板倉聖宣の発想法「あそびと勉強の分裂 」-学力向上の本質-

 今週号のメールマガジンを執筆していて、あらためて板倉聖宣の発想が教育界で革命的だったことを感じています。かつて「ひと」という雑誌がありました、1973年創刊で太郎次郎社が発行です。

「私のあそび論」というほのぼのしたタイトルの中で、切れ味良い論をスパンスパンと繰り出しています。
 その中の一つ「本来勉強というのはたのしいものなんだ」という話を紹介します、1974年5月号の「ひと」誌からです。

板倉聖宣「あそびと勉強との分裂」
 勉強というものは、もともと子どもたちにとって、いやなものではありませんでした、自分の興味・関心をおしころさなければならないものではありませんでした。
 そのことは小学校にはいるまえの子どもたちが示す勉強ずき、テストずきのなかにもはっきりと見てとれます。
 小さな子どもたちは、テストの問題をゲームをやるようにたのしむこともできるのです。子どもたちは、自分のペースでならいろいろの問題を考えたり解いたりできるようになるのです。
 それはあそびそのものであり、たのしくてしかたないのです。それなのに、小学校にはいるとまもなく、子どもたちは勉強がきらいになってしまいます。それはどうしてでしょうか。
 それは、学校で教えてくれる勉強というものが、子どもたち自身がたのしんできたあそび=勉強というものとちがった性格のものになってくるからです。
 まず第一に、そこではマイペースが重んじられず競争させられます。
 教師は〈勉強はもともとたのしくないものだから競争させて勉強させるよりほかない〉と考えているからです。
 それだけではありません。学校というところでは、子どもたちだけでなく、当の教師までがなぜ教えなければならないのかよくわかってもいないことがらを教えこむことになるのです。
 はじめはどうしてそんなことを勉強するとたのしいのか子どもたちにわからなくても、教師がそれについてはっきりした考えをもっていれば、その勉強のたのしさが子どもたちにも伝わるはずです。ところが、教師はいともかんたんに、「これはどこの学校でも教えることになっているから勉強しなければいけないのよ」といったぐあいに、子どもの興味などそっちのけに授業をすすめていくようになるのです。
「勉強したい」「教えたい」から勉強したり教えたりするのではなく、「教えることになっている」から「勉強させられる」ことになるのです。
 そこでは、もはやあそびにつきものの自発性はまったく無視されるようになります。教師が管理体制にくみこまれて義務的に教育をすすめることが、子どもたちの勉強をわけのわからないものとしてしまうのです。

 たのしい教育は理論だけでなく〈実践〉とセットです。子どもたちが本来の学びの姿をとりもどす、先生たちも教育本来のたのしさを味わう、そういう具体的なプログラムがたくさんそろっています。

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評価感想は宝物で大切な実験結果-楽しく評価論

 先生や保護者のみなさんで、自分のこどもに評価してもらっている人はどのくらいいるでしょう? 「自然に評価が生まれるからいいじゃないか」と考える人がいるかもしれませんけど、自ら積極的に評価してもらうことです。
 家族でやる時には、直接自分を評価してもらうのは慣れないと思うので、たとえば「今日行ったレストランの評価は?」とか「今度みた映画の評価は?」を〈満足度〉で5段階評価してもらうとよいと思います。
 加えて『どうしてそう評価したの?』尋ねて、理由を聞いてあげてください。
 そのうちに慣れてきたら、家庭のことや学校のことなどを評価してもらって理由を尋ねていくことで、対話も生まれて、〈ではどの様にしていこうか〉という具体的な方向性も見えてくる様になります。

 教師はどうでしょう?

 子どもたちのために日々の教育があるわけですから、一番大切な子どもたちの声を具体的にはたずねる行為は必須だと思います、学期末に教師側からの評価を伝える何十倍も必要だと思います。

 顧客を大切にして伸びている企業は顧客数の増減で判断する前にそうしていますし、それを無視する企業は潰れていきます。学校は顧客数にあたる〈登校率〉がどんどん減ってきているわけですし、従業員にあたる先生たちが勤務内容に耐えられずどんどん病休をとる、つまり本務の従業員数がどんどん減ってきているのに、その現象を早く察知できる〈評価・感想〉をとるスタイルはほとんどないと思います。

 明治期に先進国を真似て形作った学校教育のスタイルは強力で、いまここにきてもその形を本質的に変えるまでにはいたらないのですね、だからこそ、たのしい教育研究所の地道な取り組みは大切です。教育に全力投球する仲間同士として、学校が少しずつ子どもたち・先生たちの笑顔が増えていく方向に、〈行きたい〉と思ってくれるところにシフトするための取り組みは大切だと思います。

