たのしいモラルジレンマ授業/これからの道徳の骨格となる授業

 数回前に、自分の授業力を高めたいという先生たち向けのワークショップの話をUPしました、教科は〈道徳〉でした。
 数ヶ月前、道徳に関して以前メルマガに書こうと準備していた文章がありますから、掲載しましょう。
 自分の授業力を高めたいという人たちの学びになると思います。RIDEの授業力UPワークに学びに来る人たちはしっかり読んでいてください。

 こども達は哲学的に考えることが大好きですから、低学年のうちは道徳が好きな子どもたちもたくさんいます。きっと〈人生にとって大切なものだ〉という直感があるのでしょう。ところが学年が進んでいくうちに道徳を敬遠する子ども達もめだってきます。

 どうしてか?

 道徳の授業は価値の押し付けになることが多いので、先生の話を素直に受け入れていく才能のある子ども達つまり〈優等生〉には苦ではなくても、「なぜそう言えるの?」「それは変じゃない!」という様に〈先生に合わせるより自分の考えを大切にする子どもたち〉にとっては苦痛になるからです。
 ちなみに私いっきゅうは後者でした。

 学校の授業も進化し、今の道徳の授業は明らかに〈価値の押し付け〉になりがちな授業スタイルからの脱却を志向する様になりました。
 現場の授業がそうなっていないとしたら、それは明らかな勉強不足です。
 その画期的な授業が「モラルジレンマ授業」です、単に〈モラルジレンマ〉ともいいます。

 コールバーグが提唱した道徳の実践的な授業〈モラルジレンマ〉は、いろいろなところで実践される様になりました。
 私の大切な友人であり、沖縄のたのしい教育活動を実質的にスタートさせた人物 伊良波先生が〈教育委員会指定の教育課程研究〉でまとめた「モラルジレンマ授業の研究」を読ませてもらい、その授業を知ったのは20年以上前のことです。
 国語や社会の思想・倫理部分など、実験で勝負できない内容をとりあげた授業の中では、とても進化した形だと直感しました。

 沖縄でモラルジレンマ授業に目をつけて発表したのが伊良波先生ですから、モラルジレンマは、たのしい教育の歴史にしっかりした足跡をつけた授業であるといえるでしょう。

 簡単に説明すると、モラルジレンマ授業というのは〈どれが正しいのかわからない〉つまり〈どちらも正しいと思える〉という選択肢を選ぶ岐路に立たされる構造をもった授業です。

 ところでジレンマ(どちらかに決めかねる状態)に立たされることは珍しくありません。

 わたし達自身、そういう状況に立たされることはたくさんあります。
 たとえば車バカの私いっきゅうの例でいえば、長年連れ添って来た相棒の車が、買い替えた方が全体の費用は抑えられる状況に来ています。しかし長年想いを乗せて走ってきた大切な相棒でもある車と別れて新しい車を手に入れるのかどうかは私にとって大きなのジレンマです。

 そうはいってもエンジニアが「これはもう無理です」と手放さなくてはいけなくなる日は必ず来ます、その時もジレンマに立たされます。
 
 クラシック的なスタイルが好きでエンジン部にもこだわる私は〈スタイルは好きだがパワー不足の車〉と〈後ろから見たスタイルに難ありだけれど、かなりパワーがある車〉、〈総合的によいがもうすこし面白みが欲しい車〉など、いろいろな選択肢があって、いったいどれを選んだらよいかわからなくなります。

 車なんて走れば良いという人も、たとえば服やファッション、余暇の過ごし方など、私にとっては悩まないことが大きなジレンマになる人もいるでしょう。
 人間は日々〈ジレンマ〉に立たされているのかもしれませんし、それが人間を成長させていくのでしょう。

〈予想を立てることが決定的に重要です〉という私がよく口にする言葉も、ジレンマ状況を作り出しているとも言えるでしょう。

 その構造を道徳に組み込んだのがモラルジレンマです。〈モラルつまり道徳的〉なジレンマ状況を設定するわけです。つまり「これが正しい姿です」的な従来の道徳の授業ではなく〈どちらが正しいのかわからない状態〉に立たされる中で活発な授業が展開されます。

 初めてその授業を知った時、わたしもモラルジレンマの授業を作りたくなって、授業プランのヒントをいくつかメモしてありました。
 興味のある方は、これをヒントに自分でも作成してみませんか。
 うまくいったらぜひ、研究所にも連絡をください。

ジレンマ状況の設定

A.クラスのスポーツ大会に出るか、親のいうことを聞いて塾に行くか、つまり友人関係を取るか親子関係をとるか

 

