季節は二十四節気で感じよう

 やっと暖かくなるかと思ったらまた寒さがやって来て、その繰り返しで鼻声になったり… そんな人もいるでしょう。寒がりの私は冬になると毎年のように「沖縄って、こんなに寒かったっけ」と呟いています。

 さて三月の中ごろとなった今日この頃、季節はもう春といってよいでしょうか?

 二十四節気(にじゅう しせっき)は気候の変化を刻む、とてもよいツールです。

 国立国会図書館の「日本の暦」のページにまとめられた表をご覧ください(国立国会図書館に感謝して利用させていただきます)。新暦3月21日ごろが「春分」です。

 「春分」は夜と昼の長さがほぼ一緒になる日で、この日を境に次第に昼の長さが長くなっていく、つまり日照時間が長くなるので、日に日に暖かくなっていきます。

 ちなみに夜がもっとも長いのが「冬至」、その日からゆっくり夜が短くなっていき、春分に近づくわけです。昼が最も長い日が「夏至」、そしてまた昼夜の長さがほぼ同じになる〈秋分〉となり、一年をめぐります。
 二十四節気は、昼の長さ・夜の長さを〈春分〉〈夏至〉〈秋分〉〈冬至〉と名付けてはっきり区切っているわけです。天体の動きをはっきりとらえているからこその区切りです。
「立春」というのは、最も寒い頃で「この日から春に向かうぞ」という日、人々が寒さを乗り切ったことを讃えあう日です。

 あと1週間ほどで春分の日、この日を境にしてもう寒くなることはないでしょう。

 ちなみに『暑さ寒さも彼岸まで』の〈彼岸〉は仏教用語ですけど、春分・秋分の日を中心にした1週間を示しています。やっと寒さが終わる日がやってきます。
 みなさんも家族、友人とお祝いしませんか。

 二十四節気でパーティーすると月に二度くらいの割合になります、なかなかよいなと思うのは私以外にも多いのではないでしょうか。

 季節を感じながら、たのしくいきましょう。

 

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楽しい教育は先にやるか、あとに取っておくか?/たのしい教育メールマガジンのすすめ

 メルマガ最新号の発想法の章で紹介した内容にさっそく反響が届いています。たのしい教育ははじめでやるか、あとの方に取っておくかという話です。

 〈たの研/たのしい教育研究所〉の応援団として力を貸してくださった板倉聖宣先生の講演内容から少し紹介しましょう。2002年08月、群馬水上温泉で開催された入門講座で語られた一節です。出典に「たのしい授業で変わる学級・学校・社会」というメモがありました、そのガリ本からコピーしたものを伊良波さんがサークルで紹介してくれたのだと思います。

板倉

 『たのしい授業』紙上で一時大きな話題になったことがあるのですが「たのしい授業はとっておきにしておいた方がいいのか」ということがありました。
 これは例えばものを食べる時に、美味しいものを後にとっておく人と、美味しいものを一番初めに食べてしまう人と2種類のタイプがあったりしますけれども、美味しいものは腹一杯になってから食べでも、あまり美味しくなくなっちゃったりします。
 そんなのは好き好きでやっていいわけですが、こと授業に関して、つまり「たのしい授業を後にやるか先にやるか」ということに関しては、かなり実験結果が出ております。
「たのしい授業は初めにやった方がいい。後にとっておかなくてもいい」
 これが結論です。

 あと17日で4月、学校では新しい子どもたちの出会いの月です。子どもたちをたくさんたのしませてあげてください。

 このサイトにも授業のヒントをいろいろ書いているのですけど、メルマガには、具体的な方法を具体的に紹介しています。新しい出会いに向けて、みなさんも購読しませんか?

 教師以外の読者も増えています、人生の見方・考え方としてもお役に立てる内容です。また、たのしい教育の普及に対する応援の意味でもかなり強い力になっています。

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私たちが〈人間は決して変わり得ない〉という考え方に立てば死刑も認める/平野啓一郎『ある男』より

 読者の方から質問が来ました。中学生か高校生かと思うのですけどはっきり確認しているわけではありません。〈たの研/たのしい教育研究所〉にくる質問の中では異質だったのですけど、私の中にあることが浮かんだので紹介したいと思います。

「死刑制度についてどう思いますか」というのが、その問いでした。

〈賛成ですか、反対ですか〉ではなく「どう思うか」です。

 読者の皆さんの中には、死刑制度に賛成の立場の人もいるでしょう、反対の立場もいるでしょう。

 それぞれの立場の人たちの考えを聞いても、それぞれ相手を納得させるだけの理屈があります、「それは違うでしょう」と簡単にいえるような軽いものではありません。

「相手の命を否定するような人間は自らの命が否定されても文句は言えないかもしれない」という武者小路実篤の『真理先生』の中に出てくる理屈は死刑制度ともつながるでしょう。

 冒頭の言葉は平野啓一郎原作の映画「ある男」の中に出てくるセリフです。そしてそれは「しかし私たちは人間は変わりうるという立場に立っています」とつながります。
 この考えを簡単に否定できるでしょうか?

