楽しい面白い自由研究@「レンズが切り開いた世界」スピンオフ〈モースさんの硬度スケール〉続き

※注意)前回の続きです、未読の方は一つもどってお楽しみください! フリードリッヒ・モースさんが岩石の硬さのモノサシ・基準を発表したのは今から200年以上前です。
 その長い年月で、モースさんの知らない物質もいろいろ発見されたことでしょう。
 科学の研究もすすんで、測定方法や測定機材も精密になってきたことは間違いありません。
 そんな中でもモース硬度は科学上のスケールとして成り立っているのでしょうか?
 順位が変わっていたり、別な基準に変わったりしていないでしょうか?

 これがモース硬度です。

標準鉱物のモース硬度
モース硬度 標準鉱物 化学式 絶対硬度[要説明] 画像 解説
1 滑石 Mg3(Si4O10)(OH)2 1 最も軟らかい鉱物で、つるつるした手触り。爪でたやすく傷をつけられる。
2 石膏 CaSO4·H2O 3 指ので何とか傷をつけることができる。
3 方解石 CaCO3 9 硬貨でこするとなんとか傷をつけることができる。
4 蛍石 CaF2 21 ナイフの刃で簡単に傷をつけることができる。
5 燐灰石 Ca5(PO4)3(F,OH) 48 ナイフでなんとか傷をつけることができる。
6 正長石 KAlSi3O8 72 ナイフで傷をつけることができず、刃が傷む。
7 石英 SiO2 100 ガラス鋼鉄などに傷をつけることができる。
8 トパーズ
(黄玉)
Al2SiO4(F,OH) 200 石英に傷をつけることができる。
9 コランダム
(鋼玉)
Al2O3 400 石英にもトパーズにも傷をつけることができる。
10 ダイヤモンド
(金剛石)
C 1600 地球上の鉱物の中で最も硬く、コランダムにも傷をつけることができる。
出典: 「モース硬度」・「標準鉱物」・「化学式」: [3]

 

 工業製品を扱う分野で「修正モース硬度」という15段階の基準ができています。

「え、やっぱり間違いがあったんだ!」と思うもしれません、いいえそうではありません。例えば歯の代替素材として利用する〈溶解ジルコニア:アーク炉内で 2800 度で電気溶融された脱珪化ジルコン材料〉など、新しく見つかった物質などを加えて、工業製品を研磨する時に便利なようにスケールの巾はばを広げたものが「修正モース硬度」です、モースさんが定めたスケールがまちがっていたわけではありません。なのでネーミングは『モース硬度増補版』とすべきだったと思います。

 これです。

修正モース硬度

修正モース硬度 旧モース硬度 鉱物 ヌープ硬度
1 1 滑石  
2 2 石膏  
3 3 方解石  
4 4 蛍石  
5 5 燐灰石  
6 6 正長石  
7   溶融石英  
8 7 水晶(石英)  
9 8 黄玉(トパーズ)  
10   柘榴石  
11   溶融ジルコニア  
12 9 溶融アルミナ 2100
13   炭化ケイ素 2500
14   炭化ホウ素 2750
15 10 ダイヤモンド 9000
 

 お互いの石同士をこすって、どちらに傷がつくのか、という超シンプルな判定方法で地球の岩石の硬さ基準を策定したフリードリッヒ・モースさんの業績は、みごとだと思います。

 ここからは付録のような話になります。

 実は地学の先生に「岩石の硬さを定めたモースさんは日本にも来ていて、大森貝塚などの研究をすすめた人物だ」と教えられて、そう記憶していたのですけど、それは間違いでした。その間違いを誰かに伝えた気がして、少し続けさせてください。

 私が前回からあえて「フリードリッヒ・モースさん」と書いていたのは、その訂正の意味があります。

 日本に来たモースさんは「エドワード・モース」さん、この人です。

 モースさんは明治の頃、2回来日していて、日本の考古学、人類学に大きな影響を与えた人物です。

エドワード・モース wikipediaに感謝して引用

 わたしは彼の考古学の業績についてはよく知らないのですけど、彼が残したエッセイはとても気になってメモしています。

世界中で日本ほど、子供が親切に取扱われ、そして子供の為に深い注意が払われる国はない。

ニコニコしている所から判断すると、子供達は朝から晩まで幸福であるらしい。

E.S.モース『日本その日その日』2

 その頃について、かなり人権を無視した例を多く読み聞きするので、にわかに信じがたいのですけど、日本以外の国ではさらにひどいこともあったのか…
 いつか本を入手して読んでみようと思っています。

 岩石の硬さを基準化したのは「フリードリッヒ・モース」、ドイツの学者です。
 日本に来て大森貝塚などの研究をすすめたのは「エドワード・モース」、アメリカの学者です。

