え、この季節にこの花が?

 〈たの研〉の第3研究所近くに、この季節では普通見ることができない花が咲いています。

一輪ではありません、木の枝いっぱいに花をつけています。

 異なる季節に咲く花のことを何度か書いてきました。生物の成長や・開花は個体差、早い遅いが当然あって、統計的に平均的な時期を開花時期だと呼んでいるわけです。

 さてこの花は何でしょう?

 桜の花に似ていますね、同じバラファミリーの「桃の花/モモの花」です。
 桃は桜と同じ頃に花を開くのが多いのですけど、11月の初めの頃から花を開きはじめていますから、平均的にいうと3ヶ月くらい早く咲いています。

 こういう超早咲きの植物は今までたくさん見てきたのですけど、ある疑問が浮かんできました。

 この超早咲きの花たちは「実」になるのでしょうか、つまり桃の実ができるのでしょうか?

 みなさんはどう思いますか?

「花が咲けば当然、実になるだろう」
「いやいや、花は咲いても、実になるのはやっぱり合った時期があるだろう」
「受粉のための昆虫の活動とかも大事だから、超早咲きの植物は実を成らせないのだろう」
「そうかなぁ~、そうやって超早咲きの花たちが実を作らずタネもできないとしたら、超早咲きの植物は絶滅していって残っていないんじゃない?」
「でもないと思うよ、超早咲きのDNAがあるのではなくて、どういう植物でもその時のいろいろなきっかけで早咲きしたり遅咲きしたりするんだろう」

いろいろな考えが頭をめぐります。

 みなさんも予想を立てて一緒にみていきませんか。

 じっくり自然を味わうとたのしみも増えていきます。

 自分たちの身の回りの環境に親しんでいきましょう。
 できれば、身近な子どもたちにも伝えてください。
 それは早いに越したことはないと思います。

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楽しい自由研究:ススキは〈ほうき〉に利用しただけ?

 私いっきゅうは夏休みの自由研究で、祖父が得意気に教えてくれたススキの箒(ほうき)を提出したことがあります。いつも学校で利用している市販のホウキと比べると丈は小さいけれど、隙間に詰まったホコリやゴミもサッと除いてくれる優れものでした。
 こんな感じのホウキです、これほどカールしてはなかったけど⇩

https://www.yaeyamacraft.com/items/87164278

 子どもの頃からものづくり系は好きだったのに、作業そのものがたのしい経験だった記憶はありません。祖父は「使うものをお店で買うんじゃなくて、昔はこうやって自分でつくっていたんだ」と言いながら、ほぼ全ての工程を自分ですすめてしまって、私は不ぞろいのススキの穂をカットするくらいだったので、楽だったのだけれど、

 それでもしっかり記憶に残っているのは、その時、一本ずつはひ弱でも二、三十本束ねると、折れないくらい丈夫になることに驚いたからだと思います。そして「野山にこんなにたくさんあるススキをホウキにするだけというのはもったいないことだ」と感じたことも大きいと思います。

 そのことが何十年の時を経て解決しました。
 ススキにはある重要な利用法があったんです。

 私が無知だっただけで、たいていの人は知っている、ということもあるかもしれません。
 まず質問。

 その昔、ススキは何に利用していたと思いますか?

⬇︎

⬇︎

ススキの重要な利用法

 ススキはイネ・ファミリー(科)です、米や麦などもイネ・ファミリーです。

 ほとんどのイネ・ファミリーの茎はストローのような中空構造です。

 表面は木目ががびっしりつまっていて、プスチックのようにツルツルになっています。

 そういう性質を利用して屋根の素材に利用していました。
「カヤ(茅)ぶき屋根」という言葉を聞いたことがありませんか、その「かや:茅」というのは〈いね科の植物チガヤ・ススキなどの総称〉です。

 高床式住居も茅(かや)の屋根だと説明されています、だいぶ昔から使われてきたわけです。https://kids-kouko.com/housing/

 日本の白川郷・五箇山など合掌造りの古い住居も茅ぶき屋根です。https://machiyane-kagoshima.com/column/2019-12-25.html

 ススキは人間の住居の歴史の中で重要な役割りを果たしていたわけです、なるほど・・・

 こういうことも自由研究の一つです。自由研究で長年の謎が解け続けている日々です。

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楽しい環境教育@挿し木の実験スタート:シークワーサーを育てよう(実験開始)/自由研究の大切さ

