JAXAはやぶさ2の快挙(2)

 前回の記事からの続きです。二週間前に発表されたのでJAXAの快挙についてはご存知の方もいると思います。太陽系内の〈小惑星りゅうぐう〉からとってきた石からアミノ酸を発見したという記事です。

 初代ハヤブサで持ち帰ったのが砂つぶより小さなかけらだったことを考えると飛躍的な成果です、それも初代ハヤブサの世界的快挙があったからこそ成し得たことであるのは間違いありません。

 この岩石からアミノ酸が見つかったということがニュースとなり世界をかけめぐりました。その後何か追加発表があると思っていたのですけど出てきません。いくつか質問も来ているので、そろそろこのサイトに書いておこうと思います。

 地球の生命については〈地球〉という閉ざされた環境の中で誕生したという仮説のほかに〈地球外から隕石などによってやってきた〉という説がありました。私の学生時代には〈怪しげな説〉の一つとして扱われていました。

 どうしてそういう説が出てきたかというと、地球で発見される隕石の中から〈アミノ酸〉が見つかったからです。〈アミノ酸〉というのは私たちの身体をつくっている〈タンパク質〉のピースです、アミノ酸が組み合わさってタンパク質になるのです。

 アミノ酸にはいろいろな種類があって、たとえばこういう構造をしています。赤は酸素O、青は炭素N、灰色は炭素C、白は水素Hです。黄色も見えますね、硫黄Sです。
 栄養ドリンクなどに配合されている〈アスパラギン酸〉もアミノ酸の一つです。下の図で上の段の中央がそれです。

http://www.ecosci.jp/amino/amino2j.html

 これまで地球上で発見された隕石からこういったアミノ酸が見つかってはいたのですけど「それは地球上で組み合わさったものだろう」ということで真剣に取り合わない科学者たちもたくさんいたのです。

 アミノ酸は地球ができあがる頃のドロドロのスープ状の海の中でいろいろな原子が組み合わさってできたのであって、宇宙から来たのではない、というのです。

 今回のハヤブサが届けてくれた岩石から、現在までに〈アスパラギン酸〉ほか11種類のアミノ酸が発見されました。厳重なカプセルに入れられて戻った岩石を研究室で分析したものなので、地球上で混ざったのではない、考えられます。

中日新聞より

 つまりこれで私たちの生命のタネは宇宙からやってきたという説が有力になったのです。

 それでもまだ科学者たちの中には「地球上の基本的にアミノ酸があまりにもたくさん発見されすぎている、これはやはり地球上で混ざったものではないか」と主張する人たちもいます。

 これぞ〈The 科学〉です。

 簡単にいろいろな説を信じるのではなく、別な仮説も成り立つということで対立研究をすすめていくわけです。

 だから科学は信頼できるのです。

 現在、JAXA(日本航空宇宙研究開発機構)とISAS(宇宙科学研究所)が全力で、その信頼性を追求しているところでしょう。

 さてみなさんは、どちらの説が正しいと予想しますか?

 この地球で生命が生まれ進化してきたのでしょうか。それとも宇宙から来た生命のカギが私たちの生命の扉を開いたのでしょうか。

 もちろん私は宇宙派です。
 この私の身体が宇宙からきたものだというのはウルトラマンみたいでたのしいということもあるのですけど、もともと太陽系そのものが〈超新星爆発〉で散った岩石たちが遠く離れた場所で再結集してできたものです。生命のタネが宇宙から来たものでないと考えるのが自然でしょう。

 気づいている人はあまりいないようですけど、このことは〈神が地球の生命をつくった〉という創造説とも対立します。もともとダーウィンの進化論がそれを決定的に否定したのですけど、今回のことで生命のタネが宇宙から隕石によって飛んできたのだということになれば、ますます創造説が遠ざけられるでしょう。

 どっちに転んでもたのしさ深まる今日この頃です。

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〈こどもの感性〉というより〈はじめの頃の感性〉/岸惠子自伝

 昭和を代表する俳優の一人に岸惠子(恵子)さんがいます。私は〈寅さん〉で知っているくらいなのですけどチャーミングな方です。

※1973年「わたしの寅さん」から

 女優として有名なのですけど、筆の腕は確かで、エッセイ「ベラルーシの林檎」、小説「わりなき恋」などの作品があります。
 

 去年、自伝が出ました。「卵を割らなければ、オムレツはたべられない」というサブタイトルが気に入って手に入れておきました。


 少しゆとりができたので手にしました。

 生まれたその日、庭に咲いた芙蓉(ふよう)の花をみて「この子の名前〈ふよこ〉にしましょう!」といった母親の提案を、父親が「芙蓉なんてはかい、名前はどこにでもある平凡が一番だ」と一蹴して〈けいこ〉となった話からはじまります。

 父の決定をうらめしく思う。

 パリでも日本でも、字は違っても、わたしの周りは〈けいこ〉だらけでしまつが悪い。

 という話から始まる文章の中から岸惠子さんの個性がはっきり見えてくるようです。

 少しページをすすめると、こういう文章が出てきます。

 もっと小さかった頃の私は、まぶしく光る海を見ながら、この海が終わる時、海水はどこに溢れるのだろうと思った。
 海水はどこにもこぼれず、海や陸地は繋がっていて、地球という丸い大きなものに乗っていると知って驚いた。
その地球はもっと大きい、果てしない宇宙というものの中に浮いていると聞かされて不思議な気持ちになった。
「じゃあ、まあるい地球の底にいる人は、逆さまに立っているの?
 そらの中に落っこちたりしないの?
 人間も海や空の様に果てしないの?」
 うっすらとしたこわさが湧いて、私は地球の底で地面にしがみついている女の子の絵を描いた。
果てしがないって、終わりがないっていうこと?
 父がどんな説明をしてくれたのかは覚えていない・・・
 幼い私の頭はこんぐらがった。
果てしがないというのは不気味なことだと思った。
果てしはあった方がいいんじゃないかと思った。

