とっても簡単 和紙(和紙風の紙)づくり@紙づくりはシンプル2工程/とっても楽しい自由研究

 学校に和紙づくり/紙づくりの外部講師がやって来たり、和紙づくり専門の先生がいたりして、何度かそれを体験したことがあります。

 和紙を作るなら、これこれの植物の皮を準備して

  • 樹皮を剥いで乾燥させた後、水で戻し、アク抜きや煮沸を行う
  • 水◯Lに原料をつけて一昼夜置く
  • この段階で不要な成分を取り除く
  •  繊維をほぐし、均一なパルプ状にするために叩いて砕く

というのが前段で、さらに複雑な工程がいくつも出てきました。

 平らな紙にする過程はまるで「自分だからできるんだ」くらいの説明をどんどん加えていくので、とても授業でやろうという気持ちにはなりませんでした。

 その後転勤したいくつかの学校に「とっても簡単に、牛乳パックで和紙風の紙を作ることがてきる」という外部講師が二、三回やってきました。

 県などの事業で派遣された方でした。
 ご存知のように学校の先生たちは忙しくて、誰も引き受けようとしないので、私が引き受けたりしました。

 本人たちは「簡単だ」とはいうのだけど、整理するとこんな工程になります。

  1. 牛乳パックを集める

    • 使用済みの牛乳パックを用意し、内側がコーティングされたものを集めます。
  2. パックを洗浄・乾燥

    • パックをしっかり洗い、中の残留物を落とします。完全に乾かしておきます。
  3. パックを解体

    • パックを切り開き、平らに広げます。縁を切り落として1枚のシート状にします。
  4. コーティング剥がし

    • 内側の薄いプラスチックコーティング部分を可能な限り剥がします。この工程で紙の質感が変わるため、丁寧に作業します。
  5. パックを小さく切る

    • ハサミやカッターを使い、パックを細かいチップ状に切ります。細かくすることで次の工程がスムーズになります。
  6. パルプ化(解繊)

    • 切り刻んだパックを水に浸し、一晩から1日程度柔らかくします。その後、ミキサーやフードプロセッサーで攪拌し、繊維をバラバラにします。これにより、ドロドロのパルプが完成します。
  7. 水槽準備

    • 水を入れた容器を用意し、そこにパルプを入れて全体を均等に混ぜます。
  8. 簀桁(すけた)ですくう

    • 自作の簀桁(すけた)や平らな網を水中で動かし、パルプを薄く広げてすくい上げます。これにより、紙の形が出来上がります。
  9. 水分を除去

    • 簀桁から紙の原型をそっと外し、布や新聞紙にのせて押し付け、余分な水分を吸い取ります。これを繰り返し、できるだけ乾いた状態にします。
  10. 乾燥・仕上げ
    風通しの良い場所で完全に乾燥させます。乾燥したら、紙を慎重に剥がし、必要に応じて形を整えたり装飾を加えたりします。

 私も子どもたちと受講しながら「なんて複雑な工程なんだろう… 昔の人たちはもっと簡単に紙をつくっていたに違いない」と考えていました。

たとえば今なら〈紙をミキサーでくだいて液状にする〉→〈伸ばして乾かす〉で紙になるんじゃないの?

 それから十数年過ぎて、楽しい環境教育の質問がいろいろ届き始め、その中であの頃の疑問、予想わ試してみました。

 さて、どうなったでしょう。

「そんな簡単にはいかないよ」でしょうか、「超簡単だった」でしょうか。

 これがその実験です。

 捨てる紙をミキサーで水とまぜてドロドロにする。

 

それを伸ばして1日乾かすと・・・

できあがり!

