も腹も一緒に見えておもしろかった、こんな感じ。

 車を停めて植物の枝に戻してあげました、見えますか?
 写真の仲程にいます。

 大きくしてみましょう。

 しばらくするとジャンプして行ってしまったのですけど、それまで、目がこちらを向いているかの様でした。

昆虫の名前

 この昆虫の名前は何か。
 「バッタ」ですか?

 小学校に勤めていた頃、昆虫や植物にとても詳しい年配の先生がいて、こどもたちによく「これは◯◯ではなく◯◯です」と語っていました、たとえば「みなさん、これはチョウチョではなくアゲハチョウです」という様に。

 この昆虫は〈ササキリ〉というのですけど、きっとその先生は
「みなさん、これはバッタに見えるかもしれません。
 でも違いますよ、バッタはこんなに触覚が長くないんです。
 これは実はキリギリスの仲間です」と語ったことでしょう。

 たのしい教育にのめり込んでいく中で、私も都道府県の名前をしっかり覚えたり、植物や虫たちの名前にも興味関心を持つ様になってきました。

 そして広く〈分類〉についてもいろいろ学び考える様になりました。

 分類はとても興味深いテーマです。
 教育の中では先端の分類にもっていくのではなく「人類が獲得してきた科学の歴史・分類の歴史をたどって教えるとよい」というのが、たのしい教育の見方・考え方です。

 はじめのうちはチョウはチョウでよいのです。

 興味関心が高まっていくうちに、アゲハチョウとモンシロチョウとは違うことを学べば良い。
 そしてアゲハチョウの中にも〈シロオビアゲハ〉や〈アオスジアゲハ〉〈ナガサキアゲハ〉という様に分類できるのだということを知ると良い。
 もちろん私たち大人の中にも〈アゲハチョウ〉というのはどういうチョウで〈タテハチョウ〉とどう違うのかわからない人もたくさんいると思います。
 それでもみんな元気に生きています。

 チョウの細かい分類がしっかりできるのは、チョウに興味関心をもってきた人か、テストなどで良い点を取るために頑張った人たちなのです。

 さて〈ササキリ〉は確かに「キリギリスの仲間」です。

 では「ササキリはバッタではなくキリギリスの仲間です」というのは正しいのでしょうか?

 キリギリスは〈バッタ目〉という大きなグループの一つです、だからササキリをバッタと呼んでも間違いではありません。

 だってこんな姿形⬇︎をしている生き物は、チョウでもダンゴムシでもカマキリでもなく、バッタでしょう?

 あまり細々としたことを教えるのではなく、まず「これはチョウとは違ってバッタの仲間です」ということが分かれば良い、〈ゴキブリやテントウムシとは違う〉ことが分かればよいのです。

 繰り返しになるのですけど、そうやって詳しく知りたくなった人たち、あるいはたのしく教えることが可能な場合にもっと詳しく教えていく、それが科学の発展の流れと一致した方法です。

「教科書にあるから教える」とか「正しいことは押し付けてよい」というのではなく「こういう具合に教えていくと子ども達が感動的に学んでいくことができる」という方法をみつけていくことがとても大切なのです。そうでないと「これは◯◯」「あれは◯◯」とどんどん押し付けて教えていくうちに、押し付けられた方は付いて行く気がなくなっていくでしょう。

「コウモリはどうみても〈鳥〉にしか見えないのに、実はねぇ、こうこういう特徴があるでしょう、だから哺乳類の仲間なんだよね、不思議だねぇ」という様に伝えていくいく、そうやって伝えていくことで子ども達が分類に興味を持っていくとしたら素晴らしいことです。

 たのしい分類入門、というプランもできてきそうな予感がしています。

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感謝!〈1日のアクセス数〉が5000回を突破しました/読者の方からの質問「雲はなぜ白い?」

 12月の前半の記事で〈1日のアクセス数(閲覧数)が3000に迫りました〉と書いたのですけど、気づかないうちに〈5000を突破〉していました。
 これがサイトの1日ごとの記録を確認した時のデータです、ちょうど大晦日の日でした。

 特に人気のあるテーマやトレンドワードを探して書いているわけではなく〈たのしい教育〉一本で地道に綴っているこのサイトが、これだけの記録を出せたことに驚いています。
 読んでくださっているみなさんに心から感謝いたします。

 もちろんアクセス数は多い時も少ない時もあります、こういう頂上を描く日だけでなく落ち込む日々も平均的な日々もあります。
〈1日平均1000アクセス〉を越したいというのが当面の目標です。

 このサイトを読んでくださっている皆さんが周りの人たちに「このサイト良いよ!」と知人友人に送ってくださることで広がっていくのだと思います、このアドレスをコピーして何人かに送っていただけると嬉しいです ⇨ https://tanokyo.com/
 これからも応援よろしくお願いします。

 今回は読者の皆さんからの便りに関連した記事です。
 先週書いた〈虹とプリズム〉が気に入って追加の質問をくださった方がいました。
 Rさんはその記事にある、虹の写真と一緒に写っていた〈雲〉が気になったようです。

 要約すると
「〈水蒸気がプリズムの働きをする〉というイメージで考えるとよいというのはイメージできたのだけど、後ろに見えている雲も同じ水〈H2O〉なのに、真っ白に見えているのはなぜなのでしょう?」という質問でした。

たのしい科学 虹とプリズム

 

 透明に見える〈光〉は、いろいろな色がミックスされていて、プリズムや水蒸気などでそれをいろいろな色に分散することができて、それぞれ別れた色が虹として見えるということを、楽しい科学〈虹とプリズム〉に書きました。

 Rさんの質問にインスパイアされて〈虹の色〉にとどめず、広く〈色の見え方〉というたのしい教育の授業書を作成したいと考えはじめていて、そういう感謝の言葉と一緒に「できあがったら連絡いたします」という返事をしておきました。

 授業書は〈予想・実験〉を交えていく構想です、ここでは大きなフレームをイメージしていただける様な話を書かせてください。

リンゴの赤

 りんごはどうして赤く見えるのか?

〈リンゴが赤を吸収しているから〉と考える人も多いかもしれません、子どもの頃の私もそうでした。でも虹の様ないろいろな色のうち〈赤〉以外の色を吸収して、赤色を反射しているからリンゴは赤くみえるのです。

 

 半分にカットすると、果肉が白く見えます。

 どうして白く見えるのか?

 いろいろな色を散り散りにしていろいろな方向に同じ程度に反射すると〈白〉に見えます。

 いろいろな方向に散り散りに反射させるというのはつまり表面がツルツルではなくデコボコだということでもあります。

海の青

 青い海の色は青以外の色を海が吸収し、青は反射してしまうので私たちの目には青がとどく、つまり青に見えるわけです。

 ところがその同じ海の水も、散り散りに乱れて全部の色を均等に反射することがあります、すると白く見えるんです。

 これです。

 

バナナの黄

 では問題、バナナが黄色く見えるのはどうしてでしょう?

  自分で説明してみましょう。

 

 

 バナナの皮をむくと、果肉は白く見えます、どうしてでしょう?

 自分で説明してみましょう。

 

雲の白

 さて、読者の方からの質問。

 雲の色はどうして白いのか?

 太陽の光を雲がいろいろな方向に散り散りに反射させてしまうからです。

 

 ここまで書いてきて、どういう予想実験を取り入れていこうかアイディアがいろいろ浮かんでいます。

 透明なガラスでも細かくくだくと白く見えます。そういう実験の中で安全で簡単なものをいくつか組み合わせて授業書を作っていこうと考えています、ご期待ください。

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