たのしい教育の発想法〈人間が人間らしく生きていく〉板倉聖宣「社会はどういうように変わっていくか」

 今週のメルマガの〈発想法の章〉で紹介した内容の初めの部分を抜粋してみましょう。〈たの研/たのしい教育研究所〉を初期から応援してくれていた板倉聖宣先生(元文科省国立政策研究所室長/元日本科学史学会会長/仮説実験授業研究会初代代表)が2002年に群馬の水上温泉で行われた講座で語った内容です。今から20年くらい前の話ですけど、その後の社会について、かなり的確に語っていると思います。

 社会はどういうように変わっていくのでしょうか?
 私はこれからの社会は〈人間が人間らしく生きていく方向〉に変わっていく、そういう人たちがたくさん増えていく社会ができていくのではないかと思っています。
 義務で生きていくのではなくて、自分自身の喜びで生きていく社会です。
 私なんかが若い時ですと、生きていくのが精一杯で、敗戦直後なんて食料がなかったですから、本当に文字通り生きていくのが大変でした。
 そういう時代が大昔からしばしばあって、生きていくので精一杯で、いつも大変だという感じがあります。
 だから日本では、いや世界でもそうなんですけど、現実のこの苦しい世界ではなく、極楽とか天国というがあるんだという話になっていきました。
「極楽というものがあって、その極楽に行くとお釈迦様みたいな人が散歩している」というのです。
 いつも散歩しているんですね(笑)。
 ぼくも散歩が好きで、ついさっきも散歩してきたばかりですけれども、いつも散歩っていうのはイヤだなぁ・・・(笑)、違うことがやりたと思う、働きたいと思う。
 20~30年前に『毎日が日曜日』(城山三郎著/1976年)という小説が出たりして、その頃から、勤めている人たちは「もう仕事をやめて、毎日が日曜日になったらいいなぁ」という風に考えるようになってきたようです。
 しかし仮説実験授業をやって、かなり軌道に乗った先生の多くは「夏休みが長すぎる」と思う人がいます。
 「もっと早く子どもたちに会いたい。もっと早くこの授業をやりたい。夏休みがず~っと休みだとつまらないなぁ」と思う先生がかなり多くいるんです。
 もちろんこれは、休みというものと仕事というものの割合が、どのくらいのバランスがいいか? という〈程度の問題〉です。
 昔だと考えるまでもなく「休みがいいに決まっている」という考え方だったでしょう。
 ところが今は毎日が日曜日というものがいかに辛いかと考える人たちが出てきたんです。

「お金が入らないから辛い」とかそういうのではなくて、「お金はあんまりなくてもいいから働かせてほしい」という人たちがたくさんいるんです。
 今、幸せなことに日本では「お金がほしいから働かせてくれ」というのではなくて「生き甲斐がほしいから働かせてくれ」という人が増えているんです。
〈人間はお金のために生きている〉のではない、〈働くために生きているんだ〉ということが分かる生き方が出てきました。
 〈仕方が無いから働くのだ〉という昔と違って〈人間というものは働きたいものなんだ〉ということが分かってきたんです。
 働きすぎはいけないけれども、働かなさすぎてもやはりいけない。
 今後はどのくらい働いてどのくらい休んで、どのくらい散歩があって、どのくらい収入があって…そして生き甲斐を感じる、満足するのかがテーマです。
 こういうことは初めから考えて分かるものではないんです、実験しなければ分からないんです。

 予想を立てて実験的に確かめていくことでしか、何が正しいのかみつけることはできません。そのこともしっかり語られていますね。

 わたしいっきゅうは休みなしでたのしい教育活動を広める仕事をしていて、今日が公休日だったことすら知らない日々を送っています。それは仕方なくでなく、たのしいから続けていることです。
 厳しい労働環境にある人たちもいるでしょう。
 たのしい教育の思想が広がっていって、たのしく充実した労働環境が広がっていくことも〈たの研〉の目標です。
 

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楽しい教育は先にやるか、あとに取っておくか?/たのしい教育メールマガジンのすすめ

 メルマガ最新号の発想法の章で紹介した内容にさっそく反響が届いています。たのしい教育ははじめでやるか、あとの方に取っておくかという話です。

 〈たの研/たのしい教育研究所〉の応援団として力を貸してくださった板倉聖宣先生の講演内容から少し紹介しましょう。2002年08月、群馬水上温泉で開催された入門講座で語られた一節です。出典に「たのしい授業で変わる学級・学校・社会」というメモがありました、そのガリ本からコピーしたものを伊良波さんがサークルで紹介してくれたのだと思います。

板倉

 『たのしい授業』紙上で一時大きな話題になったことがあるのですが「たのしい授業はとっておきにしておいた方がいいのか」ということがありました。
 これは例えばものを食べる時に、美味しいものを後にとっておく人と、美味しいものを一番初めに食べてしまう人と2種類のタイプがあったりしますけれども、美味しいものは腹一杯になってから食べでも、あまり美味しくなくなっちゃったりします。
 そんなのは好き好きでやっていいわけですが、こと授業に関して、つまり「たのしい授業を後にやるか先にやるか」ということに関しては、かなり実験結果が出ております。
「たのしい授業は初めにやった方がいい。後にとっておかなくてもいい」
 これが結論です。

 あと17日で4月、学校では新しい子どもたちの出会いの月です。子どもたちをたくさんたのしませてあげてください。

 このサイトにも授業のヒントをいろいろ書いているのですけど、メルマガには、具体的な方法を具体的に紹介しています。新しい出会いに向けて、みなさんも購読しませんか?