 インクがまざって灰色の紙になりました。
 味わいのある紙になっています。

 

 これは同じように作った段ボール和紙です。

   味のある和紙風の紙がとても簡単に出来上がりました。

 枠に流せば四角い紙にすることもできます。

 ノリもいりませんよ。

 細かい複雑な過程はとばして、まず原始的な作り方を伝える、それが感動につながります。

 チャンスがあればたのしい教育Enjoy-Cafeで紹介しようと思います。

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楽しいSDGs/自動給水装置の研究/楽しいゼロカーボン・カーボンニュートラル

 ゼロカーボン、カーボンニュートラルという言葉をいろいろな処で目にし、耳にするようになってきたように思います。それは〈二酸化炭素をゼロにすること〉ではありません、それは無理です。植物たちが処理できるくらいのCO2排出量にしていくことです。
 もちろん〈燃やすこと〉を減らすことでCO2排出量が減ってきます。電気をつくるためにも石油や石炭などを燃やしていますから、電気をあまり使わないようにするとか、車を利用せず歩いて移動することもゼロカーボンにつながります。

 植物は基本的にCO2を吸って酸素O2を出していますから、植物が増えることもカーボンニュートラルにつながります。

 さて先日、〈たの研〉のS先生が休みも学校に行って鉢植えの水やりをしてきたという話をしていました。長い休みに植物が枯れてしまうこともあるそうです。

 花を育てるくらいでカーボンニュートラルにプラスになるのか?

 たしかにCO2の処理能力は限界があるでしょう。

 とはいえ植物に親しむ、植物を育てる楽しさは樹木を育てる楽しさにつながるでしょう。樹木が処理するCO2量は草花よりはるかに多いので、のちのちは樹木を育てる人たちが増えていくことも大切です。

 ところでM小学校にいたとき、子どもたちの鉢植えの植物にペットボトルから水滴が落ちて、自動で数日分の水やりができるシンプルな工夫をしていました。

 以前紹介したスタバの自動給水プランターとは別で、ペットボトルに小さな穴をあけて、そこから水滴が落ちていく方式です。
 その量はキャップの開け閉めでコントロールできるので、夏の頃は多めに湿らせたり、梅雨時期は少なめに水滴を落としたりできます。

 いまならもっと工夫できそうなのだけど、とりあえずその頃の方法を思い出して、それが実際どれくらい長く持つのかを実験中です。

 上から吊り下げて、5秒くらいで1滴のスピードで落下している状態です。

 下のボールで水を受けています。

 2025年1月4日20時30分で青のラインくらいの水面が、明日にはどのくらいになっているでしょう。

 この頻度で落ちていく水滴でプランターの土は湿ったままでいられるのか、乾いてしまい、植物の根まで行き着くことはできないのか、それはこの実験のあと、ベランダで実験する予定です。

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確かにあるのに見えない感じない@楽しい教育の発想法

 心理学とか行動学で〈認知バイアス〉と呼ばれている作用があります。ご存知の方もいるでしょう。思い込みとか偏見と訳されることが多いと思います。

 自分の思考・認識の中であまりにも当たり前なことなので、その存在に疑問をもたない、それが〈認知バイアス〉です。

 アメリカの作家デヴィッド・フォスター・ウォレスが大学の卒業式のお祝いスピーチで語った、私が好きなエピソードも〈認知バイアス〉の一つだといってよいでしょう。
 20年くらい前かな、その年のベストスピーチに選ばれたというので話題になっていたので、web上で読んで学校で子どもたちに紹介したことがありました。

 記憶で記すので正確には違いがあるかもしれません、詳しく知りたい方は「作家デヴィッド・フォスター・ウォレス 大学 スピーチ」で検索してみてください。

 私が授業で使った展開の一つを紹介します、利用したい方はどうぞ。
 ちなみに〈たのしい教育研究所〉を設立後、それをまとめて授業プログラムにしました。いずれ発表したいものの一つです。

2匹の子どもの魚がスイスイ泳いでいると、大人の魚に出逢います。

あいさつをすると、大人の魚がこういいました。

「どうだい、今日の水の具合は?」

しばらくして、子どもの魚たちは、お互いの顔を見合わせてこう問いかけます。
「え、水って何?」

 私たちがプールや海に入る時は「水」を意識するのが当たり前です。

 でも生まれた時からずっと水の中にいる魚たちは、まったく当たり前の世界としてそれを感じていくので、水が何なのかわからない・・・
 自分の周りのほとんどが水だから水が見えない。

 では私たち人間は?

