たのしいブッレビュー「算私語録」-駐車料金の話-楽しい学習・自由研究ネタ・たのしい授業・楽しい授業・楽しい自由研究・楽しい学力・楽しい教材・楽しい学力向上

 以前書いた〈楽しい工学:エンジンとモーター〉の話の時に思い出してメモ書きをたどりました、敬愛する安野光雅さんの本「算私語録」にあった内容です。今回はその話をメインに書いてみたいと思います。

いっきゅう
 東京はよく行くのですけど、駐車料金の高さに驚きます。
 これはその一つ、1時間で3600円になります。
 トラブルも多くて、最近は上限設定されてきたようです。

 安野光雅さんの『算私語録』をご存知でしょうか、このサイトでも何度か紹介してきた大好きな本です。

 その中に、おもしろい話がたくさん載っていて、算私語録は〈そのⅢ〉まで出ていて、それに〈新編〉を加えて四冊もっているのですけど、それがどの本だったのかわかりません。読者のみなさんで、それがわかったら教えてくださいね。

 こういう話です。

 新宿のさる道路上に小型車が1ヵ月余りとめてあったが、しまいにはナンバープレートまで外されていた。

 警察に届けたら「それはもはや車ではなく、ゴミだから市役所の管轄だ」とぃわれて、事実、そのように処置された。

 もっともな話ではある。

 このように長く放置された自動車が、実はずいぶんあると思う。
 Dホテルの駐車場に実に長く取りに来ない車があって、「なぜだろう、持ち主が監獄へでも入ったんだろうか」

と噂していたところ、一度取りにきたが、すでに駐車料が二百万円に達し、新車よりも高くなっていたので、本人は車をそのままにして帰ってしまった。

 今では四百万円近くになっているが、はてどうしたものか、という話を聞いた。

-算私語録-

 こういうものに上限設定はないんだろうか。
 でないと物理的に二千万円とかも請求できてしまうことになるんだけど…

 さて〈算私語録〉の話、以前紹介した時に「早速買ってバッグに入れて読んでいます」という便りがありました。

 まさにそういうスタイルがピッタリです。
 安野さんが心動かされた話を短くまとめてあって、中には数行で読めるものもたくさんあります。

 朝日新聞社刊です、おすすめです。

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技術・家庭科でみる男女の差-たのしい教育史

 たのしい工学・エンジニアリングの項に書いて気になっていたことを調べてみました。私いっきゅうが中学の頃の教科〈技術家庭科〉は今どうなっているか、についてです。私のころは男子は技術科、女子は家庭科でした。
 現在はどういう扱いでしょう。

 内閣府の男女共同参画局のサイトにしっかりまとめられていました、長いのですけど引用します、下線はいっきゅうです。

 

 

学習指導要領における技術・家庭,保健体育の変遷

戦後の我が国の初等中等教育においては,多くの教科が男女の区別なく履修されてきた。一方,中学校の技術・家庭科及び保健体育,高等学校の家庭科及び保健体育においては,男女で異なる内容を履修することとなっていた。

まず,中学校の技術・家庭科に関して,昭和33(1958)年告示の学習指導要領において,「生徒の現在および将来の生活が男女によって異なる点のあることを考慮して,『各学年の目標および内容』を男子を対象とするものと女子を対象とするものとに分ける」とされている。これにより,各学年の目標及び内容が,性別によって異なったものとなり,具体的には,「女子向き」の内容は調理,被服製作,設計・製図,保育,家庭機械・家庭工作となっている。一方,「男子向き」の内容は,設計・製図,木材加工・金属加工,栽培,機械,電気,総合実習となっている。

高等学校の家庭科に関しては,昭和45(1970)年告示の学習指導要領において,普通科において「『家庭一般』は,すべての女子に履修させるもの」とすることが定められている。また家庭科に関する改善の具体方針として,「女子の特性にかんがみ,(中略)すべての女子に『家庭一般』を履修させるものとすること」とされている1

 しかしながら,昭和52(1977)年の学習指導要領においては,「地域や学校の実態及び生徒の必要並びに男女相互の理解と協力を図ること」を考慮して,中学校の技術・家庭科において,領域の再構成を行い,女子には技術系列の領域の中から1領域を,男子には家庭系列の領域の中から1領域を含めて,男女のいずれも7つ以上の領域を選択して履修させるように定めている。

