自然豊かな沖縄でこんなにもオタマジャクシが探せないなんて…

 〈たの研/たのしい教育研究所〉の夏の講座は、どんどんキャンセル待ち受け付けの方たちが増えてきています。充実した体験型で、持ち帰りのプレゼント教材も充実させるためにと準備したこれまでの枠を、次回からはそろそろ見直さなくてはいけないかもしれません。
 さて一ヶ月を切った夏の講座で「オタマジャクシ」を利用しようと考えて、シミュレーションのために数匹捕獲しに行きました。

 ある公園のハスの花が咲く池を探してみると…

 いません。

 翌日、赤トンボが飛び交う場所にも行ってみました…

 いません!

 仲間にヘルプをたのむと、ミムラ先生の学校の近くにいるというので、数匹もってきてくれました。
 これでシミュレーションは可能です、仲間はいいものだ。

 とはいえ講座では100匹近くのオタマジャクシをそろえなくてはいけません。
 たくさんいるところを探しておかないと、このプログラムを実施することできないなぁ~

 今のうちにたくさんいるところを探しておかなくてはいけません。

 知人から教えてもらった広々とした池に行って時間をかけて探してみました…

 いません…

 いろいろリサーチすると、湧水を田んぼに引いているところがあるとのこと。水がとどまったあたりにはいるかもしれない…

 いません。

 そうやって何だかんだで一週間いろいろな処に足を運んで、やっとたくさんみつけました。

 それにしても、かつて、雨の降ったあとの水たまりですら簡単にみつけることができたオタマジャクシたちが、こんなに少なくなったというのは驚きです。

 いつからなんだろう…

 温暖化とは結びつきにくいなぁ、農薬のせいなんだろうか?

 ご存知の方はいるでしょうか、意見を聞かせてください。

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指導案と授業書(授業プラン)/子どもたちと先生の笑顔と元気のために

 板倉聖宣先生(仮説実験授業研究会初代代表/元文科省教育研究所室長/元日本科学学会会長/たのしい教育研究所の初期から支援者)が文科省の紀要に載せた論文に仮説実験授業の『授業書』の役割を書いています。それをメルマガで紹介したところ、その中で私が〈指導案〉と対比して書いた文章に心動かされ、お便りが届きました。メルマガを読んでいない方たちには伝わらない内容も多いので、現在、学校で普通に使われている「指導案」について紹介しましょう。

 教師で「指導案という名前を聞いたことがない」という人がいたら、その人は偽って教師と名乗っています。大学等で教師の単位を修める時点で、指導案の書き方を学びますし、大学の授業研究でも自ら指導案を書いて臨みます。
 とはいっても教師以外の方は、よく知らないでしょう。いろいろなパターンがあって、その一つがこれです⇩

 まず質問から。

質問1)日本で文部省ができたのが1871年/明治4年です。翌年『学制』という名で学校制度の基準が示されました。では、指導案は日本の教育の歴史の中で、いつ頃から登場したのでしょう? 

 ア.明治時代

 イ.大正時代

 ウ.昭和初期

 エ.第二次世界大戦後(1945年)

 オ.その他

 どうしてそう思いましたか?

 

 

⬇︎

予想してからね

⬇︎

予想すると当たっても間違っても賢くなるよ

⬇︎

 埼玉大の二宮裕之さんの論文によると「指導案に類するものとして「教案 」は明治時代には使われている」と書いています。
「教える案⇨教案」「指導する案⇨指導案」なので、どちらもその授業時間にどういうことをするのか、という意図で作成されるものでしょう。
 とはいえ内容が全然異なるということもあるかもしれません。
 多田(1888)は教案の内容についてこう整理しています。

一)目的 教授ニ依テ生徒ノ如何ナル能力ヲ修練スルノ目的ナルカヲ記ス
(二)大意 如何ナル観念ヲ開発シ且如何ナルコトヲ教授スベキカヲ記ス
(三)題目 教授ニ選択セル事項ヲ記ス
(四)方法 方法ハ即チ教授ノ順序手続ニシテ其ノ目的ニ依テ生徒ノ観念ヲ開発シ課目
大意ヲ記載シタルコトヲ教ユルノ法ナリ 之ヲ左4)ノ五項ニ区分ス
(1)復習
(2)解明
(3)教授
(4)演習
(5)約習

