長野県の教育の伝統①板倉聖宣の講演から@たのしい教育の見方・考え方〈前半〉

 10年くらい前の〈たのしい教育メールマガジン〉の発送法の章を読んで「沖縄の教師を派遣するとしたら〈長野県〉がいいのに」と考えていたことを思い出しました。

 板倉聖宣先生(仮説実験授業研究会初代代表/元文科省教育研究所室長/たのしい教育研究所 初期から支援者)が2003年に長野県塩尻で「子どもにつけたい本当の学力・生きる力とは」と題して講演した内容を読んでからです。
 私が感動した部分を紹介した中から、今回は長野県教育界の泰斗「渡辺敏 ※わたなべ びん、わたなべはやし 両方の呼び方あり」について書き抜きましょう。

渡辺 敏(読み)ワタナベ ビン/ハヤシ

明治〜昭和期の教育家 長野高等女学校校長

 

 

板倉でございます。
 今日は「子どもにつけたい本当の学力・生きる力と」と言ったテーマで話をしろということで出てまいりました。
 今、ご紹介ありましたように、私は1年半ほど塩尻(長野県)に住んでおりました。
 私が塩尻に住んでいたのは戦後まもなくではなくて、戦争中でございます。

 東京の空襲で焼け出されてここに来たわけです。

 ここが両親の出身地と言うわけではなくて、兄貴がこの塩尻にありました軍事工場に勤めていましたので、そとに緊急追灘をしたというわけです。

 だから地元の方々をまったく知らないというほどで、戦争中・戦後の食糧難の時代を迎えましたので大変困難な生活でありました。

 もちろん私たちの家族に田畑はないのですが、林を切り開いたところにジャガイモを植えて、それが「全滅」になったりして、そういう経験の中で私は農業に対する興味をすごく持ちました。

 私の本で一番売れた『ジャガイモの花と実』というの本があるのですが、それはこの塩尻でジャガイモをつくってほとんど惨敗した経験を元にしております。

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 何となく私が大学教授であると勘違いしてしまう人もいるようですが、私は大学教授であったことは一度もありません。国立教育所の所員で、私のように勝手なこと言うような人はいませんから、きっと国立教育研究所だけではなくて、大学教授だろうと思われるのですね。

 実際に私は国立教育研究所に入っても、かなりの間「大学に転出したい」と思っておりました。

 しかし、それがかなわぬ内に〈仮説実験授業〉というものを提唱いたしまして、それ以降は国立教育研究所に腰を据えて研究をすることにいたしました。

 何しろ大学では講義をしなければなりませんが、国立研究所では朝から晩まで研究していていいのです。


 国立教育研究所ではほとんと研究テーマを押し付けられることないのですけれども.「何を研究していいのか分らない」という段階の方が大部分ですから、そういう人たちは押し付けられることを期待して、なんとなく上から押し付けられたのではないようなテーマで研究をしておりました。

 私は自分のやりたいことがありますので、それだけをやっておりました。

 私は〈仮説実験授業〉を提唱して以来、仮説実験授業以外の、私自身が「意嫌がない」と思える研究は一切しておりません。

 雑用的なものは年間で10時間程度です(笑)。
 後は私自身がやりたいことをやってまいりました。

 そういうことで、ここ塩尻には1年半ほど住んだこともあって、懐かしいというので、特に「来たい」と思いました。

 実は学力問題については、少し前に松本にある教育研究所から講演を依頼されておりましたが、それを断っております。

 なにか「学力低下問題というテーマで話をしろ」ということだったのですが、その頃に「学力低下問題」がかなり大声に叫ばれるようになっていて、それに乗ったような形でシンポジウムをやるような感じだったのですが、私は〈学力低下問題〉の議論が気に入らなかったので、主催者側に詳しく様子を聞いたのですが、ますます気に入らない。

 とくにシンポジウムの同席者に明らかに学力問題なんか研究もしていないし、危機感も持っていない人がいることが確かめられたものですから、「それでは私は絶対に行かない」と行きませんでした。

