板倉聖宣の発想に触れる〈共通理解〉の見方・考え方

 刺激が大きいのでメルマガ限定で公開している板倉発想法がたくさんあります、もちろん私の教育観にとても大きく影響してきたものの見方・考え方たちです。今週のメルマガですぐに反響が届いたのが板倉聖宣(仮説実験授業研究会初代代表/文科省旧教育研究所室長)が語った〈共通理解〉についての話でした。〈たの研/たのしい教育研究所〉の前身《仮説の会》で盟友いらはさんが持ってきた資料に「たのしい授業編集会議1991年11月の」で板倉先生が語ったものがありました。

 直接の言葉ではなく、ここでは私の文責として板倉先生が語った要旨をメモします。

「共通理解がどのようにいけないか」ということをはっきりさせておかないと〈共通理解って、いいものだ〉と思ってしまう人たちがでてくると思う

 経験上、共通理解はすばらしいと語る人たち、特に管理職や部署が上にいけばいくほどそう語る人たちが多いと思います。もしかすると一般の先生たちにもそう考えている人がいるでしょう、もしかすると子どもたちにも同じ価値観で伝えているかもしれません。

 共通理解はどのようにいけないのか、それも端的に語ってくれています。

 人間には多様な意見がありうるし、意見を保留する自由もある。

 共通理解を重んじる人たちにはそもそも「多様な意見のうちどれが正しいかは分からない」という認識がないわけだ。

「こうすることが正しいに決まっている、みんなでこの道に歩調をそろえることが大切だ!」というのが共通理解です。
 しかし科学的認識つまり〈真理〉というものは仮説実験によってのみ成り立つのです。
 誰かのあるいは上の立場の者たちが提唱したものは正しいに決まっているか?
 それは一つの〈予想〉で、実験的に正しさが証明されたものではありません。仮説実験的に確かめられたものでない試みにたいして、共通理解を強要することがそもそも不具合を起こす原因です。

「そんなことをいったら何もできないじゃないか❗️」と怒る人がいたら、すみません。
 たのしい教育研究所は批判する組織ではありません、新しい方法を提案する組織です。

 まだ実験的に正しさが証明されていないものごとを組織で取り組む時には、スタッフ・職員のいろいろなアイディアを取り入れることが必須です。けれどたとえば、この通りやってみたいと校長が考えたら、こういう提案の仕方をおすすめしています。

「様々な考えがあるかもしれませんけど、今回は管理職として、この方向でやってみたいと考えています。一定期間(たとえば一学期間)実施して、子どもたちの評価感想をとって継続するか撤退するか新しいアイディアで進化させるか考えましょう。責任はすべて管理職の私がとります。ぜひ全力で取り組んでいただけませんか」

 同僚や子どもたちを追い込んで大きなニュースになる先生たちが目につくので、大変な教師がたくさんいると考える人たちも多いかもしれません、でも違います。ほとんどの先生たちは、子どもたちの笑顔ために全力で取り組める人たちです。組織をたばねるのは大変かもしれませんけど、教師集団の本質を信頼してためしてみていただけたらと思っています。

 家族で何かを提案する時にも、このスタンスをおすすめします。

 

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カウンセリング特訓の様子から〈高校生の娘に赤ちゃんができたようだ〉

※予約設定がうまく作動せず夜のアップになってしまいました、毎日0時の更新をたのしみにしていたみなさん、すみません

 年末から新春にかけて〈PEALカウンセラー養成講座〉が進行中です。今回から私とマンツーマンの特訓を取り入れることにしました。

 私がクライエントになって一人ずつの参加者にカウンセリング事例を2つ(45min×2)を設定して、要所要所で「こういう流れもある」「この流れは難しい」などのアドバイスを挟みながらカウンセリングが進んでいきます。
 もちろん、質問や疑問にも答えていきますし、ポイントがずれていきそうなら軌道修正します。

 
 私はこれまで一流のカウンセラーから教わってきたのですけど、対面マンツーマン特訓や、途中で役割を変えてカウンセリングを進行してみるといった特訓はありませんでした。
 カウンセリング講座は、受講生同士のカウンセリング演習に指導者がポイントなどを解説する、というようなものがほとんどです。指導者自身が対面でクライエントになったりカウンセラーになったりしながら、身体にカウンセリングが染み入るように指導していくというのは異例です。
 しかも一人につき90分連続のマンツーマン特訓がおり込まれながら進めるというのですから、かなり贅沢です。

 実施してきて、力のないカウンセリング指導者では無理でも、一流の技をもつカウンセラーがそうできなかったのかわかりました。
 私のカウンセリング講座のようにごく少数で実施する場合でさえ時間がたりなくなってしまうからです。
 ところが受講者の伸びは確かです、効果が高い方法をみすみす見逃すてはありません。
 そこで受講者の方たちと相談して時間を変更して個人別の特訓の時間を設定することになりました。
 方法を固定化せず予想変更していろいろな選択肢を試していくのはPEALカウンセリングの流れそのものです。

 PEALカウンセリングはハードな事例にも有効です。
 これは「高校生の娘に赤ちゃんができたようでどうしてよいかわからない」という母親からの相談を事例にカウンセリング実習をしているところです。

