楽しいブックレビュー『ひっくりカエル』小学館@笑顔の読み語り

 要望の高かった〈楽しいブックレビュー〉をお届けします。数日前の「たのしい教育Enjoy-cafe」で、先生たちからの評価がとても高かった本です、ひな先生がまとめてくれました。※ミスで途中の原稿がスケジュール設定されていました。数時間前に「これ読んだ」思う方がいるかもしれません、すみません。これが最終稿です

 まず「たのしい教育Enjoy-Cafe」の様子から。

 こんなにニコニコしながら絵本の楽しさをプレゼントしてあげられるワークショップは貴重です。6月の たのしい教育Enjoy-Cafeは〈 6月26日(木) 〉です、人数の枠があるので、希望する方はお問い合わせください。

 

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おすすめの本by ひな
『ひっくりカエル!』あんべひろし
           (小学館) 990円
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 梅雨入りして、雨の季節になりました。

 ふと「ひっくりカエル!」の絵本が目にとまりました。そろそろカエルの鳴き声が聞こえる頃かなと考えながら、「どんな絵本かな〜」と思っていページをめくってみました。

 なんと、手のひらほどの小さな絵本の中に、ものの見方、考え方をカエルだけで、こんなにも笑顔にしてくれるんだとうれしくなる内容です。
 怒られたり、注意されたり、その子の短所のようにマイナスの言葉で言われた時、見方を変えて、その子が元気になるようなプラスの言葉で考えていくのです。
たとえば    

うるさいなあ ⇨ げんきにもりあげてくれているんだね!

 

    
かわっているね ⇨ みんなにはないステキなものをもっているね!

あきっぽいね ⇨ あたまのきりかえがはやいね!

 

さて、あなたならなんといったらその子が笑顔になって喜んでくれると思います?
絵本のページを開く前に考えてみませんか
?

 


 他にもいろいろ載っています。
 日々、いろいろなことに対して、前向きな言葉で伝えていくことは、元気、笑顔、やる気、につながっていき、自分も好きになっていくことでしょう。いろいろな子がいて、お互いを認め合えると幸せな気持ちにもなりますね。
 この作者のあんべひろしさんは、発達障害のクラスの子どもたちのために自作した「かえるカード」という教材をもとにこの絵本を作成したそうです。
絵本の後ろの
「おうちの方へ」の部分から一部掲載させてください
「・・・自信がなさそうな子どもたちの顔が、かえるカードをめくるとパッと笑顔に変わる、そんなうれしい光景をたくさん目の当たりにしてきました・・・ご家庭でのマイナスの言葉を絵本のようにひっくり返してみてください。親も子も、心がほっこりしてきますよ!」

かわいいカエルさんと一緒に読み進められて学校だけでなくご家庭でもおすすめです。

追記:書店には並んでいないようですけど、出版社には在庫があるようです。本が欲しい方は⇩

https://www.shogakukan.co.jp/books/09726766

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〈怒り〉との付き合い方@楽しいPEALカウンセリング入門

〈たのしい教育メールマガジン〉発想法の章に書いた「怒り」の話の反響がたくさん届いています。「確かに自分は子どもたちに〈怒るのは恥ずかしいことだ〉と伝えて、〈どうしたら怒らない人間に育てられるだろうか〉と考えてクラス経営した気がします」という話や、「がまんばかり強いられている子は、いじめられても怒らずがまんするようになってしまうのでしょう」と納得した話etc.

 メルマガに書いた1/4くらいを紹介しましょう。

 怒りというのは人間にとって重要なテーマの一つです。怒りをテーマにカウンセリングをしたあと、ちょうどA先生がアンガー・マネジメントの話をとりあげてくれました。

 ちょうどよいので、今回は「怒りをどうするか」をテーマにPEALカウンセリングアプローチを紹介します。

PEALカウンセリング(心理学)でとらえる〈怒り〉

 カウンセリングの師の野田俊作から「怒りはマイナスの感情」だと学びました、〈嬉しい〉とか〈楽しい〉というプラスの感情はどんどん表現し「マイナスの感情は利用しないように」という理屈です。アドラー心理学講座の中で参加者が語るエピソードの中にも「怒りの感情が出てきたのでまずいと思った」という話が普通に出てきました、野田先生の本には「怒りを消し去る方法」という項目もあります。アドラー心理学では今もそう教えているのでしょう。

 アドラー心理学と仮説実験授業の科学理論をベースにして〈教育実践〉と融合させたPEALカウンセリング(心理学)では、そう考えません。怒りの感情も大切な行動のきっかけにできるというのが基本的な考え方です。

