野ボタンの色といえば?-たのしいアウトドア・とってもたのしい野山歩き

 野山を歩くと4月後半や5月前半もけっこう肌寒かったのに、冬の日々が数ヶ月も前だったかの様に思えてしまう今日この頃、六月の沖縄の日々です。

 梅雨の頃の植物〈イジュ〉と同じ時期に姿を見せてくれる〈ノボタン〉の花があります、数日前に、たくさん見つけました。

 直線状に仲良く咲いていておもしろいなと撮った写真です、紫色をしています。

 薄めの色、さくら色に近い色のノボタンもあります、別な株に咲く種類です。キレイですよね。

 濃いシャープな色合いのノボタンもあります、〈シコンノボタン〉といって、庭に植えているものはこの種類が多いと思います、鮮やかな色でこの花も好きです。

「シコンノボタンはブラジル原産の常緑低木で、ハワイ諸島などにも野生化しています。ノボタンとは縁が近いですが同じ仲間ではなく、分類上は別物です」と書いてあるサイトがあって気になりました。
「分類上は別物」と書いてしまうと『異なる種類の植物だ』と考えてしまう人もたくさんいるでしょう、犬と猫が異なる種類だという様に。

 花びらの枚数やつくり、葉の形状などをみてもとても似ている仲間であることはわかると思います、シコンノボタンも「ノボタン科」です。説明するときには「とても近い仲間です」というのがより正しい説明だと思うのですけど、どうでしょうか。

 さてさて話はここからです。

 これまでこの季節にノボタンの花をたくさん見てきたのですけど、今年はじめてみつけたノボタンがあります。

 かすかにさくら色がまざっていて、とても涼やかな白のノボタンです。

「これから紫に色づいてくるんじゃないですか?」という人がいたのですけど、この頃の野山をかなり歩いてきた私でも、今まで気づかなかった花の色なので、それはないだろうと思います。

 サイトを調べるとヤンバル(沖縄北部)で白いノボタンの記事がいろいろ見つかりました。

 調べてみるとやはりめずらしい花です、2012年の琉球新報の記事にこうあります。

名護市内では、まっ白なのボタンが端をつけた。

普通は薄い赤や、青紫の花で、真っ白なものは貴重だ。

白いノボタンは、もともと北部の畑の周辺で自生していたものを、畑の人からカブを分けてもらった名護市内の愛好家が育てた。

http://ryukyuuoootayaki.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-422d.html


 2年前には沖縄タイムスでも〈白いノボタンが咲いた〉という記事が載っているくらいなのでやはりめずらしいと言ってよいのでしょう。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/765698

 次、出かけていく時に、しっかりタネを採取できる様にしておきたいと思います、たのしみだな。

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たのしい生物学入門(4)-小さな巨人たち-楽しい生物学

 では、植物たちの種はどの程度なのか? 動物よりずっと多いのか、同じ程度か、どう予想しましたか。読者の皆さんからのお便りにあったのですけど、いろいろなサイトにいろいろな数が記載されている、ということもあります。なので〈たの研〉のサイトでは「より信頼度が高いと思われるもの」を探して紹介しています。注意しなくてはいけないのは「~~種はいると考えられる」という〈推定〉で記載された数字です。その数は予測する学者によってかなりの差が出てきますから、気をつけてください。

 このシリーズ「小さな巨人たち」で採用した数字と異なる数字がいろいろなサイトに書かれていても、それが科学的な研究をおさえているものなら〈多い・少ない〉が逆転することはないでしょう。

 前回の問題《動物と植物はそれぞれどの種が多いのか》について見ていきましょう。 環境書のwebサイトには「維管束植物の数27万種」とあります。維管束植物というのは、私たちが普通にイメージする〈植物〉、光合成を行い、水や養分を運ぶシステムのある生物です。

 日本科学協会の研究論文の中に「植物は名前がつけられているものだけで27万7千種」とありますから信頼しても良い数字でしょう。

 どういつのグラフに表示してみましょう、一番下の棒が植物の数です。

 動物と植物では、動物が多い。
 そして「〈昆虫〉の種の数だけで植物の種の数を三倍以上上回っている」のです。

 そろそろこのシリーズも終わることにしましょう。

 この地球上の種の多様性について、つまり進化の多様性についてみれば、昆虫は圧倒的な強者です。

 大きな環境の変化が起こった時も昆虫たちが生き残る可能性は、他の生物種よりずっと大きいといってよいのです。

私たち人間は?

