たのしい研究 ヘルモントさんの考えたこと 植物の体は何で出来ているか? ③ アシモフさんの〈生物学小史〉から

 ヘルモントさんの研究の続きは、アイザック・アシモフさんが書いた〈生物学小史〉から引用してみます。アシモフさんはSF小説の巨匠であり〈生化学者〉でもあります。彼の書く科学の解説書の多くは、興味深いものが多く、学生の頃からたくさん読んできました。今回とりあげた謎についても書いてくれています。

アイザック・アシモフは、アメリカの作家、生化学者である。その著作は500冊以上を数える。彼が扱うテーマは科学、言語、歴史、聖書など多岐にわたり、デューイ十進分類法の10ある主要カテゴリのうち9つにわたるが、特にSF、一般向け科学解説書、推理小説によってよく知られている wikipediaより


 この本は50年以上前に出版されたものです。普通の本の厚みがあるのに550円。本の値段はずいぶん上がってきましたね。

 話を戻しましょう。この本から関係するところを抜粋します。読みやすいように少し手を加えました。

 生物についての最初の化学的実験はフランダースの錬金術師へルモント(Jan Baptista van Helmont,1577〜1644年)によってなされた。
 ヘルモントはあらかじめ重さを測っておいた土でヤナギを育てた。水だけを与え, 5年後にヤナギは74 kg 増量し、しかも土は57g しかへらないことを示した。
 このことから,彼は木はその成長のもとになる物質を土からではなく(これは正しい), 水からとっている(少なくとも部分的には間違っている)と結論した。

 

 不幸にも,ヘルモントは〈空気〉を計算に入れていなかった。そしてこれは皮肉なことである。というのは,彼は空気のような物質を最初に研究した人であるからである。
 彼(ヘルモント)は“gas”(気体) ということばをつくり出し,彼が“spiritussylvestris”( “木の精”)と名づけた蒸気を発見した。彼が〈木の精〉と名付けた物質は, 後に〈植物の生育〉のおもな原料となっている〈二酸化炭素〉とよぶ気体であることがわかった。
 生物についての化学(現在われわれはそれを生化学とよんでいる) のへルモントの最初の研究は,他人の手により発展し育てられた。

 

 植物の体は〈水〉と〈空気〉からできているのです。

 こんな小さなタネが…

 こんなに大きな樹に育つんです。
 そしてその植物の体のほとんどは〈空気と水〉から出てきているというのです。
 信じられないかもしれませんけど本当のことです。

 

 植物の体については、小学校六年生の理科の単元〈植物のからだ〉で出てきます。
 そして残念なことに、こういう興味深い内容を興味がわかない形で、あるいは〈テストに出ます〉的に学んできた人たちがたくさんいます。
 現在残されている科学的な法則や真理は何一つといって無味乾燥的なものはありません。
 全てにおいて、わたしたち人間が感動をもってうけいれてきたものだといってよいでしょう。
 この宇宙の全ては〈原子や分子〉でみていくと、とてもよく分かるようになります。ぜひ、自分でもこれから学んでみませんか。1日1度のこの「いいね」で〈たのしい教育〉を一緒に広げましょう➡︎ いいね=人気ブログ!=ジャンプ先でもサイトをワンクリックするとさらに嬉しく思います

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ヘルモントさんの実験−自由研究〈植物のからだ〉-自分でも考えてみよう②

 仮説実験授業の授業書「空気の重さ」にわたしの大好きな読み物が入っています。今回は少しだけその内容に触れながら書いてみましょう。

 一つ前に〈ほんの小さなタネから何百倍、何千倍、何十万倍もの大きさに育っていく植物たち。その植物のからだはいったい何からできているのか?〉という内容を書いたところ「とてもおもしろいです」という反響がいくつも届きました。みなさんの〈興味関心〉をたばねて一緒に考える自由研究のテーマとしてつづらせていただきます。

