たのしいブックレビュー「いっしょだよ」小寺卓矢 文・写真(アリス館) 1540円(税込)

 図書館司書の方から届いた便り理を構成して〈たのしいブックレビュー〉としてお届けします。

 公式サイトの〈人体センサー〉の記事でキノコの写真が出ていて、ふと「いっしょだよ」の絵本を思い出し、久しぶりにページを開いてみました。

絵本「いっしょだよ」(リンク)

 広い広い森の中で、小さな生き物から植物たちや自然が関わり合いながら生きている、きれいな写真絵本です。

 癒されます。

 森の中に行くことができなくても、写真を見ているだけで森の雰囲気や香りを感じることができていいですよ。

 うまれたばかりのきのめも、おはなも、きのこも、くものこも・・・
 風や自然も・・・
 みんなひとりぼっちじゃないんですね。

この本からクイズです。
小寺さんは「何といっしょ」と書いているでしょうか、写真を見ながら考えてみてくださいね。

① 草は いっしょ (     ) といっしょ    
 



答え くさは いっしょ  ( 水 ) といっしょ

第2問 たねはいっしょ (      ) といっしょ
   



答え たねはいっしょ  (  かぜ  ) といっしょ

第3問 木はいっしょ (      ) といっしょ



答え 木はいっしょ ( おひさま ) といっしょ

 作者の小寺さんが書いた答えです。

 でも、それ以外にもいろんなものと実は一緒に生きているんですよね。

作者の小寺卓矢さんは、「森が大好きで一日中森を歩き、その時々に出会う〈美しいもの〉をひとつひとつ拾いあつめるように撮影している方です。

「森はほんとにすてきな場所です」と言っています。

 そして「こんなに森がすきになったのは、五歳の頃、母親と一緒に歩いたふるさと・神奈川の名もない小さな森が原点かもしれない」と書いています。

「こどもたちに、森が教えてくれたことを伝えたくて絵本を作るようになりました。本を通じて森に生きるいのち、そして自分自身のいのちの美しさや大切さにきづいてくれたら何よりも嬉しいです」とい言葉もありました。
 遠い自然だけでなく、私たちの周りの近くの自然の中にもすてきなところがあるんですよね。

 小寺さんの作品は他にもいろいろあります、これは「だって春だもん」の表紙です。笑った顔の表情や、両手をあげているように見える新芽もほんわかした気持ちにさせてくれます、おすすめです。

 3月6日ころは〈啓蟄/けいちつ〉で、冬眠から動物やカエルたちが目を覚ますころです。小寺さんは、そうした、春をまつ木や花たちが私たち人間よりも早く春を感じて いるのをこの写真絵本で静かに優しく伝えてくれています。

きれいですよ。
私たちは自然の恵みの中で癒されて生きているのだと感じます。
マイブックにしたい絵本です!

 

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おすすめブックレビュー『ただのおじさん』ふくだすぐる作絵 (岩崎書店)/たのしい読語り

とてもほのぼのとして、心からほっとします。
何も考えずにただ読むだけでつい微笑んでしまいます。
ぼーっとしたい時や、忙しくてハードな日々が続いているときなども、よく手に取って見たくなる絵本です。おじさんの優しさと動物たちに癒されるんですよ。

 先日、お友達が研究所を訪ねて来てくれました。
 この絵本を読み語りしたら、とても喜んで「絵本もいいですね。図書館にも行ってみようかな」と話してくれました。

お気に入りの場面をいくつか紹介します。

おじさんのいえには
いろんなどうぶつたちが
あそびにやってきます。
まずタコさんです。

 タコさんは「ぼくがいすにすわると、こんなことになってしまうんです」と、イスから転げ落ちて、床にべたーっとしてしまいます。

 その時のおじさんのことばがいいんです。

「タコさんだからできるんだねーすばらしい」

いいな〜
私までうれしくなりました。

一番笑ったのがライオンさんです。

「おじさん、わたしのあたまを かりあげにしてください」
ライオンさんは、ぼさぼさのたてがみがイヤになってきたのです。
「えーーー切っちゃうの?」



おじさんはハサミで、チョキチョキ・・・チヨッキンキン
トラガリにしてあげました、大爆笑!

