わたし
「〈たの研〉のシンプル紙作りは、捨てられてしまう紙類から和紙風の紙をつくるわけですけど、考えていると、紙のゴミはもともと分別されて再利用されていますよね」
Aさん
「はい、ゴミ出しで分類していますよね」
わたし
「すると、捨てられたゴミを製紙工場で再生紙として利用するのと、私たちが個人で再び紙として利用するのとでは、特に差はない、つまり環境保護につながっていないのではないか ・・・という見方について、どう思いますか?」
みなさんはどういう予想を立てたでしょうか。
具体的に「電力」に絞って、どちらが少なくて済むかで考えてみましょう。
製紙工場で一気に再生紙にした方が電気を使わなくて済むとしたら、学校や家庭でそれぞれが紙をつくるよりエコです。電力会社でその分の燃料を使わなくてよいのですから、環境にやさしいことになります。
だとしたら、それぞれが紙作りをしてしまったら逆に環境に悪いことになってしまうかもしれません。
まだ予想を立てていない人たちも、ここで一緒に予想を立ててみてください。
問題
1t(1000kg)の紙のゴミがあります。これを一気に製紙工場で再生紙にする時に使う電力と、1kgずつ1000家庭で紙作りする時に使う電力とを比べると、電力が少なく済むのはどちらでしょう。ちなみに、家庭で1kgの捨てる紙から再生紙をつくる場合には、〈たの研〉のシンプル紙作りを基本にします。ミキサーを使って紙をバラバラにする過程で電気を使い、乾かす時には自然乾燥にします。
ア.1kgずつ1000家庭でそれぞれが紙をつくった方が少ない電力ですむ
イ.1t(1000kg)を工場でまとめて紙を作った方が少ない電力ですむ
ウ.ほとんど同じくらい
エ.その他
どうしてそう予想しましたか?
※
形だけの環境保護が広がったらマイナスだからです。
そこで数量化したものを知りたいので、算出してもらえませんか。
紙はかなり再利用されているといわれていますね。
たとえば1tの紙を製紙工場で一気に再生紙にする時の電力と、1tを1000の家庭で1kgずつミキサーにかけて紙をバラバラにし、乾かして和紙風の紙をつくるとしたとき、どちらの電力が少なくすむでしょうか。
あまり変わらないのでしょうか。
※
ご質問ありがとうございます。非常に興味深い視点ですね。
自然乾燥を前提とした家庭でのリサイクルと、製紙工場でのリサイクルの電力消費量の差を、具体的な数値を用いて比較・説明します。
前提条件
家庭でのリサイクル:
1000家庭で合計1トンの古紙をリサイクル
各家庭1kgの古紙を処理
ミキサー: 消費電力300W (0.3kW)、1kgあたり10分(1/6時間)使用
乾燥: 自然乾燥 (電力消費なし)
製紙工場でのリサイクル:
1トンの古紙をリサイクル
電力消費量: 500kWh ~ 1500kWh (幅を持たせて考慮)
計算
家庭でのリサイクル (1000家庭合計):
ミキサーの電力消費量: 0.3kW × (1/6時間) × 1000家庭 = 50kWh
製紙工場でのリサイクル:
最低電力消費量: 500kWh
最高電力消費量: 1500kWh
中央値: 1000kWh
電力消費量の差 (製紙工場 – 家庭)
製紙工場 (最低): 500kWh – 50kWh = 450kWh
製紙工場 (中央値): 1000kWh – 50kWh = 950kWh
製紙工場 (最高): 1500kWh – 50kWh = 1450kWh
数値化された結果
自然乾燥を前提とした場合、家庭でのリサイクル (1000家庭で1t) と製紙工場でのリサイクル (1t) の電力消費量の差は、以下のようになります。
最小: 製紙工場が450kWh多い
中央値: 製紙工場が950kWh多い
最大: 製紙工場が1450kWh多い
解釈
この数値は、家庭でのリサイクルが、製紙工場でのリサイクルと比較して、電力消費量の点で非常に効率的であることを示しています。製紙工場が最も効率的な場合 (500kWh) でも、家庭でのリサイクルの方が450kWh少ない電力で済みます。
これらの要素を考慮しても、自然乾燥による家庭でのリサイクルは、電力消費量の観点からは、非常に優れた取り組みであると言えるでしょう。
A.I.に限らず複数のソースにあたることが〈ものの見方・考え方〉には大切なことです。 ※もちろんその前に『予想をもって問いかける』ことが基本中の基本であることはいうまでもありません
別のA.I.にも尋ねてみましょう。
別の生成A.I.の回答
ご質問ありがとうございます。紙のリサイクルにおけるエネルギー消費を、製紙工場での大量生産と家庭での手作業で比較してみましょう。
1. 製紙工場でのリサイクル