 気に入りのシークワーサーは、読者、応援団の方たちからたくさん届いているのですけど、〈たの研〉でも育てて収穫できるようにしたいものです。

 植物の再生能力は動物たちより遥かに高いので、それを利用して増やすことができます。以前〈挿し木〉で希少種のリュウキュウイチゴを育てたことがあります、その方法で、増やしてみましょう。

挿し木の実験 リュウキュウイチゴ(貴重)

 さっそくたくさんの実がつく美味しいシークワーサーの木の枝をもらってきました。
 葉っぱを少し残して、斜めにスパンと切った枝を差し込みます。
 写真には葉がたくさん写っているのですけど、それは水分が飛んでいくのをふせぐために土の表面にかぶせたものです、枝にはカットした葉が二、三枚ついているだけです。

 今回は葉を一枚のものと

 葉が一枚もついていないものも一緒に挿し木してみました。

  

 発根したら(根っこが出てきたら)成功です。

 たのしみが増えてきました。

 〈たの研〉のたのしい環境教育のテーマ『減らして増やしてエコロジカル』の増やすの一つは「植物」です。ホームセンターなどでお金を払って植物を増やすことは、子どもたちにとってハードルが高いでしょう。

 植物の再生能力に感動してもらうプログラムはすでにできていますから、その応用編として挿し木の実験をたのしんでもらい、身近なところに気に入りの植物をどんどん増やしていく、それは、とても有効な環境教育になるでしょう。

 みなさんも、身の回りに自分が気に入った植物を増やしていきませんか。

 こういう実験だけでなく、自分の知的好奇心で自由研究をどんどんすすめていく子どもたちや先生、大人が増えていけば、環境の問題だけでなく、医学、工学(エンジニアリング)、生物学、天文学etc. いろいろな分野に新しい可能性が広がっていくでしょう。

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銀のサナギ(蛹)と金のサナギの話

 子どもたちに授業していた頃、メタリックな蛹(さなぎ)に魅了されていました。金属光沢は金属独特の自由電子の働きの結果なのだけど、するとこの金のサナギには金属粉が含まれているのかな・・・?

オオゴマダラのさなぎ

オオゴマダラをよく知らない方は以前の記事をどうぞ⇩

オオゴマダラと言葉の力

 サナギの色がメタリックである謎がとけたのはフリーになって〈たの研〉を立ち上げてからです。

 その話は後半にもっていくとして、先日、ツマムラサキマダラを見つけました。紫に発色していないのでメスでしょう。

 タテハチョウファミリー独特の夕方飛び方をする蝶です。愛用のカメラを手にしていなかったので、飛んでいるシーンはピントボケでうまく撮ることはできませんでした。

 このツマムラサキマダラのサナギをごらんください、銀メタリックです。

 チョコボールの金のエンジェル、銀のエンジェルみたいで貴重です。

 夏の頃なら、写真を撮った場所で見つけることができたかもしれません。

 オオゴマダラやツマムラサキのサナギがメタリックに見えるのはなぜか?

 以前、軽く紹介したのですけど〈構造色〉という独特の屈折・分散・干渉によってそう見えているのです。

たのしい昆虫学ー近くから眺めてみよう〈美しいルリ色/瑠璃色〉/生きた教育・生きた学力

 私たちが普通目にするのは赤い花や紫色の花、青いカーテンや白いカーテンのように、その色素をもった色です、〈化学色〉と言ってよいでしょう。

 それに対してたとえばシャボン玉や虹は、そこで起こる屈折・分散・干渉によって発色しています。
 赤い花は見る角度によって赤が消えたり別の色に見えたりしません、でも構造色によるシャボン玉や虹などは見る角度によって消えたり見え方が異なったりします。

 タテハチョウ、ツマムラサキマダラの金や銀の色は、金属の原子が存在しているのではなく、その表面の独特な構造によってキラめいているわけです。

 なので金属のように電気を通すこともありません。

 自然の中には不思議さたのしさがいっぱいつまっています。
 それが本物の学力に繋がって、押し付けでない、自分の可能性を伸ばしていくでしょう。

 みなさんも、のんびりフィールドを歩いてみませんか。
 まず近くの公園からはじめてみましょう。

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