スミレの話① 牧野富太郎〈植物記〉を読んで考える たのしいブックレビュー

 沖縄のスミレというと〈リュウキュウコスミレ〉を思い浮かべます、かわいい可憐な花です、以前このサイトにもいくつか写真をのせています。

 花もそうですけど「すみれ」という名前もステキですよね。

 その感じが牧野富太郎の本の一節を読んで以来、違うものに感じられる様になりました。

「スミレ名」談義

 スミレという名を聞けば何んということなしにそれがい名で慕わしく感ずるのであるから、これはそのスミレなる名の起りに対し盲目であるのがむしろ賢こいではあるまいかと思われる。何んとならば実は一たびその語原を識れば、どうも彼れの美名がきずつけられるような気がしてならないからである。
 スミレはかの大工の使う墨斗すみいれの形ちから得た名で、それはスミレの花の姿がその墨斗に似ているからだというのである。すなわちそのスミイレのイが自然に略せられてそれがスミレとなったのだと言う訳だ。

 あの爽やかな名前が〈墨入れ〉からきたというのはギャップが大きいと思うのですけど、どうでしょう。

〈スミレの語源が墨入れだ〉という説をweb検索すると、こういう写真が出てきます。

 大工さんたちが板などに直接を引く時に使うとても便利な道具です、左側から突き出ている糸のついたピンを引っ張って木の端に突き刺し、糸の真ん中あたりを手でつまんで少し持ち上げ離すと糸に染み込んだ墨が板にポンと移ってきれいな直線がきざまれます。
 そのカッコイイ手作業を子どもの頃見たことがあったのだけど、今の大工さんの仕事で使っているのだろうか・・・

 それはそれとして、この道具は〈墨入れ〉ではなく「墨壺:すみつぼ」と呼ばれています。牧野富太郎が墨入れを〈墨斗〉と書いているのですけど、〈墨斗〉も〈すみつぼ〉と読みますから、しっくりきません。

 墨壺が墨入れと呼ぶとしても、スミレ、リュウキュウコスミレが似ている様には見えないのだけどな。

「牧野富太郎が言っているからただしいのだろう」という人もいるかもしれません、でも人間の認識には間違いということもあります。

 みなさんはどうでしょう、すみれが墨壺・墨入れに似て見えるでしょうか。

つづく

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親の目標・教師の目標とは? たのしい関係づくり入門

 たのしい教師入門講座で〈背を向けたあの子がふり向いてくれる時〉をテーマにたのしい時間を過ごしました。経験上カウンセリング系は10名程度という感じでいたら、けっこうたくさんの人たちが参加してくれました、嬉しいことです。

 子どもたちとたのしめる新作の授業プラン《水の重さとゆびの重さ》や、賢くたのしくなる実験をおりこみながら、PEALカウンセリングアプローチを初めての方たちむけにプログラムした内容で、参加者満足度も100%という高い評価となりました。

 理論も実践もどちらも丁寧にすすめつつ「どういう目標で子どもたちと過ごしていくか」ということを時折確認しまがら構成していきました。

 みなさんは、子どもたちとどういう関係を築きたいでしょう。

・子どもと仲良くなりたい

・子どもに笑顔(元気)になってほしい

・子どもに賢くなってほしい

という目標は合意してもらえるでしょうか。

 いやいやそういうことよりかけ算九九とかテストの点数がどれくらアップするか、上位から何番目以内かが大事だ、と考えるでしょうか。

 自分の目標をハッキリさせたら見えてくることはたくさんあります。

 自分の今の行為はその目標に向かっているのか、そこから遠ざかっているのか、それが見えてきます。

 時々、自分の目標を確認するということをおすすめします。

 目標なんて考えたことない、という方は上にはあげた三つをおすすめします。

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野ボタンの色といえば?-たのしいアウトドア・とってもたのしい野山歩き

 野山を歩くと4月後半や5月前半もけっこう肌寒かったのに、冬の日々が数ヶ月も前だったかの様に思えてしまう今日この頃、六月の沖縄の日々です。

 梅雨の頃の植物〈イジュ〉と同じ時期に姿を見せてくれる〈ノボタン〉の花があります、数日前に、たくさん見つけました。

 直線状に仲良く咲いていておもしろいなと撮った写真です、紫色をしています。

 薄めの色、さくら色に近い色のノボタンもあります、別な株に咲く種類です。キレイですよね。

 濃いシャープな色合いのノボタンもあります、〈シコンノボタン〉といって、庭に植えているものはこの種類が多いと思います、鮮やかな色でこの花も好きです。

「シコンノボタンはブラジル原産の常緑低木で、ハワイ諸島などにも野生化しています。ノボタンとは縁が近いですが同じ仲間ではなく、分類上は別物です」と書いてあるサイトがあって気になりました。
「分類上は別物」と書いてしまうと『異なる種類の植物だ』と考えてしまう人もたくさんいるでしょう、犬と猫が異なる種類だという様に。

 花びらの枚数やつくり、葉の形状などをみてもとても似ている仲間であることはわかると思います、シコンノボタンも「ノボタン科」です。説明するときには「とても近い仲間です」というのがより正しい説明だと思うのですけど、どうでしょうか。

 さてさて話はここからです。

 これまでこの季節にノボタンの花をたくさん見てきたのですけど、今年はじめてみつけたノボタンがあります。

 かすかにさくら色がまざっていて、とても涼やかな白のノボタンです。

「これから紫に色づいてくるんじゃないですか?」という人がいたのですけど、この頃の野山をかなり歩いてきた私でも、今まで気づかなかった花の色なので、それはないだろうと思います。