 〈植物の体はいったい何からできているのか?〉
 その解明にはオランダの科学者〈ファン・ヘルモント−1577~1644年〉さんの研究が重要なカギを握りました。仮説実験授業の授業書「空気の重さ」(仮説社)の最後の部分に研究問題(自分で調べる問題)として出てきますから、近くに〈たのしい教育〉の好きそうな先生がいたらぜひ「先生、仮説実験授業の〈空気の重さ〉っていう授業やろうよ!」と話してみるとよいですよ。

 オランダにファン・へルモント(1577- 1644 年)という学者がすんでいました。
 ヘルモントさんは、いろいろな研究をした人物ですが、その1つが「〈植物のからだ〉が何によってできているのか」という研究でした。

 ヘルモントさんは、植木ばちに小さなやなぎの木をうえて,雨水だけをやって育てると,重さがどうかわるかをしらべたのです。

 まずはじめにやなぎの苗木の重さをはかっておきました。
 〈2.3㎏〉でした。

 今度は〈植木ばち〉にいれる〈土〉を火でしっかりとかわかしてから,重さをはかっておきました。

 その後5年のあいだ,〈雨水だけ〉をやって育てたのです。

 5年後、育ったやなぎの木をきって重さをはかることにしました。だって、そのまま計る様なはかりが無かったからです。

 はかってみると〈76.7㎏〉になっていることがわかりました。

 はじめ〈23㎏〉しかなかったやなぎの木が,5年間で〈76.7㎏〉。
 〈74.4㎏〉増えたのです。

 重さがふえたからには、外からものがはいったにちがいありません。

 土がやなぎにばけたのでしょうか?

 ここまで読んで、少し立ち止まって考えてみてください。

 土がやなぎの木のからだに変わったのでしょうか、どう思いますか?

 

考え中

考え中

考え中

 ヘルモント先生は、ていねいに土を取り出して、また〈火〉でかわかし、重さをはかりました。

 すると〈土〉の重さは5年前から〈60g〉減っているだけでした。
 ヘルモントさんは土が飛んでいったり、外からホコリが入ったりしないように、植木ばちにカバーをかけてありましたから、この60gが養分としてやなぎの木に入っていったのだと考えられます。

 しかし60gの土が74400gのやなぎの木になるはずはありません。

 ヘルモントさんはこう予想しました。

そうだ、やなぎの木は

〈水〉からできているのだ!

 

 みなさんは、そのヘルモントさんの予想について、どう思いますか。
 あなたも同じ考えでしょうか、それとも違う考えでしょうか?

考え中

考え中

考え中

 実は、このヘルモントさんの予想は、ある部分では正しいことを言っているのですけど、全体としては正しいとはいえませんでした。しかし、その外れた予想が〈植物の成長の研究〉を大きくすすめることとなったのです。
 〈予想は当たっていても間違っていても賢さにつながる〉という例の1つです。

 さてみなさんも、このヘルモントさんの研究について、自分でもいろいろ考えて(予想をたてて)みませんか。1日一回の「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか-〈人気ブログ〉いいねクリック⬅︎ジャンプ先のページでもワンクリックお願いします

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自由研究こそ本物の研究〈植物のからだ〉ヘルモントさんの研究-自分で考えてみよう(1)

〈自由研究こそ本物の研究〉というフレーズは賢くなるためにも人生をたのしむためにも大切なフレーズです。たのしい教育研究所に足を運ぶメンバーはそれぞれがいろいろなテーマで自由研究しています。

 ある日の自由研究の様子の一コマです。

 ある植物のタネです。サヤを割った状態です。テーブルからはみ出るくらいのサヤの中にタネが入っています。

 何の植物のタネか?

 これです。ホウオウボクといいます。

  すくすく成長すると高さは2階建ての建物くらい、枝の広がりで普通の教室ほどもあります。大きく枝を伸ばして、広い木陰を作ってくれます。

 ところでみなさん、あの小さな一粒のたねが、こんなに大きく育ってしまうことに驚きませんか?

