楽しさと寂(さび)しさ/楽しいPEALカウンセリング/楽しい国語・楽しい哲学・楽しい古典

 以前PEALカウンセリングの中で私が話したことに少し触れたところ、それを聞いた方からも大きな反応があったので、少し紹介します。
 「寂しい」ことは悲しいこと辛いことだと反射的に考えてしまう人がほとんどでしょう。でも本当にそうでしょうか?
 私が過ごす時間の中で執筆の時間はとても長いので、その時間は孤独に過ごしています、寂しい時間といってもよいでしょう。
 ところでもともと日本では〈わびしいこと〉〈さびしいこと〉を肯定的に、あるいは美的なものとして考えてきました。
 『わびさび』という言葉を聞いたことがあ人もいると思います、「わびしい」「さびしい」というのは、この『わびさび』のことです。別サイトの言葉を引用してみます。

 日本特有の美意識である「侘び寂び」。

「侘び」とはつつましく、質素なものにこそ趣があると感じる心のこと。

 一方、「寂び」とは時間の経過によって表れる美しさを指します。この世のものは時が経つにつれ汚れたり、欠けたりして変化しますが、それを劣化と否定的にとらえず、変化が織りなす多様な美しさを「寂び」と呼び、肯定するのです。

 絢爛さや豪華さ、シンメトリーを美とする西洋の美意識に対して、「侘び寂び」に象徴される日本の美は、質素さや閑寂さ、非対称や余白を重んじます。こうした「侘び寂び」の美意識は、禅や茶の湯、絵画や庭園、美術工芸品など、日本文化と日本人の価値観に大きな影響を与えています。

https://www.the-kansai-guide.com/ja/article/item/16213/

 さびしさは辛いことだとだ、と考えてしまうのは、もしかするとメディアのせいかもしれません。一人でいてはいけない、孤独は辛い、仲間と協力して活動することが生き甲斐を感じることだetc. テレビなどの中にはそういうコンテンツに満ちています。
 けれど、それはほんとうか、立ち止まって考えてみることも大切でしょう。

 私は2週間くらい山に入ってほとんど誰とも語らず過ごしたことがありました、今でもたのしいすばらしい想い出の一つです。

 敬愛する河口慧海(チベット旅行記を著した僧侶)も瞑想で自分の心の中を澄ます、心の中で対話することを続けながら苦難の旅を続け、仏典を持ち帰るという目的を達成しました。

  かつての同僚で、映画館に一人では入れない、という人がいました。
 きっと一人で座っているのは寂しい姿だと考えているからでしょう。
 レストランに一人で入るのに躊躇するという人もいました。

 そうかなぁ~

 山をあるいて木の実の色に感動した時「これはいいなぁ~」という言葉にならない声が染み入ってきます、自分の声です。
 一人でいると自分の心の中を見つめることにもなります、自分と対話することもあります。
 自分の心の中を見つめることも、慣れてくると、たのしくなってきます。

 逆に、仲間と一緒、友だちと一緒の楽しみばかり、家族みんな一緒のたのしみしか求めないとしたら、そちらの方が心配になります。
 周りの人は都合よく自分と付き合ってくれるわけではありません。

 ここでPEALカウンセリングの流れを展開することはできないのですけど、問題意識として考えていくきっかけにはなると思います。

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子どもの頃「コウモリは鳥ではなく哺乳類です」と言われた時の違和感が氷解した日

 最新メルマガの初めの章〈たのしい教育研究所の1週間〉に書いたコウモリの話に反響が続々届いています、少し紹介しましょう。

「コウモリは哺乳類です」といわれた時のイヤな気持ちが数十年経って氷解

 夕方、山の中腹を散歩していたら、コウモリが飛んでいるのをみつけました。

 すこし追いかけたら、これまで見たことのないシーンに出会うことができました、これだから野山さんぽはやめられません。

 小学校のころ、動物の分類についての説明の中で先生が、マウントをとったかのように「コウモリは鳥類ではなく哺乳類です、羽毛が無いし翼には指の骨があるんです」と話していて、その時の〈違和感〉というかイヤな感じを今も覚えています。きっと「鳥類のように卵で生まれるわけでもありません」と加えていたのかもしれません。

 あれだけ似ているんだから鳥の仲間でいいじゃない。 「〈羽毛〉くらいで説明されても、コウモリだって体毛くらいあるでしょ」とか「鳥だって翼に骨があるし」とか考えていたのだと思います。

