板倉聖宣の発想『人の生き方の半分は宿命、半分は選択』

 最新のメルマガに載せたタイトルの言葉に反響がいくつも届いています。
 発想法の章で紹介した、板倉聖宣先生(元国立教育研究所室長/たのしい教育研究所 初期から支援者/仮説実験授業研究会初代代表/元日本科学史学会会長)が1990年に「党派性と認識と科学」の中で語った言葉です。

板倉
〈人の生き方〉の半分は宿命です。
 ボクは貧乏人の子どもという感じがあります。
 そりゃあ、ボクの世代は戦争の時代に育ちましたから経済生活の上ではほとんど同じです。
 ところが東大に来る同級生なんかを見ると、父親が何かのエリートだったり、叔父さんが東大を出ていたりと、ボクみたいに父親が小学校しか出ていない奴はほとんどいません。
 でも生き方の半分は自分で選択することができます。
 職人の息子に生まれたり、インテリの息子に生まれたりするんだから、自分ではそこは決められない宿命の部分です。
 でも出世しようとするか、しないようにするかは、もう一方の半分だから自分で決められるんです。

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 生き方を決める、決められる子どもたちを育てることはとても大切です。
 〈たの研/たのしい教育研究所〉は、もう半分の部分、子どもたちが選べない半分の部分、たとえば親が頑張っている中でもいろいろな事情で経済的に苦しい家庭の子どもたちへ、塾や習い事など高いお金を出して通う場所よりもずっと楽しく可能性を高めてあげられる〈たのしい教育〉を無償で提供したいと考えています。

 協力してくださる方たちがいたら、お問合せください。

 現在稼働中の〈たの研〉では無理なので、まず拠点づくりとして一軒家を探しています。無償あるいは格安で貸していただける方、あるいはそれを紹介してくださる方がいたら、ぜひごあんなください。

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何だこのタワーは?/〈たの研〉のセッションでこれまでのプログラムもグンと楽しくなる

 太陰暦元日後、はじめてのプログラムセッションが開催されました。
 近々、ワークショップで使う可能性があるので詳しく書けないのですけど、これは「ハラハラドキドキタワーづくり」、去年のパーティーを楽しむワークショップで取り上げた時にも、かなりもりあがったゲームです。

 元々は〈5段〉というしばりの中でたのしむゲームです。
 今回のセッションで、前のパーティーワークショップに参加できなかったさくら先生が「どんどん上に段を増やしていこう」と提案してくれて、みんなでやってみました。

 さらにたのしい!

 ハラハラドキドキ感も半端ではありません。

 崩れる時も、高い分、迫力があります、実にいい。

 〈たの研〉のプログラムは、楽しさ度・満足度がアップしていく進化系です。

 2/22の『背を向けたあの子が振り向いてくれる時 Vol.2』でとりあげる予定です、興味ある方はお申し込みください⇨https://tanokyo.com/archives/165174

 

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実験すればわかるのにあまり実験しないこと/お札・お守りは効果があるのか? 占いは正確か? etc.

 知人から、最近のお守りは「健康安全」とかいうのではなく「心臓病に効くお守り」とか「高脂血症に効くお守り」etc. 病気の症状に合わせたものも出てきているのだという話を聞きました。

 それが本当だとしたら、すごいことになってきたと思います。そのうち「右の顔面神経痛に効く」とか「左の肺の病気に効く」というお守りも出てくるかもしれません。

 病気の治療に関しては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧・薬事法、現在は「医薬品医療機器等法(薬機法)」があって、効果・効能を偽った製品の販売や宣伝は違法になります。

 お守りは医薬品ではないから、それに縛られないというのでしょうか。

 最近ではやっと「霊感商法の被害者の方はご相談ください」という弁護士グループサイトも目にするようになりました。一時期の「消費者金融に多額の利子を支払った人たちのお金を取り返す」という活動が盛んになったように、今度は霊感商法のようなスピリチャル系にお金を支払った人たちのお金を取り返そうという活動が盛んになってくるかもしれません。

 そうなってくると「お守りは別だ」とか「1000円くらいだから被害を訴える人は出ない」とたかをくくってはいられない状況も出てくるでしょう、時間がかかるとはいえ、この流れは予想を立ててしっかり見ていく必要があると思います。

