チャールズ・ダーウィンという人物を〈難しい本を書いたとっつきにくい人物だ〉と考える人は多いかもしれません。こういう肖像画が残されている上に、著書は分厚くて気軽に読める感じがしないこともあるでしょう。
「種の起源」を読むまでは私もそう感じていた一人です。
学生の頃手にしたその本は、装丁は重々しく権威立っていたものの「これが正しいのである」という上段に構えたところは一切なく、「皆さん、信じられないかもしれませんけど、こうとしか考えられないんです。たとえば人間に飼育栽培された植物や動物たちをみていくとこんなにたくさんの変種が出て来ますよね・・・」という様に具体例をいくつも出しながら語りかけてくれます。
その具体例も身近なものからいくつも出してくれています、たとえばこうです。
私は、家禽であるアヒルと野生のカモを比較すると、全骨格の重量に対する翼の骨の重量比はアヒルのほうが小さく、脚の骨の重量比はカモのほうが小さいという事実を見つけた。
このような変化は、原種にあたるカモに比べるとアヒルはほとんど翼を使わない一方で、歩く量が増えたためであると考えてまず間違いないだろうと思われる。
習慣的にウシやヤギの乳を搾っている地方では、乳を搾らない地方に比べて家畜の乳房が遺伝的に大きく発達している。これも、使用頻度が形態に影響を及ぼす例である。
家畜には必ず、耳が垂れている品種がいるものだ。耳が垂れているのは、耳の筋肉を使わなくなったためであり、それは危険を察知するために耳をそばだてる必要がなくなったからだという説があるが、それは理にかなっている様に思える。
ダーウィン. 種の起源(上)
(Japanese Edition) . Kindle 版.
生物は神様が作ったと信じて疑わない人たちにとって、生命はゆっくりと進化していくものであり、人間も元は別な動物たちとにた種だったという様なことは衝撃的なことだったでしょう。
こんな突拍子もないことを「これが正しいのである」と語っても信じてくれるわけがありません。
だから「皆さん、信じられないとは思うんですけど、私の研究してきた結果からいうと、こうとしか思えないんです」という様に、謙って、丁寧に丁寧におりかさねる様に、その事実を提唱していったのです。
絵本「生命の樹」を読んでから、ダーウィンさんが人間味あふれる愛すべき人物に思えてきました。
その後わたしは敬愛を込めて〈ダーウィンさん〉と呼ぶようになりました。
自分に誠実で、周りの人たちに優しく丁寧な人物だったに違いません。
ダーウィンさんは、医者になる勉強をしていたのに、授業中、手術中の患者の苦しみをみて、逃げる様に外に飛び出し、その後、大学をやめてしまいました。
そういうところも、私にはとても人間味あふれる人物に思えてなりません。
はじめに書いた様に『種の起源』の日本語訳は丁寧だとはいえ、やはり堅さがあります。
とてもとても時間があったら、写真やイラストをたくさん加えて小学生から読める様なものにして出したいという気持ちがあります。
著作権は切れているので、英文は無料で読むことができます。
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