気に入りの高村光太郎のエッセイを久しぶりに読んで、「そうだ調べようと思っていたことがあったんだ」という記憶が振り返ってきました。
まず『雪の冬』の、この文章を読んでみてください。
山のけものは多く夜の間に出てあるく。
朝になってみると、いちめんの白い雪の上にたくさんその足あとがのこっている。
いちばん多いのはヤマウサギの足あとで、これはだれにでもすぐわかる。
いなかにすんでいた人は知っているだろうが、ウサギの足あとは、ほかのけもののとちがって、おもしろい形をしている。
ちょうどローマ字のTのような形で、前の方によこに二つならんで大きな足あとがあり、そのうしろに、たてに二つの小さな足あとがある。
青空文庫の努力に感謝して引用 https://www.aozora.gr.jp/cards/001168/files/43784_25643.html
もちろん雪ふるのは記録的な現象で、積もということなどない沖縄にいるので、雪の上のうさぎの足跡などみたことがありません。雪国では普通にみられる風景なのでしょうか…。わたしには「うさぎの足跡はTのような形だ」というのが不思議で、ピョンピョン跳ねながらT字型になるってどういうわけだろう? 「見ようによってはTに見えないこともない、というくらいなんだろうな」と考えていました。
みなさんはどう思いますか?
やっと調べてみるゆとりができました。
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これがうさぎの足跡です、確かにT字形だといってよい。タテヨコの線が真っ直ぐスタンプで押したようです。
横並びの2本が後ろ足、タテの2本が前足の跡とのこと…
とすると右から左に向かって移動したのだな!
と思っていたらびっくり、左側から右側に向かって移動した跡とのことです。
光太郎の文章を引用しましょう。
うしろにあるたての小さい二つがウサギの前あしで、前の方にある大きいよこならびの二つがウサギの後あしである。ウサギの後あしは前あしよりも大きく、あるく時、前あしをついて、ぴょんととぶと大きな後あしが、前あしよりも前の方へ出るのである。このおもしろい足あとが雪の上に曲線をかいてどこまでもつづく。その線がいく本もあちらにもこちらにもある。小屋のそとの井戸のへんまできていることもある。井戸のあたりにおいた青ものや、くだものをたべにきたものと見える。
青空文庫の努力に感謝して引用 https://www.aozora.gr.jp/cards/001168/files/43784_25643.html
知らない世界を深く味わうことができる、それは文学の醍醐味です。写真にうさぎの足跡と書かれていただけでは「これはおもしろい」と感じることはなかったでしょう。
光太郎のエッセイは
そのウサギをとりにキツネがくる。キツネは小屋のうしろの山の中にすんでいて、夜になるとこのへんまで出てくる。キツネの足あとはイヌのとはちがう。
と続きます。
え、狐の足跡ってどんな形をつくるんだろう?
とはいっても、そもそも犬の足跡ってどんな感じだったのか?
頭はどんどんたのしい方向に回転し始めます。
たのしみはまだ続きそうです。
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