製紙工場では、古紙1トンをリサイクルする際に、以下のエネルギーが消費されます:prpc.or.jp+6losszero.jp+6prpc.or.jp+6
- 電力消費:約1.5 GJ(ギガジュール)prpc.or.jp+1meti.go.jp+1
- 熱エネルギー消費:約4.4 GJmeti.go.jp
これらを合計すると、約5.9 GJのエネルギーが必要となります。
2. 家庭での手作業によるリサイクル
家庭で1,000世帯がそれぞれ1kgの紙をリサイクルする場合を考えます。各家庭がミキサーを使用して紙を細かくし、乾燥させて和紙風の紙を作るとします。
- ミキサーの消費電力:一般的な家庭用ミキサーは、約300W(ワット)の電力を消費します。
- ミキサーの稼働時間:1kgの紙を処理するのに約10分(0.167時間)と仮定します。
- 1家庭あたりの電力消費:300W × 0.167時間 = 約0.05 kWh
これを1,000世帯分に換算すると:
- 全体の電力消費:0.05 kWh × 1,000世帯 = 50 kWh
さらに、紙を乾燥させるためのエネルギーも考慮する必要がありますが、ここでは自然乾燥と仮定し、そのエネルギー消費は無視します。
3. エネルギーの比較
- 製紙工場:5.9 GJ = 約1,639 kWh(1 GJ = 277.78 kWh)
- 家庭での手作業:50 kWhcity.nichinan.lg.jp+3env.go.jp+3enomae.com+3
この比較から、家庭での手作業によるリサイクルの方が、製紙工場でのリサイクルよりもエネルギー消費が少ないことがわかります。
以上を総合すると、エネルギー消費の観点では家庭での手作業の方が少ないものの、他の要因も考慮してリサイクル方法を選択することが重要です。
他にも二つのA.I.にいろいろな訊き方をして、内容を精査しました。
たとえば「製紙工場での電力の算出根拠は何か?」という質問に、複数のA.I.に複数回尋ねて、こういう答えが返ってきました。
経済産業省の資料「トランジション・ファイナンスに関する紙・パルプ分野技術ロードマップ」の利用
日本製紙連合会は、製紙業界のエネルギー使用に関する詳細なデータを公開しています。これらの資料には、業界全体のエネルギー消費量、自家発電の割合、CO₂排出量の削減目標などが含まれています。
主な資料:
「紙パルプ産業のエネルギー事情」
この資料では、紙・パルプ産業におけるエネルギー消費の現状や推移、電力料金の動向などが詳述されています。「紙パルプ産業のエネルギー需要及び他産業も含めたCO₂排出の動向」
この資料は、紙パルプ産業のエネルギー需要やCO₂排出の動向を他産業と比較しながら分析しています。「2050年カーボンニュートラルに向けた製紙業界のビジョン(基本方針)」
製紙業界が2050年のカーボンニュートラル達成に向けて取り組むべき方針や戦略が示されています。
製紙工場でのリサイクル
製紙工場での古紙リサイクルに必要な電力消費量は、様々な要因(工場の設備、古紙の種類、再生紙の種類など)によって大きく異なりますが、一般的な数値を参考にします。
参考資料:
これらの資料を参考にすると、古紙1トンをリサイクルしてトイレットペーパーや段ボールなどを作る場合、おおよそ500〜1000kWhの電力が必要とされています。ここでは、中間値をとって750kWhと仮定します。
いずれにしても、これらをベースにして、本当に「大きな工場で大量を一気に」より「小さな量を過程でサッと」を重ねた方が消費電力が少なく済むのか、しっかり検証をすすめていく必要があるでしょう。
ただし〈たの研/たのしい教育研究所〉がシンプル紙づくりを進めている理由はそれだけではありません。
家庭から紙ゴミを出す。そのゴミをトラックにのった何人もの人が回収作業に従事する。その人たちの労力が減ることによるCO2削減
ゴミ回収のトラックの燃料費、維持費 etc. が少なくなる分のCO2削減
自分好みの紙をつくることで、新たな消費が減ることによるCO2削減
人々が捨てられているものをハンドメイドでいろいろなものを作ることができる楽しさを味わうことによる、未来的なCO2削減
ほかにもいろいろあります。
前回と併せると〈たのしい教育メールマガジン〉の一つの章レベルのボリュームになってしまいました。
まだ書きたいことはあるのですけど、このへんでとめておきましょう。
「本質的でたのしい環境保護活動」に興味のあるみなさんが一緒に歩んでくださることをたのしみにしています。
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