ChatGPTにはクロスチェック(ダブルチェック)が必須①

 たのしい教育研究所はChatGPT(対話型AI)が登場したあたりから教育分野への活用実験をはじめてきました、結果的にその力を高く評価しています。
  今の〈たの研〉にはChatGPTのスーパーバイズ(SV)を受けにくる方たちが何人もいます。最近も「たのしい教育メールマガジン」でその時の内容を紹介したところいろいろな方たちから高い評価が届いています。

 とはいえ注意が必要です。
 このサイトでも書いたでしょうか、ChatGPT(チャットGPT)のみの情報を信頼してはいけません、webサイト他でのクロスチェック(別資料・媒体などで信頼性を確かめる)は必須です。ChatGPT自身に「その情報の根拠を示してください」とか「その情報の出典を教えてください」という様に尋ねることも効果的です。

 ChatGPTは最新の情報に弱いことは知られているのですけど、それだけでなく〈固有名詞〉に関わる情報は間違いがたくさんあります。「ヨシタケシンスケ」について質問した、こんな答えが返ってきました、「あるかしら書店」以外は全て間違いです。

質問:ヨシタケシンスケの作品を教えてください
 
ChatGPT
ヨシタケシンスケは多数の作品を発表しています。以下に彼の代表的な作品をいくつか挙げます:
1.「もしドラ」シリーズ – これは彼の最も有名なシリーズで、その中でも「もしもふとんがふっとんだら」や「もしものしょうぼうしゃ」などが特に人気です。
2.「だからだめだよ」 – 子供たちがよく言う”だからダメだよ”というフレーズをテーマにした、ユーモラスなストーリーです。
3.「いないいないばあ」 – 赤ちゃんが大好きな「いないいないばあ」遊びをテーマにした絵本です。
4.「しろくまのパンツはどこだ」 – しろくまが自分のパンツを失くしてしまい、それを探すストーリーです。
5.「リング!」 – ボクシングの試合を通じて、友情と努力について描かれた絵本です。
6.「あるかしら書店」 – 本が大好きな男の子が、不思議な書店を訪れる話です。
これらの作品は、ヨシタケシンスケの独特の視点とユーモラスな描写で、読者を引きつけます。子供から大人まで幅広い読者に楽しまれています。
 なお、これらの情報は2021年時点のものですので、その後に発表された新作については最新の情報をご覧ください。

 いろいろな人たちが活用し評価していく中で、情報をバージョンアップさせていきますから、次第に情報の信頼性も高くなっていくでしょう。同時に、こういうことを知っておいて利用することが、とても大切になるでしょう。

 こういう固有名詞に対する間違いではなく、単純な計算についての間違いも出てくることを、〈たのしい教育メールマガジン〉の読者の方から教えてもらいました、そのことを紹介させていただきます。   続く

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たのしい読み語り「ぼく モグラ キツネ 馬」チャーリー・マッケジー

 今年のアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した「ぼく モグラ  キツネ 馬」をアップルTVで視聴しました、素晴らしかった。実は以前、原作の絵本を手に取ったことがあります。その時、帯に記された

「うっかり読み聞かせすると、途中から出てくるのは言葉ではなく涙です」

という言葉を目にして、すぐそのまま棚に返してしまいました。
 涙ものが苦手だからです。「涙すると書けばすばらしい本だと感じてくれる」っていう勘違いは、やめた方がよいと思うんだけどな・・・

 アニメーションが素晴らしかったので、さっそく絵本を購入しました、マッケジーさんの筆のタッチをそのままの味わいたかったので、原作の英語版です。

 つけペンで絵も文字もかいているので、少し読みづらいけれど、それがマッケジーさんの描いたそのままの形なので、ゆっくり味わいながら読んでみました。
 あまり意訳せずに、原文そのままに近い形で訳してみましょう。

「キミは大きくなったら、どうなりたいの?」

「やさしくなりたい」少年はいった。

 

「これまでの言葉の中で、一番、勇敢だったものは何?」少年が尋ねた。

「〈助けて〉だね」、 馬はいった。

 

ぼくたちが守らなくてはいけない、たくさんの美しいものがある・・・

 

 一枚一枚の絵と言葉に、とても心が動かされます。

 私はアニメーションを観て、涙が湧いてきたのですけど、絵本では涙は出てきませんでした。

 涙は流れなくても心洗われる作品です、お勧めします。

 図書館にはきっとあると思います。

 もちろん日本語版をどうぞ、購入する方はこちらから。

 原作は〈The boy, the mole, the fox, and the house〉、「少年、もぐら、きつね、そして馬」 です。
 日本語版では〈少年〉を「ぼく」と訳し、第一人称で主人公にしてしまっています。マッケジーさんの書いたものにアレンジを加えていることに違和感があったり、この訳でいいのか、ということはありつつ、きっとマッケジーさんが「OK」っていったのだろうから、それでもよいのでしょう。