 サイトを調べるとヤンバル(沖縄北部)で白いノボタンの記事がいろいろ見つかりました。

 調べてみるとやはりめずらしい花です、2012年の琉球新報の記事にこうあります。

名護市内では、まっ白なのボタンが端をつけた。

普通は薄い赤や、青紫の花で、真っ白なものは貴重だ。

白いノボタンは、もともと北部の畑の周辺で自生していたものを、畑の人からカブを分けてもらった名護市内の愛好家が育てた。

http://ryukyuuoootayaki.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-422d.html


 2年前には沖縄タイムスでも〈白いノボタンが咲いた〉という記事が載っているくらいなのでやはりめずらしいと言ってよいのでしょう。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/765698

 次、出かけていく時に、しっかりタネを採取できる様にしておきたいと思います、たのしみだな。

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たのしい生物学入門(4)-小さな巨人たち-楽しい生物学

 では、植物たちの種はどの程度なのか? 動物よりずっと多いのか、同じ程度か、どう予想しましたか。読者の皆さんからのお便りにあったのですけど、いろいろなサイトにいろいろな数が記載されている、ということもあります。なので〈たの研〉のサイトでは「より信頼度が高いと思われるもの」を探して紹介しています。注意しなくてはいけないのは「~~種はいると考えられる」という〈推定〉で記載された数字です。その数は予測する学者によってかなりの差が出てきますから、気をつけてください。

 このシリーズ「小さな巨人たち」で採用した数字と異なる数字がいろいろなサイトに書かれていても、それが科学的な研究をおさえているものなら〈多い・少ない〉が逆転することはないでしょう。

 前回の問題《動物と植物はそれぞれどの種が多いのか》について見ていきましょう。 環境書のwebサイトには「維管束植物の数27万種」とあります。維管束植物というのは、私たちが普通にイメージする〈植物〉、光合成を行い、水や養分を運ぶシステムのある生物です。

 日本科学協会の研究論文の中に「植物は名前がつけられているものだけで27万7千種」とありますから信頼しても良い数字でしょう。

 どういつのグラフに表示してみましょう、一番下の棒が植物の数です。

 動物と植物では、動物が多い。
 そして「〈昆虫〉の種の数だけで植物の種の数を三倍以上上回っている」のです。

 そろそろこのシリーズも終わることにしましょう。

 この地球上の種の多様性について、つまり進化の多様性についてみれば、昆虫は圧倒的な強者です。

 大きな環境の変化が起こった時も昆虫たちが生き残る可能性は、他の生物種よりずっと大きいといってよいのです。

私たち人間は?

 私たち人間は哺乳類の一つの種〈ヒト族〉の仲間です。〈ヒト族〉にはもっと他の種もいました。〈ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)〉〈ホモ・エレクトゥス〉〈ホモ・ハビリス〉などです。サイモン・シンの著書を読むと、それらの他種を私たちホモ・サピエンスが滅ぼした結果だといいます。その真偽は別にして、私たち人間(ホモ・サピエンス)は、昆虫たちとは逆に種の数を減らしてきた種族です。
 ネコ族には〈ヨーロッパヤマネコ (Felis silvestris)〉〈ホームネコ(イエネコ)(Felis catus)〉〈サンドキャット (Felis margarita)〉〈ブラックフットキャット (Felis nigripes)〉〈ヒョウネコ (Prionailurus bengalensis)〉〈ツシマヤマネコ (Prionailurus bengalensis iriomotensis)〉〈ヨーロッパリンクス (Lynx lynx)〉〈カナダリンクス (Lynx canadensis)〉〈スペインリンクス (Lynx pardinus)〉〈クーガー (Puma concolor)〉〈ジャガランディ (Puma yagouaroundi)〉〈マヌルネコ属 (Otocolobus)〉〈オセロット (Leopardus pardalis)〉〈マーゲイ (Leopardus wiedii)〉〈アンデスネコ (Leopardus jacobita)〉ほか40種くらいいるというのに、〈ヒト族〉は私たちホモ・サピエンス一種です。

 ホモ・サピエンスという種の中でどういうことが行われているかというと「できるだけ多彩な人を育てよう」ではなく、教育の現場をみるとわかるように《似た様な行動様式・同一の学習内容etc.》、できるだけ同じ様な人たちを育てようとしています。

 地球環境も社会環境も、人の行動も発達も一様ではありません。
 時の流れとともに、いろいろな場面でいろいろな人たちが自分の能力を発揮していくことが大切なことは、これまでの歴史がいくつも証拠立ててくれています。

 一つの種しかいなか私たちだからこそできるだけ多様な人たちが育っていくことが大切だとは思うのですけど、みなさんはどう思いますか。

小さな巨人

 タイトルにある〈小さな巨人〉というのは種の多様性でみれば昆虫たちのことです。我が物顔で地球を激変させていく人間たちの行為のもとで、絶滅の危機にさらされている種もあるのでしょう、それでも全体としてはたくましく生き続けています。この地球という惑星は昆虫たちが進化を広げている星であるといってよいでしょう。

 もう一つ、この地球の中ではヒト族のたった一種というホモ・サピエンスの未来を託すのは子どもたちです。

 子どもたちはこれから多彩な方向に力を伸ばしていける可能性に満ちています。生まれたての赤ん坊は、英語を話す人として、中国語を話す人として、そして日本語を話す人として伸びていく可能性を持っています。

 小さければ小さいほど、可能性が大きいということであるのです。

 小さな巨人〈子どもたち〉が多彩な方面に伸びていく様に、大人たちが本気でチャレンジしていく必要があると思います。

〈小さな巨人〉は種としてみれば「昆虫たち」、ホモ・サピエンスの中でみれば〈子どもたち〉、いずれも多様性にみちた生命体です。

 みなさんからのお便りをみながら、またいずれこのテーマでかかせていただきます、今回のシリーズはここで終わっておきましょう。

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