 そして,昭和60(1985)年の「女子に対するあらゆる差別の撤廃条約」の批准を受けて,平成元(1989)年告示の学習指導要領においては,中学校の技術・家庭科では,男子と女子で履修領域の範囲に差異を設けている扱いを改め,男女同一の扱い2をするとともに,高等学校の家庭科では,男女ともに必修の教科とされた。中学校の技術・家庭科では,木材加工,電気,家庭生活,食物の4領域について,すべての生徒に履修させるものとされた。また,高等学校の家庭科では,家庭一般,生活技術,生活一般のうち1科目をすべての生徒に選択履修させることとなった3

 また保健体育の学習指導要領についても変化が見られる。平成元(1989)年告示より前の学習指導要領においては,性別により保健体育の学習内容に違いが見られた。中学校の保健体育に関しては,昭和52(1977)年告示の学習指導要領では,ダンスは「主として女子に履修させる」,格技(ア相撲,イ柔道,ウ剣道)は「主として男子に履修させる」ものとすることが定められている。高等学校の保健体育に関しても,昭和53(1978)年告示の学習指導要領では,ダンスは「主として女子に指導する」,格技(ア柔道,イ剣道)は,「主として男子に指導する」こととされている。

 しかしながら,平成元(1989)年告示の学習指導要領において,従来の格技が武道に改められ,武道およびダンスの領域について,男女ともに選択して履修させることが,中学校,高等学校ともに定められた。

平成の始まりとともに,学習指導要領において,すべての教科で男女別の履修に関する記述がなくなったのである。

1「高等学校教育課程の改善について」(昭和44年9月教育課程審議会答申)

2文部省「中学校指導書」(技術・家庭編)(開降堂出版社,平成元年)99頁。

3平成11(1999)年告示の学習指導要領では,「家庭基礎」,「家庭総合」,「生活技術」のうちから1科目,平成21(2009)年告示の学習指導要領では,「家庭基礎」,「家庭総合」,「生活デザイン」のうちから1科目,平成30(2018)年告示の学習指導要領では「家庭基礎」,「家庭総合」のうちから1科目を,それぞれ選択することとなっている。

 私の頃の様に男女別々の内容を学ぶことは、なくなっているんですね。

 とはいえ、女子も男子も同じものを学ぶ、つまり全員が同じ内容を学んでいくのではなく個人として「希望・選択したものを学ぶ」という様にして、小学校段階からももっと選択肢を増やしてもらいたいと思っています。
 女性だから男性だからというのではなく、個人としてどういうものを学びたいのか、という方向も未来の教育の重要なテーマだと思います。

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ボランティア活動というのは自分の頭で考えて行動すること-東北大地震ボランティアの経験から

 東北大地震から12年経った3月11日、ひとりしみじみ、その時のボランティア活動の様子を想い出していました。

 その時の経験は心のどこかの回路をスイッチして、今のたのしい研究所の設立につながっていますから、ボランティア活動に止まらず人生の大きな変化を生んだわけです。

「今は危ないですよ」という人たちが圧倒的でした。中には私が行くことを耳にした県外の知人の知り合いの方から「今は危険で消防や自衛隊が活動する段階だから、行ったら迷惑です」「その旅費を募金した方がよい」という強い言葉も届いたのですけど、あの映像を目にした私は居ても立ってもいられず、地震から約10日後、クラスの子ども達を送り出したその日に飛行機に乗りました。
 岩手空港は壊滅的な打撃を受けていて飛行機で入ることはできなかったのですけど、幸い秋田空港が開いていたので、そこから宮城県に入りました。
 まだ大規模火災もおさまってなく、気仙沼あたりの火の手が西の空をオレンジ色に染めて上がっている頃でした。※写真は全て私が撮ったものです