 生まれた時から空気の中で過ごし続けているので、空気を感じないことが多いですよね。

 魚たちには水が見えない。
 私たちはには空気が見えない、似ています。

 水の世界の外にいる私たちには水が見える。

 ここで考えてみてください。

 地球の外に出たら空気は見えるんでしょうか?

 予想してみてください・・・

 そういう流れで地球という星を外からながめていくプログラムです。

NASAに感謝して掲載

 最近、オキナワウラジロガシがほしいというので問い合わせがありました。「こういう授業プログラムが欲しい」という要望に応えられるシステムを作っていこうと思います。

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牛の呪い@読み物授業書@たの研/小学校高学年以上

 つい最近の記事〈中谷宇吉郎のエッセイ〉について綴っていた時、〈国語の読みもの授業書@たの研〉にしようと思っていた中谷の文章を思い出しました、『犬がなくとガラスがこわれるか」というエッセイの中に入っています。

 読み方プログラムのタイトルは『牛の呪い』にしようと思っています。

 青空文庫に感謝して引用させていただきます。
 短い文章です、読んでみてください。

 ある山奥に美しい盆地があって、周囲の山々は、うっそうたる原始林におおわれ、盆地のなかは、緑の牧草が毛せんを敷いたように密生している。

 水にも恵まれていて、水晶をとかしたような流れが、この牧草の原のなかをゆるやかにぬっている。

 気候も申しぶんなく、春さきになると、雪は早く消え、太陽がきらきらとこの流れに映えている。
 中国の昔話にある武陵桃源とは、こういうところのことだったのであろう。

 ここでは、人々も、家畜も、みな幸福に暮していた。

 ただこの別天地には一つ不思議なことがあった。

 それは、この土地ではどうしても牛が育たないことである。

 なんとかして酪農をやりたいとおもって、丈夫なよい牛をたびたび入れたのであるが、数カ月のうちに、しだいに弱ってきて、やがて死んでしまう。
 いろいろ手をつくしてみても、どうしても、牛が育たない。

〔しつもん〕どうしてこの美しい山奥の盆地では牛が育たないのでしょう?

 ア.気候が悪い

 イ.牧草がよく育たない

 ウ.その他 思いつくことがあったら出し合いましょう 

 中谷宇吉郎の文章の続きを読んでみましょう。

 気候が悪いせいでもない。

 また牧草が悪いせいとも考えられない。

 りっぱな牧草ができるところで、現に馬や羊は非常に発育がよい。

 念のために、大学へ牧草を送ってしらべてもらったが、栄養価満点という折紙がついてきた。
 それで村の人たちは、すっかり弱ってしまって、とうとう牛を飼うことはあきらめることにした。

 しかし念のために、いろいろ昔のことを調べてみたら、一つおもいあたるふしがあった。

 

 馬や羊は非常に発育がよいのに、牛が育たないという村があって、昔のことを調べたらこういうことがわかったというわけです。
 いったいどういうことがわかったのでしょう・・・

 ※ 

 それは大昔に、この村に気の荒い庄屋がいて、外からつれてきた牛を残酷な方法で殺したことがあるという記録が出てきたことである。その牛の怨霊おんりょうがたたって、その後この土地には、牛は育たないことになったのであろう。