 私たち人間は哺乳類の一つの種〈ヒト族〉の仲間です。〈ヒト族〉にはもっと他の種もいました。〈ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)〉〈ホモ・エレクトゥス〉〈ホモ・ハビリス〉などです。サイモン・シンの著書を読むと、それらの他種を私たちホモ・サピエンスが滅ぼした結果だといいます。その真偽は別にして、私たち人間(ホモ・サピエンス)は、昆虫たちとは逆に種の数を減らしてきた種族です。
 ネコ族には〈ヨーロッパヤマネコ (Felis silvestris)〉〈ホームネコ(イエネコ)(Felis catus)〉〈サンドキャット (Felis margarita)〉〈ブラックフットキャット (Felis nigripes)〉〈ヒョウネコ (Prionailurus bengalensis)〉〈ツシマヤマネコ (Prionailurus bengalensis iriomotensis)〉〈ヨーロッパリンクス (Lynx lynx)〉〈カナダリンクス (Lynx canadensis)〉〈スペインリンクス (Lynx pardinus)〉〈クーガー (Puma concolor)〉〈ジャガランディ (Puma yagouaroundi)〉〈マヌルネコ属 (Otocolobus)〉〈オセロット (Leopardus pardalis)〉〈マーゲイ (Leopardus wiedii)〉〈アンデスネコ (Leopardus jacobita)〉ほか40種くらいいるというのに、〈ヒト族〉は私たちホモ・サピエンス一種です。

 ホモ・サピエンスという種の中でどういうことが行われているかというと「できるだけ多彩な人を育てよう」ではなく、教育の現場をみるとわかるように《似た様な行動様式・同一の学習内容etc.》、できるだけ同じ様な人たちを育てようとしています。

 地球環境も社会環境も、人の行動も発達も一様ではありません。
 時の流れとともに、いろいろな場面でいろいろな人たちが自分の能力を発揮していくことが大切なことは、これまでの歴史がいくつも証拠立ててくれています。

 一つの種しかいなか私たちだからこそできるだけ多様な人たちが育っていくことが大切だとは思うのですけど、みなさんはどう思いますか。

小さな巨人

 タイトルにある〈小さな巨人〉というのは種の多様性でみれば昆虫たちのことです。我が物顔で地球を激変させていく人間たちの行為のもとで、絶滅の危機にさらされている種もあるのでしょう、それでも全体としてはたくましく生き続けています。この地球という惑星は昆虫たちが進化を広げている星であるといってよいでしょう。

 もう一つ、この地球の中ではヒト族のたった一種というホモ・サピエンスの未来を託すのは子どもたちです。

 子どもたちはこれから多彩な方向に力を伸ばしていける可能性に満ちています。生まれたての赤ん坊は、英語を話す人として、中国語を話す人として、そして日本語を話す人として伸びていく可能性を持っています。

 小さければ小さいほど、可能性が大きいということであるのです。

 小さな巨人〈子どもたち〉が多彩な方面に伸びていく様に、大人たちが本気でチャレンジしていく必要があると思います。

〈小さな巨人〉は種としてみれば「昆虫たち」、ホモ・サピエンスの中でみれば〈子どもたち〉、いずれも多様性にみちた生命体です。

 みなさんからのお便りをみながら、またいずれこのテーマでかかせていただきます、今回のシリーズはここで終わっておきましょう。

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たのしい生物学入門(3)-小さな巨人たち-楽しい生物学

 最近、公式サイトの記事がメルマガの章の様なグレードになってきました、私の感想というより両方読んでくれている方たちからの感想です。今回の記事も授業でたのしく利用できると思います、ご利用ください。
 さて地球上の動物の中で〈虫たち〉、中でも《昆虫》たちの種の数が爆発的に多いことを見てきました。
 どういう感想をもったでしょうか?