 教師以外の読者も増えています、人生の見方・考え方としてもお役に立てる内容です。また、たのしい教育の普及に対する応援の意味でもかなり強い力になっています。

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「日付変更線というのもおもしろい」安野光雅の天才性/楽しい社会

 安野光雅さんは画家なのですけど、何しろ〈楽しむ天才〉で、常々「安野さんのような生き方をしたい」と考えています。 安野さんは勝手に「たのしい教育研究所顧問」だと思っていて、すでにたくさんのアドバイスをその著書からもらってきました。その一冊『算私語録/朝日出版』にこういう言葉があります、読んだ時「しまった、私は子どもたちに無味乾燥に取り扱ってしまった、いつか挽回したい」と反省してしまいました。

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日付変更線というのもおもしろい。

「夢がある」という言葉はきらいだが、日付変更線には夢があるといっていい。

日付変更線上で舟が座礁したらどうなるか。

子どもの頃、これを考えて「ヒトバンジュウネムレナカッタ」。

成田を飛び立ってアンカレッジに着くと、日付が若くなる。

誰でも妙な気分になる。

安野光雅「算私語録」朝日文庫p241

 日付変更線というのは、太平洋側に便宜上設定されている線で、実際にそういう線が引かれているわけではありません、直線でないところも妙ですよね。

 西(日本側)から東(米側)に渡る時には日付が1日もどります、30日なら29日になるのです。私がはじめてアメリカに渡ったのはアラスカのテント生活の時で、その時に飛行機の中で説明があって、時計のカレンダーを戻した記憶があります。ちなみに安野さんが書いているアンカレッジはアラスカの首都です。

 今わたしが社会で「日付変更線」を扱うとしたら、どうやって話をするだろう・・・
 考えるとワクワクして一晩中眠れなくなりそうです。

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たのしい教育フェスティバル 参加者満足度100%=みなさんに心より感謝申し上げます

 たのしい教育研究所の春の講座(フェスティバル)が大盛況のうちに終わりました。「頭がジンジンするくらいたのしかったです」というのはスタッフの声!
 スタッフがこれだけたのしくしているくらいです、参加者の方たちもとてもたのしんでくれました。

〈たの研〉の講座は名前通り本当にたのしいという評判がたっているらしく、「この日を待ちわびていた子が、たのしみにしすぎて熱発し参加できなくなりました」という声もありました。熱発した子には残念なことだったのですけど、それくらいたのしみにしてくれていたことは、とても嬉しいことです。
 ぜひ今度の講座に参加してください!

〈たの研〉の講座はクラスでの授業をイメージしてもらうために30~40人に設定しているのですけど、そろそろもっと大きな枠で募集してもよいかと考え始めています。

 これは前半のおたのしみコーナーで、自由にいろいろな教材をたのしんでもらう前に、スタッフが楽しみ方をティーチしているシーンです。右側でさくら先生がリングキャッチの不思議を伝えていて、参加してくれたみなさんが身を乗り出しています。


 これはクイックケーキをたのしんであと、ミエ先生かせ『窓際のトットちゃん』を読み語っているところです。

 今回は会場のデコレーションも工夫してみました、たのしく彩るバルーンや文字ディスプレイなどを利用しています。クラスのオープニングの時、クラスが終わる時に、簡単に利用できるアイディアがいっぱいです。

 たのしい教育は面白おかしい授業ではありません。「〈学んでよかった・自分の可能性がのびた〉と感じ、周りの人たちにも伝えたくなるもの、もっと学びたいという意欲が湧いてくる教育」です。今回は〈薬と毒〉という20年前の〈授業書@たの研〉の新版もたのしんでもらいました。小学校低学年から、大人まで真剣な顔をして「ほ~、え~」と言いながら熱中してくれました。

 仲良くなるゲーム、汗を流してたのしむゲームも盛り上がり、クイックケーキは、味わうだけではなく「持って帰りたい」という人たちもたくさんいるほどでした。5分でできあがるので、きっと家庭で学校でたのしんでくれることでしょう。機会があれば紹介させていただきます。

  終わってスタッフ全員で読むのが〈参加者の皆さんが書いてくれる評価・感想〉です、今回も100%の満足度で、「たのしすぎる」「クイックケーキ最高」「窓際のトットちゃん、続きを読んでみます」という声が満載でした。

 参加した先生たちが、子どもたちに実施してくれることがたのしみです。

 次回はおそらく夏の講座になります。
 少し長く間が開くのですけど、ミニミニワークショップなどは希望に応じて開催しています。学級の子どもたちが楽しく賢く笑顔で過ごしていくアインディア満載です、希望の方は気軽にお問合せください。

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