 聞いているお友達も笑いがとまりません。

 トラガリにされたライオンさんがつぶやいた
「ライオンにたてがみが ひつようなわけが なんとなく わかりました」
という言葉も笑えました。

ねこさん、ぞうさん、ねずみさん、やぎさん、おさるさんたちも出てきますが、そのやりとりもおもしろいですよ。
ラストのページで、ヤギさんのせなかで気持ちよくねむっているのも気持ち良さそうです。
  

 時には、ほのぼのとた絵本もいいですよ。
 もう古本などでしか手に入らないようです、図書館などでも探してみてくださいね。

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たのしいお話 「3人娘と悪魔」 予想してみよう

 前回の「三年峠」に続きます、それぞれ独立して読んでも大丈夫です。前回と違って出典は思い出せないのですけど、内容の幹は覚えています。私の脚色で書いてみましょう。

 あるところに三人の娘とお父さんが仲良く住んでいました。

 父親が仕事にでかけたある日、悪魔がやってきて娘たちに
「お前の父親の命をもらっていくことにする」と告げました。

 一番上の娘が「何とか一年だけその日を先に伸ばしていただけませんか」と願うと、悪魔は必死にたのむ娘の姿に打たれて
「分かった、願いを聞き入れよう」
と去っていきました。

 一年後、悪魔がやってきました、季節は〈春〉です。

「約束通りお前の父親の命をもらっていく」

 すると二番目の娘がいいました。

「姉の願いを聞いてくれたのですから、私の願いもお聞き下さい。
 この季節が終わるまで、父の命を奪うのはまっていただけませんか」

 悪魔は困りましたが、それくらいならと考え
「分かった、願いを聞き入れよう」と言い、去っていきました。

 季節がハッキリ変わりました。
 時は〈夜〉、父親が眠りについた後、悪魔がやってきました。

 「約束通りお前の父親の命をもらっていく」

 すると三番目の娘がいいました。

「姉たちの願いを聞いてくれたのですから、私の願いもお聞き下さい」

 悪魔は困りましたが「まず願いを言ってみろ」と伝えました。

 三番目の娘は「このロウソクが燃え尽きるまで、父の命を奪うのは待っていただけませんか」と言いました。

 悪魔は、それくらいならと考え
「分かった、願いを聞き入れよう」と言い、去っていきました。

 それからもう二度と悪魔は現れませんでした。
 三人の娘と父親は通り仲良く幸せに過ごしていきました、とさ。

おしまい!

というお話です。

さて、この四角の中にはどういう言葉がはいるでしょう。

考えてみませんか。

こども達が出すいろいろなアイディアについて、「うん、いいねぇ~」「なるほどね」とか「当たっているといいね」という様に答えてあげてください。このお話の結末より、もっといいアイディアが出てくるかもしれませんし、違っていても、予想したそのアイディアはその子の賢さにつながります。

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予想してからね

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 四角の中にあるのはこういうワンフレーズです。

「すると三番目の娘は、フッと息をかけ、ろうそくの炎を消してしまいました」

 でうでしょうか。

 私の好きな話の一つです。

 ぜひ学校や家庭で話してあげてください。

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たのしいお話〈三年峠〉

〈三年峠〉というお話を知っているでしょうか、国語の教科書にも取り上げられるようになったと聞きましたから、読んだことのある人もいるでしょう。
 これまで読み語りで取り上げてきたたくさん絵本・ものがたりの中の心に残っている韓国のお話です。記憶の違いがあるかもしれませんけど、こういう物語です。

 そこで転ぶと三年後に死んでしまうという恐ろしい峠がありました、いつしか〈三年峠〉と呼ばれる様になりました。

 「三年峠で転ぶと三年後に死んでしまうぞ、用心用心♪」そんな歌を歌いながら、村人はみんな転ばない様に気をつけてゆっくり歩いています。

 ところがある日、あるおじいちゃんが転んでしまいました・・・

 もう大変。

 三年後に死んでしまうとなったおじいちゃんは、心配で心配でとうとう寝込んでしまいました。

 そこにある娘がやってきて、おじいちゃんにある話をします。

 それからおじいちゃんは、とても元気に過ごすようになりました。

 さて、姪っ子はおじいちゃんに何と語ったのでしょう?

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予想してみてね

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予想してみてね

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 こう語ったのです。

「おじいちゃん、三年峠で一度転ぶと三年後に死んでしまうなら、もう一度転べばさらに三年後、6年生きられるのですよ。3回転べば9年後。
さぁ、おじいちゃん、転びにいきましょう」

おじいちゃんは喜んで、ころころ転んで「これで百年でも二百年でも生きられるわい」そういいましたとさ。

 そういうお話です。

 絵本はおじいちゃんの表情もインパクト強く描かれていて、きっとこども達の心にも残る作品になると思います。「これはいい」と思える作品にたくさん出会えた分、たのしく賢くなると思います。

 実はこの〈三年峠〉を前フリにして次の話をしたかったのですけど、思っていたより長くなったので、次に回しましょう。
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