 長くなりました、これは最近実施した〈特別支援教育もたのしく〉の参加者の皆さんが残してくれた評価感想です。時間の関係で、後日送信してもらうスタイルにしたので、まだ全員分の確認はできていないのですけど、これまで確認した評価は全て満足度100%です。

 いくつか紹介します、個人名が出た部分は伏せてあります。

 

 もう一つ、かなり具体的に内容の部分もあったので伏せておきました、ご了承ください。

 学校でもこんな感じで書いてもらうとよいと思います、もちろん毎時間毎時間は難しいと思います、でも1日一回、この授業についてとか、今日の1日についてという様な評価は可能だと思います。

「評価論」としてまず〈たのしい教育メールマガジン〉に書きたいと思っているテーマです。

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学校での保護者トラブル対策の具体案(予防策)

 学校管理職の方たちを中心にいろいろなトラブル解決の具体的な相談がやってきます。保護者の数だけいろいろな要望・目標があるわけですから〈学校のトラブル解決〉というと多岐に渡ります。そういう中でなかなか解決に至らない事例について、《PEALカウンセリング》として解決や予防、つまり相手側の目標を明らかにするところから解決に至る流れや、《たのしい教育》による新しい取組みによって解決に至る流れ、《法的な整理》によって整えていく流れなど、複数の具体的な手順があるのですけど、その中でたまに提案することがある〈ワンポイントの工夫〉があります、これは結構効果があります。

 たとえば保護者から相談があり、それがクレームを伴う要望となり、さらに罵倒を伴う叱責となり、脅迫的な文言に発展することがあります。よく起こるとはいえないのですけど、私の様にいろいろな相談を受ける側の目でみると「どの学校でも起こっているだろう」と言ってよいと思います。

 保護者は《自分の子どもを何とかしたいという個別の問題》からはじまりながら、たとえば「学校はそもそも子どもが学校に行きたくなる様なところではないじゃないか」という様に《教育界全体への不満》を爆発させてしまうこともめずらしいことではありません。

「教師はもっと早く学校に来て子どもたちを迎えるべきで、朝8時過ぎに来るのでは遅すぎる」といった〈学校のブラック企業化〉を増幅させ、さらに教師不足に拍車をかける様な主張をする方も実際います。

 親がそうであるように教師にも〈個人としての暮らし〉があります、「教師ならこれこれができてあたりまえ」という要求は基本的人権の問題まで行き着くのですけど、そういう人権を考えない要求はいくらでもあります。

「教師は子どもたちよりずっと早く学校に来なさい」という問題を解決するには、私が常々考えていた〈学校の開始時間が子どもにとっても大人にとっても早いと思う、10時あたりから始まったらよいのではないだろうか〉ということを検討することになるでしょう。
 生活リズムとかいうけれど、子どもを起こして寝ぼけまなこで食事・歯磨き・着替え・トイレを急かして、ほとんど会話らしい会話なく学校に送る流れは、早すぎると思うのです。
「今日は学校でどんなことするの?」
「あ、あの宿題まだやってない、やらなきゃ!」
「友達のよしおくんは、今日、午後からおやすみして英検受けにいくんだって」
という様な対話ができる様な家族の時間が朝、生まれるくらいのゆとりが欲しいと思うのは私だけではないと思うのですけど、どうでしょう。

「じゃあ、親はどうする、会社にいけなくなるではないか」となる。
「では会社なども10時くらいから始まる様にしたらいいではないか」となる。
「コンビニとかスーパーはそうもいかないでしょう」となってしまう。
そもそも100%うまくいく方法はないので、今より少しでもよくなっていく方法を《予想⇨実験》の流れですすめていくしかありません。

 さて話をもどして〈相談〉⇨〈クレームを伴う要望〉⇨〈罵倒を伴う叱責〉⇨〈脅迫》が起こることのある学校で、それをどうしていくかという話です。
 根本的な解決ではなく、技巧的なアイディアですけど、これが結構効果的です。

「うちの子のノートに誰かが悪口を書いてある、そういうことも知らないでよく教師と言えるわね、教師失格でしょう」といった罵倒を叱責を長々と受け続けると、教師は当然落ち込み、クラスのこどもたちへ関わる元気も失っていきます。ちなみにこのケースは誇張して書いているのではなく、実際の相談事例を少し脚色して書いているだけです。教師も失敗しますから、謝罪は必要ですけど、たくさんの子どもたちとコミュニケーションをとり、学習や安全、食事、健康などをみていく一人の教師が、全ての子どもの行動、困りごとを把握することは無理です。