B.先生から「聞かれたことは黙っていたね」と前置きされて、親友のSくんの最近の行動に不審なところはないか尋ねられる。

 万引きの常習犯として疑われているらしい。

 Sくんに限ってそういうことは全くないことを自分は知っているので、きっぱりと「先生の考えていることは間違いです」と答えたが、そのことをSくんにも伝えておきたい。どうすべきか

C.6年最後の大切な野球の大会を迎えた日、自分は微熱がある(37度C)ことを知る。

チームに補欠はいない。

黙って大会に臨むか、休ませてもらうか

 モラルジレンマ授業は、数年後には、ほぼ当たり前の授業になっているでしょう。
 しかし、そういう授業ができる人はかなり少ない状況です。

 教師自身でも悩んでしまう、間違いなく自分が子どもの頃ならどっちを選んだかわからない、という様なモラルジレンマで授業できたら、こども達にとって自分の道徳的な感覚をグンと引き上げる授業になることは間違いないと思います。

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人気教材〈たの作〉追加作成しました。ご希望の方はお申し込みください

 RIDE(ライド)の人気教材に「たの作」という、たのしい作文指導のプランがあります。
 子どもたちが書きたくなる様なタイトルをカードしてあって、家庭学習などの日記指導に利用したり、国語の時間に作文のタイトルに困っている子ども達に使ってもらったりと、たのしさと賢さが広がるプランです。カードは全部で44枚、シャッフルして選ぶのも、教師が「今回はこれがいいな」という様に選ぶのもOKです。
 利用する方たちは沖縄だけでなく、いくつかの県に広がっています。
 校内研修として利用している学校もあります。

 

 カードを作成するとすぐに売り切れてしまうので、すぐに対応することは難しいのが現状ですけど、今回は10セット作成しました。

 1セット頒価1800円、RIDE(ライド)の会員:メルマガ会員は2割引でお届けいたします、その旨おしらせください。

⇨https://ikkyuu21.stores.jp/

 カードの中を少し紹介しましょう。

 帰りの会などで「今日書く日記のテーマを思いつかない人は、このタイトルで書いてもいいですよ」と話して、黒板にこのカードをはり付けます。

 翌日、子どもたちが書いてきたものを読むのがたのしいことたのしいこと。
 給食時間などを利用して読んであげると、クラスの子どもたちも盛り上がります。私は大抵、匿名で読み上げていました。

 こういう哲学的なテーマも子どもたちは大好きです。
 高学年だけでなく、中学年の子どもたちなら十分かけるテーマです。書くことになれてきたら低学年の子どもたちでもいけるとおもいます。

 希望の方は、RIDE(ライド)までお問い合わせください。

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板倉聖宣(仮説実験授業 研究会代表) 納骨の日に想う 科学の碑を訪ねる

 五月某日、新潟の科学の碑を訪ねました。五月後半だというのに気温5℃という寒さ。この日はいよいよ板倉聖宣が科学の碑の下に骨を納める日です。メルマガ最新号に書いた内容の1/3ほどを紹介させていただきます。

 これは科学の碑に至る小道。

 

 そしてこれが科学の碑です。

 大きさのイメージを捉えにくいかもしれません、しかしけっこう大きいのですよ。
 1m70cmと少しの私から見上げても、まだこういう様に見えています。


 〈科学の碑〉の下には納骨の場所があり、すでにたくさんの人たちの骨が納まっています。

 科学の碑の設立当初に建造した一つに設立者の名前を刻んだ石版があって、そこには板倉聖宣の名前が刻まれています。その下にわたしの名前も刻まれています。


 〈科学の碑〉の建設は故 板倉聖宣の「〈科学が人類にもたらした素晴らしさ〉を称えた碑を造ろう」という呼びかけでスタートしました。
 仮説実験授業研究会の会員で新潟の魚沼市の〈東養寺〉の住職であった 故 細井心円(ほそいむねまろ)さんの働きによって、お寺の境内に敷地が確保され、裏山は〈科学の森〉として整えるという流れで大きく話が進んでいきました。
 新潟の仮説関係の皆さんの力も重なり、立派な科学の碑が設立されたのは1990年5月4日のことです。

  碑の横には立派な石版があり、その由来についてこう刻まれています。

 