 実際、骨の写真をみても、私にはとても似ているように見えます。この画像で「鳥は鳥類で、コウモリは哺乳類、違う種類だ」だと納得する人もいるのでしょう、でも子どもの頃の私には無理だったでしょう。

 これくらい違うなら「違う仲間だ」と納得するけれど…

「キクの花は一つの花ではなくたくさんの花が集まったものだ」とか言われた時にも同じようなことを感じていました。

 今でも納得のいくような説明をせず「意外でしょうけどそうなんです」と上から目線のスタイルは好きではありません。だから普通の人たちの認識の過程を大切にする仮説実験授業が大好きになったのでしょう。

 まえがきが長くなりました。
 先日、野山さんぽで出会ったコウモリの動きが気になって撮った動画で長年の違和感が氷解しました。

 あの頃、こういうように動きで説明してくれたら、「これは鳥とは違うなぁ」と納得していただろうと思います。

 動き方が〈鳥たち〉とぜんぜん違っていて、猿、オランウータン、ナマケモノの動きに似ています、どうでしょうか。

 動画を小学生の自分に伝える気持ちで〈たの研〉の動画サイトにUPしました、たの研のオリジナル動画です。

https://youtu.be/IIjhQ_ywZ_o ⇩

 動物などの分類を教えるとき、ぜひこの動画を見せてあげてください。
 興味ある方は、教育に関心のある方たちに広めていただけたら幸いです。

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おたまじゃくしをたのしく育てる@楽しく環境教育

〈たの研/たのしい教育研究所〉の夏のプログラムには『生き物を育ててたのしむ自由研究』のプログラムかがあります。数回前に「沖縄でこんなにオタマジャクシをみつけにくいことになったこと」を書きました。その後「本部にたくさんいますよ」「名護でみつけました」「小さいけど、学校の池にいます」「南部に小エビをみつけました、オタマジャクシもいましたよ」という声がいくつも届きました。ありがとうございます。

0.自然保護・環境保護は知識だけでなく体感

 環境保護とか自然を大切にするということを知識として伝えることより、子どもの頃、生き物に親しんでいる人たちを育てていくことの方がずっと大切なことだと思います。もちろん大人になってからアウトドアに親しむことでも遅くはありません。

 たのしい環境教育の一つの手立てとして、オタマジャクシを育ててカエルになるまでをみていきませんか。環境を大切にしたいという感情・感覚、つまり体感は知識や技術にまけないくらい重要なものだと思います。

 さて、数日前から〈たの研〉では5つの水槽に何百匹のオタマジャクシが元気に過ごしています。

 何事もたくさんの準備をしなくては臨めないというタイプの人たちもいます。生き物を育てる時にも、細かい情報をたくさん教えられてめんどうになったり、逆にいいかげんな情報で失敗した経験のある人もいるでしょう。

 人間が品種改良して商品化してきた生き物は弱いタイプが多いのが普通です。けれど自然の状況で過ごしている生き物たちはタフです。とはいえ、シャケなどのように移動型の生き物を育てるのは難しいでしょう。オタマジャクシは限られたスペース、小さな池で過ごしますから、かなり育てやすい生き物だと考えてよいでしょう。

 これは〈たの研〉で育てているオタマジャクシの一つの容器です、ここではあえて密集させて育てています。4日経っても1匹も弱っていません。

 難しいコツがあるわけではありません、〈たの研〉版のポイントを書きましょう。

 長年学校にいましたから、夏休みの自由研究でオタマジャクシを育てたりする、学校の池にいるオタマジャクシを家に持って帰る子どもたちもいました。その子たちとのやりとりで、失敗してしまう大きな要因は、この二つだと考えてよいことがハッキリしました。

1.食べ物
 若い先生たちにリサーチすると、オタマジャクシを育てたことのある人はとても少ないのですけど、「オタマジャクシは雑食性だ/たいていのものは食べる」という知識はあるようです。
 そこから「何でも食べるから楽に育てられる」と考える人もいるでしょう。

 けれど、雑食性だということは肉食でもあるということです。
 食べ物がなくなってくると、お互い同士ですごいこと(表現自粛)になります。

 なので食べ物は十分にあたえる必要があります。

「水が汚れるから必要量で」とか「パンくずやお菓子の粉などは匂いも出てくるから、少量で」というように考えていると、怖いシーンをみることになるでしょう。
 おすすめは、ホームセンターなどで、オタマジャクシの食べ物を購入することです、水を汚しにくいつくりになっています。メダカ用など小さな魚の食べ物ならOKです。