 PEALカウンセリングの構造は画期的です、それを活用していろいろな人たちの悩みと向き合い効果的な支援ができる人たちをゆっくり着実に育てていきたいと考えています。
 次回は夏に講座を実施できると思います。特別特訓はマンツーマンでも効果のあがることがはっきりしましたから、スケジュールが合えば二、三名からでも特訓講座が可能です、関心のある方はお問合わせください。

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楽しいカウンセリング「PEALカウンセラー養成講座」心を強くする/強くなるには=たのしい上達論②

 前回の話を続けましょう、前回は〈メンタルが強くなる〉の話でした。今回は〈フィジカルが強くなる〉つまり身体面、技やポテンシャルが高まるには、という話です。

 たまたまPEALカウンセラー養成講座で説いた話なのですけど、空手の指導をしている時でも全く同じです。

 その時のシートの一部がこれです、特に下の問いが重要です。

 たとえば私のカウンセリングの〈選択肢〉の技、〈解釈〉の技を見ていくことでたくさん勉強になるでしょう。
 カウンセラー講座でもどんどん見てもらうことができます。

 ところで、そうやってみていって「ほ~、こういう技を出すんだ」「なるほどね、そういう提案をするといいんだ、勉強になるなぁ」が続くと、その人のカウンセリングはうまくなっていくのでしょうか?

 見るだけで自分のものにできる天才性があればうまくなる可能性はあります。ところがそういう天才性を示せる人はほとんどいないでしょう。

 よくいうのですけど、カウンセリングも身体運動つまりスポーツと同じです。たとえば空手の達人の技をいくつも見ていけば、実践で強くなるのか?
 そんなことはありません。

 動画を見ているだけでは実際に相手と対峙した時の間合い(効果的な技やサバキなどのために距離)一つうまくとれないでしょう。格闘技系だと自分をぶちのめそうとしている相手の息遣いを前にしただけで、うまく体が動かなくなってしまうこともあるでしょう。

  空手の技を見るのはスタートラインです、そこからまず自分で一歩、技を繰り出す。下手でしょう、どたばたしているでしょう、それでいいんです。
 その一歩こそが強くなる一歩です。

 カウンセリングも同じ、陸上競技も球技も同じです。

 楽しい上達論、それは、ここに書いたことをしっかり理解するところからはじまると思います。
 

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楽しいカウンセリング「PEALカウンセラー養成講座」心を強くする/メンタルの強さ・弱さ①

 新春の「PEALカウンセラー養成講座」を開催中です。これまで数回開催してきたので、今回はかなりタイプの違うコンテンツで構成したのですけど、これがかなり好評です。

 カウンセラー養成講座を受講する方たちなので、これまでもPEALカウンセリングを学んできていますから、ほぼカウンセリング実践の時間に使っています。

 テーマは「強いカウンセラーになる」、うまいカウンセーではありません。

 実習は格闘技のように〈スパーリング〉と呼んでいるので、参加者は驚いたと思います。

 私がクライエント役でカウンセリングしてもらい、要所要所で「はい、手が逃げている」とか「このまま行くと苦しい内容にいきますよ、三ステップ戻って「今までまだ試していない方法で、できそうなものが何かあるでしょうか?」って訊いてみましょう、というように1~2回目はどんどんアドバイスを入れています。

 のんびりしている小次郎というニャンコの近くで真剣にカウンセリング修行している様子が映っています。

 

 教職員でも、ウツで病休をとる人たちが増えています。
 メンタル的に強い人と弱い人の違いはなんでしょう?
 みなさんはどう思いますか。

「何が最も影響を与える要因ですか?」とA.I.に尋ねてみると

メンタルの強さやうつ病になりやすさに最も影響する一つの要因を特定するのは難しいですが、多くの専門家は「ストレス耐性」が重要な役割を果たすと考えています。ストレス耐性が高い人は、困難や圧力のある状況に対してより効果的に対処でき、ストレスに起因する精神的な影響を最小限に抑えることができます。これにより、メンタルの健康を保ちやすくなります。 某A.I.

という答えが返ってきました。

  これは答えになっていない答えです。

 たとえばこういう答えはどうでしょう。

 こどもの頃から「困った困った・大変だ何しろ大変だ」と騒いで、周りの誰かが「それは大変だね、助けてあげましょう」と手を差し伸べ続けていたら、その人は自分で問題を解決していく大切な練習を重ねずに年をとっていくことになるでしょう。
 社会に出て、自分で問題を解決しなくてはいけない場面が続いていくと、自分で問題を解決していった経験の少ない人はメンタル的に追い詰められていく危険性が高くなっていくと考えられると思います。

 もちろんこどもの頃から数々の課題を自分の努力で解決していった鋼(ハガネ)のメンタルをもっている人でも予想を超える困難を前にくじけてしまうこともあるでしょうから、一概に言えないとはいえ、前述のことはかなり言えていると思います。

「可愛い子には旅をさせよ」という格言があります、それは子ども自身で未知の課題を解決していくよい経験になるという意味でも、価値あるものだと思っています。

 メンタルの弱い人強い人、いろいろいるのですけど、子どもの頃から課題を解決していくことは人生の大切なレッスンだといういうことは間違いないでしょう。

 子どもが困った時にどうするか、すぐにアドバイスするのではなく「何かできそうなことある?」と聞いてみるのはどうでしょうか。

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