 他の動物たちのグループ(哺乳類・鳥類など)の種が5千~1万種類なのに対して、昆虫の種類だけで100万種くらい存在します。

「種の数が爆発的に多いといったって、小さな生物なんだから、あまり意味がないんじゃない?」と感じた人もいるでしょう。

 種の数が多いということは〈多様性〉が豊かだということです。

「だからなんなの?
 哺乳類は昆虫よりずっと強いよね」

 強い弱いをその個体の筋肉的な強さで比較することもできますね。たとえば恐竜は地上最強の生物だといわれていたほど強く、この地球を支配している様に思われていました。
 ところが何らかの環境変化でピタリと姿を消してしまいました。

 私たち哺乳類の祖先は10~15cmサイズのネズミの様な姿で、恐竜たちからだけでなくいろいろな生き物達から身を隠しひっそりと暮らしていました、アデロバシレウスと名付けられています。

アデロバシレウス wikipediaより

 個体としての強い弱いでいえばとても弱い生物でした。

 もしもアデロバシレウスが恐竜と一緒に滅びていたら、私たちは地球に存在していませんでした。
 ところが恐竜が滅びるほどの環境の変化に、私たちの祖先は耐えることができたのです。少ない食べ物の量でも生きていけたからでしょうか、紫外線などに強かったからでしょうか、大気の汚染に強かったからでしょうか・・・
 いずれにしてもその後、ネコや犬やゾウやキリン、そして私たちなどたくさんの哺乳類へと多様に進化していきました。

 今、大きな環境の変化が起こっても、哺乳類全体が絶滅してしまう可能性は少ないでしょう、いくつかの種は生き残ると思います。
 身体の小さな哺乳類種かもしれません、草食動物かもしれません、砂漠の様な水の少ない環境で生きている哺乳類なのかもしれません。

 つまり個体としていくら強くても、つまり恐竜の様に強い身体をもっていても、その祖先たちが生き残っていくわけではなく、いろいろな環境の変化に対応できる生物たちが生き残っていくのです。

 そうやって考えると、昆虫たちの種の爆発的な多さは、明らかにその生物全体の強さです。

 地球温暖化によって気温が上昇していってもたくさんの昆虫種が生き残るでしょう。

 地球上に放射線が降り注ぎ、哺乳類ほはじめほとんどの生物たちが死滅しても昆虫類は生き残る可能性があるでしょう。

 オゾンホールが破壊されて殺人的な紫外線が降り注いできても生き残る可能性が高いでしょう。

 空気がとても薄くなっても生き残る可能性が高いでしょう。

 もちろん食べ物が激減していって、たくさんの生物が死滅していっても昆虫のいろいろな種は生き残る可能性が高いでしょう。

 昆虫の多様性、種の多さは「だから何なの?」というのではなく「これはすごいことだ!」といってよいと思うのですけど、どうでしょうか。

 ※

 さて、昆虫の多様性をたたえる前に、もう少し地球上の生物について予想してみたいことがあります。

 この写真は街で手に入れた観光案内パンフにあったものです、よく見ると動物たちの姿はみえません。

 とはいえ生物が写っていないというわけではありません。

 植物たちがたくさん写っていますね。

 動物は小さいから映らないというより、個体数が少ないから写っていないのです。

 植物は個体数が圧倒的に多いので、上空からみるとたくさん写っています、緑の部分です。

 生物の多様性、種の多さを考える時、植物を無視することはできません、私たち人間と同じ様に〈生物〉の仲間です。

 植物の種の数は動物たちより多いのでしょうか、多いとしたらどの程度多いのでしょう。それとも逆に少ないのでしょうか。
 予想してみましょう。

どうしてそう予想しましたか?

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予想してからね

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予想してからね

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予想してからね

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つづく

 

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イチゴの謎:あのツブツブはタネじゃないの?②-楽しい科学・楽しい植物学

 みなさんの考えはどうだったでしょうか。「いちごのツブツブはタネではない」という議論についてです。※前回のページを未読の方はひとつ戻ってお読みください! 

 詳しく書くと

「イチゴの表面のツブツブは〈痩果:そうか〉といって、タネではない」というわけです。

 〈たの研〉の子ども心は、そういうケムにまくような議論が苦手です。

 タネっていうのは何か?