 こうやって考えていくと「人によって意見は異なる」という結論から先にすすめそうもありません。

「何が真理か、それは仮説実験的な認識によってのみ明らかになる」というのが、〈たの研〉の認識論です。ちなみに設立当時からうちの応援団を担ってくださった板倉聖宣先生(日本科学学会元会長/仮説実験授業研究会初代代表)が明らかにした認識論です。

 死刑制度の良し悪しも仮説実験的認識論で明らかになるのだろうか?

 ふとそう考えてみたのです。

 〈何が真理か〉という時には科学的な真理をテーマにしています。制度・法律は約束事だから科学的な真理とは違う、仮説実験的認識論で扱うものではないという考えもあるかもしれません。しかし自然科学だけでなく「社会的な科学」もあります。たとえば人口変動はこうなるというような予測は科学的に明らかにできますし、需要と供給の関係も法則的にはっきりしています。
 権力は腐敗する、というのも社会的な科学といってよいかもしれません。現在の日本のシステムではなく、厳格なる三権分立は、その抑制に役立つというのも法則的なものだと思います。

 死刑がある社会が人々の幸福を保証する方向に向かうのか、そうではないのか?

 それは社会的な科学の問題として明らかにできないでしょうか。

 とはいえ、それは簡単な問題ではありません。
 たとえば「戦争がどんどん起こる世界と、戦争のない世界は、明らかに戦争が起こらない世界が幸せだ」と言えそうですけど、片や監視社会でがんじがらめとなって、人々から選択肢がなくなっていくような社会、普通なことつまり平均的な行為からはずれる人たちはどんどん刑務所に入れられていくような社会であったら、戦争はなくても幸せとは言えないでしょう。

 死刑制度がある社会と死刑制度がない社会のどちからが多くの人々の幸せに近いのか、どうやって確かめていったらよいのでしょう?

 死刑制度のある国とない国との比較でしょうか。
 簡単に死刑が実施されていた時代の日本と、今の日本との比較でしょうか。

 簡単に答えがみつかるとは思えないのですけど、予想を立てて調べていくことのみが真理にたどりつくことは間違いありません。

 思考停止してしまうことより、問題意識をもって考えていくことの方が、遥かに素晴らしいことです。

 そういう中で、きっと死刑制度の是非がはっきりしてくるでしょう。
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楽しい環境教育②「増やして減らしてエコロジカル!」

 何年か前にこのサイトに書いたコピーへの問合せもあり、「増やして減らしてエコロジカル!」についてさらに書きたいと思います。

 エコロジカルの前にエコロジーについて…

 エコロジーは「生物と環境とのつながり」のことです。生態系・生態学と訳されます。

 生物と環境は本来、循環しながら繋がっていますから、循環型社会というイメージでもよいでしょう。

 エコロジカルというのは、生物と環境がうまく循環している様子を意味しています。

 子どもたちと環境学習、循環型の社会システムについて学ぶ時、子どもたちは現在の地球温暖化の問題は耳にしています。微小粒子状物質(PM2.5)の問題について知っている子もいるでしょう。
 このままでよいと考えている人はほとんどいないと思います。

 環境の危機について学んだ後、こう質問してみてください。

「皆さん、その環境問題をよくしていくために、私たちができることって何でしょう? 〈何かを増やして、何かを減らす〉というテーマで考えてみましょう」

 私自身が学校で授業してきた中で、声が上がらないということは一度もありませんでした。

 子どもたちも真剣にいろいろなことをかんがえてくれます。

 森林がCO2を減らしO2を増やすことは理科で学びます、「森を増やす、木を増やす!」という声もあがるでしょう。

 ところが子どもたちが森を増やすというのには無理があります。木を育てるのは無理ではありませんけど、たとえば自宅でやるには難しいこともあります。

 けれど緑を増やすということでイメージすれば子どもたちにもできることがたくさんあります。

 野菜だってCO2を吸って炭素Cを取り込み、酸素Oを空気中にポンと排出してくれます。ゴーヤーのグリーンカーテンは建物への日差しを和らげて、エアコンの利用頻度を抑えてくれますから、電気利用という意味でも環境保護に大きく役立ちます。

 では、何を減らしたらよいのでしょう。

 それはぜひ学校で家庭で、子どもたちと知恵を出してみてください。

 前回の生ゴミから堆肥づくり実験だけでなく、減らせるものはいろいろ出てくると思いますよ。
 それはたのしい教育そのものです。

 環境問題をどうにかしなくては、と大きく考えることも大切です。構造的な学びは本質的な解決の鍵になるからです。
 同時に「自分でできること」をはじめる、それもとても大切です。

 皆さんからのいろいろなアイディアもぜひお寄せください、一緒にたのしく環境問題に取り組んでいきましょう。

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