 地学の先生もまちがっていたくらいですから、私以外の人も間違って覚えてしまっている人がいるかもしれません。

 人間に間違いはつきものです、かの間、知人がカラオケで歌っていた時、ずっと間違っていた歌詞だったことに気づきました、それはまたいずれチャンスがあれば・・・

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楽しい島言葉@「うりずんの季節」/楽しい野山さんぽ

 琉球おきなわの島言葉で「うりずん」と呼ばれる季節があります、寒さが過ぎた新暦3月後半のあたたかくなった頃から梅雨あたりまでをさすことばです。

 はじめてその言葉を意識した時「売り損」とイメージしてしまったのですけど、実は大和言葉の『潤い初め』が変化した言葉だといわれています。

 沖縄の月別の雨量はどうなっているか?
 確かに3月からの雨量の伸びが大きくなっています。

気温などいろいろなデータが加わったグラフがほとんどだったので、少し古くなりますが、那覇空港観測所が公表しているグラフを利用いたしました。那覇空港観測所に感謝。

 これは最近の野山さんぽで撮った写真、小雨の中の桑の木です。

 熟した実もたくさん咲いています。

 ちなみに少ない雨なら、水を弾くジャケットと帽子で歩きます。広がる景色たちを眺めるためです。

《第一たの研》の庭では、冬の頃から大切に育てた岩手花巻産の〈トウガラシ〉には花が開き始めました。

 大地が潤う季節は、はっきりと植物の成長を見ることができます。
 虫たちも成虫になって、どんどん姿を見せてくれるでしょう。

 みなさんも近くの野山を歩いてみませんか。

 深いところには入らず、まず公園からはじめるとよいと思います。

 地図を開いて、「公園」と打ち込んでみてください、けっこう見つかると思います⇨https://www.google.co.jp/maps/

 その中で比較的、山に近いところを選んでみてください。
 長くて1時間くらいで終わるくらいの距離にしておくとよいと思います。

 行き時は〈帽子、傘、飲み物、スマホ(カメラ)〉を忘れずに!

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楽しすぎる環境教育:太陽光発電の実験スタート これくらいの太陽光パネルでどれくらいの電気が発生するのか実感しよう!

 たのしく電気をつくる実験が去年から進行中です。子どもたちが発電のたのしさを味わうことが目標です。子どものような大人がそろっている〈たの研〉は、まさに最適な環境です。

 人力による発電と、太陽光での発電、発電所による発電など、いろいろな比較をしていく予定です。

 今回は、その一つ、太陽光による発電の実験を紹介しましょう。

 アウトドアで活用されている太陽光パネルがあります。ごく普通のバーベキューコンロとほぼ同じくらいの太陽光パネル(1ブロックはパーツ用なので除外)です。

 雲のない4月の直射日光の元で利用すると、どのくらい発電するのでしょう?


〈10000mAh
〉のモバイルバッテリー(iphoneを0からフル充電できるパワー)があります、蓄電量を%ー表示してくれるので、これを利用して確かめましょう。

 

 こんな感じで〈たの研〉の庭で太陽光を受けて、充電していきます。

 

 みなさんは、どのくらいの時間でフル充電できると思いますか?

予想

 ア.ほぼ1日(10時間くらい)

 イ.4~5時間くらい

 ウ.1~2時間くらい

 エ.その他

 どうしてそう予想しましたか?

 

 では、実験がスタート。

 時々、パーセントを確認しながら、様子をみたいと思います。

 結果は明日、報告します、おたのしみに(´ー`

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楽しい面白い自由研究から広がる世界〈最も古い劇はどれくらい前か?〉

 電子出版の2作目で『授業書@たの研:すごいぞ、レンズの力」を出そうと準備をすすめています。

 何年か前の夏の講座用に作ったプログラムで、おおよその流れは出来上がっています。今は出版するにあたってのファクトチェック(事実確認)をすすめて、4月には完成させたいと思います。

 今調べているのは、最も古い〈人間がレンズを利用したことがハッキリとわかる記録(文献)〉です。
 いったいそれはどれくらい前までたどることができるのでしょう?

 レンズという物体を探すのではなく、記録を探すわけです。

 世の中ではいろいろな「劇」が演じられています、ミュージカルも劇です。劇団四季ほかたくさんの劇団があります。
 学校でも学芸会などで「劇」が定番ですよね。
 劇には台本(戯曲)があって、同じものを何度も上演することができます。
 ちなみに私も学芸会の劇の戯曲(台本)を書いて監督をしたことがあります。

 さてみなさん、人間はどれくらい前から「劇」を演じてきたと思いますか?

 100年くらい前でしょうか、いやいや500年くらい前からでしょうか、もっと古くて1000年くらい前までたどるることができるでしょうか。いやいやそんなものではなくもっとずっと前でしょうか?
 日本だけでなく世界で考えてみてください。

予想してみてください。

 ア.100年くらい前

 イ.500年くらい前

 ウ.1000年くらい前

 エ.1500~2000年くらい前

 オ.その他

どうしてそう予想しましたか?

