板倉聖宣の発想〈森鴎外〉と〈脚気〉と〈論争で真理は決まらない〉ということ/たのしいブックレビュー「模倣の時代(板倉聖宣著)」

〈たのしい教育メールマガジン〉に書いて反響がいくつも届いた記事を紹介します、板倉聖宣(仮説実験授業研究会初代代表、元文科省教育研究所室長)が著した大河小説「模倣の時代」に絡めて、脚気と森鴎外の関係をもとに真理を追求する方法について語った内容です。《論争で真理を決めてはいけない》という迫力ある話です。では何で真理を決めたらいいのか?
 読者の皆さんはどう思いますか?

 私の書籍解説が気に入ったという方もいたので、まず私のブックレビューから引用します。

いっきゅう
「模倣の時代(上下)」 
 板倉聖宣執筆の小説
明治以後、日本は欧米を徹底的に模倣し発展してきた。
しかし日本特有の病気である〈脚気〉は欧米に例がなく、日本人が創造性を発揮して解決しなければならない大きな課題であった。
ドイツのコッホから最新の細菌学を学んだ森鴎外は「脚気は〈脚気菌〉によって起こる感染症である」という予想をたてたが結果的にそれは間違っていた。
一方、堀内利国らは「栄養素が不足して起こる」という予想を立て、実験的に「麦飯を食べることによって脚気が予防できる」と明らかにした。
かなり時を経てから〈脚気はビタミンB1欠乏症だ〉と解明され、堀内利国らの研究の原理的な正しさがはっきりしたが、森鴎外を中心とする東大医学部系の医学者たちは、それらを無視し反撃を開始する。
 当時、森鴎外は陸軍軍医のトップであり、その間違った医療方針の結果、日露戦争ではロシア軍との戦いによる死者数より脚気によって死亡した兵士の数が上回った。
 明治期の医療史をテーマに、模倣と想像のダイナミックな歴史を描いた快作。

 追記:日露戦争時の戦死者⇨日露戦争の陸軍の脚気患者は25万人、うち2万8千人が死亡。 戦死者の総数は4万7千人であるから、銃弾の犠牲者を越えている。
https://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page005750.html

板倉聖宣

 WOWOWの番組で、そのことに関連して語ることになるのですけど、メルマガでは、明治の前、江戸時代、脚気の治療に正しい予想を立てた人がいたか、という話から始まります。全文ではなく、メルマガの一部のみの紹介になります、ご了承ください。

 1740年に脚気の治療に関わる論文があって、大阪と江戸で「脚気は恐い病気じゃない」という感じになった。 ※いっきゅう補足:明治は1868年なので約130年前前のこと
 それでもダメなんです。

 将軍が脚気になって死んじゃうしね。

 それがまたここで堀内利国の監獄の問題をきっかけに復活したんです。

 天皇まで支持したんです。

 それでもまた日本全体としてはダメでした。

 森鷗外が「自分が責任を負わない」ということでがんばったんですよ。恐ろしいのは「科学者は信用できない」ということです。科学者は半分は官僚なんだよ。官僚だから責任を取らないんだ。そういう科学者を信用する政治家がたくさんいる、これは恐いね。
 たとえば「臨時脚気病調査会」では、脚気の問題で一番責任のある森鷗外を会長にしちゃうんだからね。責任を取らせようと思ったら飛ばせばいいんだね。責任を取らせる人を会長にしたら、
責任を取らないように工作するわけだ。「科学者は客観的に研究するだろう」と思うから、そういう人を平気で会長にするでしょ。
 その当時の総理大臣や、陸軍大臣とか天皇とかがそういう連中に責任を取らせようとするけども、その連中はごまかす。だから「科学者は信用してはいけない」というんだ。
「真理は実験で決まる」ということをはっきりしなきゃいけない。

 論争で決めるようなやり方、つまり多数決で真理を決めるようなやり方をしてはいけないんです。

 

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楽しい島言葉-おいしい食べ物づくりで島言葉!/いろいろな方たちに好評。子どもたちからの評価をもっと集めてから一般公開します

 たのしい島言葉(しまくとぅば)の教材プログラム作成はどんどん進んでいます。すでに作成したプログラムをたのしんでもらうミニ講座や学校で子どもたちや保護者のみなさんにプログラムを紹介する時間をとっています。希望する方はお問い合わせください。

 さて島言葉に興味関心の高い方たちと協力して現在作成がすすんでいるのが「たのしもう 島くとぅば(食べ物づくり編)」です。

 以前「ゆーぬく」について書いたのですけど、その後も「琉球伝統でシンプルかつおいしい」という評価がいろいろな人たちから寄せられ、原稿作りがすすんでいます。いろいろな方たちから好評の〈一枚シートでたのしめる〉というフレームは今回も同じです。