 その代わりということでもないのですが、こちらに参ったしだいです。

渡辺敏(はやし)という人

 私は塩尻に住んだというだけではなくて、長野県にはかなりの親近惑を持っております。また、民教連というところにも親近感を持っております。

 私は研究者として日本の科学教育や理科教育の歴史から、さらに教育全般の歴史の研究をしてまいりましたけども、その中で特に長野県の方が大きな比重を占めていることが分ってまいりました。

 昔、こには渡辺敏(ビン/ハヤシ)という人がいたのですが、みなさんはご存知でしょうか?

 この人は幕末の維新の戦争の時に、今の福島県の二本松の藩土で、その時に命拾いをして、官立の東京師範学校を経て、長野の大町の小寺椴の校長さんをやっていた方です。

 この人のことは講演の内容に多少とも関係がありますので、もう少しお話しますと大町で自由民権運動に参加しました。

 それから《一瓶百験》という、一つのビン(フラスコ)で100もの実験をするということを始めました。

 1890年(明治の23年)、その年に、日本で始めて全国的な教育研究集会が聞かれました。
 この年は私ども年配の人聞にとってはきわめて象徴的、民主年号です。〈教育勅語〉が発布された年なのです。

〈全国教育者大集会〉という名前ですが、いわば文部省としては新しく総選挙が行われたりするので、教員を文部省の方にもっていきたいと思ったのでしょう。

 文部省関係者が中心になって、今で言えば教研集会のようなものが聞かれました。その時に渡辺敏さんは長野県代表として出席しました。

 そこでー瓶百験の実験をしようと考えたのです。

つづく

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楽しい花さんぽ 夜のユウナの花

 花さんぽの記事が読みたいです、というリクエストが来ました、そうか、しばらく書いてなかったんですね、おとどけしましょう。
 朝、執筆室にこもって忙しく過ごしていると「あ、もう夜か」と気づく日もたびたびあります。時間の流れくらいわかるだろうとと思うかもしれませんけど、本当のことです。

 そういう日は、結局夜に散歩することになったりします。

 先日、少し遠出して歩いてみました。

 ユウナ(オオハマボウ)の花をみつけました。

 ユウナは大人のこぶしほどの大きな花をさかせます。

 以前、「見れども見えず」というタイトルで二つ連続で記事をかきました、未読の方はどうぞ⇨ https://tanokyo.com/archives/155063

 これは午前中の花です、レモン色のすずやかな色をしています。

 夕方には散ってしまうのですけど、それはさきほどの記事にジャンプしてお読みください。

 今回の問題はここからです。

「夜のユウナはどうなっているのか?」
どう思いますか?

 夜の花さんぽで心がうごかされたのがこの写真です。


  ユウナの花のツボミから黄色く巻かれた花びらたちが姿をみせています。
 その周りには閉じられたツボミたちがたくさんあります。

 そうか、翌朝に向けて花を開く準備をしているのか?

 いや、もしかすると夜中に花を開くのかもしれないぞ。

 写真は夜の8時ごろに撮ったものです。

 4~5時間後に観察したかったのですけど、残念ながらまた仕事に戻る必要があったので、次回の夜さんぽの時のたのしみにしておこうと思います。

 みなさんの中で、夜中、ユウナの花のあたりを通ることがあったら、観察してみませんか。

 その前に、夜中に花開くユウナの花もあるのか、ツボミは夜中に開き始めて、朝に花開くのか、予想しておいてくださいね。
 自然の中を歩いて、心動かされることがなかった経験は一度もありません。

 たのしいさんぽです。

〈たの研〉の講座で招いた安里肇栄さんの『花さんぽ』シリーズはおすすめです⬇︎

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たのしい授業@夏至の日の昼夜の長さは地域が違ってもほぼ同じ?(3)

