平和について考える/アインシュタイン@映画オッペンハイマー を超えて ①

 映画『オッペンハイマー 』をみてきました。いろいろな本で名前に親しんできた科学者たちが数々登場していました。ここに出てくる科学者の数だけでも多いのですけど、50人以上の名だたる科学者たちがスクリーンに登場しますから、いろいろな人たちが語っているように〈説明が極端に少ない〉ので、原子物理学や量子論に興味関心のない人たちには、重要な役割を果たした登場人物たちが、まるでエキストラのようにも見えたことでしょう。

 メルマガには作品について書かせてもらったのですけど、映画好きの方は見逃すと損な作品だというのは間違いありません、ぜひ〈IMaxスクーン〉でご覧ください。

 今回はその中で描かれたアインシュタインを取り上げたいと思います。日本人にとって馴染み深い人物で、もしかすると最も有名な科学者だといってよいかもしれません。

 これはオッペンハイマー プリンストン研究所の所長に迎えられ、アインシュタインと顔を合わせるシーンです。

 アインシュタインが発見・発表した原理・公式 E=mc² は 物質の質量(m)と光速(c、真空中の光の速度)から、その物質が持つエネルギー(E)を計算することができることを示し、非常に少量の質量から膨大なエネルギーが得られる可能性が示されました、それが原爆開発のきっかけを作ったとわれることがあります。

 アインシュタインは科学者仲間シラードと一緒にアメリカ大統領ルーズベルトに宛てて「ナチスドイツが核分裂を利用した兵器を開発する可能性に対抗するため、アメリカ政府が核研究を加速させることが重要である」という手紙を書きました。それが原爆製造に繋がるマンハッタン計画がのきっかけになったとも言われています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/

 映画の中ではアメリカが原爆投下を想定していたナチスドイツが降伏してしまい、日本投下を決めるところも描かれているのですけど、シラードとアインシュタインがそれは本来の意図ではないと反対したことは描かれていません。

 彼らがそれをやめるようにとしたためた二度目の手紙(シラード執筆)は結局、大統領に読まれることはありませんでした。

 アインシュタインが戦争を忌み嫌ったことは、直接交流のあった長岡半太郎の文章に残されています。

 アインシュタインの最も嫌いな事は戰である。

 科學者はその研究した結果を軍事に利用するを喜ぶものがある。彼等は人道を辨えざる暴漢であると罵り、嘗て平和論者の會議にその主旨を開陳した。

 また日本に來たとき、大學に火兵學科の設けあるを聞き、身振いして恐怖の念を暗示した。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001153/files/54328_53130.html

 とはいえ、自分の研究が原爆開発のきっかけとなり、日本への原爆投下を止めることのできなかったことは事実で、それは彼の人生の大きな後悔となりました。日本の篠原正瑛(1912-2001)にこういう手紙を送っています。

 Einstein
“I have always condemned the use of the atomic bomb against Japan but I could not do anything at all to prevent that fateful decision,”

 

アインシュタイン  ※いっきゅう訳
「私は常に日本に対する原爆の使用を非難してきました。しかしその致命的な決定をとめるためには何もできませんでした」

https://www.theguardian.com/science/2005/jul/05/japan.internationaleducationnews

 アインシュタインがその手紙を宛てた篠原正瑛(しのはら せいえい)という人物は、ドイツ語の翻訳家であり哲学者です。私にとってとても興味深い人物なのですけど、 残念ながら、図書館でも篠原さんの著書は手にすることができませんでした。

 篠原さんがアインシュタインに送った言葉は私の平和論にも強い影響を与えています。会議だらけの日々なので、続きは会議ものが落ち着いてから書かせていただきます。

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鶴と亀の寿命はどのくらい?/たのしい理科・楽しい学力

 以前、たのしいゲームの紹介で「生き物たちの寿命を、それぞれより長いか短いかで並べていくカードゲーム」を紹介したのですけど、その時にメンバーのM先生から「鶴は千年じゃないの?」という素朴な声が上がりました。

《鶴は千年、亀は万年》というのは日本の古い言い伝えの中に出てきます、耳にしている子どもたちも多いと思います。

 でも古い時代に、1000年生きるとか10000年生きるという事実を誰がどうやって突き止めることができたでしょう。

 ユバル・ノア・ハラリのいうように、これも神様と同じフィクション、物語なのです。

 ではみなさん、鶴と亀の本当の寿命はどのくらいだと思いますか?

