これは何かな?(2)-植物に親しむ たのしい理科・たのしい家庭科

 前回の写真を見て、いろいろな予想を立ててくれたでしょうか。この記事は連続で綴っているので、読者の皆さんの予想を確認することはできないのですけど、メルマガでは「お土産品ですか」という予想も届きました。
 ちなみに私も「造形物」だと思いました、もちろんそれも土産品と同じく、違います。もちろん「新品種の緑のバラ」でもありません。

答えはこれです!

 

 え、どこが?

 と思った人もいるでしょう、ひと作業必要です、とはいってもその形をこれから造形しようというわけではないですよ。

 A先生が食事の準備をしようと食材の小松菜をカットしたら・・・


 まさに緑のバラといってもよい様な形がそこにあらわれたのです。

 〈たのしい教育メールマガジン〉にはそのことを紹介したのですけど、メルマガは読者の皆さんが読みやすい様に〈1万文字程度〉という制約を設けてあって、実はもっと書きたいことがあったのですけど、止めておきました。
実はこのテーマ一つで〈たのしい自由研究〉になるのではないか、と思っています。

 カットした部分を上から眺めると、中心からうず巻き(らせん)を描く様に広がっていることがわかると思います。

 この一つの現象をみることで、自由研究のテーマがいろいろ浮かんできます。

 こういう〈うず巻き・らせん〉が現れるのは小松菜の葉以外にどういうものがあるのか?

 たとえば〈バラの花〉はそうですよね、他には?

 たくさんあるのか、貴重な現象なのか、いろいろなものを見てスマホでどんどん写真をとっていくだけで、たのしい自由研究になります。

 まだあります、この巻き方(螺旋:らせん)は左巻きになっていますね。

 まずこの左巻きという流れは全ての植物で同じなのか、植物によって違うのか、あるいは同じ植物でもあるものは右巻き、あるものは左巻きという様に個性のように違っているのか?

 という大きなテーマがあります、みなさんはどう予想するでしょうか。

 テーマはさらに広がります、どうしてこういう〈らせん・渦巻〉の形状になる必要があるのか?

 私は以前「おもしろい!」と感動したことがあるので、ある程度の知識は持っているのですけど、みなさんのたのしさを組み立てていく意味で、まず自分でいろいろ頭をめぐらせてみませんか。

 みなさんからのお便りを待って、続けたいと思います。

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イチゴの謎:あのツブツブはタネじゃないの?①-楽しい科学・楽しい植物学

「毎日このサイトを読んで次の日のクラスで話すたのしい内容の題材にしています」という嬉しいお便りをいただきました。こどもたちとたのしく知的好奇心を高めるテーマにどんどん利用してください。
 たのしい教育メールマガジンでも、軽く書いた言葉に反応が届くことがあります、嬉しいことです。
 今回は最新の《たのしい教育研究所のたのしい一週間》にイチゴのタネが発芽したことを紹介したのですけど、そこに書いた内容と読者の方とのやりとりの内容をまとめてみましょう。

 レイアウトやフォントが違うのでサイトに載せるとのっぺりしてしまうのですけど、まずはメルマガに軽く書いた内容からどうぞ。

たべたイチゴのタネを水につけたら芽吹いた 

 イチゴのタネはどこにあるかご存知ですか?
中を割っても見つかりません。

 表面についたこのツブツブがタネです。


「ツブツブはタネではない」という説明をみかけることがあります。

曰く
「これをタネだと思っている人もいるようですけど、これは〈痩果〉というものでタネではありません、この痩果の中にタネがあるのです」

 研究の結果いろいろな分類がとはいえ、自分たちでいろいろな名前をつけて子どもたちを煙に巻く議論が教育の中に入り込んでしまうと、理科嫌いと記憶重視の優等生を生んでしまいます。

 その粒を育ててそこから発芽するなら「タネ」といって良いのです。

 その上で「詳しく調べてみるとね、イチゴは他の植物のタネと少し違っているところがあってね…」と説明を加えつつ〈腑に落ちるたのしい話〉をしてあげられるならよいのですけど、はじめから「これはタネではありません」と言い切ってしまったら、その粒から芽吹くことはないと  考えるのが普通でしょう。

「自分はいろんな知識があって、みなさんが考えている知識の間違いを指摘してあげますしょう・・・」というスタンスの人たちは少なくありません。
 親や教師が気をつけておきたいことの一つです。

 さて〈たの研〉で5/16に水につけておいたイチゴのタネはこうなりました。

 これをタネと呼ばずに何をタネと呼べばよいのか・・・、薄皮を剥がしてはじめてタネという、なんていうことに納得できる人は少数でしょう。

 これからがたのしみです。


 ちなみに、去年はベランダで「挿し木」の実験を続けてきたのですけど、今年は「タネで育てる」というシンプルな実験をしていきたいと思います。

※食べる状態のイチゴの形のまま芽吹くこともあって、その写真はトラウマ級ですから「イチゴのタネ」で検索する時は注意してください。ま、私にとっては、かもしれませんけど・・・

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 読者の方からラストの〈トラウマ級〉についての話も届いたのですけど、今回紹介したいのは前半の「イチゴのタネだと思っている人もいるようですけど、それ〈痩果〉といってタネではないですよ」と説明する人たちの話についてです。

 みなさんは、その説明についてどう思いますか?

