楽しいゲーム「コップタワーバランス」/授業で堂々と使おう!

 日頃から「特別支援教育(特支)にこそ教育の基本と未来がある」と考えています。ところが、〈たの研〉への相談事例から推測すると、特支が次第に普通教育(特別な支援が必要ないとされる子どもたちの教育)に寄って来てしまっている気がします。

 特支は特支のプロフェッショナルが責任をもって教育するところです。

 もちろん特支のクラスには特支の教育方法があるのです。

 これは、最近研究をすすめているプログラム「コップ・タワーバランス」です。
 シンプルなルールでドキドキしながらたのしめます。年末の〈たの研〉おたのしみ大会でも実施する予定です。

 特支でもたのしめるプログラムになっています。

 ところが、先生の中には「こういう遊びはいけない」と考える人たちがいます。

 たとえば特支のクラスでこれをやっていると「授業中に遊んでいると思われるので、たのしいことをやりにくい」と考える先生もいます。

 そうでしょうか?

 特別支援教育の学習指導要領第7章には「心理的な安定」について記されています。「自分の気持ちや情緒をコントロールして変化する状況に適切に対応する」という内容で利用することができるでしょう。

 特別支援の骨格となる『自立活動』では「小集団において,ルールを守ることや負けた時の対応方法などを身に付けるため,簡単なルールのあるゲーム等に取り組む」という内容も設定できます。

 子どもたちがたのしんで取り組んでいく中で、何も学ばないということはあり得ません。

 たのしみながら知恵と工夫を重ね、シンプルなルールを重ねていく中で、周りの人たちとのコミュニケーションの力を高めていくこともできるでしょう。

 特支クラスは普通クラスの先生たちとは別な専門性、プロフェッショナルな力が大切になります。

 ややもすると普通クラスでやっているプリント学習を特支クラスですすめる、という個別学習の塾の先生のような仕事を役割になっては、子どもも教師自身も苦しくなっていくことが多い、そう考えています。

 たのしい特別支援教育をどんどんすすめてください、応援しています。

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楽しいアウトドア・サバイバル感覚@舌という強力なセンサー/中谷宇吉郎のエッセイから

 日照時間が最も短い日を通過した、嬉しい冬越しの日々、好きな中谷宇吉郎の随筆をあじわっていると、「あ、ここに書いてあったのか」と長年たずねてきた文章に行き当たって喜んでいます。

中谷宇吉郎(右)と湯川秀樹/雪の科学館に感謝して参照

 『室鰺/むろあじ』というエッセイの中にありました、どうりでタイトルから探そうとして見つからないはずだ。

 私たち人間を含めて多くの動物は、初めて出会ったものを手にして「それが食べることができるのか、食べてはいけないものなのか」知ることができます。

 原始時代であっても親が教えてきたいろいろな情報があるでしょう、それらに加えて〈見た目〉〈手触り〉〈匂い〉〈軽く噛んでみる〉などいろいろなフィルターが準備されています。

 『室鰺/むろあじ』という随筆で中谷宇吉郎は、こう書き始めてあと、後半に

 伊豆の東海岸のこの温泉地では秋風の立ち始めるとともに、また室鰺が沢山漁れ出した。去年の秋の暮、少し静養の意味で、漁港と温泉とを兼ねたここの土地へ移ってきてからもう一年に近い。初めてきた時はちょうど室鰺の盛りの時期であった。通りに面して魚屋の店先には、小鰺と、室鰺との干物が一面に並べられて、秋の陽を一杯に受けながら行儀よく並んで乾されていた。それがいつの間にか段々少くなって行く中に春がきて、今また秋とともに室鰺の大群がここの海にかえってきたのを見ると、季節の移りかわりがよく感ぜられる。

 こう書いています。

 私はいわゆる食通といわれる人々の味覚を真似る気持はないが、ただ虚心に味わって見るとこういうような味の差が案外明瞭に分るような気がするのである。

 人間の舌が極微量の複雑な物質に感ずる感度にくらべては、今の精密器械などはまだまだ子供だましのようなものであろう

 中谷宇吉郎がこの文章を書いたのは1937年/昭和12年、第二次世界大戦が始まる前のことです。かなり昔だと思うかもしれません、でも〈電子顕微鏡〉もありました。光のスペクトルを測定する〈分光計〉もありました。
 放射線を測定する〈ガイスラー計数管〉もありました、X線(レントゲン)を照射して物質の結晶構造の解析もしていた時代です。

 その中で、私たち人間の舌が持っている〈極微量の複雑な物質に感ずる感度〉に比べると精密器械は子どもだましのようなものだ、というのです。

 中谷は、別のエッセイで「私たちの舌は精密機械では検出できないような極微量な物質の存在を検知する力がある」という話もしてくれています。

 それはまた項を改めて紹介しましょう。

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「子どもたちのいじめのほとんどは解消している」・・・どう考えますか?

 前回からの続きです。増加の一途をたどる、子どもたちの「いじめ」は解消してきているのか、そのまま継続しているのか?

