朗読をたのしむ① 高村光太郎「山の春」 から広がる世界/たのしい国語

 とても本好きなのに、たのしい教育の需要が大きく、ゆったりと本を手にするゆとりがみつからないので、電子書籍を読んだり、サブスク/サブスクリプション(会員制の定額サービス)で本の朗読をながら聞きしたりする日々です。

 以前、このサイトの熱心な読者の方から「なかなか寝付けなくて…」という相談がきたので「朗読のサイト」を紹介したところ、かなり感謝してくれて、お礼にと珈琲が届いたことがありました。

 朗読をたのしむのはサブスク(subscription)でなく、無料で利用できるコンテンツもあります。無料だと質がよくないだろう、と考える人がいるかもしれません。確かに、「本読みの練習中の動画をアップしたのかな」という動画もあるのだけど、玄人が朗読してくれているコンテンツもあります。

 ナレーター・声優として不動の位置にいる窪田等(くぼた ひとし)の朗読もたくさん聴くことができます、試しに「窪田等」で検索してみてください。

 詩人の高村光太郎は味わい深い文章をいくつも残しています。

 その中に「山の春」という掌編があります。
「ほんとうは、三月にはまだ山の春は来ない」とはじまる、土の香りがする心地よいエッセイで、以前、このサイトでも青空文庫から全文紹介しました⇩

高村光太郎の名文は名作〈リトル・フォレスト〉に影響をあたえただろう/名文を読むことは人生を豊かにし、受験生は合格に近く(後半)

 

 自分で何か仕事をしながら読むというのは難しいのですけど、朗読を聴きながらたとえば
・ものづくり
・教材実験
・水かけ
・料理
などは十分可能です。

 教材作りに熱中すると頭に入らないことがあるんじゃないか?

 ありますよ、でもノープロブレム!

 何回も聴けばいいんです。素晴らしい作品は繰り返したのしめるからです、映画や絵画と同じ。

 ここからその朗読を聴くことができます、10分くらいなので気軽に聴いてみませんか。

http://aozoraroudoku.jp/voice/rdp/rd140.html

 これはいいなぁ~と思ったら、二回三回と聴いてみてください。

 朗読もいいなぁ、と思ったらその世界に浸っていくとよいでしょう。
 今回も続きが書きたくなりました。
                       つづく

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私たちが〈人間は決して変わり得ない〉という考え方に立てば死刑も認める/平野啓一郎『ある男』より

 読者の方から質問が来ました。中学生か高校生かと思うのですけどはっきり確認しているわけではありません。〈たの研/たのしい教育研究所〉にくる質問の中では異質だったのですけど、私の中にあることが浮かんだので紹介したいと思います。

「死刑制度についてどう思いますか」というのが、その問いでした。

〈賛成ですか、反対ですか〉ではなく「どう思うか」です。

 読者の皆さんの中には、死刑制度に賛成の立場の人もいるでしょう、反対の立場もいるでしょう。

 それぞれの立場の人たちの考えを聞いても、それぞれ相手を納得させるだけの理屈があります、「それは違うでしょう」と簡単にいえるような軽いものではありません。

「相手の命を否定するような人間は自らの命が否定されても文句は言えないかもしれない」という武者小路実篤の『真理先生』の中に出てくる理屈は死刑制度ともつながるでしょう。

 冒頭の言葉は平野啓一郎原作の映画「ある男」の中に出てくるセリフです。そしてそれは「しかし私たちは人間は変わりうるという立場に立っています」とつながります。
 この考えを簡単に否定できるでしょうか?

 こうやって考えていくと「人によって意見は異なる」という結論から先にすすめそうもありません。

「何が真理か、それは仮説実験的な認識によってのみ明らかになる」というのが、〈たの研〉の認識論です。ちなみに設立当時からうちの応援団を担ってくださった板倉聖宣先生(日本科学学会元会長/仮説実験授業研究会初代代表)が明らかにした認識論です。

 死刑制度の良し悪しも仮説実験的認識論で明らかになるのだろうか?

 ふとそう考えてみたのです。

 〈何が真理か〉という時には科学的な真理をテーマにしています。制度・法律は約束事だから科学的な真理とは違う、仮説実験的認識論で扱うものではないという考えもあるかもしれません。しかし自然科学だけでなく「社会的な科学」もあります。たとえば人口変動はこうなるというような予測は科学的に明らかにできますし、需要と供給の関係も法則的にはっきりしています。
 権力は腐敗する、というのも社会的な科学といってよいかもしれません。現在の日本のシステムではなく、厳格なる三権分立は、その抑制に役立つというのも法則的なものだと思います。

 死刑がある社会が人々の幸福を保証する方向に向かうのか、そうではないのか?

 それは社会的な科学の問題として明らかにできないでしょうか。

 とはいえ、それは簡単な問題ではありません。
 たとえば「戦争がどんどん起こる世界と、戦争のない世界は、明らかに戦争が起こらない世界が幸せだ」と言えそうですけど、片や監視社会でがんじがらめとなって、人々から選択肢がなくなっていくような社会、普通なことつまり平均的な行為からはずれる人たちはどんどん刑務所に入れられていくような社会であったら、戦争はなくても幸せとは言えないでしょう。

 死刑制度がある社会と死刑制度がない社会のどちからが多くの人々の幸せに近いのか、どうやって確かめていったらよいのでしょう?

