どの学校も天才に満ちている-たのしい教育の子ども観/〈たの研〉式グライダーNewタイプ-楽しいものづくり・楽しい自由研究

 先日も天才たちとたのしく授業させてもらったけれど、つくづく私は〈授業〉が好きなのだと思います、考えてみると「授業だけしていたい」と考えてフリーになったくらいですから。

 たのしい授業が好きでたまらないの上に、前々回も書いた〈評価論〉がアクセルをかけ、さらに腕を磨いていったので、自信があったのは間違いないけれど、公務員として少なくとも経済的にはぬくぬくと暮らせるのに、「いったい自分の授業の腕で生きていけるのか?」 という普通の人たちにはなかなかできない人生実験それほすてて自由競争の世界に飛び出ていったのは大したものだったけれど、それを支えてくれた方たちもすごかった、人生は勇気とタイミングと縁なのだろうと思います。

 さて今回の「親子わくわく講座」でもたくさんの天才たちに出会うことができました。

「宇宙へ」をテーマに2時間ノンストップの講座を親子も先生ものめるこむようにたのしんでくれました。

 押し付け的な教育によって子どもたちの好奇心が失われていく、板倉聖宣がそう強く語っていたけれど、子どもたちはそもそも天才なんだと思います。こうやって子どもたちの心を動かす授業をしていると、その天才性をどんどんみることができます。

 今回もたくさんの天才たちに出会うことができました。

 プログラムの中で重要なキーになる「〈たの研〉式グライダー」を作った時のことです、2時間の中のほんの10分くらいの時間のことなのですけど、ある天才くんのエピソードを一つ紹介させてください。

 〈たの研〉式グライダーの完成型はこれです。

 私がもう少し丁寧に説明してあげたらよかったのに、ある子(Aくんとしましょう)が完成型とかなり違うカットで私のところに持ってきました、何も語らず「こうなってしまった」と残念そうに。

 Aくんはバットマンのデザインにしたかったのだろうか?
 もちろん、ぜんぜんとばないと私にとばせてみせてくれました。

「いっぱいカットしちゃったか、もっと丁寧に作り方を話してあげられたらよかったのに、ごめんねぇ~」

 と謝りつつ、

「もしかすると、調整したら飛ぶかもしれないよ」

と、私がクリップの位置でバランスを調整してみることにしました。

とはいっても、これだけ違う形にすると、やっぱり飛行は無理なのでしょうか、どう思いますか?

⬇︎

予想・実験してみると・・・

 スーッと飛ぶようになりました。

  Aくんはとてもいい顔をしてくれました。

 もし飛ばなくても、私が「形を完成型ににせてととのえてみるといいよ、最初に話した〈予想⇨実験〉だからね」と話してあげたら、たのしく挑戦したことでしょう。アドバイスが欲しくて私の処にきてくれたわけですから。

 みんなと違う様にカットしたAくんは「これ、なんとかならないですか」と相談したくて私のところに来たのかもしれません。あるいはみんなと同じようにカットして飛ぶことも体感して、その後小さくギザ付き型で作ってみたのかもしれません。どっちにしても、これが天才性です、A.I.には真似できないことです。

 これは以前書いたでしょうか、ある小学校のPTA行事で呼んでいただいて〈たの研〉式グライダーをとりあげた時にも、翼に飛行機のフラップ(飛行機の機体を上下に調整するために使う)⬇︎ をハサミで加工した子がいました、天才です。

「飛行機の仕組み~フラップ・スラットの役割」に感謝を込めて参照

 言われた通りやるのが素晴らしい、いう通り動いてくれるのは素直でいい子だ、そういう子を育てるのが教育だと考える大人はたくさんいます。けれどそういうばかりでは、カラを突破することはできません。

 特に閉塞した社会を突破するには、自分の才能を発揮していろいろな挑戦をしていく子どもたちが必要でしょう。
 学校の先生、保護者のみなさんが、子どもたちの才能・可能性・天才性をたのしく伸ばしていける教育システムがきっと生まれてくる、たのしい教育研究所の活動はその流れに確実につながっていくと思います。

