教科書の表記が絶対正しいというわけではないという話( 。」)②-たのしい国語

 私が子どもの頃は原稿用紙の使い方を徹底的に指導する先生が普通でした、そのせいで作文嫌いがたくさん出てきたという予想がたつくらいです。何しろ、前半で間違って、行がえが必要になると、その後ろも全部決して書き直しを命じられるので、難行苦行以外の何者でもありません。今回は私がよく修正を命じられた一つ、句点+閉じカッコ➡︎ 。」 について取り上げています。未読の方は一つ戻ってお読みください。
 そうそう、もっと前の記事も大切です、併せてお読みください⇨ https://tanokyo.com/archives/158743

 さて、もともとその作家は〈句点+閉じカッコ➡︎ 。」表記〉してないのに、それが教科書に載ると〈句点+閉じカッコ➡︎ 。」表記〉になってしまうことを、夏目漱石の有名な小説『こころ』を例に紹介しました。

 青空文庫を利用したので、今回は〈全集〉を開いて、ほんとうにそうなっているのかいないのかみてみましょう。

 第一研究所の近くの公共図書館に行ってきました。

 まず前回しめしたように、これが教科書、大修館書店〈現代文〉上191pです。

 日本文学全集(集英社) 夏目漱石〈ニ〉339p こころ 文中はこうです。句点とカッコの重なりはありません、カッコは二重かぎカッコです。

筑摩現代文学体系13 夏目漱石集〈ニ〉p281 こころ には句点とカッコの重なりはありません、カッコは二重かぎカッコです。日本文学全集と全く同じで、教科書とは異なります。

教科書は作者自身の表記を変え自分たちのルールに従って編集していることがわかります。

「青空文庫」、集英社「日本文学全集」、「筑摩現代文学体系」ともに、私が予想したとおりの表記でした。これ以上手を広げて調べる必要はないでしょう。

 そもそも漱石自身の直筆原稿を見ても〈句点+閉じカッコ➡︎ 。」表記〉はしていませんから、『こころ』の執筆の時だけそういう表記をしたというのは考えづらいでしよう。

漱石「門」直筆原稿 ※wikipediaに感謝して参照

 そろそろまとめに入りましょう。

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教科書の表記が絶対正しいというわけではないという話( 。」)①-たのしい国語

 前に〈かぎカッコと句点〉について書きました、会話部分をカッコでくくって、その閉じの部分「◯◯◯◯  。」が気になるという話です。句点〈 〉も文を閉じる記号で、閉じカッコ〈 〉も同じく閉じる記号です。無駄であるだけでなく美しさにかける。

 その記事の中で《 作家本人は 」 でシンプルに閉じているのに、それを教科書に載せると時 。」 に変えてしまっているのか》という宿題が残されていました。もしそうだとすると、作家本人はそう書いていないのに、教科書で日本中の子どもたちが目にするので、まるで本人がそのように書いたと考えてしまいます。

 これは私が親しんでいる高校の国語教科書にある夏目漱石の「心」の一節、中程に有名な言葉〈精神的に向上心のないものはばかだ〉という言葉が出ています。「 」で括られていて、句点+」ですね。

では夏目漱石の本は、そうなっているのでしょうか?

残念ながら本屋さんにいく時間的なゆとりもなくなっているのですけど、便利なことに電子書籍があります、kindleで調べてみましょう。その言葉は左側に位置しています。

 kindleだけで判断するのは早計でしょう、とはいえ、結果の一つはみつけたことになりますね。

 全集なども含めて、作家本人は私と同じようにシンプルにかぎカッコのみで閉じているのに、教科書に載る時には〈句点+ 」〉になっているのか、実は本人がそうしていたのか、はっきりするでしょう。

 推理小説のように謎を解く、こういうディテクティブ(捜査)もたのしくてやめられません ´ー`)
 こういう過程の一つひとつも、自分の頭で考えて確かめていくという〈騙されない人間になるためのステップ〉です、興味ある方は一緒にやってみませんか。

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楽しいブックレビュー 米原万里『打ちのめされるようなすごい本』文春文庫-日本の教科書の無味乾燥さ

 大好きな作家に米原万里さんがいます、残念なことに56歳という若さで他界してしまいました。切れ味鋭い文章を綴る達人でした、100歳以上まで生きて、もっともっといろいろな本を残して欲しかったと残念でなりません。