 死刑制度のある国とない国との比較でしょうか。
 簡単に死刑が実施されていた時代の日本と、今の日本との比較でしょうか。

 簡単に答えがみつかるとは思えないのですけど、予想を立てて調べていくことのみが真理にたどりつくことは間違いありません。

 思考停止してしまうことより、問題意識をもって考えていくことの方が、遥かに素晴らしいことです。

 そういう中で、きっと死刑制度の是非がはっきりしてくるでしょう。
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みかんの花が咲いている 思い出の道 丘の道/記憶をとく楽しさ

 子どもの頃耳にしただけなのに、ずっと記憶に残っていて、野山散歩しながら最近思い出した唄があります。。※沖縄の北のほうに住むAさんから「いっきゅう先生のサイト毎日読んで、子どもたちの朝の話に使っています」という感謝の言葉が届きました。嬉しいことです、どんどん利用してください、お便りもお待ちしています

 最近も紹介したのですけど、これはまた別な処でみつけた花です。ミカン(シークヮーサー)の花の季節なんですね。

 花も好きですけどハチも好きなので、ついつい接近してみてしまいます。いつもいうのだけど、ミツバチって身体に大して羽が小さすぎると思いませんか? 以前詳しく書いたことがあるので興味のある方はこのサイトの記事を検索してみてください

 

 思い出していたのは、この唄です、2~3番があるとは知らなかったのだけど…

1.みかんの花が 咲いている

  思い出の道 丘の道
   はるかに見える 青い海

    お船がとおく かすんでる

2.黒い煙を はきながら

   お船はどこへ 行くのでしょう
   波に揺られて 島のかげ

    汽笛がぼうと 鳴りました

3.何時か来た丘 母さんと

   一緒に眺めた あの島よ
    今日もひとりで 見ていると

     やさしい母さん 思われる

 学校で学んだのか、テレビのコマーシャルからの知識なのか「ミカンといえば愛媛」。愛媛の丘に咲いているミカンの花を唄ったもので、青い海に船が遠くかすんでみえる、という唄なのだと思っていました。

 作詞者は加藤省吾さん。
 調べてみると〈みかんの花咲く岡の碑〉というのが見つかりました、ここからの眺めなのか・・・ 私はこうやって場所を特定するのが大好きで、好きな映画や本に登場する場所をたずねたりすることもたのしみの一つです

 ここから見るとどんな眺めんでしょう。

 住所を見ると「埼玉県深谷市仲町11-1」
 あれれ、海のない埼玉県だ、「遥かに見える 青い海」って妙ですね。

 解説には

昭和20年(1945年)5月に加藤省吾が疎開中に、この『みかんの花咲く丘』を作詩した

https://www.city.fukaya.saitama.jp/soshiki/kyoiku/bunka/digitalmuseum/literary02/1490059593288.html

とあります。
ん~、疎開っていうと小中学生だったということ?
 子どもが作詞したものなんだろうか・・・
 それとも引率した先生だったとか?

 気になって調べていくと「童謡 みかんの花咲く岡 誕生秘話」という記事がありました。https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/14482

 そこには「富士市(静岡県)出身の加藤省吾さんが幼い頃を思い出して書いた」とあります。その静岡県にも「みかんの花咲く岡の碑」があります。

 Wikipediaをみると、ミカンの花咲く岡を加藤さんが作詞したのは1946年です、とすると「疎開中(戦時中)に作詞」ということとずれてしまいますね。

 どちらが正しいのかということについては、興味あるみなさんがそれぞれで考えていただくとして、なんとなく「愛媛県の歌」だと思っていた私の予想ははっきり外れていました。

 加藤さんが眺めたミカンの花咲く岡は今も残っているのだろうか・・・
 かなり低い確率だと思うのですけど、今度静岡を旅する時は、加藤さんの故郷を尋ねてみたいと思います。

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世界で最も古いなぞなぞ② なぞなぞクイズをたのしもう

 シュメール人がくさび形文字で刻んだなぞなぞは、次のものだと言われています。私は古代の文字に詳しいわけではないのでA.I.といくつかのwebサイトをもとにした情報です。➡︎ただしわたしは古代言語について詳しく調べたことがないので、紹介するゴードンさんの解読が正しいのかどうか確証がありません。もしかすると誤読などかもしれないという選択肢は持ちながら読み進めていってください。いくつかの選択肢をもって物事をみていくことは〈騙されない人間〉になるために、とても重要なことです

 E.I.ゴードンという学者が1960年に古代シュメール楔形文字を解読たといわれているのが次のなぞなぞです。

その建物は空に近い場所にある
その建物は秘密の箱のように、ベールで覆い隠されている
その建物はクオリティー高くつくられている
誰かがそこに入る時、その目は閉じている
だがそこから出る時、その目は開いている

https://sist8.com/oldqz

 その建物とはなんでしょう?

 あなたの予想

⬇︎

⬇︎

こたえは〈学校〉です。

 そもそもそんな昔から学校というシステムがあったのかというのに驚くのですけど、それが記録された最古の問題だというのも驚いてしまいます。

 何しろ人間は知的な遊びが大好きです。

 学校でも家庭でもどんどんなぞなぞクイズをたのしんでみませんか。

 一つ、問題を出してみましょう。

 直感と計算の差が現れるので、小学校高学年で〈方程式の大切さ〉を伝えるための、好きな問題の一つです。

問題
ボールペンと消しゴムの値段は、合計で110円です。

ボールペンの値段は消しゴムよりも100円高いのですけど、消しゴムの値段はいくらでしょう?

⬇︎

⬇︎

⬇︎

⬇︎

 直感的に〈消しゴムは10円だ〉と考える人たちがたくさん出ます。
 でもそうするとボールペンは100+10で110円となります、二つを足すと120円になってしまいますよ。

ボールペンをB、消しゴムをKとして方程式を立ててみます。

 B+K=110 ①
 B=K+100 ②
代入②⇨①
 K+100+k=110
 2K=10
 K=5 ③
代入③⇨①
 B+5=110
 B=105

 ボールペンは105円、消しゴムは5円です。

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