 
 たのしい教育研究所のプログラム作成も「予想⇨実験」をいくつも重ねていく過程で出来上がります。

 大人の評価はほぼ確定してきたのですけど、子どもたちからの評価をもっと広くあつめなくては一般公表できません。

 試してみたい方は、ゲラずりの原稿と限定動画視聴サイトをセットにしてお届けします、気軽にお問い合わせください。

 どうしてたのしい教育研究所が琉球の言葉の教育に本気で乗り出したのか?
 古いものは残さなくてはいけない、というのではありません。古い文化伝統の中には人権侵害的なものや虐待的な所作があるかもしれません、それらも全て守り受け継ぐ必要があるか?
 答えは明らかでしょう。
 沖縄の言葉に限らず、その地の人たちが古くから守り残してきた言葉にはそこで暮らした人々の大切な想いが保存されています。今の時代にも通じるもの、失われた大切なものの見方・考え方etc. それらを失うのはとてももったいないことです。古い言葉に堪能な方たちがいなくなってから古文書などで学ぶのは損失が大きすぎます。
 たのしく島言葉を学ぶ、それはとても意義の大きいことだと思っています。

 またたのしく島言葉を学んでいくことは、楽しい国語、たのしい道徳、楽しい社会etc.いろいろな教科に発展していくでしょう。結果として本質的な学力を高めることにつながるに違いありません。
 賛同してくれる方たちが増えていくことをたのしみにしています。

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情報伝達ツールは進化しても自分の思いの伝え方はなかなか進化しない/思い・想いを伝える大切さ

 以前からいろいろな処で〈自分の想い・考えを周りの人に伝えることができないと、その人のリミットを超えた時に教室を飛び出たり、暴力的な行為に出たり、引きこもったり、不登校という方法を選んだりすることになる〉という私いっきゅうの仮説をお話しています。
 今回は、そのことに関連して、カウンセリング系の研修に呼ばれて話をした内容を紹介しましょう。

 動物に近かった頃の私たちは近くの相手に怒りや喜びの〈感情〉を唸り声や表情で伝えるのがやっとのことでした、1000万年、数百万年前の時代です。

 そういうコミュニケーションでもいろいろなことを伝えることができました。

 数十万年前、長い知的試みの中で〈言葉〉が生まれ「食べ物を得る効果的な方法」を伝えたり「どうしてそういうことをすると危険なのか」という複雑なことを伝えられるようになっていきました、ちなみにシンプルな言葉は人間だけでなくイルカやゴリラ、その他の動物たちにもみられます。

 数千年前、言葉を記録する〈文字〉を発明した私たちは、自分の考えを組み立てる方法としても利用し、さらに場所や時を超えて思いや考えを伝えることができる様になりました、そこから人間の文化は爆発的に発展しました。現在の文化のほとんどは、文字がなければ生まれえなかったでしょう。

 数十年前、驚くべき情報伝達方法が誕生しました〈インターネット〉です。そこで誕生したネット社会は、かつて私たちが〈文字〉を利用し始めた時起こった様な爆発的な知的進化をもたらしました。
 今私たちは、その進化のさなかにいます。

 不思議なものですね、これだけ感情や気持ち、考えを伝えるツールが爆発的に進化してきても、人間は自分の思いを相手に伝えることに苦慮しています。
 1000年以上前に詠まれた和歌を思い出します。

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで

いくら時代が進んでも、自分の気持ちを、思いを伝えるには簡単なことではありません。

 教師が子どもたちのことを思い、親が我が子のことを思い、いろいろなことを伝えようとして、実はうまく伝わらず関係がこじれてしまうことがあります。

 子どもたちも自分の想いを伝えられず、ギリギリまでくると教室から飛び出たり、不登校という方法をとったりする場合があります。

 自分の想いを伝える、そのことは教育のとても大きなテーマです。家庭でも学校でも、子どもたちが自分の想いを気軽に伝えられるように配慮しながら関係を育てていく必要があるでしょう。

 それは掛け算ができるとか難しい漢字を読み書きできることよりずっと大切なことだと思います。

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憧れの埴沙萠さん(植物写真家)-アウトドアを楽しむ

 メルマガに〈埴沙萠:はにしゃぼう〉さんのことを書き始めています、以前このサイトで紹介したことがあるのですけど、私いっきゅうの憧れの人物です。

 足元に広がる植物たちの宇宙を、私たちにたくさん見せてくれた写真家で、埴さんを特集したTV番組〈足元の小宇宙〉は録画してあって20回以上みています。

 埴さんはこの時82才、「たのしいことばかりだよ、世の中は!」と語るように子どもの様な感性は衰えていません。

 これから涼やかな秋、また埴さんのように草に寝ころがって、写真をたのしめる季節がやってきます。

 みなさんも野山で足元に広がる草花を撮ってみませんか。

 

 

 

 

 ツタヤ などレンタルDVDで出ていたのですけど、今あるかどうかわかりません、なかったら図書館とかショップなどを探してみてください。

 

 レンタルDVDで〈NHKスペシャル 足元の小宇宙 ~生命を見つめる植物写真家~[NSDS-19415][DVD]

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