 きっと、この文章のどれかと似た感覚を、たくさんの人が感じてきたのでしょう。

  以前、磁石を使って、こどもたちにこういうモデルを作ってみせてあげたことがあります、頭でわかっているこどもたちも「ふしぎだよねぇ~」と感動してくれました。

 可能な方は、ぜひ、作って展示してあげてください。

 こういう心動かされた感覚が成長していくうちに、遠い昔のこととして忘れ去られていくのです。

 ああ、もったいない。

 私たち大人にもある〈はじめの頃の感覚・感性〉は、たのしい教育の原点とも重なります。一緒に広報していただけたら幸いです。

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たのしい教育の見方考え方〈命について〉ー何気ない日常からかけがえのない日常へー素晴らしい日本映画 手塚悟監督 Every Day.(アマゾンプライム)

 ほとんどの人はやっていないと思うのですけど、私の毎朝のルーティーンの一つが「人生で残された日数の確認」です、スマホのアプリをセットしておくと、毎朝「あなたに残された日は◯◯日◯◯時間◯◯分◯◯秒です」と通知してくれます。
 以前利用していた〈余命電卓〉というアプリは、それに加えて「あと何回食事できて、あと何回満月をみることができて・・・」という様に具体的に知らせてくれたので、さらに気に入りだったのですけど、今のアプリはシンプルです。

 「そんな恐ろしい数字は見たくない考えたくもない」という人も多いのですけど、残された日々は間違いなく今ここにあって、それは掛け替えのない大切な日々であることも間違いないのです。

 さて、最近メルマガの四つの賞の一つ〈映画の賞〉で書いた手塚悟監督「Every Day」がとても好評です。映画はまさに冒頭の(残された日々〉がテーマです。
 でもご心配なく、暗く深刻な作品ではありません。監督の才能と俳優陣の力量と制作過程のすばらしさが相乗して、奇跡的な軽やさで、まるで音楽の様にストーリーが流れていきます。

 私はすでに10回以上見ています。最近、ラストの受け取り方が二つに分けられることを(強引に)発見しました。

 本筋ではないエピソードも味わい深いものがあります。

 不思議な、そして実は私が鍵を握っている人物だとにらんでいる〈吉田さん〉の「おむすびとおにぎりの違い」の話。

 主人公三井の友人、菊池のパートナー〈きなこ〉のセリフ
「わかってる? 見えるのと見るのは違うのよ!」

 インディーズ中のインディーズ、つまり大手資本のつかない自主制作で作り上げた珠玉の名作だと言ってよいでしょう。みなさんもこれを見て、人生について考えてみませんか。こども達と接する時にも少なからず違いがでてくると思います。

 五年くらい前の作品なので安い費用でDVDレンタルできると思います、アマゾンプライムでも視聴できまする。

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学びのシステム 日本の歴史- たのしい教育へのシフト

 最新の〈授業ブック〉「ガリレオがひらいた世界①」にガリレオの学生時代と日本の侍の時代を比較したページがあります。

 ガリレオの研究のスタートの頃、1600年あたりを比較するために、日本では〈関ヶ原の戦い〉があった頃、すでにヨーロッパには大学の大きな建造物が出来ていて、ガリレオはそこで学び始めたことを書きました。「日本とそんなに違っていたのか」と知ったからでしょう、いろいろな人たちからため息の様な声があがります。

 授業ブックは大型TVなどへの画像出力で利用できる様に、できるだけ短い言葉でまとめる必要があって、たくさんの文章を省略しました。

 そのために消した一つが〈ヨーロッパの大学の歴史〉です。

 現在の大学ランキングで世界一位の座を占めているのがヨーロッパにあるオックスフォード大学(イギリス)です。

 いつ頃できたか?

 日本でいうと・・・

 1096年、〈武士/ぶし〉の時代が訪れる前「平安時代」です。

 もちろん古い建造物なら日本が世界に誇る法隆寺があります、607年です。世界遺産にも登録された建造物です。

平安時代でいえば〈平安神宮〉もあります。 

 ヨーロッパとの大きな違いは古さではありません、いろいろな人たちに学びの扉を開いた〈大学〉というシステムが確立され、それに巨大な費用を投じていたという違いです。

 日本の巨大な建造物や行政的なシステムは中国から学び真似たものでした。ヨーロッパが近くにあったら、違う歴史になったのは間違いありません。

 明治以降の近代国家になってからも日本はまだまだ海外の教育を真似るシステムが続いています。いいものを真似るのは賢い選択です。ところが今は世界中が〈教育〉の方向性を見定められず足踏みしている状況です。

 ここで重要なのが「たのしさへのシフト」でしょう。

 いろいろな人たちが〈たのしいから学ぶ〉〈たのしくて学ぶことがやめられない〉という様な教育を模索して、そういう教材・プログラムを少しずつ増やしていくこと、それがもっとも重要だと考えています。そしてこのサイトの熱心な読者の皆さんには、それに賛同してくださっている方も多いと思います。

 大きな変革の小さな一歩ですけど、一緒に力を注いでいただけたら幸いです。おかげさまで着実にこのサイトの読者数は増えてきています。身近な方達に「このサイト読みやすくてたのしいよ」と伝えていただけたら幸いです。

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