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ミミズとダーウィンさん-楽しい自由研究・楽しい科学・楽しい学力

 庭に桃の木を植えようと思って土を掘っていたら、中でウネウネ動く生き物が姿を現しました、ミミズです。

 ミミズがいい土を作ってくれるありがたい生き物であることは、ご存知の方も多いでしょう。大きくわけるとこの四つの働きで土が改良されていきます。

  1. 土壌の混合: ミミズは土を食べ、消化した後、糞として排出します。この過程で、有機物と無機物が混ざり合い、土壌の構造が改善されます。これにより、水分や空気の循環が良くなり、土壌の栄養分がより利用可能になります

  2. 有機物の分解: ミミズは、落ち葉や枯れた植物などの有機物を食べることで、土壌の有機物を分解します。これにより、土壌の栄養分が増加し、植物が利用できる形になります

  3. 土壌の通気性の向上: ミミズが地中を移動することで、土壌に通気性のあるトンネルが作られます。これにより、土壌の酸素供給が向上し、根や微生物が活発に働くことができます。また、水はけも良くなり、水はたまらずに適度な湿り気が保たれます

  4. 微生物活動の促進: ミミズの消化活動により、土壌中の微生物に利用可能な栄養分が増えます。これにより、微生物の活動が活発になり、さらに土壌の有機物の分解や栄養サイクルが促進されます

 実は進化論のダーウィンさんは、ミミズにとても注目していました、『種の起源』の中でもミミズに言及していますし彼の最後の著書は『ミミズによる腐葉土の形成』です、『種の起源』よりたくさん売れたといいます。

 ダーウィンさんは、この本の中でとても面白い実験をしています、こどもみたいです。

 ミミズのミミズが音や振動にどう反応するか、という感覚能力の研究で、息子にファゴットを演奏させ、ミミズがどう身動きするかを調べました。ファゴットって、大きな楽器ですよ、低い音で調べたのです。

ファゴット wikipediaより

 また、目がないミミズが、光に対してとても敏感であることも実験で確かめています。

 興味のあるみなさんは、ぜひ調べてみてください。

 そろそろ自由研究の相談も届き始める季節です。

 ミミズは、あまり好まれる生き物ではないので、ダーウィンさんの研究の追実験(光を当てると土に潜るのか、など)をしてみるのも、おもしろいと思いますよ。

 ダーウィンさんの頃はなかった、赤外線の実験も、TVリモコンなどで簡単にできますから、見えない光をあててみるというのも面白いと思います。

 いつもいうように、必ず〈自分の予想〉を立ててからはじめましょう。外れてもあたっても賢くなります、そして何より自分自身がたのしくなりますよ。

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カラス⇨タイワンシロガシラ⇨すずめ/たのしい畑人Hさんの話 

 連休中「急ぎで採れたてのトウモロコシを届けたい」と応援団のHさんから連絡が入りました。

 待っているとトウモロコシの入った箱を抱えたHさんがやってきました。 

「あと数日おこうと思っていたけれど鳥たちが食べ始めたので急いで収穫をはじめた」とのこと。

 Hさんは自らも〈たのしい教育派〉です、どの鳥がどんな風に食べているのか、隠れて観察していたのだそうです。

 その話がとてもおもしろかったので紹介しましょう。

 まずカラスがやってきて、トウモロコシの実に乗った。

 するとカラスの重さで幹がたわんできて、トウモロコシの実がポキリと折れて地面に落ちる。

 カラスはトウモロコシの皮を口ばしで摘んで器用にむいていく、ちょうどこのくらいむいて黄色い実がみえてきた。

 すると二、三粒つついて飛んでいってしまった。

カラス wikipedia

 

 近くで待機していたのだろう、シロガシラ(タイワンシロガシラ)がやってきて、カラスよりたくさん食べて飛んでいきました。シロガシラはそれほど力がないので、カラスがトウモロコシの皮をむいてくれるを待っていたのでしょう。

シロガシラ 国立環境研究所

 シロガシラが飛び立つのを待っていたスズメがすぐに数羽やってきて残された粒を食べている、すずめは身体が小さいので、皮の隙間から見えている粒を丁寧につついていたとのこと。

スズメ wikipedia

 なるほど一つの食べ物をめぐって何層にも段階があるのだと感心しつつ、被害が広がっていかないように、一週間くらい早く収穫することにしたそうです。

 採れたてを食べて欲しくて〈たの研〉に持ってきて
「この話、みんな信じてくれないと思うんですけど〈たの研〉の方たちは信じてくれますよね」
と語ってくれたのが、ここに書いた話です。

 もとろんHさんの人柄を知っている私は100%信じます。

 もしHさんがそのままにしていたら、その後、他の動物がやってきて食べていくでしょう、最後に残ったものは微生物が食べるという様に、自然は実にうまく連携プレイしながら成り立っています。

 たのしいHさんに拍手!

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