 ちなみに私いっきゅうは、学生の頃『文学論』の講義の中で、世界最古の劇は『日本の〈能〉』だと学んできました。
「室町時代に観阿弥・世阿弥の親子によって完成された日本を代表する舞台芸術が能だ
」というのは中学・高校で〈テストに出るぞ的〉に教え込まされてしまった知識です。

 「能」は今から1600年くらい前にたどることができますから、それが正しいとすると〈エ〉が正解になりますね。

 でも日本は中国からたくさんの文化が伝わったという歴史をみると、中国にはもっと古い〈劇〉があるのではないだろうか?

 レンズの自由研究をしている時に、実はその知識が間違いであったことを発見しました。

 実は「レンズ」のことが古い劇の台本つまり戯曲として残されています。

 アリストパネスの『雲』という劇で、実際に何度も上演されていたことをA.I.のディープリサーチ機能で発見しました。

 その英訳をweb上で読むことができます⇨https://classics.mit.edu/Aristophanes/clouds.html

 もちろんweb上には翻訳サイトもありますし、AIも翻訳は得意ですから、その気になれば中身を味わうこともできます。

 読んでみるとなかなか面白い劇です、ソクラテスを茶化した内容で、しっかりとレンズということばが出てきます。

SOCRATES(ソクラテス)

You mean a crystal lens.(つまり 水晶のレンズってことだね)

wikipediaに感謝して引用

 ストーリーの中で〈ロウをとかす〉ために使われていますから、機能としてもしっかりレンズのことといって間違いありません。

 ではそれが書かれたのはいつのことか?

 紀元前500年くらいです、つまり今から2500年前になります、古代ギリシャで演じられてきた劇です。

 私たちのイメージしている劇と重じであることがわかると思うので、はじめの部分の和訳を少し書き出してみましょう。

『雲』 ※アリストパネス作
紀元前419年執筆

 

【登場人物】
ストレプシアデス(STREPSIADES)
フィディッピデス(PHIDIPPIDES)
ストレプシアデスの召使い(SERVANT OF STREPSIADES)
ソクラテスの弟子たち(DISCIPLES OF SOCRATES)
ソクラテス(SOCRATES)
正論(JUST DISCOURSE)
不正論(UNJUST DISCOURSE)
パシアス(PASIAS、金貸し)
アミュニアス(AMYNIAS、別の金貸し)
雲のコーラス(CHORUS OF CLOUDS)

【舞台】
背景には2つの家が見える。一つはストレプシアデスの家、もう一つはソクラテスの**「思案堂」**(Thoughtery)。後者は小さくて薄汚れている。ストレプシアデスの家の内部が見え、2つのベッドがあり、それぞれに人が寝ている。

【第一場面】
(夜明け前、ストレプシアデスがベッドで寝返りを打ちながら独白する。)

ストレプシアデス
「偉大なる神々よ!この夜はいつまで続くのだ?
朝はまだ来ないのか?
鶏の鳴き声はとっくに聞こえたのに、奴隷たちはまだいびきをかいている。
ああ、昔はこんなことはなかったのに!
戦争め、呪われよ!
私にこんな災難をもたらすとは!
今や私は自分の奴隷すら鞭打てない始末だ。
それに、このろくでなしの息子!
夜通しぐっすり寝ているくせに、五重の毛布にくるまって、好き放題に屁をこいていやがる。」
(再び横になる。)
「さあ、私も寝ようとしてみるか……
いや、無理だ!
借金や家畜のこと、フィディッピデスのせいで増え続ける出費のことが頭から離れない!
あいつは長い髪の手入れや、馬車で見栄を張ることばかり考えている。
私はというと、月の終わりが近づくたびに支払い期限が迫って死にそうだ……
奴隷よ!灯りをつけて、私の帳簿を持ってこい」
(召使いが命令に従って明かりを持ってくる。)

 ね、劇ですよね。

 この頃から『雲』以外にもいろいろな人物による劇の台本が残されています。

 わたしはこんな軽やかでこっけいな劇が、これだけ古い時代から演じられてきたことに驚いてしまうのですけど、みなさんはどうでしょう?

 劇の歴史をもっと前にたどれないか?

 いろいろなサイトをみると

紀元前2500年頃 エジプト・アビドスの「オシリス神話劇」というのがあって、それが世界最古の劇です

と書かれているものもあります。
すると5000年前にたどることができます。
どこどこのなになにはもっと古い、というような記述もあります。
でもそれらはどうも「宗教儀式」のようなもので、踊りのようなもののようです。

 私たちがイメージする「劇」ではないと思うので、私にはその説はとれません。
 しかも「台本・戯曲」が残っているわけでもありません。

 レンズの自由研究が人間の文学的なたのしさの歴史にもつながります。
 いろいろなものはつながっているので、当然のことです。

 みなさんも自由研究をたのしんでみませんか。

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③ 受講費、教材費、スーパーバイズなどの費用は全て、たくさんの方達へのたのしい教育の普及、ひとり親家庭など困窮した方たちへの支援に利用されています

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