たのしい国語:うさぎの足跡 by 高村光太郎『雪の冬』から(つづき)

 前回書いた「たのしい国語:うさぎの足跡 by 高村光太郎『雪の冬』にたくさんの便りが届きました、嬉しいことです。要望もいろいろあったので、続きを書きましょう。

 雪に残されたうさぎの足跡がとてもおもしろい形をしている話の続きです。

そのウサギをとりにキツネがくる。

キツネは小屋のうしろの山の中にすんでいて、夜になるとこのへんまで出てくる。

キツネの足あとはイヌのとはちがう。

高村光太郎『雪の冬』から

青空文庫の大いなる努力に感謝して参照

「きつねの足あとはイヌのとはちがう」といわれても、そもそもイヌたちの足あとに注目したことがないので、興味が高まります。

 私と同じように調べてみた人たちからも画像がいろいろ届いています、感謝して一つ引用させていただきます。

 犬さんたちは人間との暮らしがとても長いからでしょう、緊張感のない足跡に見えてきます。
 おおらかさが足跡にも出ているというか…

 さて、キツネの足跡はどうでしょう、高村光太郎はこう書いています。

 イヌのは足あとが二列にならんでつづいているが、キツネのは一列につづいている。

 そしてうしろの方へ雪がけってある。つまり女の人がハイヒールのくつでうまくあるくように、一直線上をあるく。

 四本のあしだから、なかなかむずかしいだろうとおもうが、うまい。キツネはおしゃれだなあとおもう。

 

高村光太郎『雪の冬』から

青空文庫の大いなる努力に感謝して参照

 
「ハイヒールで歩く女の人」は映画で時々みるのでイメージできます。その足跡がどうなるのかなぁ、と思ったら・・・

 たしかに、スッと軽やかに続いている感じがします。

 こういう野生の動物の足跡をみると、犬さんたちの足跡との違いを感じてしまうのだけど、もしかすると祖先のオオカミたちの足跡は、もっとキリリとしたものだったんじゃないかなぁ。

 みんな哺乳類で、骨格の構造の基本は同じなのに、これだけ違った足跡をつけるというのはとても面白いことです。

 わかることが出て来るほどに謎、知りたいことが増えていきます。私の師の板倉聖宣に文学をたのしむ習慣はなかったけれど、生きていたら紹介してあげたかったな。

 動物たちの足跡のなぞ、というプログラムに発展するのかしないのかわからないけれど、たのしいことに違いはありません。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

辛い人生を過ごすのか/板倉聖宣のものの見方・考え方

 教師になった頃、板倉聖宣の〈ものの見方・考え方〉に触れていなかったら、どういう人生だっただろうと考えることがあります。教育行政の中で着々と上を目指していたのでしょうか、大好きな車の運転を生業にしているのかもしれません。

 私の周りにも「板倉聖宣先生の本を読んだことがあります」という人は何人もいましたから「触れていなかったら」というより、その頃すでに私の心の奥で、板倉先生の〈ものの見方・考え方〉を求めていたということなのでしょう。

 今回は、1991年に西日本の「たのしい授業入門講座」で板倉先生が語った内容を、私いっきゅうが再校正してお届けします。かなり以前の〈たのしい教育メールマガジン〉で紹介したものの一部です。

「たのしい人生を送ろうと思ったら、学校の時代くらいは厳しいことをやらないとたのしくならないよ」とか「会社に入ると耐え忍ばなければならないし、結婚すると耐え忍ばなければならない。つまりいろんなところで耐え忍ばなければならないんだから、学校からずっと耐え忍び方の練習をする必要があるのだ」という考え方がありますね。
 それに対して「結婚生活はたのしいよ。社会に出たらたのしいよ。だけど、少しでもいい会社に勤めて月給を高くして、少しでもいい学校に入ってプライドを持って生きようと思ったら厳しさを耐え忍ばなければいけないよ」という考え方もあります。
 つまり「手段として〈厳しい授業〉に耐え忍ぶ。そうするとたのしい人生が待ってるよ」という考え方です。

 私が子どもの時は、人生全体が厳しい時代でした。その厳しい人生を乗り越えるために、学校の時は厳しくやっていこうという考え方でした。
 しかしそういう考え方は今は通用しないですね。
 たのしい人生を切り開くために、学校時代は厳しいことをやっていく。ところが生涯学習なんて恐いことが出てきましたね、生涯学習するんですから、もし学習が厳しいもので耐え忍ばなければいけないんだったら、生涯厳しい人生で、たのしい人生がつぶされちゃう。「たのしい人生」でなくて、また「厳しい人生」に舞い戻ってしまいます。
 私どもの学校時代は小学校6年生が義務教育で、その6年間を耐え忍べば、娑婆に出られたんです。
 だんだんこれが長引いてきて、今や高等学校ぐらい出ないといけない。いや、かなりの人が大学を出てる。短ければ耐え忍びますが、学校生活が大学までいったら随分時間がある。さらに、「生涯学習」なんて言って一生涯耐え忍ぶことを勉強しなければならないんですから、大変ですね。