 親から冷静な相談がある時はよいのですけど、それが罵倒・叱責・脅迫とすすんでいく予想が立つ時に提案さてせいただいている一つが『録音』です。
 コールセンターなりに電話すると「この通話は内容の把握、再確認のために録音されております」というメッセージが流れてきます。そういう様にして学校の電話も録音できる様になるとよいと思いますし、のちのちは間違いなくそういう流れになっていくと思うのですけど、今の突出して意識の高い教育委員会でないと難しいでしょう。

 なので個別に「後で校長先生や教頭先生にお話の内容を正確に伝えるために録音させていただきますね。学校は個人情報の取り扱いが厳しいので内容がいろいろなところにもれるということはありません、ご安心ください」とお話ししてスマホの録音機能を起動させましょう。

 これは教師だけでなく相手方がどんどんエキサイティングになっていくことを抑制する作用がありますから、話合いという域を超えないようにするという意味で、相手側にもメリットがあると思います。

 学校に来てお話する時にも同様にすることをおすすめしています。「後で関係者も交えて内容を正しく把握する必要がありますので、録音させていただきます、個人情報の取り扱いには注意して取り扱いますのでご心配なく」と話して録音をとりましょう、校長先生が同席する時にも同じです。

 これだけで、相手は無茶な話をしなくなる率が圧倒的に高まります。私に相談に来た方たちで、これを実際にやってみた時の成功率は高いので、いろいろなところでもうまくいくと思います。

 悩んでいる方たちは検討してみてください。

 そう提案すると「やってよいか教育委員会に相談してみます」という管理職の方がいました。もちろんそれでよいのですけど、「録音してください」といえる教育委員会は今のところほぼいないでしょう。教育委員会だけでなく事務所系の常として〈自分たちの責任問題〉に発展しかねない危険性は徹底的に排除する方向ですすむでしょう。

  シンプルに書くつもりが、いつもの様に長くなってしまいました。

 実は〈相手が同意しなかったらどうするか〉という問題が一つ残っています、この記事への反響をみて、言及するか判断したいと思います。
 ご意見・ご感想よろしくおねがいいたします。

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楽しい国語-にんげんぴかぴか〈子ども詩2〉川崎洋編 中公新書から

 先日書いた《「にんげんぴかぴか」こどもの詩2》の中から、また二つの詩を紹介させてください。

二十年後の自分へ
           遠藤洋希(茨城・小2)
ちゃんと生きているかい?
車はかったかい?
ちゃんとすごしている?
しごともしてる?
おかねは ある?
生きているんならいいんだよ
もうマミーと はなれた?

川崎さんの短評

マミーはままのこと。この詩、アルバムの写真と一緒にとっておくことをすすめます。

小学二年生の20年後って夢がありますね。
普段の生活の中で仕事とか、車とか、お金とか頭に浮かぶかもしれませんね。
「ちゃんと生きているかい?」「生きているんならいいんだよ」って、言葉に、思わず作者の学年を見直してしまいました。
 小学校2年生ですよね。
 なんだか生きていることが素晴らしいんだよって言ってくれているようでホッとします。
「もうマミーと はなれた?」
親子関係が目に浮かんでくるようですね。

私の20年後はどうなのでしょう。
やっぱり、20年後は長いので「二年後の自分へ」と考えてみました。
考えるだけで自分の今後の動きを意識するようになるんですね。
おすすめです

 9.11
         矢沢拓也(新潟・中1)
9.11は僕の誕生日だ
でも、2年前から
米同時多発テロの日になった
僕にとってうれしい日が
テロや報復の日なのは悲しい
9.11は 世界中の人たちが
平和を考える日になってほしい

川崎さんの短評

何度も読み返しました。

戦争を続けている国があります。
最近もまた戦争状態になっている国があります。
誕生日の9.11が悲しい出来事の日となってしまったのだけれど、そういう中で平和を願う気持ちが伝わってきます。
悲しい日ではなくて、笑顔の溢れる日々になってほしいです。

 国語の時間や、家族団欒の時間に、こういう詩を紹介することができるとよいですよね。

 いっきゅう先生が、たのしい教育を学びにきている先生たちに「短い言葉が詩なのではありません、感動がグッと詰まったものが詩なんです」と語っていました。
 みなさんの好きな詩があったら、ぜひおしえてほしいです。

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