 とはいえ、こういうものにだまされない人を増やしていくのも教育を基本にしなくてはいけません。

 福沢諭吉の自伝「福翁自伝」には「庶民が信じていた神仏やお札の霊験は本当にあるのか」という実験をしたことが書かれています。

 諭吉は神社のお札を踏むとバチがあたるのか、という予想をして「実験」しました、もちろん諭吉はバチは当たらないと予想していたからそういう実験をしたわけです。たしか前半にあったと思います、興味のある方は調べてみてください。

 結局、特に変わったことは何も起こらりませんでした。

 諭吉はそこで終わらず、さらにひどい実験をします、下品な実験なので興味のある方は読んでみてください。

 もちろん何もおこりませんでした。

 お守りが効くのかどうかは、福沢諭吉のように実験してみるとわかるのですけど、なかなかそうする人はありません。
 ちなみに私いっきゅうは、その頃大ブームだった超能力の実験を1日かけてやったことがあります。念力では米粒より小さな紙切れ一つ動かすことはできませんでした。念力で1日かけてがんばっても0.1mmすら動かない紙切れは、小さなため息くらいの空気の力で飛んでいってしまいました。案の定、その後、スプーン曲げのインチキや、念力、念視のインチキは、いろいろな人たちが暴露し、マジシャンたちが似たような現象を見せて種明かしもしてくれました。そのきっかけとなったイギリス人はもともとマジシャンだったというオチもついていました。

 私のように自分の実験結果とそういう暴露話が加わると、その後、そういうことから騙されない人も出てきます。けれどほとんどの人たちは、なんとなくテレビ番組から流される情報や雑誌などの記事にふれるので「本当らしい」と考え続けることになるのでしよう。

 吉田兼好というお坊さんは徒然草91段にこういうことを書いています。
「赤舌日(しゃくぜちにち)という日があって、この日にあったことは最後には成就しない、その日に語ったことや、行った行為はかなえられず、得た物は失い、企ては失敗するという、なんて馬鹿なことをいうんだ。
吉日でも悪事を働けば凶、忌み日でも良いことをするには常に吉だ」と言い切っています。

吉田兼好・卜部兼好 横浜金沢観光協会のサイトに感謝を込めて参照

 そういう科学的・論理的な思考を広げていきたいものです。

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「楽しい日本」というキーワード/具体的にどうするのか?

 石破首相の所信表明演説で「楽しい日本」というキーワードが出たというので〈たの研/たのしい教育研究所〉の周りが少し騒がしくなってきました。首相が言うのですから「面白おかしい」ではなく『本質的な楽しさ』の向きに向かってほしいものだと思います。

 心配なのは、トップの意向を忖度した人たちが、楽しさを強制するようになっては元も子もありません。「学校の授業を楽しくしなさい」とか「日々の仕事を楽しくしなさい」と強要したら、現場は混乱して反作用が生じます。最近の記事でも書いたように、楽しさと強制は相容れないものです。

 こういうようにすると、たのしくなるのではないか、というように、いろいろな人たちがチャレンジしやすい状況を作ってくれるなら、すばらしいことです。

 授業内容の細かい縛りや時数の細かい管理をゆるめて、才能ある先生たちが、それぞれのアイディアを元に、自由に授業できるチャンスを広げていくことは大切です。

 そもそも教科書は「主たる教材」であって〈必ず使わなくてはいけない〉わけではありません、授業の目標を捉えているなら〈他の教材を利用すること〉も可能です。

 数年前に「教科」となった〈道徳〉に関連した質問で「教科書の取り扱い」についいて、ある校長先生がシンプルに答えてくれています。

 教科書は、主たる教材とされています。ですから、基本は教科書を使って授業を行うことになります。けれども、必ず毎時間教科書を使うとか、教科書に載っている教材は残すことなくすべて授業で扱うとかいう縛りはありません。-小学館が運営しているサイト〈教育技術〉
https://kyoiku.sho.jp/20767/

 そういう具体的な自由度を知らずに先輩教師が見せる授業の後追いをしていく若い先生たちがたくさんいると聞きます。

 先生たちを明治期と同じレールの上で走らせるのではなく、その魅力的な才能を開花させる方向にすすめてほしいと心から願っています。

 教師として長年「たのしい教育」を目指してきた力あるメンバーが創った〈たの研/たのしい教育研究所〉にはその具体的な方法が山ほどあります。

 これまで管理職や行政の方たちからの相談に答えてきた具体的な方法が、いろいろな処に広まってくれるなら、こんなに嬉しいことはありません。

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