 読みづらいかもしれませんけど「目的、大意、題目、方法(復習、解明、教授、演習、約習)」というのは、教師の目からみると、いかにも指導案だなと思える内容です。

 文科省、学制ができて十数年後には「授業の目的や流れ」をまとめたものを使ってきたということです。もうすでに130年以上作ってきているわけです。

 古くから使い続けているものには重要な価値がある、という見方もあります。

 ところが、学校に背を向けている子どもたちが増え続けている現在、さらにたくさんの教師が疲労し病休に入る、教師になりたいという新しい人材は減り続けているetc.からみて 「学校システムのいろいろな部分を変革していく必要がある」という見方もあるでしょう。

 たのしい教育研究所は批判ではなく〈提案〉をする組織です。
「指導案」についても、他の教師がそのまま利用して授業できるものに進化していくことでずっと良くなっていくと思います。
 その授業を子どもたちが評価して、良し悪しを数字でハッキリさせることができる「授業書/授業プラン」スタイルに移行していくことで、経験の浅い教師も、どうも子どもたちの心が離れていると感じているベテラン教師も、いろいろな魅力あるアイディアを手にすることができるようになります。

 授業プラン/授業書スタイルとは何か?
 目標や授業運営法、使う教材教具などももちろん織り込んだ上で、子どもたちへの問いかけや実験の方法、歴史的な結果など、押し付けなく納得できるようなものを織り込んだ完成型としてのペーパーです。もちろんデジタル化して授業するのもOKです。

 たとえばこれは〈たの研/たのしい教育研究所〉版の授業書『ストローより愛をこめて』の途中の一枚です。
 途中の一枚をみても、全体イメージはよくつかめないと思うのですけど、授業で何をどうするのかハッキリわかって、結果もしっかり出る内容になっています。その流れで授業をすすめていくうちに、子どもたちは「全てのものに電気が発生する」という驚きを感動的に学んでいけるようになっています。

 興味のある方は、ぜひ〈たの研〉の講座を受講してみてください。直近の夏の講座は現在、キャンセル待ちの方たちがどんどん増え続けているので、急ぎの方はスーパーバイズや少数ワークショップをお申し込みください。

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クモの糸の強さ クモの魅力②

前回のジョロウグモの話から続いています、未読の方は一つ戻ってください。

 以前勤めていた学校で農業をしていた保護者の方から、ジョロウグモの糸に鳥が引っかかっていたと聞いたことがあります、私は見たことがないのだけど…

 クモの系もシルク(絹)の一種です、カイコの糸より強いのでスパイダーシルクと呼ばれています。

 これなら機能的な良質の繊維になるのに、どうしてカイコのシルクように商品化しないのでしょう、不思議です。

 みなさんはどう思いますか?

「カイコは飼い慣らして繭を利用すことができたけど、クモ類は飼い慣らすことができなかったから」というのが答えのようです。

 たしかにクモは難しそうだ。

 そもそもたくさんの動物(昆虫を含む)たちの中で、イヌやネコ、牛やウマのように、人間が飼うことができた生き物がごくわずかなのです。

 商品化は無理にしても、クモの系はどのくらい強いのでしょう。

 芥川龍之介が『蜘蛛の糸』という作品で、地獄に落ちた人間たちが天上から降りてきた〈クモの糸〉を手に上っていくシーンを描いたのですけど、もちろんクモの糸にそんな力はありません、赤ちゃんの力でも、クモの糸を切ることは簡単です。

 でも束ねたら、人間の体重を持ち上げるくらいにはなるでしょう。

 人間の身体を支える登山用のロープは1cmくらいです⇨https://amzn.to/4bMFR8q

 ではクモの系で人間の体重を支えるとしたら、どのくらいの太さあったらよいのでしょう、予想してみましょう。

ア.登山ロープと同じ1cmくらい

 イ.2~3cm

 ウ.5mmくらい

 エ.その他

どうしてそう思いましたか?