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たのしい教育の発想法/板倉発想法入門〈わからないけど楽しい〉〈わかるから楽しい〉

 板倉先生の発想法たのしい教育メールマガジンに書いた内容を少し紹介しましょう。これまで、板倉先生の講演などをいろいろ読んできた方たちにも、私の問題意識をもとに書いていくスタイルを、とても喜んでくれます。

 今回は〈わからないけど楽しい〉という授業と〈わかって楽しい〉という授業についての話でした。メルマガの一部なのですけど、伝わるように書きましょう。

 板倉先生の話は「板倉式発想法講座1994.05」で語った内容です、盟友いらはさんが仮説の会で持ってきてくれた資料(仮説実験授業研究会ニュース)からです。

いっきゅう

 学ぶ中で「わからないけどたのしい」ということがあります、たとえば「え、何? どういうわけ? おもしろいね!」というように。
〈水50ml〉に〈無水アルコール50ml/高純度アルコール〉を加える。当然〈100ml〉になりますよね、だって足し算なんだから。
 でも実際はそうならないんです。
 何度測っても〈96ml〉とか〈97ml〉、これは意味不明だけどおもしろい。
 この「わからない」を強調する先生もいて、何人も知っています。
「お~、すごい」
「どうしてそうなるの?」
 すると、その説明がすごくわかりにくい、つまり自分自身もうまく理解しないまま実験だけ見せて「どうだ、おもしろいだろ~」といっているわけです。
 私は「腑に落ちる」というのが大事だと思っているので、あまりそういうよくわからないシリーズには関わりたくないわけです。
 かなり前の話で、どちらがより大切なのか、どちらも同じくらい大切なのか、板倉先生の話でうまく整理ができて、それが〈たの研版授業書〉に活きています。

板倉

 仮説実験授業では普通の教科書と違って〈みんなが間違えるような問題〉を出します。
 でも実験をして結果が出るわけでしょ。
 つまり仮説実験授業の授業書は実験によって答えがわかり、しかも子どもたちが知りたいと思う問題だけを出しているんです。
〈永遠に分からない問題〉を出したりしません。
 だから、たのしいんです。
 そして、一つひとつの問題で答えがわかるだけでなくて体系的にわかる。
 つまり、ただまぐれ当たりでなくて、仮説が理論になる。
 ですから、わからないたのしさというものを大切にしながら、やはり基本的には〈わかるたのしさ〉があって初めてたのしい授業になります。

 腑に落ちるようにわかる、たのしむ、それが〈たの研〉の授業プログラム=「たの研版授業書」の基本になっています。

 秋の講座で発表した「音のひみつ」がその最新版です、いずれ電子出版で提供できるようにしたいと考えています。 おたのしみに。

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たのしい植物の世界-質問に答えて

 小学校高学年あるいは中学生、もしかすると大人からなのかもしれません。このサイトを読むのがたのしみですという言葉と、前回の記事「沖縄ではハウス栽培でなくてもヘチマが育つのかな? 12月に近い日々のアウトドア」に関連してずっと前から「どうして植物はこんなにいろいろな種類があるのか、不思議です」というたよりが届きました。学校にいた頃にも、似た様な質問を受けてきました。

 考えてみると不思議ですよね、おなじカボチャでも、沖縄で育つカボチャと長野などでとれる高原野菜のカボチャとはだいぶ違います。

 これは沖縄でもみる普通のカボチャ、20cmくらいあります。

 長野などを旅していた時にみた高原野菜のカボチャは夏みかんくらいのサイズで、姿形や大きさもだいぶ違いました。はじめてみた時は、食べるものではなくて飾るためのものだと思ったくらです。

 逆にハロウィンの時などに出回る超巨大サイズのカボチャもあります。

 不思議といえば不思議です。

 けれど私たち人間もかなり多用ですよ。

 個人レベルでみても大きな人、小柄な人、ふっくらした人、スリムな人、太陽をいっぱい浴びた肌、インドアでの仕事が主な人の肌、目がパッチリした人、キリッとした人、手足の長さ、足の大きさ、肩幅、首の太さetc.
 違いがいっぱいですけど、人間という種でみても多様です。

