「みんなに支持されてこその科学」|今週のメールマガジンから

日本科学史学会の会長で仮説実験授業研究会の代表 板倉聖宣が還暦の講演会で語った言葉を今週のメールマガジンに掲載しました。

今回は、その一部を抜き出してみます。

短い言葉ですけど、私がなんども読み返している文章の一つです。

 私は「科学とはみんなが理解でき、みんなに受け入れられるようなものでなければならないし、またそのような科学でなければ、本当の意味での〈真理〉に到達することはできない」と考えていました。

私はこれまでずっとそういう思いで学問をやってまいりました。

それなら「真理」というものを知るためにはどうしたらいいのでしょうか。

真理は、押し付けでは絶対に成立しません。
押し付ければ押し付けるほど、それは真理ではなくなります。
真理は多数決で決まるものではなく、そして少数決で決まるものでももちろんありません
真理は最終的な「実験」によってのみ決まるのです。

ですから、初期の段階の予想ではなかなか正しいことは分からないけれども、それを実験で確かめることを繰り返す中で、だんだんと正しい予想が立てられるようになるのです。

真理とはそのような過程を経ることによって初めて明らかにされていくものです。

だから、その途中の段階であわてて真理を決め付けるようなことがあってはならないのです。

「分からないことは分からないと認識しつつ、仮説・実験的に勉強し続けることが重要なのだ」
私が主張してきたのはそういうことです。
真理というものはしばしば少数派の人たちが発見することがあるものです。ですから、少数派の人たちに対して寛容な学問的環境でなければ科学の進歩は望めません。
そしてそれは、社会という枠組の中でも全く同じことが言えるのです。

 

 社会的な真理もまた多数決で決まるのではなく、往々にして少数派の人々によって見出されることがあります。ですから、少数派の人々に対して寛容な社会でなければ、いつまでたっても真理は見い出せず、従って新しい時代を切り開くこともできません。
それなら、少数派が大事にされればそれだけでいいかというとそうではありません。
重要なことは、その少数派の人たちが発見した真理だって、やがては多数派の人々の支持を得られるようなものでなければ真理とは言えないということです。
私が「科学はみんなのものである」というのはそういうことです。

出典は仮説実験授業研究会発行
「大衆の御用学者として生きる」からです。
前後の脈絡を整える意味で最小限にきゆなが手を入れました。

  たのしい教育研究所がすすめている科学教育はつまり
「みんなが支持してみれる科学教育」です

 たのしく賢く、たのかしプロジェクト推進中の「たのしい教育研究所」です

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クイックたけトンボ小学校1年生でもりあがる|たのしくてならないキャリア教育実践編

たのしいキャリア教育の授業プランに興味を持ってくださった先生が、小学校1年生で授業にかけてくれました。

資料をみただけで作ることができるのか、とても貴重なデータです。

小学校1年生のみなさんも、ホチキスを利用してクイックたけとんぼを作成して、とても盛り上がったということです。

クイックたけとんぼ くいっくたけとんぼ2

授業後のレポートの中に「羽を下にしても飛んだ」と書かれていました。

これが一度きりの現象でないとしたら、とてもおもしろいことです。

さっそくためしてみようと思います。

いろいろな人たちの知恵と工夫でますます広がる「たのしい教育」です。

 

本格的な学力で沖縄からノーベル賞を出しましょう!

徹底的に子ども中心主義|感想・評価から

前に紹介した小学校の子どもたちの感想文から、もう一つ紹介させていただきます。

スクリーンショット 2016-01-21 21.14.46

私は、楽しさ度と分かり度に「5」の「よく分かった」「とっても楽しかった」に○をつけました。
私の父は、高校の科学の先生をしています。
なので「科学というのは実験をして確かめることだ」と思い込んでいました。
それにしてもガリレオさんや、いろいろな人たちは、すごい発想をしたなーと思います。
袋に熱い空気を入れるとふくらんで、浮くこともわかりました。
重いものと軽いものでも、形を変えると同じ速さで落ちることもわかりました。
とってもわかったことは「科学は予想を立てて実験することなんだ」ということです。
たのしい授業をありがとうございました。

感想文・評価

徹底的に子ども中心主義で前進する「たのしい教育研究所」です。

この子ども達の中からノーベル賞を出したいと本気で思っています。

 

小学生からの質問「原子より小さな物質はありますか?」前半

某日、N小学校で授業をしてきました。
授業のはじめに

「このN小学校からノーベル賞を出したい、と本気で思っています。みなさん真剣に聞いてくださいね」

と語りました。

子どもたちはとても熱心に授業をたのしんでくれました。
そして、全員の評価(たのしさ度・理解度)もとても高い数値となりました。

それを裏付けるように、原子に関する具体的な質問がたくさん寄せられました。
その一つがRくん(中学年)の

「いっきゅう先生、原子より小さな物質もありますか?」

と真剣な問いでした。

キミはどう思う?

と問い返すと

「あると思います」と答えてくれました。

公式サイトに図を入れて書くから見てね、と伝えてお別れしたのですけど、その時のRくんの質問について、書いてみたいと思います。

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 原子のことを「アトム」といいます。

スクリーンショット 2016-01-18 23.07.55 大きさについては、前に書いた記事 https://tanokyo.com/archives/9008 を読んでください。

 

 話はそれますが、以前「アトム・ボーイ」という回転ずし屋さんがありました。そのまま訳すと「原子少年」という、まるで寿司とは似つかわしくない名前になってしまいます。
アトムとは「これ以上、分割できないもの」という意味で名づけられました。
そのことを、「溶けたものの重さ」に目をつけて科学的に予想したのはエピクロスでした。

今から3000年くらい前のことです。エピクロス その後の研究で、たしかにエピクロスたちの考えは正しいことがわかりました。

酸素や窒素といった、これ以上分割できないと思える物質が発見されたからです。
そこで現代の科学者は、酸素や窒素など、約100種類の物質を「アトム」「原子」と名付けました。

この宇宙にあるすべての物質は、これらの原子が結びついてできているのです。
ですから、あなたもわたしも、体育館も、風も、雲も、花も木も、すべて原子が組み合わさって出てきているのです。

 ところが、話はそこでは終わりません。
続きをおたのしみに。

沖縄からノーベル賞を
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