教育の中にひそんでいる〈押し付け〉に気づくこと-たのしい教育の発想法-仮説実験授業研究会代表〈板倉聖宣〉が語ったこと

 週一で発行しているメルマガは4章で構成されていて、ラストは〈発想法の章〉です。今週その章にのせた板倉聖宣先生の話にさっそく反響が届いています。
 歯に衣着せぬ語りの板倉先生の話を読むと「え!」と驚くかもしれませんけど、板倉先生は文科省直属の教育研究所で室長をしていた人物です。

 批判ではなく提案をする組織である〈たの研〉の重要な〈たのしい教育メールマガジン〉に板倉先生が発する言葉を紹介するのはなぜか?
 それは私いっきゅうの自戒であり、教師が多く陥りやすい落とし穴に足をとられない様にするためだったものが、広く〈こども達の笑顔と可能性を広げようと努力する教師たち〉の心を動かす言葉でもあることに気づいたからです。
 メルマガへの反響は若い先生たちからも届きます、こういう考え方を心に留める先生たちが増えて行って欲しいと思っています。

 最新号の〈たのしい教育メールマガジン〉の発想法の章の中から再校正して少し紹介します購読しているみなさんも新鮮な気持ちで読んでいただけると思います。
 板倉先生が2002年に 大阪堺市〈ことばの教育・国語教育研究会〉で語った内容です。

板 倉

 教育はそのほとんどが〈文章〉と〈話し言葉〉で行なわれています、そしてそこに押し付けがたくさん潜んでいます。
 言葉というのは非常に便利なものですが、学校の教師はどうも権力の片棒を担いでいて「自分には押し付ける権利ある」と考えているふしがあります。
 だから子どもたちが分からなかったら「教師は正しくて、子どもがいけない」と考えてしまうことになるのです。
「教科書に書いてある言葉が正しくて、理解出来ない子どもが間違っている」というようなことは私には許せないのです。
 国語でいえば、こども達が理解出来ない文章を書く小説家がいけないのだし、理解が出来ない文章を教科書に載せている編者がいけないのです。
 言葉というものは理解出来るようになっているのですから「理解出来ないような言葉を教科書にのせてはいけない」と思うのです。
「子どもはまだ社会の中に充分に入り込んでいないのだから、大人になった時には理解できる。そのために分からないことがあっても仕方がない。だから学校教育では理解できなくても教えるのだ」という考え方もありますね、そうならそうで結構なのですが、たいがいは、その理解出来ないことを一生持ち続けることになってしまいますね。

 私いっきゅうにも、学校で教えられたことで謎のままなことがたくさんあります、それに溢れているいってもよいと思います。
 中学の社会の先生が〈尾根というのはこれこれこうだ〉と語ったこともさっぱりわかりませんでした、今もあえてわからないままにしています。
 前にも書いた様に英語は特についていけませんでした。
「Takeの意味はこれこれこうでたくさんあって、多くは〈つかむ〉という意味、でもこの場合のTakeは〈撮る〉という意味だ」という様に説明された時に〈こんな不合理な言葉に付き合うのはやめよう〉と考えました。
 先生の言う様に覚えていった人たちはほめられ、こんな風に学ぶのは嫌だと感じた私の様なタイプの人間は先生から冷たくあしらわれていきました。
 もちろん私の様にあしらわれた人たちが増えていき、ほめられていく少数の人たちはその後もどんどん減っていきました。
 映画のおかげでその後自力で学び、そういう様な組み立てパズルの様に教えいた先生たちの方が不勉強なのだと知ったのは10年以上経ってからのことです。
 Takeという単語をネイティブの人たちは「自分のところに取り込む」というイメージで理解していて、みかんをとるのも、自分のところにとりこむイメージ、写真の中に取り込んだりするのもTakeを使う。ちなみに〈薬を飲む〉という行為も自分の中に取り込むというイメージで〈Take medicine〉と使ったりするとわかったときに、やっとすっきり英語が理解できる様になってきました。

 教師になった私は、あの時の英語の先生の様に「わからないあなたたちが悪い」というタイプになっていないだろうか?
 この板倉先生の話で、我が身を振り返る大切な機会にもなりました。
 ここまでにしておきましょう。

 

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たのしい教材シリーズ〈仲良くなれる教材:リングキャッチ〉

 今年の秋の講座でM先生が紹介してくれたリングキャッチの熱がさめず、色々なところで、ためしています。

 ある先生が言っていました、「〈こうすれば簡単にできる〉というのもよいけれど、なかなかできずに〈これでどうだ、これではどうだ〉とグイグイひっぱってくれる教材もとてもいいですね」

 これがリングキャッチです。
 ヒモに通した金属の輪を落とすのですけど、タイミングを合わせることができると、なんと金属の輪が落ちずにヒモにぶら下がるのです。

 まさに「リングキャッチ」はグイグイのめり込んでしまう〈たの研〉おすすめの教材の一つです。

 今日は1年生と5年生が一緒の授業がありました。

 授業が一通り終わって、まとめの時間に

「えーー、これから先生が手品をします、よーく見ていてね」

 そういって針金で作ったリングと毛糸を見せました。

「たねもしかけもありません。」この毛糸の輪っかの中にリングを入れますよ!
「先生がこのリングを手から離すとどうなると思う?」

「真っ逆さまに落ちるでしょ」と5年生の女の子。
1年生の子は「もしかしたら引っかかって落ちないんじゃない?」との予想です。

「じゃあやってみるよ。せーの1・2・3!!」

 2回ほどはそのまま下に落ちて、
「あれれ上手くいかないなあ」
といいながら3回目。
 みんなで1・2・3!!