 そもそも感情というのは私たちが思考や理屈とは別の回路で自然に湧き上がってくるものです。誰かから教わったものではなく、「こういう場合はこうしよう」と考えた結果でもなく、ある状況で喜び、ある状況で悲しみ、ある状況で苦しみ、ある状況では怒りを感じます。それも〈瞬時〉にです。

 自分で考えて行動し、その結果を評価するものとは違って、自然かつ瞬時に起こるその感情に良し悪しの評価を下すことはできません。

 告別式でみんなが悲しんでいる中、笑いながら話す行動はノーグッドだと評価できても、漂ってきた美味しい香りにお腹がすいたと感じたことを良い悪いで評価されても困ります。「どうして君は〈お腹がすいた〉と感じたんだ、失礼だろう」といわれも、自然に起こってきた感情をどうすることもできません。

 人類の長い歴史の中でDNAの中に言葉や学習を超えて感情が大切に残されてきているわけです、必要のないもの意味のないものを進化というフィルターが残していることはありません。

 反射は感情・感覚と一体ですから別にして、一般の行動は自分の選択によって行われます。

 感情自体にマイナスの感情とか◯やはつけられません、でも行動についてなら自分にとってのプラス・マイナス、周りにとってのプラス・マイナスをつけることができます。

 今回は「〈怒り〉は重要な行動のきっかけになる」というテーマで書きたいと思います。

 

アンガーマネジメント

 映画「バッド・ボーイズ2」他でも普通に出てくるくらいアンガー・マネジメントはだいぶ前からカウンセリングのテーマでした。

私が教師をしていた頃、教育現場で流行しました、そしてよくあるように、その流行は過ぎていきました。

 最近のこと〈怒り〉をテーマにカウンセリングをした数日後、A先生が研修でアンガーマネジメントの話を聞いてきたと言っていました、もしかするとまた流行し始めているかもしれません。
 以前わたしが参加した研修で発表していた先生は、まるで〈怒らない子ども〉こそが素晴らしいと考えていることに驚いてしまいました。

 その考えをすすめていくと《その状況に素直に従う子どもたち/従順な子どもたち》を育てていくことになります。

 アンガーマネジメントでweb検索すると

 

【アンガーマネジメントとは?】

上手に怒りを抑える方法を知ろう!

 

というような言葉がたくさん出てきます。

 人権侵害されても怒らない、パワハラやセクハ ラされても、先生や講師が意味のわからない授業、つまらない授業を続けていっても怒りを抑える
 そういう子どもたち大人たちが増えていって、社会の成長があるのかなぁ

 みなさんはどう思いますか?

 話はここから、というところで止めたのですけど、この続きを書くと最後までとめられないので、申し訳ありません。

 いずれにしてもPEALカウンセリングはでは「怒りをマイナスの感情」とは捉えません。よりよい行動のきっかけにできる大切なものだと考えています。

 その怒りの目標は何だろう、その謎解きを一緒にすすめて、その怒りの目標を達成できるよりよい方法の選択肢を出していきます。

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ハンディ(障害)は社会の中で定義される@ドキュメンタリー 『音と光のない世界』

 映画仲間のAさんから紹介されたドキュメンタリーをみて感動し、メルマガの〈映画の章〉を急遽かき変えて紹介することにした作品を紹介します。
 初めて観た時はラストのあたりで涙が止まらなくなりました、辛い涙ではありません。2度目からは、はじめのあたりから感動で目が潤んできました。たくさんの人たち、子ども達にも観てもらいたい作品です、YouTubeで視聴できます。
 正式なタイトルは
『音と光のない世界』盲・聾・唖の三重の障がいのある妻を支える夫 山深い“人口7人の過疎村”で生きていくと決めた夫婦の物語 「つれあい」
です。
 私が監督なら『音と光のない世界の輝き』としたと思います。

 子どもたちにも観てほしい作品です。

 作品中、夫の好彦さんが、穏やかな言葉でこう語ります。
 私が常々考えていることをわかりやすく語ってくれていました。
 曰く

 障害という言葉は誤解されているところがあって、〈その人自身に障害がある〉のじゃなくて〈人と社会の間に障害がある〉わけです。
「障害者は人間として欠けている」という考えは全然間違っていると僕は思うんです。
 たとえば聞こえない人たちばっかりの社会の中に、手話をぜんぜん知らない人がいったら、周りの人たちはみんな手話が楽しく喋っているのに、その人は一人取り残されて全然みんなとしゃべれない…
 どっちが障害者なのか?