 水は引いたとはいえ、こういう光景が360度広がっている中で何ができるのか、まずは頭をクリアーにしなくてはいけませんでした。

 選んで撮ったわけではなく、ボランティアに入った地はどこに目線を向けても圧倒的な打撃のあとが広がっていました。

 行っても迷惑だと語ったその言葉はすぐに間違いだとわかりました。
 これは塩釜市で担当した時の一枚です、私が運転していた車に載せていた表示が偶然フロントガラスに映っています。
 鏡文字で読みにくいかもしれません、「緊急車両 高齢者安否確認中です」という表示です。

 家が潰された人たちが膨大な人数でしたから、自分の生活をどうにかしないといけません。他の人たちのために時間を注ぎたいと思っていても、身内の行方が分からなくなった人たちがたくさんいましたから〈安否確認〉の人手も足りませんでした。

 昼食をとっていると「手を貸して欲しい」と呼ばれて汗を流した場所がここです、。各地からたくさん届く支援物資の保管庫です。

 ボランティア活動というのは、誰かに言われてやるものではありません。それと同じように、誰かに〈やめなさい〉といわれて「はいわかりました」と簡単にいうものでもありません。

 自分の心の奥から「やりたい」「やらなくては」と湧き上がってくるものなのです。

 安全についても、自分が食べるもの、飲むもの、寝るところについても全て自分の責任で準備していく必要があります。もちろんどこからもお金をもらうことはありません、全て自腹です。
 もし本当に自分の活動が邪魔だということになったら、持っているお金で全てカイロや食べ物を買って避難所に届けようと思いました。三月とはいえ東北は寒く、避難所は底冷えする状態です。
 そういうことも自分の責任できりもりする必要があります。

 自分の頭で考えて行動する、そういう子ども達を育てたいという人はたくさんいるでしょう。
 ぜひ、そういう子ども達を本気で育てて下さい。

 そういう子ども達が増えていくことで、日本はきっとよくなっていくと思います。
 困難な状況も突破していけるでしょう。

 そういう教育には夢と希望が詰まっています、それはつまりたのしさでもあります。

 答えが準備されているのではなく未知の状況で活動できる子ども達をたのしい教育研究所は全力で育てていきたいと思います、そしてそういう子ども達を育てることができる先生たちを着実に広げていきたいと思います。

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沖縄県島言葉(しまくとぅば)事業2022年度の部、たのしく修了!-楽しい国語・楽しい学習・自由研究ネタ・たのしい授業・楽しい授業・楽しい自由研究・楽しい学力・楽しい教材・楽しい学力向上

 沖縄県のしまくとぅば普及促進事業の助成をうけて実施してきた「たのしく島くとぅば」の活動の2022年度の部が修了しました。

 プロジェクトリーダー、みえ先生がまとめてくれた報告書を眺めながら、力ある先生たちのおかげで、たのしく実りある取り組みができたと喜んでいます。

 
 報告書の1ページ目にこう書かせていただきました、抜粋して紹介します。

はじめに

特定非営利活動法人たのしい教育研究所

所長 

 

 島言葉は琉球沖縄の大切な伝統文化として継承していく必要性だけでなく、もう既にこの世にいない先人たちの心の中にあった温かさ、思いやり、いたわり、意欲、モラル、価値その他たくさんのことを感じ教えてくれるものであり、教育的な価値もとても高い財産です。

 本NPOでも以前からその価値に気づき、本県教育の中に取り入れていきたいと考えてきましたが、沖縄県文化振興課の後押しを受け、今年度やっと具体的取組みのスタートを切ることができました。まず何より沖縄県文化振興に心からお礼を伝えさせていただきたいと思います。

 具体的な取り組みは本文から読み取っていただけるものと思いますので、本文や写真、プログラムからは読み取ることができないであろうことを前書きとしてかかせていただきます。

 「島言葉を学校教育の中に取り入れたい」と語るのは簡単であり、反対する人はあまりいないと思います。しかしマスコミでも多く取り上げられている様に教育関係者の仕事量、質の多様化、抱える課題の困難さなどは大きな壁であり、「島言葉は価値が高いから導入しましょう」と伝え教材を提供するだけでは期待している実質が伴わないものとなる可能性が高まります。