 どう予想しましたか?
 
予想 子どもたちのいじめは

 ア.ほとんど(3/4程度)解消している

 イ.ほとんど(3/4程度)がそのまま

 ウ.半分程度が解消している

 エ.その他

 文科省のデータをたどりましょう。
 webでたどる最新の集計が2023/R5に文科省が公表したものです⇨https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5aa667da-fe7f-4ea9-9ee2-7510121e6751/2d6548bb/20231016_councils_ijime-kaigi_dai2_01.pdf

 その中に「いじめの解消状況の推移」が出ていて、こうまとめられています。

▍ いじめの認知件数の推移 ▍

いじめの解消状況の推移(各年度末時点)
● 小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの
認知件数は681,948件(前年度615,351件)であり、
前年度に比べ66,597件(10.8%)増加している。
● 児童生徒1,000人当たりの認知件数は53.3件
(前年度47.7件)である。
● 年度末時点でのいじめの状況について、
解消しているものは525,773件(77.1%)であった。

 

 そうです、文科省の統計によると、子どもたちのいじめのほとんど(77.1%)は解消しています(2022/R4最新)。
 件数にするといじめ全体が681,948件で、そのうち 525,773件が解消しているということです。のこりのほとんどは解消に向けて取組み中ですから、その数はさらに上向くでしょう。

 するとまた次の年の統計で現れるいじめは、新しいものが出現したということになるのでしょうか。

 実は解消したと考えていたいじめが水面下で継続し、次の新しい担任の先生たちのもとで再開されたということも考えられるかもしれません。

「いじめ解消の見方がゆるいのではないか」と考える人もいるかもしれません、そうでもありませんよ。特にこの②が強いしばりです。

● いじめの防止等のための基本的な方針(文科省)
「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされる場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。
① いじめに係る行為が止んでいること
被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期
間とは、少なくとも3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、学校の設置者又は学校いじめ対策組織の判断により、より長期の期間を設定するものとする。
② 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。

「いじめ」の話になると「自分たちの頃にもいじめはあった」とか「いじめはなくならない」という話をする大人がいます。
 私は学校現場で「いじめに立ち向かう勇気が大事だ」とか「いじめを乗り越えて成長する」という言葉を聞かされたことがあります。

 その理屈が通るなら「DV」を受けていても立ち向かう勇気が大事で、それを乗り越えて成長していくということになります。自分が子どもの頃、DVを受けていたとして、それを乗り越えて成長するんだと考えることができたでしょうか?

 いじめには、簡単に解決がつかないものがたくさんあります。

 〈たの研〉ではOPTIONSというコースを開催しています。

 子どもたちの「いじめ」に直面する先生、保護者の方たちにもたのしく役立つコースです。次回開催はまだ決まっていませんが、興味のある方はお問い合わせください。※経済的に支援が必要な方たちには特別な制度も準備しています

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いじめの多くは解消して(いる/いない)? ①

 ある研修に参加することになって久しぶりに講義を聞いていたら気になるデータを目にしました。

 その前に、いじめの認知件数について、再確認しておきましょう。

 コロナで学校が閉鎖されたあたりから、子ども同士の物理的交流が減って、一時、いじめが認知件数が減ったのですけど、学校が再開されるとまた上昇を続けています。

 読売新聞オンライン

全国の小中高校と特別支援学校で2022年度に認知されたいじめの件数が前年度から1割増の68万1948件に上り、過去最多となったことが3日、文部科学省の問題行動・不登校調査でわかった。
 深刻ないじめの重大事態も217件増え、最多の923件だった。不登校の小中学生は最多の29万9048人に上り、30万人に迫った。

 

 子どもたちの人数はどんどん減っています。それなのにいじめの「件数」は増加している。

 これは総務省が出した最新の子どもの数の統計です。

2024年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口。以下同じ。)は、前年に比べ 33万人少ない1401万人で、1982年 から43年連続の減少となり、過去最少となりました。

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/pdf/topics141.pdf

 

 一年ずれているとはいえ、30万人くらい子どもの人数が減っているのに、いじめ認知件数は10万件くらい増えているのです。
〈たの研〉に来る相談事例から推測すると、学校に相談しないまま何とかしようと頑張っている件数も増えている感じがしています。ネットいじめも増えていると思います。
 

ここで考えてみてください。

 学校が把握したいじめ件数「68万1948件」は、その後どうなっているか?
 です。
 解消しているのか、解消しないままなのか?
 どう思いますか?
 
予想

 ア.ほとんど(3/4程度)解消している

 イ.ほとんど(3/4程度)がそのまま

 ウ.半分程度が解消している

 エ.その他

どうしてそう予想しましたか?

 

 予想すると、これまで見えてなかったものが見えてきます。
 そしてたのしさも増えていきます。

 賢くなる一番の近道は予想することだといってもよいでしょう。

 予想したら、自分で調べてみることです。

 明日の記事には、この続きを載せる予定です、たのしみにしていてください。

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