 6割くらいのオタマジャクシたちの食べる行動、水面でとどまつて、口をパクパク動かす行動がおさまるまで、何回かにわけて落としてあげてください。

 これは〈たの研〉のオタマジャクシたちに食べ物(粉状)をあげているところです。みんなが集まってパクパク食べています。食べ物が少なくなってきても、探しているようなら、また同じくらい落としてあげます。

 

2.水を換える時はどうするか?
「水換えには池や川などの水を利用する必要がある」と考えている人もいます。
 それが面倒だったり、あぶないと考えてずっと水換えせず、オタマジャクシを弱らせてしまうことがあります。
 浄水場から直結ではなく、一旦、屋根などにタンクにためて、そこからそれぞれの水道に来るタイプなら塩素がぬけている可能性があるので、そのまま利用することができます。
〈たの研〉では実験的に〈タンクからくる水〉を使って〈1日2回の水換えを連続三日間〉繰り返してみたのですけど、弱ったオタマジャクシは1匹もいませんでした。〈たの研〉ではph試験紙で塩素が残っているか確認できるのですけど、不安な時には紙コップなどに水道水を入れて1~2匹のオタマジャクシを移し、弱っていく感じがしたら、すぐに大きな水槽にもどしてあげるという方法でも確認できるでしょう。

 一般的には、塩素(カルキ)をぬく液もホームセンターなどで売られていますから、それを使うとよいでしょう。

https://amzn.to/3WAODlP

 ホームセンターでは小さなボトルのタイプもあります、100均でも扱っています。

 カエルになったら売られている食べもので育てるのは難しいので、池や川に返してあげましょう。

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憧れの埴沙萠(はに しゃぼう)さん その②最後の言葉/胞子の舞い

 埴沙萠(はに しゃぼう)さんは写真家です。去年、埴沙萠さんの日々を追った番組のDVDを紹介しました、すでに他界しているのですけど、その去り際の言葉もたのしいものでした、少しだけ読みやすくして紹介します。

 私、埴沙萠は85年住み慣れた娑婆を後にして、2月23日にこちらの岸へとやってきました。

 途中三途の川の渡しで、船頭をやっていた赤鬼青鬼と仲良くなって、いま河原で酒盛りをはじめたところです。

 鬼たちは、ちょっと見はコワモテですが、意外と気が小さ くて「最近は渡し賃を値切る亡者がいて」なんてぼやいています。

 あれっ、いま閻魔さんからメールがきました。

 なんでも針の山のようなシャボテン公園を作って欲しいとのことです(笑)。

 一足お先にこちらの岸にやってきましたが、みなさんもそのうちこちらにお越しの際は、ぜひ埴沙萠をお訪ねください。一献やりましょう。

 埴さんはわたしのような原子論者かもしれないのですけど、こう書くと、残された人たちはほんの少し安心してくれるのでしょうね。それが宗教だったりあの世信仰が存在する意味なのでしょう。

 話をもどして、埴さんの生き方は、私の憧れの一つです。

 後半は身近な植物たちを追い続け、「足元に小宇宙がある」という言葉とともに、たくさんの写真を発表しています。

 残念ながら、毎日更新していた埴さんのサイトは埴さんの他界の後、閉鎖されてしまいました。復活していただけないかなぁ。

 埴さんの作品には心動かされるものがたくさんあります。

 その一つがキノコ類の胞子の舞です。これは埴さんの「きのこ/ポプラ社2011」という写真絵本の中にある、胞子の舞いです。

 キノコの胞子が舞っています。

 最近、寺田寅彦の「茶碗の湯」の授業プログラムをつくるために、水蒸気の粒の写真を撮りました。その時の水蒸気のようです。

 あのヌルヌルとしたナメコからも胞子がたくさん出ています。

 なんと、スーパーで売られているシイタケなどからも、胞子の舞いをみることができるそうですよ。生き物たちの不思議な魅力を、たくさんの子どもたちに味わってほしいと思っています。

 今度の夏の講座の自由研究プログラムの中に生き物シリーズがいくつか準備されています、参加する皆さんはおたのしみに。

 埴さんの「きのこ」の本はこちらから⇩

https://amzn.to/4bVhCVQ

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