 米原さんのおすすめの本はたくさんあって、去年メルマガで『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を紹介したところ、さっそく購入しましたという声がいくつも届きました。
 多読の米原さんの書評を集めた如唯一の本『打ちのめされるようなすごい本/文春文庫』も多くの方におすすめです、実に面白い。

 その本の表紙裏の著者紹介がよくまとまっているので文芸春秋社に感謝して引用させていただきます。

著者紹介
米原万里 (よねはら・まり)
1950年生まれ。 元ロシア語会議通訳、 作家。
59~64年、 在プラハ・ソビエト学校に学ぶ。
東京外国語大学ロシア語科卒業、東京大学大学院露語露文学修士課程修了。
80年設立のロシア語通訳協会の初代事務局長を務め、95~97年、03~06年会長。
92年、 報道の速報性に貢献したとして、日本女性放送者懇談会賞を受賞した。
著書 『不実な美女か貞淑な醜女か』(徳間書店、新潮文庫)で読売文学賞、『魔女の1ダース』 (読売新聞社、 新潮文庫)で講談社エッセイ賞、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』 (角川書店、角川文庫) 大宅壮一ノンフィクション賞、『オリガ・モリソヴナの反語法』(集英社、集英社文庫)Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。
他に『ロシアは今日も荒れ模様』(日本経済新聞社、講談社文庫)『真夜中の太陽』 『真昼の星空」(中央公論新社、 中公文庫) などがある。
2006年5月、 逝去。

 米原さんは多読家で、多岐にわたる興味関心にまかせてたくさんの本を手にし、〈歯に衣着せぬ〉言葉で、いいのはいい、おかしいのはおかしい、と腑に落ちるように語ってくれています。また教育や政治、〈ものの見方・考え方〉についても折に触れて伝えてくれます。

 今回はその中の一つを紹介しましょう。
 54ページ《退屈な教科書と大江づく日々》の項に「期待はずれだった」という本(あえてタイトルは伏せましょう)に触れて、こう綴っています。

 中学2年の時に帰国し近くの公立中学校に編入した私は、歴史のみならず、あらゆる教科書の絶望的たいくつさ加減にショックを受けた経験がある。
 義務教育であるとかテストがあるとかの強制力がないかぎり、一行とて読み進める気が起こらない羅列(られつ)的記述。

 そこには〈ものを知る〉=〈知らせる〉喜びも、ものごとの本質を極めていく時のあの胸のたかなりも影を潜めているのだった。

 それまで小学校の3年から5年間滞在したプラハで通ったソビエト学校の教科書は、どれも読み出したら最後、止まらなくなるおもしろさだった。これは嘘でも誇張でもない。新学期が始まってひと月もすると、大方の生徒が全ての教科書を読破し終えていた。

 この「面白くなくては」つまり「子どもが読んでくれなくては教科書ではない」という常識が日本では逆転していて、教科書はたいくつの代名詞となっていた。

 客観的記述=羅列という思い込みが日本の教科書を支配していると思った。

 日本の教科書の無味乾燥さは、たくさんの人たちが指摘するところで、特に驚かないのですけど「嘘でも誇張でもなく〈ソビエト学校の教科書は、どれも読み出したら最後、止まらなくなるおもしろさだった〉。新学期が始まってひと月もすると、おおかたの生徒が全ての教科書を読破し終えていた」という話には驚いた。

 そうか、ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ、プーシキンとかいう世界に名だたる大作家たちを生んだソビエト・ロシアは教科書も読み応えあるものなのだな、とてもうらやましい。

 ただ、あえて米原さんに伝えたい。

「国語の教科書の文学作品はいいと思うよ」

 ちなみにこのサイトでも以前かいたかもしれません、私が無人島に本を一冊持っていくとしたら、国語の教科書(高校)を手にすると思います。

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好きな曲たち-たのしい音楽

 みなさんがとても好きな曲は何でしょう?