〈科学の碑〉由来記

 人類は科学によってはじめて,〈人々の意見が違うことのすばらしさ〉を発見することができました。いろいろな人がさまざまな意見をもっていてはじめて,思わぬ真実が発見されてきたのです。そこで,科学は民主主義 --少数意見の尊重と歩をーにしてきました。
 私たち仮説実験授業研究会を中心とする人々は,1963 年以来27年ほどの間,そのような科学をみんなのものとするために,学校や社会の中で努力してきました。そして、〈たのしい科学の伝統〉を日本の学校や社会の一部 によみがえらせることができたと自負しています。
 しかし,日本ではこれまで科学というと,一般の人々には親しみのもてないものと思われてきました。そこで私たちは, これまでの私たちの仕事の成果を記念し,かつ今後の仕事の発展を期して,この〈科学の碑〉を建設 することにしました。そして,その周りの森には〈科学の森〉にふさわしい施設をととのえ,ともすれば誤解されがちな科学の性格を多くの人々に訴えることにしました。

       1990年5月4日設立委員会代表板倉聖宣

 「科学は民主主義--少数意見の尊重と歩を一にして来た」と刻まれた言葉には、とても深いものがあります。

 板倉聖宣の納骨の様子に続きますが、ここまでにしておきましょう。

 諸経費(確か数万円)が必要になりますが、希望すれば誰でもここに骨を埋めることができます。もちろん板倉先生や私のように全くの無神論者だけでなく、いろいろな宗教・宗派の方でも大丈夫です。関心のある方はご相談ください。一緒に〈たのしい教育〉を広げませんか→このクリックで〈応援票〉が入ります!

国語ぎらい@たのしい国語

 小学校の頃からの感覚なのですけど、かなりたくさんの文章を書いている今でも国語の表記にはなじめないところがあります。
 〈中〉という漢字は〈ちゅう〉と読みます。〈中学校〉は〈ちゅう学校〉、〈勉強中〉は〈勉強ちゅう〉という様に〈ち〉と表記します。
 しかし「世界中」というときには〈世界じゅう〉と表記しなくてはいけないのだと教えられた時のやりきれない様な気持ちは忘れられません。

 同じ「地」という漢字を使っていても
 大地は〈大ち〉
 地震は〈じ震〉

 まだまだあります。

 もちろん〈理屈〉がくっついているのはわかります。しかし、それで ✕ をつけられる子ども達のことを思うと心が痛くなります。

 〈右〉と〈左〉の漢字をノートに書いた時、どうみても右と左にしか見えないのに、「これは間違いです」と言われたことがありました。
 右という字はヨコ線をはじめに書くから、ヨコ線が長くなって、左という字は斜め線が先だから、ヨコ線は短い。わたしの書く右と左は同じ長さだから違うというのです、というのです。まいりました。

 以前〈書き順〉というのは絶対ではない、という記事を書いた時に、いろいろな方たちからメールをいただきましたが、書き順にかぎらず、そうやって〈腑に落ちない気持ち〉や〈いやな感じ〉を抱いて、国語を嫌いになっていく子ども達は何人もいると思います。

 とてももったいないことです。

 わたしは小説もエッセイも好きです。
 古典も嫌いではありません。徒然草や枕草子は今でも書棚に置いています。

 国語を通して、いろいろな世界が広がります。
 感動の多くも言葉を通して伝わってきます(全てではありません)。
 理解のカギであったり、深めるための必需であったりe.t.c.
 国語は、とても大切な文化です。
 ということは、国語には〈たのしさ〉があふれているはずです。

 子ども達に国語嫌いにするのではなく、国語に親しんで、好きにさせて欲しい、そう思います。

 子どもたちとたのしんだ国語の授業を思い出して、たのしい教育Cafeで授業したことがありました。
 先生たちも大盛り上がりでした。

 「ん回し」といって、こうやって「ん」がつく言葉を探すのです。

 みなさん何か上に当てはまる言葉を思いつきますか?
 ◯にはひらがなやカタカナ、のばすことばなどが入ります。

 たとえば上の◯3つバージョンなら
・「とんちんかん」 
・「てんしんはん」
・「しんかんせん」
他にもいろいろあります。

これをつづけていって、これではどうでしょう。

あるんですよ。

 みなさんで考えてみてください。

 言葉をたのしみながら、言葉を増やしていくことにもなりますし、単純に「こんなに〈ん〉が続く言葉があるんだ」ということにびっくりしたり・・・

右と左の棒の長さでダメ出しするより、こちらの方が大事だと思っているのですけど、どうでしょうか。

ちなみに、まだ学校教育では「せかいぢゅう」を✕にしている様ですけど、文化庁の説明では「それもOKです」という様に説明しています。

⬇クリックでジャンブします

 ですから、「せかいぢゅう」と書いた子どもに✕をつけるのではなく、「これも✕ではないけれど、こう覚えていてほしいんだよ」という様なあたたかいサポートがあった方がよいと思っています。

 いずれにしても〈国語〉もたのしむのが勝ちです。
 たのしい教育研究所では〈たのしい国語〉の研究もすすんでいます。興味のある方はご相談ください。1日一回の「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか

 

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