〈縄張り争い〉も〈菌〉も、よくないイメージがつきまとうのですけど、菌の縄張り争いがたくさんの人たちの命を救ってきました。
方便(ほうべん)でも誇張(こちょう)でもありません、救った命の数は何百万人と見積もっても少ないくらいでしょう。
以前から、子ども達が喜んで学んでくれる〈たのしい教育プラン〉になりそうで、候補の一つにしていました。
今回はその話を少しだけ紹介しましょう。
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さてみなさんはどういう〈菌〉を知っていますか?
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菌にはビフィズス菌、乳酸菌、大腸菌、破傷風(はしょうふう)菌などたくさんの種類があります。
たとえば湿ったパンを置いているとカビが生えてしくことがあります、カビも菌の仲間です。
カビ(菌)はそのパンの炭水化物やタンパク質、脂質、水分などを栄養にしてどんどん広がっていきます。
他の菌たちがそのパンに群がってくると、自分たちの栄養が減ってしまうので、そういう場合には別な菌が自分の広がっていかない様に〈ある物質〉を作り出し、別な菌たちが広がらないようにばらまきます。
その物質を『他の菌が〈生える〉のに抗(あらが)う物質』➡︎《抗生物質:こうせいぶっしつ》といいます。
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《黄色ブドウ球菌》といって、表皮感染症や食中毒、また肺炎、髄膜炎、敗血症など、命をうばうほどの菌があります。
これはその黄色ブドウ球菌が繁殖したシャーレーです、その中に円状の場所がありますね。
その円の中央にあるのは青カビです。
青カビが黄色ブドウ球菌が繁殖しない物質(抗生物質)を生み出して、自分の縄張りを確保しているのです。
黄色ブドウ球菌という人間にとって恐ろしい菌を青カビが排除している、押さえ込んでいる・・・
「お~、この縄張り争いは、病原菌を攻撃することに使えそうだぞ」
そう気づいたのがアレクサンダー・フレミングさんです。
彼は青カビが作り出している物質を「ペニシリン」と名付けました。
フレミングの発見をきっかけに「菌が生み出す物質(抗生物質・抗生剤)によって、病気や感染症の原因となる菌の繁殖を抑える」つまり『菌の縄張り争いによって感染症・病気を治す方法』についていろいろな科学者たちが研究を始めました。
その研究の成果が出て、戦争で負傷した人たちを治療したり、肺炎、敗血症、破傷風など、それまで死を待つしかなかった感染症からたくさんの命を救ってきました。
今ではカビから作られた「ペニシリン」だけでなく放線菌から作られる「スプレプトマイシン」ほか、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗腫瘍薬など200種類くらいの抗生物質が作られています。
子ども達が感動してくれる教育プランに仕上がると思ってワクワクしています。
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