 当研究所はメンバー全員が教師・教育管理職経験者あるいは現役の教師であり、応援メンバーに名乗りをあげてくださっている方達の中には教育行政関係の方から現職の校長先生なども多く、県内の組織の中では〈最も〉と表現してよいほど学校現場と近いNP0だと思います。それだけに、大切な〈島言葉〉を学校教育に着実に浸透させることを真剣に慎重に考えてすすめる必要性を強く感じてきました。

 学校現場は〈I.T.機器活用〉から〈外国語〉、〈いじめ対策〉〈人権意識の高揚〉その他、「これは大切」「あれも大切」というものが増えていき、先生方も子ども達もひっしにそれらに取り組む中、ゆとりがなくなっています。最近になって教師不足が叫ばれる様になりましたが、それは数年前からの現象で、休む先生の分をいろいろな先生方ががんばってカバーし、全国で最もメンタル面による病休率が高い県となっています。

 実際、当研究所に学びにくるたくさんの先生方にリサーチすると、学校現場の多難な現状の中に安易に新しい島言葉プログラムを導入してもそれは形式的なものとなり、しばらく経つうちに忘れ去られてしまう危険性を強く感じざるを得ませんでした。

 また島言葉そのものに学校現場の先生方自身が不慣れであるいう現状も、島言葉が学校現場で広がっていくことに大きな障壁となり「教室で島言葉を取り上げる際には地域の老人会の方を招聘して実施するので、気軽に取り上げるにはハードルが高いです」という先生たちが何人もいる状況でした。

 そういう中、現場の先生方を交えて研究会、検討会、アイディアミーティングを重ねていった結果、当研究所のプログラムとして導入したテーマが〈シンプル島言葉〉でした。気軽に島言葉をりようできる場面を具体的に想定し、そこで利用できるプログラムを作成し提供する取り組みです。

 幸いなことに、もっと深く知りたいという方たち向けには文化振興課作成のテキストや音声資料などが利用できます。また既にいろいろな地域で〈島言葉教育〉に取り組んでくださっている団体を紹介するなども可能ですから、入り口を広げていく中で幅広く深いところまですすめていくことができます。

 そうやってスタートさせた本研究所の教材は、すぐにたくさんの教育関係者の方たちから「これはいいですね」という反応が届きました。教室で積極的に利用してくれる先生方が出てきただけでなく、授業以外でも朝の活動や給食、帰りの会の中に位置付けて下さる先生方もいます。

 加えて、公民館・自治会、児童館などにも広め、当研究所が開催する講座等でも活用し、好評を得ることができました。

 はじめに作成したプログラム〈たのしく島言葉 給食・食事編〉では、毎日利用している先生の様子を見た外部の方が注目し「ぜひ全ての学校にこういう取組みを広げてほしい」と語るほど喜んでくださり、当研究所を応援してくださる校長先生をはじめ、いろいろな方たちが力を出し「沖縄学校給食会」の理事長、事務局長、担当主事三者の方と懇談しする機会を得ました。そこでは学校給食会としても、島言葉の重要性とシンプルに活用できる教材とのセットを高く評価していただき、学校給食会のルートで沖縄県の離島を含む全小中学校に配布していただく運となりました。

 今回の取組みを経て、島言葉の中にちりばめられた、沖縄の人たちの感性、魅力的なものの見方考え方を、これからも丁寧に伝え、学校教育の中に着実に浸透させていきたいと考えをますます強く考えているところです。

 今後とも、教育現場にとって魅力ある〈島言葉〉のシンプル教材を作成し、先生方と協力して普及していきたいと考えております。

 期限のこともあり、このボリュームでとどめることとなりましたが、本報告書の中には盛り込むことのできなかった多彩な活動もたくさんあったこと、そして、協力してくださった方たちが、この中に出てくる以上にたくさんいたことを添えて、はじめの言葉とさせていただきます。

2023年2月のよき日に

 言葉は先人たちが残してくれた無形の財産、たからものです。
 その素晴らしいところを残していこうとする人たちがいなければ、財産・たからものは、紙の資料・データの中に閉じこめられた過去のものになってしまいます。

 それをたのしく継承していくこと、それもたのしい教育研究所の大切なテーマの一つです。興味関心のあるみなさんが増えていくことを期待しています。

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