 

 

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PEALカウンセリング入門@迷惑をかけないorかけられても気にしない

 私自身は毎日届く新聞も読みませんし、テレビは録画した旅番組や「チコちゃんに叱られる」くらいしか観ないのだけど、読者の方からニュースやネット情報がたくさん届きます、おかげで普通にニュースなどを収集する方たちの2割くらいは情報を得ることができます。

 最近届いた一つが
「日本人は親から〈周りの人たちに迷惑をかけないようにしなさい〉と教えられ、インド人は親から〈自分は周りの人たちに迷惑をかけているのだから周りの人たちの迷惑を許してあげなさい〉と教えられる」という話。

 面白い話です。

 インド人の教えっていいですよね、という話も加わっていました。

 日本の多くの親の教えがよいのか、インドの多くの親の教えがよいのか、片方ではなく両方必要なのだと思います。

 私にとってアウトドアの座右の名著が『河口慧海 チベット旅行記』です、その話を聞いた時にその『チベット旅行記』の話を思い出していました。

 チベットはインドの北の方に位置していて、近い考えをするのかもしれません。

チベット旅行記/青空文庫・Kindleで読めます

 チベット旅行記には、さらに面白い発想が紹介されています。

 恐ろしい強盗の話で、アクが強いので部分的に編集して紹介します。少し長いのですけど、読んで損はない話です。

第三十八回 天然の曼荼羅まんだらめぐり(三)

三途さんずのがれ坂をゆ ※いっきゅう編集版です

 

 さてその翌日もその寺で泊り込んでいろいろその地の事について研究しましたが、夜はやはり禅定ぜんじょうに入ってその楽しみを続けた。

 その時の楽しみは一生忘れられません。その翌日は非常にきつい坂で三途さんずのがれ坂というのをえねばならん。ところが幹事は誠に親切な人でヤクを貸して上げましょうという。

 私とは余程深い縁があると見えて出来得るだけの親切を尽してくれいろいろな喰物もくれました。そのヤクに乗って一人の人に案内されて恐ろしい坂を登って参りました。

 するとチベット人の妄信といってよいか信仰力といってよいか、仏陀に対して自分の罪業ざいごう懺悔ざんげし自分の善業を積むという熱心は実に驚くべきほどで、その山を一足一礼いちらいで巡るというひどぎょうをやって居る者もあるです。

 それらは大抵若い男女がやって居るので老人には出来ない。ただ登って行くだけでも随分困難を感ずるですからとても若い者のような具合には行かない。

 私はヤクに乗って登ってさえも随分苦しい。何故かならばいかにも空気が稀薄ですから、三途ののがざかを二里ばかり登りますと非常に疲れて呼吸が大分苦しくなったから少しは薬なども飲むつもりで休みました。するとそこで面白い話を聞いたです。

 それは向うの釈迦牟尼如来しゃかむににょらいといわれる雪峰チーセに対して礼拝をして居る人がある。その人はいわゆる強盗の本場であるカムの人です。様子を見るに実に獰悪ねいあくなまた豪壮な姿であって眼眦まなじりなども恐ろしい奴ですから、強盗本場の中でも一段すぐれた悪徒であろうと思われたです。その悪徒が大きな声で懺悔をして居る

 

未来の悪事の懺悔

 その懺悔のおかしさと言ったらないです。

 なぜならばおよそ懺悔というものは自分のこれまでした罪業ざいごうの悪い事を知って其罪それを悔いどうかこれをゆるしてくれろ、これから後は悪い事しないというのが一体の主義である。

 しかるにその人らのして居る懺悔は実に奇態で私も聞いて驚いたです。その後ある人に聞きますればカムの人がそういう懺悔をするのは当り前である。誰でもその通りやって居るという。だから私は実に驚いた。それはどういう訳かというとこういって居るのです。

ああ、カン・リンボチェよ。釈迦牟尼仏しゃかむにぶつよ、三世十方さんせじっぽう諸仏しょぶつ菩薩ぼさつよ。私がこれまで幾人かの人をあやめ、あまたの物品を奪い、人と喧嘩口論をして人をぶん撲った種々の大罪悪を此坂ここで確かに懺悔しました。〔します。〕だからこれで罪はすっかりなくなったと私は信じます。
 これから後私が人をあやめ、人の物を奪い、人をぶん撲る罪も此坂ここで確かに懺悔致して置きます。

とこういう事なんです。

実に驚かざるを得んではありませんか。

 慧海さんが紹介しているのは、「私はこれからたくさんの罪をおかす、と懺悔します。、だから神さま、それを許してください。はい、これで私のこれからの罪もなくなりましたね!」というわけです。

 迷惑や罪は許されるべきものだという発想を突き詰めていくと、こういうところまですすむのでしょう、すごいですよね。

 周りの人たちが苦しむ姿は減らしたいし、それでも迷惑をかけるのは仕方ないことで、自分も許してあげよう、ということになるのでしょう。

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