たのしい教育の発想法/板倉聖宣(仮説実験授業研究会初代代表)が語る〈過ちから学べない人たち〉

 1945年8月15日、敗戦国日本は、その後民主化の道へと歩をすすめました。8月は日本にとって〈戦争と平和〉について深く考える月といってよいでしょう。

 最新号のメールマガジンに仮説実験授業研究会初代代表 板倉聖宣が〈戦争と平和〉について歴史から学ばない人たちについて語った言葉を紹介しています。
 少し紹介しましょう。板倉先生が2005年に「軍人たちの戦争と平和」と題して語った話の中からです。

板倉

 日本が戦争に負けたあと、その戦争の被害を受けた国の人びとから、その戦争に対する日本の責任を追及されるようになると「あの戦争は日本アメリカにおいつめられて仕方なくはじめたので、日本には戦争資任はない」という人びとが現れるようになりました。
 2005年8月15日毎日新聞の一面トップ記事よると、毎日新聞社が13、14日に実施した全国世論調査(電話)で、日本が米国中国などと戦った戦争について尋ねたところ「間違った戦争だった」と答えた人は43%で、「やむを得ない戦争だった」という人が29%もいたということでした、26%は「分からない」という答えです。
 世代別に見と戦争を体験した70代以上では何と「やむを得ない」が45%で、「間違った戦争の37%」を上回り、60代でも「やむを得ない」が36%、全世代平均と比べて高かったとのことでした。

 私はその調査の結果を知って驚きあわてました。

 あんな大きな失敗しても、その歴史から学ぶとをしないで、それを「やむを得なかった」という人は、同じ失敗を犯す心配があるからです。
 しかも戦争を知らない人びとよりも戦争を体験をた人びとのほうがそう思っている、これは驚くべきことというより恐ろしいことだと思いました。

 あんなに大きな失敗を犯しても、その歴史から学ぶことをしない、そういう人はまた同じ失敗を犯す心配がある・・・

 確かにそうだと思います。

 その同じ失敗は、取り返しのつかない〈戦争〉という恐ろしいことを意味します。

 賢く元気に世の中を変えていける人たちを育てていくことは、これからの平和にとって欠かせないことだと思っています。
 ますますたのしい教育に力を注ぎたいと感じる今日この頃です。

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センス・オブ・ワンダー〈アオムシ〉

 〈センス・オブ・ワンダー〉という言葉を何度も紹介してきたのですけど、言葉そのものが素晴らしいセンスだと思います。
 何気なく見過ごしていく私たちの周りの世界に〈驚ける感覚〉、たのしく豊かに生きて行く時の指針になるでしょう。

 赤ん坊の頃、見るもの聞くものが新しい世界、ワンダー(驚き)の世界です。生まれたての赤ちゃんは、呼吸する事自体が衝撃的な世界で、大泣きしてしまうほどです。
 歳を重ねるうちに、その驚きが次第に減っていきます。
 大人になるとほとんどが見た世界、聞いた世界、予想していた世界で、ワンダーがなくなってしまいます。

 センス・オブ・ワンダーは、ほっておくと失われていくのです。

 しかし強く意識していくことで子どもの様なセンスを持ち続けることができます。

 ぜひ自然の中に出て、いろいろな驚きを探してみてください。 

 これは先日、散歩している時にみつけたスズメガの幼虫です。

 スズメガというのはこういう昆虫です。

 その幼虫はどういう姿、形をしていると思いますか?

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 これがスズメガの幼虫です。

 わたしの人差し指よりずっと大きなアオムシでした。
 猫の子は子猫で、キリンの子はキリンの子ども、姿形は似ています。成長してスズメガになると言われても、いったいこのアオムシの身体のどこに成虫の羽根や触覚や足が隠されているのでしょう・・・
 驚くべき変化です。

 その驚くべき変化をうむために〈さなぎ〉という過程を経ていきます。

 生き物の驚くべき世界を、みなさんも感じてみませんか。

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たのしい教育の発想法/板倉聖宣(仮説実験授業研究会初代代表)が何度も語ったこと/最新メルマガから

 最新のメルマガへの反響が届き始めています。発想法の章に書いた板倉聖宣先生の〈実験結果をもとに自分の認識をたかめていく人たち〉について、自分の考えを綴ってくれた方がいました、元の記事の一部を紹介しましょう。

たのしい教育の発想法
 板倉聖宣1989.2.5
実験結果をもとに自分の認識を高めていくことができない人たち
が多い

 私は第二次世界大戦後の世界、特に日本の思想史を見てきて、いつも
「どうして人々は実験結果を元にして、自分の科学的認識を徐々に変えていこうとしないのだろう?」
と不思議に思ってきました。
 しかしそれらの人々は、もともと自分の考えを変えることなんかできるはずがなかったのです。
 それらの人々は「客観情勢が悪くなったからといって自分の信念を変えるのは、自分と仲間の信念に対する裏切り・転向に他ならない」と考えていたからです。
※いっきゅう補注
転向:それまで大切にして来た思想・信条を他の思想・信条へと変えること。大抵は〈裏切り〉的なイメージで語られることが多い
 そこで、のっぴきならない状況になるまで思想を改めていくことができなかったというわけです。

RIDE( ライド:たのしい教育研究所 =たの研)は予想実験、仮説実験を行動の基本においています。そして、その発想で行動していく人たち、それによって自分の認識を高めていける人たちを増やしていくこと目指して活動しています。

 このサイトの記事の中からもそのことは伝わってくると思います。

 時間のある時にぜひいろいろな記事を開いてみてください。右の検索の窓に「発想法」と打ち込むと、関連する記事がみつかりやすいと思います。

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驚く力/センスオブ・ワンダー/コスツス・スペキオスス/たのしい自由研究

 山地を歩く自由研究が続きますけど、驚きを届けたいので書かせてください。昨日のこと、山の近くの小道を曲がろうとすると、突然こういう花が目に飛び込んできました。
 なんだこの不思議な花は、近くに車を停めて確かめにいきました。

  スパイラルジンジャーに似ているけれど、白く大きな花が咲いています。

 前々回の〈ヘリコニア〉の様に、スパイラル・ジンジャーも2パターンの花があるのでしょうか。

 調べてみるとスパイラル・ジンジャー同じ〈ショウガ科〉で「フクジンソウ」と呼ばれています。
 スパイラル・ジンジャーをそのままにしておくと、似た形状の花が開くのではないかという予想もありますけど、それは今後の自由研究としてたのしみにとっておきたいと思います。

 何れにしても自然はおもしろい!

 子どもは本来、自然のいろいろな姿に驚くことが得意です。
 次第にそのセンスを失って大人になっていきます。
  それを「成長」と呼ぶには大きすぎる損失だと思います。

 そういう感覚を失わないで成長していくことはできないのでしょうか?

 できます!

 たのしさの方向に成長していけばよいんです。

 みなさんも「おや?!」と感じるものに出あったら、ぜひ足をとめて「おもしろいなぁ~」と眺めてください。
 植物でも、虫たちでも、雲でも、風の音でも、夕焼けでもいい。
 日向と日陰の違いでも、車の走る速さでも、雨つぶと雨つぶの間隔でもいい。

 おもしろいことに気づいたら、しっかりそれを味わってください。
 そして、そのおもしろさ不思議さを、ぜひ近くの誰か、できれば子どもに、あるいは子どもの感覚をもった大人に話してみてください。

 人生がより豊かになるはずです。

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