 おおざっぱにいうと「その粒をまいて水やりしていると芽がでてその植物になるもの」ですよね?

 たとえばこれは公園でみつけたトックリキワタのタネです、綿(めん・わた)に包まれています。風で離れたところに飛んでいって、落ちてからも水滴をタネの周りに包んでいて発芽しやすい条件を整えてくれます。

 もともとタネというのは一般的ないい方で、科学的には〈種子〉といいます。

 「痩果」というのは何か?

 ブリタニカ大百科事典にこうあります。
「小さな乾いた果実で,果皮は硬くて裂開せず,中に1種子をもっているもの。キク科キンポウゲ科などに多くみられる」https://kotobank.jp/

〈乾いた果実である、中に一つの種子をもっている〉というのですね。
 あの粒一つひとつが〈くだもの〉である、ということもまた、子ども感覚からはるか遠いものです。
 だってイチゴそのものがくだもので、あの粒をくだものとは考えられません。
もしもスーパーで「くだもの-イチゴ」と書いた箱の中に、そのツブツブを入れて売り出したら、誰も買わないでしょう。間違って買ってしまった人がいたら、スーパーに苦情がいくことでしょう。

 そこで科学者を連れてきて「みなさんは知らないかもしれませんけど、このツブツブは〈かわいた果物〉で、痩果と呼ばれています。ですから《くだもの-イチゴ》と表記するのは正しいのです」と説明させたら、みなさんは納得しますか?

「果物はあの三角の赤いものをいうのでしょう!」と反論するでしょう。

苺・いちご・イチゴ  wikipediaより

 すると科学者は「いえいえ、皆さんが果物だと思っている部分は、茎の先端の花床(かしょう)が膨らんだ偽果(ぎか)というものなんです」とかぶせてくる。

 学校で先生からそういう話をきいて「なるほどそうなのか、お母さんにも教えてあげよう」と素直に納得するのは、覚えることが好きな優等生の子ども達でしょう。
 大抵の子ども達は、心の奥の方で「つきあってられないよ」と感じて理科が嫌いになっていく・・・

 子ども達に何かを伝えようとする時、私たちが心しておかなくてはいけないことは「一般の人たちの感覚を大切にする」ということです。

 その人が納得のいくような説明をすっとばして「これはこうなんです」では、大抵の子ども達はそれが嫌いになっていくでしょう。

「だって犬は犬で猫は猫と覚えているわけだから、それが教育でしょう」という人がいるかもしれません。

 例えばこう教えるとどうでしょう。

「これを犬といいます」

「これをネコといいます」※たの研のメンバーネコ〈ア~ル〉が好物のヨーグルトを食べているところ

 みんなが「は~い」と言ってくれたところで、こう語る。

だましてごめんなさい、実は最初の写真は犬ではないんです。

オーストラリア原産の動物で、通常の家庭犬とは異なる種なんですよ、〈ディンゴ〉といいます。

似てるよねぇ~

これから一緒に、どういうところが違うのか調べていきましょう。

その中で、同じ種なのか違う種なのかはどうやって決めているのかわかるようになると思います。

 これならたのしく学べる気がしませんか。

 とはいっても「イチゴのツブツブはタネではない」という説明が成り立つかははなはだ疑問です。だってタネというイメージは、その粒をまいて育てて発芽してその植物になるというイメージですからね。
 痩果はタネではない、というなら、たんぽぽの綿毛で飛んでいくのもタネではなくて、ひまわりのツブツブもタネではなく、稲の米粒もタネではないということになります。

「タネに薄皮がついた状態」というなら、まぁ納得いくかもしれません。

 そういう過程すっとばして「皆さんにはこれは犬に見えるけどディンゴといいます。よく覚えていて間違わないようにしてくださいね」ということでよいのでしょうか、教育といういとなみは、コンピュータに情報を打ち込む過程とは違うと思うのですけど、どうでしょうか?

 たのしい教育はそういう流れと根本的に異なる教育方法です。

 興味のある方は、ぜひたの研の講座を受講、スーパーバイズなどを受けることをおすすめします。

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