 楽しいと、周りから厳しいと思えるようなことにあえて入り込んだります。

 〈たの研/たのしい教育研究所〉は忙しいので、さぞ大変だろうと思う人もいるかもしれません。

 けれど、スタッフのみんなは、そのたのしさを感じながら充実した日々を過ごしています。

 今の子どもたちが、たのしく元気で笑顔で過ごすことができる。そういう活動が、苦しく辛いことはありません。
 活動を応援してくれる方が増えてくれることを期待しています。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

平和な社会をつくるために歴史をたどる/板倉聖宣『ヒトラーと民主主義』

 あと半月ほどで終戦記念日がやってきます。まちがいなくほぼ全員が平和が好きなのに、今でもいろいろなところで悲惨な戦闘が続いています。どうしてでしょう…
 今回は平和について考える内容を紹介します。

 板倉聖宣先生(仮説実験授業研究会初代代表/元文科省教育研究所室長/元日本科学学会会長/たのしい教育研究所 初期から支援者)が『ヒトラーと民主主義』というタイトルでまとめた冊子のはじめの部分を書き抜いてみます。その研究がはじまった時に板倉先生が研究会で紹介したものです。

板倉先生が沖縄に来てくれた時の一枚

はじめに

あなたは「ヒトラー」という人の名を聞いたことがありますか。
 その人は、どんなことをした人だか、知っていますか。

 多くのひとは「ヒトラーという人はとても悪い人だ」と、どこかで聞き知っていることでしょう。
 簡単にいうと、ヒトラーは「ドイツの独裁者になって、第二次世界大戦を始めた人」として知られています。
 だから〈とても恐ろしい人〉と言われているのです。
 それだけではありません。ヒトラーは「ユダヤ人を皆殺しにしようと計画して実行した人」として知られています。〈何も悪いことをしなくても、ユダヤ人だから〉という、それだの理由で虐殺したのです。
「ユダヤ人は劣等民族だから、生かしておいてはいけないから」というのです。
 たくさんの人を狭い部屋に閉じこめて、その中に毒ガスを入れて一時に大量に殺したというのです。
 ヒトラーは、どうしてそんなことができたのでしょうか。
 ひとりでは戦争など始めることはできません。いくら「あいつらは悪者だから戦争をしかけてドイツの領土にしてしまえ」と叫んだところで、みんなが賛成しなければ、戦争など起こせません。
 いくら「ユダヤ人は劣等民族だから絶滅してしまえ」とけしかけても、他の人びとが、それもたくさんの人びとが、それに賛成しなければ〈大量殺人〉などという恐ろしいことは実現で
きるはずがありません。
 それでは、ヒトラーはどのようにして、他の人びとをその気にさせることに成功したのでしょうか。
 自分の言うことをきく〈少数の狂気の集団〉に多数の人びとを脅迫させて、従わせることに成功したのでしょうか。
 現代の社会は、大なり小なり「民主主義的な社会」になっています。そう簡単に独裁者が現れて、たくさんの人びとを意のままに動かすことはできないようになっているはずです。
 それなのにヒトラーは1933年にドイツの独裁者になることに成功しました。
 そして1939年には、ほとんど全世界を相手にして戦争を始めたのです。日本もそのドイツと手を結んで、第二次世界大戦に参加してしまいました。そして「特定の民族を皆殺しにしよう」などという恐ろしい事業に協力してしまったのです。
「どうして、たくさんの人びとがそんなことに協力してしまったのか」そのナゾを明らかにしておかないと、私たちもそんな愚かなことをしてしまうようになるかも知れません。

 そんなことが心配になって、この冊子にまとめることにしました。

 戦争などは、狂気の人間がはじめるものだと考える人がいます。
 けれどそれは違います。「ひとりでは戦争など始めることはできません。いくら〈あいつらは悪者だから戦争をしかけてドイツの領土にしてしまえ〉と叫んだところで、みんなが賛成しなければ、戦争など起こせません」という言葉は、私たちが強く意識しておかなくてはいけないものでしょう。

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!

たのしい教育研究所のアイディアセッションの様子

 今日は〈たの研〉の夏の講座に向けて講師陣が会場に集まって、お互いのアイディアを出し合いました。また、子どもの立場になって体験し、いろいろ意見を交わし合いました。

 大人の付き合いとしては、どれも「いいね」を連発したいところですけど、〈たの研〉は子どもたちの賢さの味方です。

「それは見えにくい」

「ここの説明はもっとわかりやすく」

「時間的に考えると、問題はもっと少なく」etc.

 たくさんの意見が飛び交いました。

 もちろんそれが〈たのしい教育研究所〉のスタンダードです。

 〈たの研〉の授業者もさすがで、それを柔軟に吸収していきます。

 2週間後には同時進行でのシミュレーションも予定されています。

 みんなでたのしく充実した講座を創っていきたいと思います。

 夏の講座のテーマの一つが『生き物たちとたのしく自由研究』です。

 板倉聖宣著『にている親子・にてない親子』はおすすめですよ⇩

https://amzn.to/3Sg7qAj

① 毎日1回の〈いいね〉クリックで「たの研」がもっと元気になる!⬅︎応援クリック

② たのしい教育を本格的に学ぶ〈たのしい教育メールマガジン-週刊有料を購読しませんか! たのしい教育の実践方法から発想法、映画の章ほか充実した内容です。講座・教材等の割引もあります(紹介サイトが開きます)

③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

⭐️ 「いいね」と思った方は〈SNSや口コミ〉でぜひこのサイトを広げ、応援してください!