 私の場合でいえば〈唄う〉としたらザ・ブルーハーツの「リンダリンダ」、RADWINPSの「正解」などいくつも上がってきます。

「リンダリンダ」の『どぶねずみみたいに美しく生きたい』というフレーズ、
 

「正解」の中の『あー、答えのある問いばかりを教わってきたよ。僕たちが知りたかったのはいつも正解など、まだ銀河にもない・・・』というフレーズは、私の心の奥の方に大切にしているともし火をゆらし、熱唱しながら涙を浮かべてしまいます。

〈聴く〉作品で大好きな曲は〈最も好きな曲〉と〈その次に好きな曲〉が一つずつ決まっています、どちらもクラシックです。といっても私はクラシックに造詣(ぞうけい)が深いわけでは全くありません。

「この宇宙で最も好きな曲はこれです」と近しい人たちには伝えてあって、私がいなくなってひっそり小さな葬儀をする時に、その曲を流してほしいと伝えてあります。焼いた後の灰を海に撒いたり森に撒いたりする時にはこの宇宙で二番目に好きな曲をたのみたいのでイベント企画書みたいなものを書いておかなきゃいけませんね。

 三番目となるといくつか拮抗する作品が出てきます。その一つがバッハさんの〈平均律〉という、面白みのなさそうなタイトルの曲集のはじめ〈平均律クラヴィーア曲集 第1巻 1.プレリュード〉、このはじまりの2~3分、短い曲です。

 みなさんももきっと耳にしたことがあると思います。

 それにしても、バッハが名付けた「平均律」という特徴のないようなネーミングが気になります。「平均」という特徴のないネーミングは、けっこう斬新でした。少し音楽の理論的な話になります、ここはとばしてかまいません。

 〈律〉というのは何か? ギターが弾ける人は〈チューニング〉だとイメージするとよいでしょう。
 ChatGPTに聞いてみましょう。

 音楽における「律」は、特定の音階や調を作るために、音のピッチをどのように調整し、整理するかに関わる概念です。

音楽では、特に西洋音楽の文脈で、様々な音程の配列や調整方法が考案されてきました。これらの方法は「律法」と呼ばれ、音楽の調和、表現力、そして演奏の利便性に大きく影響を与えます。

律法の例としては以下のようなものがあります:

  1. 純正律(Just Intonation): 自然界の倍音列に基づく音程の調整方法。非常に調和の取れた和音を生むが、全ての調に対応することはできない。

  2. 平均律(Equal Temperament): すべての半音間隔を均等に分割することで、どの調でもほぼ同じ品質で演奏できるようにした律法。現代のピアノや他の鍵盤楽器で一般的に使用されている。

  3. 中全音律(Meantone Temperament)ヴェルクマイスター律(Werckmeister Temperament) などの不均等律: 純正律と平均律の中間的な特性を持つ律法。特定の調での演奏に適しているが、全ての調には対応しない。

音楽の歴史を通じて、これらの律法は時代や地域、音楽のスタイルに応じて変化し、音楽の発展に大きな役割を果たしてきました。律法は、音楽の理論的側面だけでなく、楽器の製造や演奏技術にも影響を与えています。

 

この〈不均等律〉だけでもいろいろな種類があります、これもChatGPTから。

不均等律(Unequal Temperaments): これらの律法では、純正律の原則を一部維持しつつ、特定のキーでの演奏を容易にするために、若干の調整が加えられました。これには、中全音律(Meantone Temperament)、ヴェルクマイスター律(Werckmeister Temperament)、キルンベルガー律(Kirnberger Temperament)などがあります。これらの律法では、純正律よりは多くのキーでの演奏が可能になりますが、依然としてすべてのキーで均等に美しい和音が得られるわけではありませんでした。

 では、それらのたくさんの〈律〉の中で《平均律》は何が素晴らしかったのか?

全ての調での演奏が可能: 平均律は、すべての半音を完全に均等に分割することで、どの調でもほぼ同じ音質で音楽を演奏することを可能にしました。これにより、作曲家はすべての調で自由に作曲することができるようになり、音楽の表現の幅が大きく広がりました。ChatGPT

 全ての半音を完全に均等に分割したので、どの調でもほぼ同じように演奏することができるすばらしさが〈平均律〉、バッハのクラヴィーア曲集はその平均律で構成したわけです。

 音楽はどの国々にも在ります、人間はリズムを刻むのが好きなのですね。

 私は締切ものに追われるなかもたのしさを感じることができます。そもそも書くことは苦痛ではなく私にとって快楽ですから、音楽がなくても大丈夫なんだろうけど、大好きな曲を聴きながら、のんびり執筆していくと、やわらかい美しい時間が流れていきます。

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