 基本的な表現で、しかも感動的なので「中学の英語の教科書に使うとよいのに」と思います。

 よければいつか英語版も手にしてみてください。

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板倉聖宣『道徳教育を語る』-たのしい教育メールマガジンから

 読者の方からの要望に応えて久しぶりに板倉聖宣の発想法を紹介させていただきます。初期の頃の「たのしい教育メールマガジン」から切り取ってみましょう。

板倉聖宣 沖縄にて きゆな写

生きる知恵としての道徳

板倉聖宣

 道徳教育については問題整理が必要になります。
〈道徳〉というのは生きる上で一番役立つものなのです。
あいまいなイメージのまま議論をしていると問題がどんどんややこしくなる。
 古いタイプの人たちには〈道徳〉の中に 〈徳目〉を習慣化しよう、という考えがある。
自分で考えて正しいと思って行動する人間を育てるのでなく、それをするのが当たり前であるようにしたいのでしょう。
だから〈道徳〉という言葉のイメージは〈修身〉とおなじでおしつけ的な感じがある。

その点からみると〈道徳〉という言葉が適切なのかどうかわからないし、もっと他にふさわしい言い方があるのかもしれない。
要するにボクは〈生きる知恵〉を子ども達にプレゼントしたい。
〈みんなと共に生きる知者〉ととらえ直して
〈他人と一緒に生きる知恵〉を学ぶようにしたいのです。

〈生きる知恵〉ならば、長生きをしている人に知恵があるのは確かだろうし、そういう知恵が正しいのかどうかを若い人だって議論できる。
 つまり〈知恵〉という言葉からは
〈過度の摩擦を起こさずに皆が生きていける方法〉
しかも
〈社会の発展が保証できる〉というカンジがつかめるのです。
 そういう教育を行なう時、
〈集団をあまり重要視しないこと〉と
〈個人を極端に重要視しないこと〉とのバランスを取るのがすごく難しい。
相互に干渉をしないように、どこらへんで切るかを探るには〈仮説・実験〉で限界を探っていくしかないね。

 道徳というのは生きる知恵である、と考えていくと、道徳は押し付けではなく、いろいろなアイディア、見方・考え方が出てくると思います。

 その意味でモラルジレンマ 方式もとても有効なものとなるでしょう、いろいろな見方・考え方があるということを知ることができて、多様な立場の人たちの間で摩擦をなるべく減らすようにしたいという考えも出てくるでしょう。

 おつけにならない道徳、家庭でも学校でも考えてみませんか。

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優等・劣等と分けたのはメンデルさんか? たのしい教育メールマガジンから

 メルマガに「言葉のもとの意味を調べる意義」として書いたところ、いろいろな反応がきて喜んでいます。

 私がメルマガに血液型の例を出して「〈優性遺伝〉〈劣性遺伝〉という様に、人間に直接優性・劣性とラベリングするのはなかなかないと思う」と書いたところ
「いっきゅう先生、以前は〈優等生〉〈劣等生〉という言葉がありましたよね」というメールがとどきました。

 たしかに!

 遺伝や進化の研究は〈優等〉〈劣等〉という酷い差別を生み出したともいえます。

 今回のメルマガの発想法の章の最後にこう書きました。

心やさしき研究者メンデル

「おだやかで寛大で心優しい、花を愛した人でした」と評されたメンデルは、植物たちの遺伝の形質に「優れている・劣っている」と表現した人物ではありませんでした。
 ここで私の長年の謎は解け、その肖像をみる時にも、おだやかな気持ちで向き合うことができる様になりました。

 そしてさらに気になっていた「ダーウィンはどうしてメンデルさんの研究に目をつけなかったのか」というテーマにすすんでいます。

 実は、ダーウィンとメンデルの関係と同じくらい

では、誰が遺伝形質を優性・劣性という価値観で分けたのか」「優等な形質をもった人間を残そう、という恐ろしい発想を広めたのは誰なのか?

という強い問題意識があります。

 そういう〈優生学〉はナチス・ドイツはとんでもない蛮行にも繋がっていきました。

 人間を〈優等〉〈劣等〉に分けるのはとんでもないことだということに賛同する人は多いでしょう。

 でも私たちは〈優等劣等〉言葉はつかわなくても、たとえば植物についてはごく普通に〈美味しいもの・美味しくないもの〉〈甘いもの・甘くないもの〉〈大きいもの・小さいもの〉〈花がたくさんつくもの・少ないもの〉〈長く咲き続けるもの・すぐ咲き終わるもの〉という様に優劣をつけてとらえています。

 動物たちについてもそういうところがあります。

 それを私たち人間は解決できるのでしょうか。
 解決する必要はないのでしょうか。

 そういうとても大きな問題とつながります。

 いつか〈たのしい教育メールマガジン〉で私の考えをまとめてみたいとおもっているところです。

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