 スイカのタネよりふた回りくらい大きい感じで、長さは2cmたらずです。

 重さはどれくらいでしょう? 測ってみると1gもありません。 何個かのせてみると、5個で2gを示しました。 一個あたりの重さを計算すると 2g÷5=0.4g です。 ホウオウボクの重さはいくらあるか予測するしかありませんが、大人一人70kgくらいだとして、少なめにみても、その5人分はありそうです。何しろ木の幹は重いのです。
 そうそうホウオウボクも当然根っこが拡がっていますから、これも少なめにみて大人1人分で計算すると
・・・
大人6人分、70kg×6=420kg
と概算しておきましょう。
 この様に強引に〈概算する〉ということはとても大切な力です。
 外れていてもよいのです。
 「とりあえずこの計算でいくと、こういうことが言えそうだ」
という様に予測することができるわけですから、いろいろな研究の大事なスタートになるわけです。
 この小さなタネ、0.4gのタネが400kgくらいに成長するということは、10万倍に成長してしまうということになります。 重さでいうと 420kg−0.4g = 420000-0.4 = 419999.6g がタネ以外の物質だということです。

では、この419999.6gの重さはいったいどこから来たのでしょう?

みなさんはどう思いますか?

 今から400年ほど前にフォン・ヘルモントさんという科学者がいました。

 ヘルモントさんも、植物のからだは一体何からできているのか、にとても興味を持ちました。
 そして、ヤナギの木を使って研究(つまり自由研究)をはじめたのです。

つづく
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たのしい教育研究所〈おすすめ植物本〉「おきなわ野山の花さんぽ」ボーダーインク

 たのしい教育研究所でも植物の魅力を伝える教材をいろいろそろえています。〈オキナワ ウラジロガシ〉〈マメ科の大きな実 モダマ〉〈モンシロチョウの食草〉<キッチンのたね>などなど、おそらくこのサイトでもいくつ紹介してきたと思います。

 そういう中で現在進行形で教材作りがすすんでいるのが〈おきなわ花カレンダー〉です。うれしいことに完成前から、いろいろな先生たちが心待ちにしてくれています。その作成で研究所にはたくさんの植物本が並んでいて、一ヶ所に集めると厚さは1m50cmくらい、小学生の身長ほどになります。

 それらの中から〈もっともたくさん開いた本〉が「おきなわ野山の花さんぽ(ボーダーインク1700円+Tax)」です。

 収録された植物の数でいえば他に優れたものが数々ありますし、詳しい解説などが加えられた図鑑、個性的な配列を工夫した植物本などは数々あります。
 しかし〈沖縄で身近にみることができる植物〉をそろえた、という視点で選べば今のところ、この本が一押しです。

 掲載された植物は多からず、かといって少なからず〈よい加減〉のボリュームで、作者 安里肇栄(あさと ちょうえい)さんと編集者の企画がうまくマッチした優れものです。

 書店で数ある植物の本をいくつかながめてみただけで、「これがいい!」と見分けることは難しので、研究所には「おすすめの植物の本はありませんか」という問い合わせがくることもあります。そういう皆さんは「まずはこの一冊を買っておくとよいですよ」とすすめている本です。

 身近な植物を見て「これはなんだろう?」と思った時、手近においてパラパラめくる。すると、その植物にたどりつくことができる可能性が高い本だと思ってよいと思います。この本をきっかけに、もっと詳しく書かれた本が欲しい、と思ったらそれを手にしてください。

 とりあえず学校図書館には入れてもらって、給料日には〈映画を一本観た〉という気になって、あるいは〈焼肉食べ放題〉に行った気になって、自分でも手に入れておくことをおすすめします。明日土曜日は研究所に若い先生たちが何人もやってきます。その先生たちにもおすすめしようと思っています。1日1度のここの「いいね」クリックで〈たのしい教育〉を広げませんか➡︎ いいねクリック=人気ブログ!=ジャンプ先でもワンクリックお願いします!