 

 ChatGPTに計算してもらいましょう。

ChatGPT

人間の体重を支えるためには、複数のクモの糸を束ねて太くする必要があります。例えば、以下のような計算が考えられます:

    • 人間の体重:平均的な成人の体重は約70 kgと仮定します。

    • 必要な引張強度:体重70 kgに対して、必要な引張強度は 70kg×9.8m/s2=686N70 \text{kg} \times 9.8 \text{m/s}^2 = 686 \text{N} です。

    • クモの糸の強度:クモの糸の引張強度が1.5 GPa(中間値)と仮定します。

    • つまり、単一のクモの糸ではなく、クモの糸を束ねて直径が0.76 mmになるようにすれば、人間の体重を支えることが理論的には可能です。ただし、これは理論的な計算であり、実際には他の要素(糸の劣化、結び目の強度など)も考慮する必要があります。

 なんと1mmに満たない太さでOKということです。
 私の予想を超えている強度です。

 とはいえ、ChatGPTが間違っていることもあります。

 調べてみると、所さんの目がテンという番組で実験したようです⇩

https://www.ntv.co.jp/megaten/archive/library/date/04/08/0808.html

 スパイダーシルクで糸をつくって、どれくらいの重さのものを吊り上げることができるか、自由研究で調べてみるとたのしいと思います。
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「読みたい人」ではなく「読んでくれる人!」@たのしい教育の発想法

 週一回配信している「たのしい教育メールマガジン」の読者はおかげさまでいろいろな県にひろがっています。地味なのに人気があるのが『たのしい教育の発想法』です。紹介したいことに溢れていて、ボリュームの関係でメルマガからはぶいた内容がとてもたくさんあります。
 ここで少し紹介させていただきます。

 1989年1月14日

仮説実験授業の運営法に関して
「そんなの常識じゃないか」「非常識な人もいたもんだ」というような会話を廃止するための研究会

という不思議なタイトルの講座が開催されました。仮説実験授業研究会の初期には、こんな個性的な研究会がいろいろ開かれていました。

 その中で語られた板倉聖宣先生(仮説実験授業研究会初代代表/元文科省教育研究所室長/元日本科学学会会長/たのしい教育研究所 初期から支援者)の話です。私いっきゅうの再校正・編集でお届けします。

中学校教師Oさん

授業書の問題を「読みたい人?」というと、中学生はほとんど手を挙げてくれません。

板倉聖宣

「読みたい人」という言い方をするの?
 私は「読んでくれる人?」だと思うんだけど。

「読みたい人」とは全然違う。

 相当積極的な子じゃなかったら「読みたい!」なんて言わないもの。


Oさん

 順番で読ませていくのもあまりよくないと思う。読むのがすごくしんどいという子もいるので・・・


板倉聖宣

 学校の先生でも読むのをすごくイヤがる人がいるくらいだからね…

 読むという行為は、慣れた人にはストレスのないものでも、子どもたちの多くは練習過程です。国語の本など、習ったことのない漢字や語句が出てくるのが普通ですから。

 たのしい教育の中でも、そのあたりのことをしっかり考えておく必要があります。

 板倉聖宣は教師ではありません、でもこういう感覚は研ぎ澄まされていて、教師一年目からとてもたくさんのことを教えてもらいました。もしかするとそれは「子どもの感覚を忘れていない」ということではないかと考えています。

⇩☆⭐︎⭐︎☆⭐︎ たのしい本の紹介・たのしいブックレビュー ⭐︎☆⭐︎⭐︎☆ ⇩

 たのしい教育の発想に関してはまずこの本をおすすめします、『たのしい授業の思想』です。短いまとまりになっているので、どの項から読んでもOKです。
 おっとAmazonで300円くらいで出ています、送料込みでも500円台です。早い者勝ちですね(2024-07-13 11:44現在)。

https://amzn.to/3zGjeFo

⇧☆⭐︎⭐︎☆⭐︎ たのしい本の紹介・たのしいブックレビュー ⭐︎☆⭐︎⭐︎☆ ⇧

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