 これでわけがわかったので、村人もなっとくして、酪農はあきらめてしまった。

 なんと「牛のたたり/牛の呪い」のせいで、この土地には牛は育たなくなったというのです。

 みなさんはそういうことが本当にあると思いますか。

予想

 ア.たたりはあるだろう

 イ.それはないだろう

 ウ.その他

 中谷宇吉郎は、それを無茶な考えだと言わず、「この村の人たちにも、ちゃんと因果律の考えがあったのだ」と続けます。

 この村の人たちの頭のなかにも、ちゃんと因果律の考えがあったのである。※因果律(いんがりつ):原因と結果を結びつけて考えること

 牛が育たないという結果があったので、その原因をいろいろと考えてみた。

 しかし原因は、気候にも、牧草にも、水にもないことがわかった。

 そこへ牛の怨霊という、原因と考えられるものが出てきたので、それを原因として、この問題に一応の解決を与えたわけである。

 中谷宇吉郎は科学者です、「怨霊のせいという原因がわかってよかったね、めでたしめでたし」と終わるわけではありません。続きを読んでみましょう。 

 ただ、この素朴な村人の因果律は、科学で使われる因果律とは、少しちがったところがある。前にもちょっといったように、科学の世界での因果律では、原因も、結果も、ともに観測しうるものであることが必要である。牛が死ぬという結果のほうは、観測というまでもなく、明白な事実である。

 しかしその原因とされた怨霊のほうは、観測にはかからないものである。

 したがって、この結論は、広義の因果律にはかなっているが、科学にはなっていない。怨霊だから非科学的であるというのではなく、観測あるいは測定にかからないものを、原因とする点が、非科学的なのである。

 しかし、ほかに考えうる原因がないのに、牛が育たないという結果は実在している。これは事実である。

ではどうしたらよいのでしょう?

怨霊のせいにしてあきらめる以外に、何か方法を思いついた人はいませんか、あったら出し合いましょう。

 何かアイディアが出ましたか?

 牛に「たたりで災いを起こす力」があるとしたら、世界中でたくさんの災いが起こっている可能性がありますよね・・・

 それはさておき、中谷宇吉郎はこう続けます。

 この事実を科学的にはどう説明したらよいかというに、それは簡単である。「なにか原因はあるのだろうが、わからない」と、これだけでよいのである。というよりも、それよりほかにいいようがない。

 なにか科学らしくこじつけると、かえって非科学的になる。

 中谷宇吉郎はあっさり、原因を牛のたたりにしてしまうのではなく「原因は〈わからない〉以上!」でよいのだと語ります。

 そう言った上で、さらにつきつめて考えてみよう、と語ります。
 ここから本格的な科学の話に入っていきます、もちろん「たたり」のせいだとはいわず、「わからない」と終わることもありません。

 これはおもしろい問題なので、もう少しつきつめて考えたいが、それには、原因および結果という言葉を、いま一度整理しておいた方がよい。

 前に、自然界には、原因そのもの、あるいは結果そのものはないといった。その点には、まちがいがない。
 しかし自然界には、二つの現象を、原因結果的にならべてみると、その関係がはっきりすることがらが、たくさんある。

 以下本書では、こういう場合に、一方を原因といい、他を結果ということにする。そして両者をならべてみて、それから新しい知識が得られることを、「原因結果的に扱える」ということに定義する。
 ところで科学の話をする場合は、どうしてもいくつかの術語を知っている必要がある。料理の話をきくときに「三枚におろす」とか、「油でいためる」とかいう言葉を知っている必要があるのと同じことである。その術語の一つに無限小および有限という言葉がある。ここでその言葉の意味を、ちょっと説明しておく。
 物理学では、無限小という言葉をよく使うが、これは「ない」という意味ではなく、観測にかからないほど微小または微弱という意味である。無限小のものは、ないとはいわないが、取扱いではゼロと同様にみなす。それに対して、観測にかかるものは有限という。一ミリグラムの百分の一ていどの微量でも、測定にかかれば有限である。

これで半分くらいです、書き始めてみたら、ずいぶん長くなってきました。

〈たのしい教育メールマガジン〉で紹介したあと、機会があればここでも紹介しましょう。
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