 人間は英知で〈衣食住〉を進化させてきましたから、植物や他の動物たちより身体構造をあまり変化させずにきたとはいえ、世界各地にはいろいろな人たちが住んでいます。

ChatGPT作画

 日本人、アメリカ人、北欧の人たち、アフリカ系の人たち、オーストラリアにもともと住んでいた方たちアボリジニ、アメリカのインディアン、日本人と似たアラスカ原住民など多様です。

ChatGPT作画

 
 生物は、長い年月を経ていくうちに少しずつ、その場所の生活に適した姿形にかえていきます、そうやって環境に適した生物たちが生き残ってきたわけです。

 植物たちが不思議だということと同時に、人間を含めた生物の多様性のことも考えてみると、たのしく世界がひろがっていくとおもいます。

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教育の世界に〈オームの法則〉の様な法則はあるのか?

 私が教師をしている時〈教育の法則化運動〉が流行っていました。私はその後一人の授業者としてフリーで活動し予想以上の成果を収めることができました。学校という枠に守られた授業者ではなく、一人のプロの授業実践家としてしてみて、〈教育の法則化運動〉は法則ではなく〈一つの授業アイディア公開運動〉であったと思います。自分ではうまくいったという授業アイディアがあって、それを公開していろいろな人たちに試してもらう運動だったと。

 法則というのは、一定の条件下であれば必ず成り立つ普遍的な規則や原則です。それは誰がやっても成り立つものでなければいけません。振り子の等時性(同じふりこであれば、振れ幅が短くても長くても行って戻るまでの時間は同じ)の法則は、男の人がやった時だけ成り立つということはありません。男女の差も年齢の差もありません、もちろん午前午後といった時間の差もありません。
 アメリカでもコロンビアでも日本でも成り立ちます。

 電気の授業で学ぶ〈オームの法則〉があります。
 電流と電圧と抵抗の三つの関係は必ず〈 電圧V=電流A X 抵抗Ω 〉という関係に従う、つまりどうもがいても、その関係から逃れることはできにないという、恐ろしいまでに確立された法則です。その法則も、誰がいつやっても成り立ちます。

 では、教育の世界にはたとえば「かけ算九九の◯段を77回となえたら必ず覚えてしまう」とか「体育の時にはこうすると、チーム同士の争いが全く起こらない」という様な法則があるのでしょうか?

 かなり考えても、そういう法則にゆきあたらない・・・

 たとえば「〈あなたは◯◯に比べて劣っている〉という評価を続けていると、そう言われ続けた人は、それがいやになっていく」ということは、かなり高い確率でいえそうです、が、法則といえるほど完全になりたつのかわかりません。

 つまり教育の世界には〈法則〉と呼べるものはほとんどない。

 ただし、たのしい教育プランの様に〈この授業を受けた子どもたちは、高い確率で「たのしい」「学んでよかった」と評価してくれる〉ということはあります。

 それでも、子どもたちと敵対している教師が実施したらうまくきません。また、真剣にやらずいいかげんに授業にかけると失敗することも多くなります。

 なので法則だといえるものにはなっていないでしょう。

 それなのに「この方法は正しいのだ」と考えている教師がこんなに多いのはどうしてでしょう。

 私が赴任した学校の校長先生は〈ほめて育てれば子ども必ず伸びる〉と断言していました。

 けれど残念ながらその小学校では子どもたちが全体として伸びている様子は見られませんでした。また校長先生のことをまじめに聞いている先生のクラスはうまくいっているかというと、そういう様子もみられませんでした。

 教育の世界で今必要とされているのは、それが法則であるかの様に〈〇〇が正しい〉と考えるのではなく、それを一つの選択肢として捉えるものの見方・考え方だと思います。

 ほんとうにそう言えるのかをたくさんの教師が実験・実践して確かめる、そのことこそが大切だと思います。

 たのしい教育研究所は、そうやって一つ一つ丁寧にたしかめていったものを、講座などで体験してもらっています。

 いよいよ秋の講座も約10日前に迫りました、今からその日がたのしみです。

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