たのしい社会の授業:社会科で〈戦い〉を取り上げる時の視点

 このサイトにも書いたかはっきりと記憶にないのですけど、だいぶ前に見た〈ノルマントン号事件〉を扱った社会の研究授業が心から離れません。ノルマントン号事件は、明治時代に起きた人種差別を伴う外交問題に発展していきました。

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ノルマントン号事件(ノルマントンごうじけん、英語: Normanton Incident)とは、1886年明治19年)10月24日イギリス船籍の貨物船、マダムソン・ベル汽船会社所有のノルマントン号(Normanton、より英語に忠実な表記は「ノーマントン」)が、紀州沖で座礁沈没した事から始まった紛争事件である。日本人乗客を見殺しにした疑いで船長の責任が問われたものの不問となり、船長らによる人種差別的行為と不平等条約による領事裁判権に対する国民的反発が沸き起こった。

 授業では教師が教科書を開きながら「溺れて死んでいった日本人たちがたくさん出た」と説明し、それにこどもがツッコミを入れて、先生を含めてクラス中が大笑いしていました。

 どこをどう切り取ると、これだけの惨劇を笑えるのだろう・・・

 人の命、平和や安全というのは、とても大切なテーマだと思うのだけど。

 さて先日、たのしい授業スーパーバイズで社会の「戦国時代」をとりあげました。長篠の合戦の様子が教科書に載っています。

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 鉄砲隊にヤリなどで突撃していく有名な戦いです。

 多くの先生たちが、その図絵に注目して、こども達から気づいたことを発表してもらっていました。

 その方がこども達が乗ってくると考えたそうです。

 ただし、ノルマントン号で私が見たように「鉄砲に対してヤリなんてバカじゃないの、アハハ」というような流れを作る可能性もあります。

 そういう授業に陥らないためにも「授業全体の見通し」をもっておくことが重要です。

「今日は戦国時代を取り上げて、それが次第におさまって戦いのない時代に入っていく歴史の流れに入っていきます。私たちが〈平和〉な時代を作っていくためにも、大切に学んでいきましょう」

 という見通しの中で、こどもたちと戦国時代という過程を学んでもらうことは可能です。

 実は指導要領の流れもそうなっているのです。

〈平和な世の中をつくる〉というたゆまない努力の連続が人間の歴史であり、たとえば憲法もそういう構造の中で出来上がったものです。

「たのしい教育は面白おかしい教育ではありません」という言葉を何度も発してきました。こども達の興味関心を高める、そのためにも〈授業全体に対するものの見方・考え方、哲学〉が重要であるということをたくさんの先生たちに伝えていきたいと思います。
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マングローブはなぜ海水でも成長していけるのかか不思議⇨コンブやアーサ(ヒトエグサ)やヒジキなどは不思議じゃないの?/たのしい自由研究のすすめ

 今回も〈たのしい自由研究〉のすすめです。先日、話合いがあって遠くまで行った帰りに夕焼けをみることができました、バック青に左からオレンジ色がせりだしていく美しい眺めでした。

 少し右に顔を向けるとマングローブが目に入ります。

 マングローブは不思議な植物です。

 私たちの周りにある花や野菜に海水をかけて育てることはできません、枯れてしまいます。

 だいぶ前、恩納村の学校にいた頃に実験したことがあります、水道水をかけたプランターの花は生き生きとしていたのに、海水をかけたプランターの花は1日でしおれてしまいました。

 木は草花より強いとはいえ海水をかけ続けると枯れてしまいます。

 なぜか?

 根の中の水分より海水の方が濃いので、根の水分が海水のある外側に吸い出されて干からびていくからです。

 なのにどうして海水につかっているマングローブは枯れないの?