 みごとにリングを毛糸がキャッチしてくれて、みんなで大盛り上がりです。

 さあ、自分もやって見たい人!というと全員が私の前に寄ってきてチャレンジ大会が始まりました。


 学年の年齢や力の差は関係なく楽しめるこういった教材は、特別支援にもとっても重宝します。

なんと真っ先にできたのが1年生の男の子でした。

 とーってもうれしそう、信じられないというようにな興奮気味です。

 その後も、同級生の男の子にやり方を教えてあげることで、会話がはずみました。

 1年生の男の子は、今日は家に帰ってお母さんに1番に見せたいようで、大事にリングキャッチを持って帰っていました。

 明日の朝、家での出来事を聞くのがとても楽しみです。

 いっきゅう先生がよく語っているのですけど
「たのしい、と感じて、そこから何も学ばない人がいるだろうか?
 そして、自分の可能性を感じて喜ばない子がいるだろうか?
 私たち大人だってたくさんのことを学びます。
 大人よりはるかに感覚にとぎすまされたこども達はそこからたくさんのことを学んで、自分の可能性をどんどん高めていくことは間違いないでしょう」

 たの研の教材は、すべて楽しめる実験済みです、ぜひいろいろな先生たちに広めていきたいです。

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たのしい教育の発想法:板倉聖宣(仮説実験授業研究会初代代表)が語る「未来をみるときのスパン」

 最新の〈たのしい教育メールマガジン〉から発想法の部分を少し紹介しましょう、「どれくらい先の未来をみるか」という話です。
 〈たの研〉の活動を考える時の指針にしたい見方・考え方の一つです。

 板倉先生は独自の視点で多大な知識や予想を織り込んでくるので〈たのしい教育メールマガジン〉ではそれを私いっきゅうが整理校正してお届けしています、ご了承ください。

板倉聖宣
 金儲けしようとする人は1~2日でみようとしたり、1~2ヶ月で見ようとしたり、2~3年で見ようとしたりするから、これは大変ですね。
 明日、株が上がるか下がるかとかいうことは、偶然的な問題がきいてたり、あるいは裏情報がきいてたりするでしょう。だから2~3年後を予想するのはとっても難しい。
 株だけでなく、世の中の人たちは5年とか10年で生きている人が多いですね。
 でも〈社会の動き〉というのは、そういう偶然的なことで動くということは少なくないだろうと思います。
 世の中を見る時「こういうものをこれからだんだんと冬になりますから、だんだんと寒くなりますよ」というのは100%当たりますね。
 ところが秋から冬に向かっているから「明日は今日より寒いですよ」なんていっても100%は当たらないですね。
 それに対して「冬は寒し、夏は暑し」というのは厳然たる事実でこれは予言できる。それと似て、これからの世の中は100年後どうなるかということはかなり当たるんですね。

 

司会
 株をやる人とか、土地を買う人とか、スパンが違いますからね。

 

板倉
 世の中は見えないものだと思いがちなんですけども、スパンを長くすれば長くするほど見えてくるんです。
 見えるっていっても、あまり細かいものはダメですね、これは物理学の法則を適用したって見えるというものじゃないですね。

 私は物理学の教育を出発として、今では歴史や経済の教育にも手を出しているんですが100年規模や200~300年規模でものを見ていけば歴史というのはいかにも見事に法則的にいくことを発見しました。
 政府がインチキなお金を作れば、インチキなお金を作ったやつは信用されないし、いくら「いうことを聞かないやつは捕まえるぞ」と脅したって、そういう政府は何年後かにはつぶれちゃう。
 そういう法則は歴史の中ではっきり見えてくるんです。

監修:板倉聖宣『問題解決強化書』
新技術開発センター1991年

 メルマガではこういう毎回こういう話を読むことができます、興味のある方は、パソコンの方は〈サイドバー〉に、スマホの方は一番下の〈サブコンテンツ〉に案内があります。

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楽しい教材・楽しい学習プログラムの広がり-学童でたのしむ様子

 たのしい教育研究所の講座に積極的に参加し、いろいろ実践している方から久しぶりにお便りが届きました。

 学童で〈ほたってくん〉を紹介したところ、大好評でしたという連絡でした。

 まず〈たの研〉のYouTube動画をみて研究したそうです。

⇨ https://www.youtube.com/watch?v=1Q4QACIH_qU

 こどもたちが盛り上がっている写真もいろいろ添付されていました。

 毎回そうですけど、写真と一緒にこども達のたのしそうな声が聞こえてきそうでした。

 この他にも〈たの研〉には「家族でたのしみました」「授業でたのしみました」「PTA行事でたのしみました」という様に、いろいろな笑顔の様子が届いています。

 たのしい教育研究所の教材がいろいろな広がりをみせているのはとても嬉しいことです。

  時々「その教材を利用してよいでしょうか」という問い合わせが届くことがあります。

 たのしい教育研究所は営利団体ではなくNPOです、どんどん笑顔と賢さが広がることを目的に活動をすすめていますから、ものづくり教材などは「たのしい教育研究所の教材であること」を伝え、どんどん利用して結構です。
 ただし〈たのしい教育〉の趣旨、つまり「より多くのこども達の笑顔と満足度が広がること」を心がけてください。
 授業のすすめかた、こどもたちとの関わり方などについては〈たのしい教育のめざすもの〉を知っていただくためにこの「公式サイト」を読み、可能な方はたの研の会員として〈メールマガジン〉を購読していただけると、さらに魅力的な取り組みになるはずです。

 明るい未来のために、一緒に活動をすすめていただける方達が増えていくことを願っています。

〈プリント教材〉の扱いについては、いろいろな問合せが来ているので、項をわけて書かせていただきます。

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