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ChatGPTに尋ねてみましょう。

 
ChatGPT

実際の鶴と亀の寿命は、種によって異なりますが、ことわざ「鶴は千年、カメは万年」というのは象徴的な表現であり、実際の生物学的な事実とは異なります。

の場合、野生の鶴は通常20年から30年ほど生きることが多いですが、保護された環境下ではそれより長く生きることもあります。

は、特に大型の陸亀や海亀などは非常に長寿であることが知られています。一部の種では50年以上生きることもあり、中には100年以上生きる種も存在します。例えば、ゾウガメは150年以上生きることも報告されています。

これらの数字は、日本のことわざに登場するような極端な長寿ではありませんが、鶴と亀が比較的長命な生き物であることを示しています。


 一つの情報源(ソース)で物事を判断してはいけません、フェイク情報に騙されてしまう可能性があるからです。

以前紹介した『寿命図鑑』を開いてみましょう。この図鑑には平均的な数字が記されているのですけど、ChatGPTの情報と近いようです。

 他のサイトもいろいろみていくと「鶴は25年くらい、カメは50年くらい」と考えてよいでしょう。

 千年万年ではなくても、鶴より亀がずっと長生きだということは昔の人たちも正しくつかんでいたことに驚かされます。

 寿命はその生物の基本情報です、みなさんもいろいろ調べてみませんか。
 たのしい自由研究になると思います。

 読者の方から学校にこういう大型の本があったという情報が届きました、私は未読ですけど、みなさんの身近にもあるかもしれませんよ。

https://amzn.to/49xSnrw

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来月店を閉じる本屋さんに行く@本当にお世話になりました

〈たの研〉の活動で使う本を買う時によく利用していた本屋さんが来月店を閉めると聞いて、行ってみることにしました。※最新メルマガの〈たの研の日々〉を加筆・編集しておとどけします

 私は今でも活字中毒のままなのだけど、〈たの研〉の目標がおおかた達成されてヒマができた時まで、本を読む時間は減らそうと考えていて、新本で購入するのは欲しい本20~30冊の中で一冊くらいです。

 去年のことを考えても本屋さんで買ったのは30冊くらいだと思います。電子本やオーディブル(朗読)もあるので、書籍(紙の本)を買う機会はますます減っています。
 一般の方たちも、紙の本を買うのはとても減ってきているといいます、本屋さんが採算をとるのはかなり難しくなってきているでしょう。

 けれどやっぱり紙の本はいい。
 実体があるだけに、デジタル情報よりずっと心に染み入ります。
 この『スピノザの診療室』も『星を編む』もとてもおもしろそう。

 電子書籍と紙の本と、そんなに違うのかと不思議に感じる人がいるかもしれません。
 でもパソコン画面でブラッド・ピッドを見るのと、喫茶店の向かいにブラッド・ピットが座っていて眺めるのとではぜんぜん違いますよね。
 喫茶店の場合は、話しかけたら返事してくれるくらい身近です。
 デジタルデータと紙の本とでは、それくらい違う感じがします。
 ま、活字中毒者ゆえのバイアスもかかっているのでしょうけど・・・

 店内を歩いていると「この棚では黒澤明の本を買ったなぁ、ここでは合格SVのあの本とあの本、子どもたちのコーナーではヨシタケさんのあの本とこの本を・・・」と、本の表紙まで想い起こされます。

☆⭐︎⭐︎☆⭐︎⭐︎☆⭐︎⭐︎☆

 前回買おうと思って控えていた本を手にレジに立っていると、元気な店員さんが親子のお客とたのしそうに会話しています。
 私の番が来て清算し、記念にと本を包んでもらうことにしました。
 ラッピングが終わって受け取る時
「お店を閉じると聞いたのですけど…」と話しかけると
「はい、来月いっぱいで店じまいです!」
と元気な声が返ってきました、すでにたくさんの人たちと交わした言葉で、気持ちの整理もついているのでしょう。
 いろいろな想いを込めて
「長い間、本当にありがとうございました」と伝えると、店員さんの動きのリズムが一瞬崩れ、その後、声は聞くことはできませんでした。

 本を差し出してくれた店員さんに、お辞儀をして、まるで卒業証書のようだと感じながら両手で受け取りました。

 入るときには大雨だったのに、外に出る時は雨が上がり春風が吹いていました。

 季節の変わり目と社会の変わり目を同時に感じる日になりました。

 また行こうと思います。

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New*たのしい国語プログラム「文字の力」/〈授業書@たの研〉-完成

 皆さんは国語の勉強は好きですか、好きでしたか?

 私の友人たちは
「おんなじ作品を毎日読まされて苦痛だった」
とか
「半分はずっと漢字語句の練習で退屈だった」
というような思い出を語っていました。

 最近、子どもと一緒に春の講座を受講したお母さんから嬉しいたよりが届きました。

うちの子はこれまで自分からすすんで図書館で本を借りることはなかったのですけど、春の講座の後「お母さん〈窓際のトットちゃん〉の続きがとても気になる・・・、図書館に連れていってくれない」と言ってきて、とても喜んでいます。

とのことです。

 春の講座で「朝の連続小説」として小分けして読み進めた作品が『窓際のトットちゃん』でした。

 他にもたくさんの人たちがきっと手にしてくれているのだろうと予想しています。

 国語は、たくさんのたのしみを運んでくれます。

 さて、以前から構想していた〈国語の授業書@たの研〉がまた一つまとまりました。身近な先生たちに読んでもらっているのですけど、好評です。

 ある手紙を読んでもらうところから始まります。

 新学期に、いろいろな先生たちが子どもたちに試して、子どもたちの評価を確かめてからお頒けする予定です(有料)。

 おたのしみに。

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