教師でなくても役立つ〈インクルーシブ教育と合理的配慮〉の話@読者の方からの相談に答えて

 某県の教育センターで研修員として学んでいるという方から、以前ここに書いた「合理的配慮」についての記事に驚いたという話が届き、いくつか意見を交換しています。

 私が受けた講習の中で講師が「保護者の話を聞いてあげてください、それが合理的配慮なんです」と言い切ったことに驚いた

という記事です。

 その方とは共有できている情報なのですけど、教育関係者でなくてはよくわからないこともあったかもしれないと感じたので、それを補完する内容を書きたいと思います。

 インクルーシブ教育というのは、ハンディのある子もそうでない子も一緒に学ぶ教育です。

 文科省のサイトから引用しましょう。https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1321668.htm

日本での取り組み

 国連での「障害者の権利に関する条約」採択を受けて、日本でも共生社会を目指すべく、文部科学省は2012年に「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」という報告書を発表しました。

 本報告書では、①障害のある者と障害のない者がともに学ぶ仕組みであること、②障害のある者が教育制度一般(general education system)から排除されないこと、③個人に必要な「合理的配慮」が提供されること、が必要であるとされています。
 2014年に日本は「障害者の権利に関する条約」を締結しましたが、2022年に国連は、日本では障害のある子どもの分離された特別教育が永続しているとして、日本に対して分離教育を止めるように勧告しました。日本においてインクルーシブ教育が十分に進んでいないことが、課題として浮き彫りになったのです。
 インクルーシブ教育を理解していくためには、通常の学校はインクルーシブな方向性を持たねばならず、全ての学校がインクルーシブであるべきと考える必要があります。

 また、インクルーシブな方向性を持つ通常の学校という存在が、差別的な態度と闘い、インクルーシブな社会を構築し、万人のための教育を達成する上での最も効果的な手段となり得るものであるとの認識も必要になります。インクルーシブ教育を理解して普及してくためには、まず、私たちの考え方自体から変えていかなければならないでしょう。

合理的配慮の義務化

 2012年の文科省報告書にもあった合理的配慮の提供について、日本では2016年に障害者差別解消法の施行により、どの学校においても障害のある子どもたちに必要な合理的配慮を提供することが求められるようになりました。私立学校における合理的配慮の提供は努力義務にとどまるものでしたが、2021年には障害者差別解消法が改正され、共生社会の実現のため、2024年4月よりすべての事業者において、合理的配慮の提供が義務化されました。これにより、私立学校においても合理的配慮の提供が法的義務になりました。

 「合理的配慮」というのは〈具体的な対処行動〉です。

 文科省のサイトにはこういう具体例があげられています。

 

別紙2 「合理的配慮」の例 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1297377.htm

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何だこのタワーは?/〈たの研〉のセッションでこれまでのプログラムもグンと楽しくなる

 太陰暦元日後、はじめてのプログラムセッションが開催されました。
 近々、ワークショップで使う可能性があるので詳しく書けないのですけど、これは「ハラハラドキドキタワーづくり」、去年のパーティーを楽しむワークショップで取り上げた時にも、かなりもりあがったゲームです。

 元々は〈5段〉というしばりの中でたのしむゲームです。
 今回のセッションで、前のパーティーワークショップに参加できなかったさくら先生が「どんどん上に段を増やしていこう」と提案してくれて、みんなでやってみました。

 さらにたのしい!

 ハラハラドキドキ感も半端ではありません。

 崩れる時も、高い分、迫力があります、実にいい。

 〈たの研〉のプログラムは、楽しさ度・満足度がアップしていく進化系です。

 2/22の『背を向けたあの子が振り向いてくれる時 Vol.2』でとりあげる予定です、興味ある方はお申し込みください⇨https://tanokyo.com/archives/165174

 

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「楽しい日本」というキーワード/具体的にどうするのか?

 石破首相の所信表明演説で「楽しい日本」というキーワードが出たというので〈たの研/たのしい教育研究所〉の周りが少し騒がしくなってきました。首相が言うのですから「面白おかしい」ではなく『本質的な楽しさ』の向きに向かってほしいものだと思います。

 心配なのは、トップの意向を忖度した人たちが、楽しさを強制するようになっては元も子もありません。「学校の授業を楽しくしなさい」とか「日々の仕事を楽しくしなさい」と強要したら、現場は混乱して反作用が生じます。最近の記事でも書いたように、楽しさと強制は相容れないものです。

 こういうようにすると、たのしくなるのではないか、というように、いろいろな人たちがチャレンジしやすい状況を作ってくれるなら、すばらしいことです。

 授業内容の細かい縛りや時数の細かい管理をゆるめて、才能ある先生たちが、それぞれのアイディアを元に、自由に授業できるチャンスを広げていくことは大切です。

 そもそも教科書は「主たる教材」であって〈必ず使わなくてはいけない〉わけではありません、授業の目標を捉えているなら〈他の教材を利用すること〉も可能です。

 数年前に「教科」となった〈道徳〉に関連した質問で「教科書の取り扱い」についいて、ある校長先生がシンプルに答えてくれています。

 教科書は、主たる教材とされています。ですから、基本は教科書を使って授業を行うことになります。けれども、必ず毎時間教科書を使うとか、教科書に載っている教材は残すことなくすべて授業で扱うとかいう縛りはありません。-小学館が運営しているサイト〈教育技術〉
https://kyoiku.sho.jp/20767/

 そういう具体的な自由度を知らずに先輩教師が見せる授業の後追いをしていく若い先生たちがたくさんいると聞きます。

 先生たちを明治期と同じレールの上で走らせるのではなく、その魅力的な才能を開花させる方向にすすめてほしいと心から願っています。

 教師として長年「たのしい教育」を目指してきた力あるメンバーが創った〈たの研/たのしい教育研究所〉にはその具体的な方法が山ほどあります。

 これまで管理職や行政の方たちからの相談に答えてきた具体的な方法が、いろいろな処に広まってくれるなら、こんなに嬉しいことはありません。

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子どもの学力を伸ばす家庭学習の秘訣:効果的なサポート方法とは?(2)

 前回の続きです。「子どもの学力を伸ばす家庭学習の秘訣:効果的なサポート方法」それは、まず子どもたちが、それを学ぶことのたのしさを感じてくれるアプローチです。

「漢字を100回書きなさい」「計算ドリルを5分以内にできるようにしなさい」という指示型トレーニングで力が上がる子もいます、けれどその確率は低い。
 そうやって問題を解く力がついていっても、教師や親の強制に反発できる・拒否できる力がついてくると、従わなくなる子どもたちが増えていきます。さらに強い強制を与えると、大きな問題が生じるでしょう。

 家庭で試みるとしたら仮説社の「漢字の宝島」はどうでしょう、たくさんの子どもたちが楽しんでくれることは〈たの研〉でも実証済みです。

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 いろいろな教科、内容に応用できる〈マッキーノ〉という方法もあります。

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※本だけでは伝わらないこともあるので、興味のある方は〈たの研〉でレッスンするとよいと思います。

 いずれにしても「これこれをやるように」ではなく、例えば「これ、いっきゅう先生がたのしいよ、って言ってるんだけど、お母さんと一緒にためしてみない?/みんなで挑戦してみない?/自分でやってみない?」というようにすすめることです。

 このサイトの検索窓に「自由研究」と打つと、ヒントになるたのしい学習内容もたくさん出てくると思います、探してみてください。

 子どもたちの可能性がたのしく伸びていく、それがたのしい教育研究所の大きなテーマです。

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