 夏至の日の話、3回目です、未読の方は二つ前に戻ってお読みください。一緒に予想を立てながらたのしく学びましょう。夏至の日の日照時間の差は、国内どこでもほぼ同じなのか、という問題です。

 今回は時間の引き算が出てくるので、難しい感じがする人もいると思います。計算自体は気にせず、その結果をみておくだけで、内容が理解できるように書きますから、ご心配なく。計算はA.I.にやってもらったので、完璧ではありません、気になるところがあったらお知らせください

 2023年の日の出、日の入りのデータがありますから、これを元に計算してみましょう⇨ https://yomuno.jp/posts/71527   注)前回のデータは2024の沖縄の夏至の日のデータです、少し数値の差がでているのはそのせいです

地域

日の出時間

日の入時間

札幌

03:54:13

19:18:31

青森

04:04:55

19:12:18

東京

04:24:43

19:00:33

福岡

05:08:14

19:32:07

那覇

05:36:31

19:25:30

A.I.に一覧表を提示して計算してもらいましょう、私はChatGPTの無料版を利用しています。※有料版はなぜか反応が遅すぎて解約しました。改善されたらまた加入しようと思っているのですけど、無料版でも今のところ困りません。逆にスピードが早くなった感じがしています、気のせいかな

わたし
次のデータから、昼と夜の時間の長さの差を計算してください。

地域 日の出時間  日の入時間
札幌 03:54:13  19:18:31
青森 04:04:55  19:12:18
東京 04:24:43  19:00:33
福岡 05:08:14  19:32:07
那覇 05:36:31  19:25:30

 

ChatGPT
データから、昼と夜の時間の長さの差を計算します:

  1. 日の出と日の入りの時間から昼の時間を計算します。
  2. 夜の時間は24時間から昼の時間を引きます。
  3. 昼の時間と夜の時間の差を計算します。

昼の時間の計算方法

昼の時間 = 日の入りの時間 – 日の出の時間

夜の時間 = 24時間 – 昼の時間

昼と夜の時間の長さの差 = 昼の時間 – 夜の時間

札幌

  • 日の出:03:54:13

  • 日の入り:19:18:31

  • 昼の時間:19:18:31 – 03:54:13 = 15時間24分18秒

  • 夜の時間:24時間 – 15時間24分18秒 = 8時間35分42秒

  • 昼と夜の長さの違い:15時間24分18秒 – 8時間35分42秒 = 6時間48分36秒

青森

  • 日の出:04:04:55

  • 日の入り:19:12:18

  • 昼の時間:19:12:18 – 04:04:55 = 15時間7分23秒

  • 夜の時間:24時間 – 15時間7分23秒 = 8時間52分37秒

  • 昼と夜の長さの違い:15時間7分23秒 – 8時間52分37秒 = 6時間14分46秒

東京

  • 日の出:04:24:43

  • 日の入り:19:00:33

  • 昼の時間:19:00:33 – 04:24:43 = 14時間35分50秒

  • 夜の時間:24時間 – 14時間35分50秒 = 9時間24分10秒

  • 昼と夜の長さの違い:14時間35分50秒 – 9時間24分10秒 = 5時間11分40秒

福岡

  • 日の出:05:08:14

  • 日の入り:19:32:07

  • 昼の時間:19:32:07 – 05:08:14 = 14時間23分53秒

  • 夜の時間:24時間 – 14時間23分53秒 = 9時間36分7秒

  • 昼と夜の長さの違い:14時間23分53秒 – 9時間36分7秒 = 4時間47分46秒

那覇

  • 日の出:05:36:31

  • 日の入り:19:25:30

  • 昼の時間:19:25:30 – 05:36:31 = 13時間48分59秒

  • 夜の時間:24時間 – 13時間48分59秒 = 10時間11分1秒

  • 昼と夜の長さの違い:13時間48分59秒 – 10時間11分1秒 = 3時間37分58秒

 

以上の計算結果をまとめると以下の通りです:

 