 海水をろ過して真水に近い状態にする機能があるからです。

 ここで「なるほどね~」と納得しておわる人もいるのですけど、「ではどうしてコンブとかヒトエグサ(アーサ/アオサ)は枯れないのか」と気になる人もいるでしょう。

 興味のある方は自由研究してみてください。

 大きなヒントは「生物は海中で誕生し、陸上で住めるように進化していった」ということです。

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たのしい教育研究所で育った先生たちの実力の高さを感じる日々/このサイトの検索ランキング〈楽しい学力向上〉〈たのしい学力向上〉〈たのしい自由研究〉

 これは先日のたのしい教育スーパーバイズの一コマです、真剣に見つめる先には「力をつけたい」という先生たちが真剣に授業しています。

 この先生たちの多くも、たの研の授業SVで力をつけていきました。

 学ぶ側への優しい心遣いをベースにしつつ

「どうすれば、もっと子ども達が身を乗り出すか」

「その問いかけは授業全体の流れの中で、うまく効いているか」

「自分ならこうする」

本質的な質問や的確なアドバイスが間をおかず交わされていきます。

 教育現場に明るくたのしく力ある先生たちをおくる、その活動は着実に成果を上げてきています。

 学力向上は教育行政でも重要テーマです。たのしい教育研究所(RIDE)は、知的好奇心、たのしさをまず優先させる集団ですから〈まず学力向上だ〉とは語っていないのですけど、学力を高めたいという学校や先生たちからも高く評価されています。

 以前web上にある「たのしい学力向上」の400万件以上の記事の中で、このサイトが検索順位1位であるデータを見ていただいたことがあります。漢字表記の「楽しい学力向上」の記事はそれより多く500万件以上ヒットします。
 漢字表記で検索してもトップレベルであることは間違いありません。
 最近〈たのしい自由研究〉ではどれくらいのランキングなのか気になって調べてみました。「たのしい自由研究」というタイトルの本だけで何百冊もの本が出版されていますから、書籍には勝てないだろうと思っていたら、このサイトは20位台に入っていました。

 自由研究でもトップレベルを目指したいと思います。

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クイズから自由研究へ「これは何でしょう?」

 今日発行したメルマガにのせたクイズの解説を読んで、さっそく〈自由研究してみます〉という便りが届いています。
 たのしい授業の章で、お盆などで親類の子ども達がきた時などにも使えるクイズをとりあげた、その一つです。
 少し手を入れて紹介しましょう

問題6〈私は何でしょう〉

 私は5000年前、今の中東(イラン・イラクの辺り)で、肉を焼いているときに偶然うまれました。
 日本へは室町時代、1543年に鉄砲と共に入って来ました。
 はじめは薬として使われていたそうです。
 食べ物ではありません。
 今ではどの家庭にもあって、コロナ感染症の中でも大活躍しています。
 さて私は何でしょう。

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考えてからね
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考えてからね
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考えてからね
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こたえ
せっけん

解説:いっきゅう

 石けんは油をアルカリ性の薬剤で煮るとできます。

 現在の石鹸は〈水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)〉という強アルカリの薬剤を使います、危険な物質なので、理科の時間にも安全面に気を遣います。

 昔、木々を燃やして肉を焼いている時、たれた油が、木の灰とまざって、偶然石けんができたといわれています。

 植物の灰にはたいてい〈水酸化カリウム〉というアルカリ性の物質が含まれています。
 肉からしたたり落ちた油にアルカリ性の灰が混ざり、炎のそばでぐつぐつ煮詰められて石けんができたわけです。

 水酸化ナトリウムよりアルカリ度は低いので、おそらく固形ではなくてドロドロとした石けんだったと思います、もちろん色も美しいわけではなかったでしょう。

 チグリス・ユーフラテス川流域で発見された粘土板にはせっけんの作り方として、くさび形文字で『油に対し植物の灰5.5』と刻まれていたそうです。
 私は理科の時間やクラブの時間などに子ども達と何度か〈石けんづくり〉をやったことがあるのですけど、今度は原始時な石けんを〈たの研〉でつくってみようと思います、みなさんも自由研究してみませんか?

「これが今から5000年くらい前に偶然できた石けんです、実際に汚れがおちるんですよ」と書いて、夏休みの自由研究として出すと面白いと思います。

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