地域 昼の時間 夜の時間 昼と夜の長さの違い
札幌 15時間24分18秒 8時間35分42秒 6時間48分36秒
青森 15時間7分23秒 8時間52分37秒 6時間14分46秒
東京 14時間35分50秒 9時間24分10秒 5時間11分40秒
福岡 14時間23分53秒 9時間36分7秒 4時間47分46秒
那覇 13時間48分59秒 10時間11分1秒 3時間37分58秒

これにより、各地域の昼と夜の長さの違いが計算されました

 どうでしょう。

 沖縄で3時間半くらい、北海道札幌で、6時間50分くらい。

 二倍近くの差があることがわかります。

 北海道は昼が短く夜が長いというイメージがあります。

 でも夏至の日は昼が沖縄より二時間弱、長くなっています。

 そうなのか~、そうだったのか~。

 何年経っても何十年経っても、真理に行き着くことはたのしくてなりません。

 あの頃の子どもたちに集まってもらって、また授業したいなぁ。

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たのしい授業「二十四節気:夏至」(2)@楽しい授業 答え①

 前回の「昼時間が一年で最も長い夏至の日は、実際どれくらいの時間、昼と夜の時間の長さが違うのだろう? 数分の違いか、数十分の違いか、それとも?」という問題、さらに「その差は日本全国ほぼ同じなのか」という話の続きです。未読の方は一つもどって予想を立ててから、読んでください。
 たのしく賢くなる究極のコツは「予想を立てて確かめること」です。

では、第一問目の問題の解説に入りましょう。

みなさんの予想は何だったでしょう?

昼は夜より
 ア.数分長い
 イ.30分くらい長い
 ウ.一時間くらい長い
 エ.2~3時間長い
 オ.その他

 先日の夏至の日、沖縄の日の出と日の入りをみてみましょう。
 国立天文台のサイトから拾ってみました⇨ https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2024/s4806.html

2024年 那覇市

6月21日

日の出 5:38

     

日の入り 19:25

 

日(太陽)が出るのが05:38 で、沈むのが19:25 です。
太陽が出ている時間は引き算して計算をすすめていきます。

ChatGPTに計算を担当してもらいましょう。

ChatGPT

昼の長さ(日照時間):日の入り時間 – 日の出時間
19:25 – 5:38 = 13時間47分

夜の長さ:24時間 – 昼の長さ(日照時間)
24時間 – 13時間47分 = 10時間13分

昼夜の時間の長さの差
13時間47分 – 10時間13分 = 3時間34分

昼は13時間47分、夜は10時間13分、その差 3時間34分 です。

 みなさんの予想との差はどうだったでしょう。

 三時間半も昼が長いわけです。

 ちなみに私は、ずっと前に子どもたちと予想しあったままの問題が、やっと解決しました。私の予想は「一時間程度」だったと思います、外れてとても賢くなりました。

 こういう話を書いていると、どうして昼の時間が最も長い日、つまり夜より三時間も長く太陽の光が降り注いでいる6/21(夏至の日)が、一年で最も暑い日になっていないのかが気になりませんか?
 たしか、遥か前に子どもたちと日照時間の差の話をした時に、その謎解きに進んでいって、時間的なものを宿題にして二、三十年すぎてしまった記憶が蘇ってきました。
 それについては子どもたちと対話しながらモデル実験し、解決したので、あたまにしっかり残っています。
 いずれかかせていただきます。

 

 もう一つの問題がありました。

 この三時間半程度の夏至の日の昼夜の長さの差は、日本中どこでもほぼ同じなのでしょうか?

問題2

夏至の昼と夜の長さの違いは、日本中どこでもほぼおなじくらいの差でしょうか?

たとえば沖縄では昼と夜の長さは二時間違っているけれど、北海道ではその差は一時間、というようなことがあるでしょうか。

予想

 ア.日本中、その差はほぼ同じ

 イ.場所によって違う
  a)南に行くほど差が広がる
  b)北に行くほど差が広がる

 ウ.その他

 長くなったので、次回にお届けします。

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